食堂にて/大町綾音
……がっしゃあん、と、すごい音を立てて(これは言い過ぎね)、大きな音を立てて、床に食器をぶちまけてしまった女性患者に、──ララ、ら──キツネのような目で、「今、電話して、下から持ってきてもらうから」、と、優しく話しかけている女の看護士……と、話はここで終わらず、数分して席についている彼女の元へと、運ばれてきた夕食のトレイを……数十秒ほど見つめた後で、おもむろに立ち上がり、配膳を下げてしまうその女を、悲しいでもなく見つめている女性看護士、ら……(ああきっと、いつものことなんだ)。そうして、泣けなくなっていくのだとしたら、この<女>は本当の悪だと(一体どっちが?)冷静なふりをして、確かめているわたしも……息を殺してなどいない……たしかに悪である、手前勝手な一匹のをんな。なのかも知れず……
あなたならどう思う?
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