ユートピア万歳!/鏡文志
誰一人、針を止める者はいなかった
時間だけが、過ぎていった
誰一人、悪いことをする者はいなかった
誰一人、互いを憎む者もいなかった
誰一人、疑問に思う者はなかった
時間だけが、過ぎていった
何一つ、憎む必要がなかった
何一つ、愛す必要もなかった
何一つ、取り繕う必要もなかった
彼らは、全てが完璧だったから
一台、一台とショートしていった
二台、三台とショートしていった
皆、涙を流し、悲観する様子を見せた
でも、一体何が悲しいのか?そのことを確認する者は、いなかった
涙を逃せば、それで良かった 悲観する様子を見せれば、それで良かった
だから、そのことを
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