そしてわたしの目は/ただのみきや
裾に吹雪をあしらった
むらのない雲をまとい
忽然と 瞳に降り立った
白き盲者 太陽は
この網膜を滾らせて
まぶたには収まりきらず
毛糸の手袋にくっついた
固い玉状の雪の欠片が
あたためようと手を伸べた
ストーブの上へ落ちた時みたいに
瞳は鳴いて 泣いて透きとおり
一羽のツグミの美しい死
両の掌に隠し まるで
自分の心臓でも捧げるかのよう
母のもとへと家路を急ぐ
少年の おくれ毛揺蕩ううなじ
うしろから咬んだ
月蝕に喀血しながら沈黙を吠える
飢えた狼の
だらしなく開いた口のように
つめたく熱く
仄めく火口
やがて視界の底が抜け
太陽に抱かれたまま眼差しは
深く厚みのない何処かへ
(2025年1月18日)
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