地底者の花/
陽向(2躯-30〜35)
「地底者の花」
怯えているものがあったのだ
それは今でも思い出すと悲鳴を上げたくなる
その苦しみは私だけだと思うほどであった
そこには花のようなものはなかった
蝉の鳴き声が聴こえるばかりであった
ただあの日の君は常に私の花であった
心の怯えはあなたのことを考えている時だけは鳴り止んだ
理解など及ばないことをあなたですり替えることに成功するのは
確かに私の花であった
今でも忘れない その花が枯れることはいつまでもないのだ
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