この年の瀬、意識の真夜中に/ひだかたけし
 
夜中にはたと目覚め 妙な異和感
何か重たい記憶を背負った様に
ふっと気付く 、深々と

どこかにいた
今まで俺は確かに何処かに居た

想い ずんと
落ち来る如く
沸き起こる

けれども、

想いだけが深々と在り

自分が
何処に居たのか
居たはず なのか
思い出せない

俺は、眠っていたのだ 意識を失い
その間、しかし何処かで生き目醒めて居た

現と想いのギャップと
それだけに尚一層と
鮮明になる
もう一つの現
その感触のみ確実に 、

次第に意識に閑やかなさざ波
打ち寄せ重ね打ち寄せ
何かに意図された如く
呆然とした想い 記憶の痕跡
痕跡の浮上
揺らし消しながら

ふっと意識の 真夜中途絶える


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