サイコーの路地裏/這 いずる
 
どこかへ行くのを縋って留めた
私達はどこにもいけないはず
粘ついた湿度が君の手から溢れて
しどどに濡れた服の袖を
振る
重みが自分の価値を表す
そう言われるうちが花であり
言われなければ花でなく
私、私、私達
どこにも何にも、なんでもいいから

私達が嵐にまぎれて
消えてしまうのが悲願なこと
願いと祈りが届かないこと
苦しみこそが残ること
脆弱な人間であること
遠くの空で星月が光ること
冷たく透明な空気に深呼吸すること
路地裏で溜まって酒を飲み干すこと
それらは同等に値のつかないもの

私達、行き詰まりの私達
花に水をやれるだろうか
水腐りを起こしかけた
手をお互い離せないまま
笑って嬉しくて同じだけひどいからかなしくて
かわいい輝いてる瞳を覗き込む

音のなりそうな乾燥した空気が
しんと澄んだ都会のゴミ臭さを強調してる
私達って最高の友達だ
いつ死んだって何したっていいじゃん

ジョウロは打ち捨てられて
水も腐って
行き着くとこもなくても
目の中で星が散る
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