時計/
花形新次
時計の針が
何周も回って
気が付かないうちに
年老いてしまう
ほとんどのことは
幻影のように
記憶のすみの方で
薄っすらとなって
やがて消えてしまう
それでも
忘れたくないことがある
あの人の透明な
美しい横顔
美しい、横顔
あの横顔に
触れることが出来たのは
一体誰だったのだろうか
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