月/mizunomadoka
 

母は人間で父は鬼だった

私と兄は半分ずつの鬼だった
理由もなく殺され
重ねて竹林に埋められた

だからあの子は竹から生まれた
あの子は人間だった

兄を吸い取り鬼となった私は
巨大な鉄に掘り起こされた

それから何百年が過ぎた

偶然入ったカフェであの子を見つけた
母のような切れ長の目で私を見た

人間は転生するのか
わざとコーヒーを落として友だちになった

ねえ見て
片目を瞑って覗き込んでる顔文字
(-a)

今はもう母親になったあの子から
こんな可愛いメッセージ

玄関を出て雪を見上げる
隕石から発見された滅びの炎






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