女顔と夢観の座椅子/ひだかたけし
 
灰白に濡れ光り筋立つ
幾つもの鍾乳石に這いつくばり
辿り進んでいるうち何時しか女が道連れに

ニコッともせず先をいく女の
その剥き出しの背骨の
やはり筋立ち浮き動くを見入る内に
脊椎の筋の鍾乳石と白々一体化し始め
はたと気付けば、行き着いた先
微妙に乱れ汚れたフローリングの小部屋
二人して入り口に立ちじっと見入れば

秩序と平衡をと女の低い声音の響き

微妙に斜めにずれた角度を正す

今にも殺されていく人がいる
明日はアナタの番なのだから

唸り始める時の女顔を意識の射程に

ゆっくりゆるりと腰おろすだけの座椅子が在る


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