フィクション/みぎめ ひだりめ
運命というものが あるのだとしたら
それはわたしが 被造物であることを
否応がなしに 証明している
わたしの心を 映すため
柔らかい夜風が 頬を撫でる
頭から爪先まで 定められた音階が
軽やかに 奏でられる
考え込まれた 台詞を
わたしは 何でもないように吐く
巧妙に 編まれた伏線を
偶然であるかのように 漫然と踏んで歩く
はじまりも 結末も
すべては あなたの思う通りに
そうなるのだから せめて
あなたの思う通りの わたしは美しいか
運命なのだから きっと大した意味はないだろう
そうと 決まっているだけで
わたしや 世界にとって
愚かさのメタフ
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