さみしい希望/秋葉竹
カッくんがご飯をほおばるのが
好きだった
心象は朝から降りつづける雨のせいで
すこし軽めに滅入っていたり
部屋から一歩出る勇気の取り出しかたを
なんだか忘れてしまったり
そんなまるで急がない時間の中でも
受け止められる繰り返しの言葉を
衰えてしまった町の新しさを探すように
でも信じながら生きてゆくんだ
カッくんがご飯をほおばるのが
好きだった
日々どこへ通うのか知っているから
怯えながらでも恐れながらでも
その唇が告げる場所にゆこうとする
かけ声をたまにはかけたりしながら
愛してるって稀には告げたりしながら
昨夜みたのはあなたの夢だったかな
カッくんがご飯をほおばるのが
好きだった
あなたの夢をみたのは何年ぶりだろう
夢の中だからちゃんと気持ちを伝えられた
だから目が醒めたらやっぱり泣いていた
むろん絵物語のようなさみしい希望だ
戻る 編 削 Point(3)