肉身の魂の肉身のー/ひだかたけし
朝のアスファルトに
鋭角に切り込む境界線、
若人の軽やかな足取り
屈曲した老人の背筋
鮮やか明暗二分し、
道端の名もなき花に蝶、
ゆらりひらり舞い降り
光に織り込まれた鱗粉浴びせ
地へ繋縛された全ての者達、
この凍結の時にも解き放ち続け
融通無碍な生を与えられながら
肉身に封じ込まれ呪われたこの魂に
善き美しきこと、己 今日も努め為し
寄せる波、返る波、途絶える波
それぞれがそれぞれの役を担い
大いなる海原から出来し続ける
後から後から途絶えることなく
若人も老人も聖夜に近付き
花々、光に焦がれ咲き
鱗翅、光の領域を乱れ飛び
金星は今宵もやはらか優しく確と輝く 、
人の遣る瀬無き懐かしみを喚起し手繰り寄せ
戻る 編 削 Point(2)