それだけじゃ片付かない何かの為に/ホロウ・シカエルボク
夢を見ながらなにかを叫んでいたような気がする、喉の痛みが冬のせいなのか夢のせいなのかわからなかった、ベッドに腰をかけて夢の続きを探していた、そんなものはどこにも無いのだと気付けるほどにはまだ目は覚めていなかった、眠っている間のほうが不思議なほどに生々しい時がある、自分はすでに棺桶の中で、生きていた頃の夢を見ているのではないかと思うくらいに―いつだってなにかからはぐれている、全貌を知ることすら出来ない巨大な流れ、そこに近付いたり離れたりしながら、結構長い時間を生きて来た、一時期は何もしなくなった頃もあったけれど、どうにかこうにか乗り継いできた、命を更新してもいいと思える程度の人生ではあった、本当
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