旅人/
レタス
悲しみ色の青空が視界を透明にする
失う物など何も無くて
白い路が真っ直ぐに延びている
風が吹き
雪が積もり
雨が降ろうとも
止(とど)まらず
独り歩いてゆく
花を愛(め)で
新緑の木漏れ陽を浴びたのは
遠い昔の事だった
いまはもう何もいらない
余計な荷物はかなぐり捨て
遥かな青い峰の頂きを目指し
とぼとぼ歩く
戻る
編
削
Point
(4)