ブルーラビット・クォーツ/みぎめ ひだりめ
満ち欠けの その一瞬で
僕は全てを 知った気になった
世に蔓延った愛が この世界を蝕んでいる
不自由なこの心を 救おうとする誰かがいる
救えるはずがないこの心を 活かそうとする
愛はあまりにも 優しいものだから
嘘さえ本当のように 見せてしまうのだ
命の価値が平等だ なんて嘘をつくのは
馬鹿と詐欺師しか いないのに
人を愛する人と 自分を愛する人が
あの星には たくさんいた
僕はあいにく どちらでもないようだ
こんなに いたいけなのだから
僕の耳が 夜を深く聞いた
僕は 嬉しくなって
月の窪みを 跳んだ
固い粒を 踏み締めた
己の鼓動を 聞いた
地面が 青い影に染まる
僕の思考を 宇宙は見ている
正しい何かが 僕を見ている
なにも遮るものはない 正しい何かが
僕の目を 灯していた
僕の目は形を 変え
きっと正しい 何かを見た
その満ち欠けの 一瞬でまた
僕は全てを 知った気になるのだ
青い耳は 朝をけたたましく聞き
心臓の音がとくとくと 鳴った
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