いつからか、おなじ風景をみていて その光景が、なにか いつもと違っているような、そんなふうに想えるような どうしてか、陽射しの注ぐ よく晴れた日のこと
ひとの話し声や、遠くのひとかげや 河川敷からみえる、町はずれの 川の流れる 日々は、いつしか 変わってしまうように
鳥が鳴いた。すずめの声か コンクリートの、壁の落書きをみていた 電車のはしる音がきこえる、街路樹は、光を受けて 黄緑色に揺れて、木の葉は、蒼いかげを落としていた。 皆、どこにいるんだろう 工場は、白いけむりをたちのぼらせて 小さな、犬がよろよろと歩いていて どこか 知らないところに、だれもしらない場所に、その日の電車の線路を辿る 音を 聴いていて いつかみた光のなかで ヘッドフォンのなか 聴こえる音と 青い座席を伝う光と 遠く 遠くまでゆられて
地下はすこし、風がつめたかった 飛行機の空を飛ぶ音が聴こえた みかける人は 誰も知らなくて 景色が 少しずつ近づいてきて
なんだか すこしだけ、かなしいような気がしていた