吐息/リリー
 
 山裾の丘陵地
 総合病院の裏出口から
 人通りすくない小道を往くと
 閑静な民家の中にログハウスも立ち並ぶ

 金網張られる路端に
 あかるんできた雨空をあおぐ朝顔が
 緩い風の懐であそんでいる
 その藍白の一輪へ
 歩みよって種を探した

 紫の花と絡まっているから
 蔓をつたって同じ色だと分かる実は
 どれも青い
 仕方なくしゃがみこんで
 砂地に落ちている大きい種を選んで拾う
 同じ色は、あるだろうか

 白い花片に見たこともない
 薄すぎる藍色が、溶けていて美しい!
 秋の午後に 限りなくつつましく在りながら
 しめった疲れのたわごとも
 吐きだして萎むのだろう
 白殺しの花

 もういちど、いつか
 立ち去る私のうちをゆきすぎる
 貴女のふかい息づかいに触れてみたい

 
 
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