ひとりでゆくけれど/秋葉竹
やっと想いも嘘も忘れた冬の夜に
それでも消えない画像だけは
頭の中のアルバムには残る
昔生きた男のさみしい笑顔とか
押しつけられたありがたさを
断れずに無理矢理笑ったこととか
この先どうすればいいかわからない
冬の夜はこころを温める必要がある
花のことなど忘れてしまえばいい
みたくもないあさましい過去が
奔流となってこころを乱すなら
なにに縋ってでもなにに祈ってでも
夜は、雨。
夢を、みる。
のどかな草原が風とともにやって来たら
苦しみの瞳はパッとその色を捨て去り
涙を流すことを決して恐れないからね
さざ波の雲が空から呼んでいるみたい
とんでもないまま二人で生きられなかった
証明はおわったんだろ?
後始末は甘い神さまに頼んでおいて
しっとり濡れそぼりながらでも
ひとりでゆくしかないんじゃない?
音は、光。
夢を、みる。
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