声待ち/
AB(なかほど)
毎年この日の夜には
上原君の星が話しかけてくるはずなのに
今年は何も聞こえてこなくて
見上げても
光が揺れることもなく
なあ、もう忘れちゃうよ
と
小さく嘘をついてみた
遠くの河原で花火の上がる音
そして
虫の声
なあ、
もう
忘れちゃうよ
「花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる、ように」より
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