泥炭地/ただのみきや
樹 死者へこぼす涙
残さずことばを散らし
ぬれて光る 生の裏地
知ることで目隠しされ
唇で唇を封じるように
傷口から遠く
白紙は音を吸い
飛び去ったかたことを匂わせた
( 瑠璃色のさえずり
静寂ははびこり
深く根を這わせ
わたしを吸い上げる
( 美醜をかぎわけなくていい
虚空の下げふりを避け
なにも乗せずに傾いた
天秤が歩きだす
こわれた心臓のリズム
ぼろ切れの影を引きずって
生きたままピンで留められた
ひとうねりの舌
それは歴史だと誰かが言った
煽情的脈動もパントマイム
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