雨も止んで/山人
 
昨日、みぞれ交じりの雨が終日降り続き、積った湿雪はさらに重く
あたりを一面の白さに塗しつけている

どこからともなく、なけなしの高揚した気持ちが芽吹いてしまい
はずかしいくらいの言葉を書きなぐった
それは確かに思いの丈をぶつけたものであったが
寝て起きてみれば
痛痒い程のしらじらさしさに塗れた古老の発狂以外のなにものでもないと思え
雪の白さに唖然とするような感覚であった

冬囲いされた籾乾燥施設の屋根からやるせなく解け出した雪のしずくが
ボソッと地面に落ちていたのを見ていた

十一月が終わり、私たちは首を?がれたまま、頭部を小脇に抱えて佇んでいる
あたりまえにように冬が来てあたりまえのように雪が降る

頭を失った私たちはあちらこちらに放牧されて
何十年も見飽きるほど見つめていた冬の
雪の、その平易さと、そのあきらめを眺めていた
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