bottomless swamp/ホロウ・シカエルボク
 

呪詛のような蔦に巻かれ、痩せ細る夢を見た転寝の午後、少しずつ窓を駆逐せんとする強い西日、動乱めいた夕暮れが背中まで来ていた、コークスクリューの風が吹く十一月の終わり、ベルベッドにくるまれた骨の身元は誰も知らない、肌を炙るような寒さ、唇が凍りつくからひとり言を喉元に並べる、雨蛙がどこかで小さく鳴いている、パバロッティの発声練習のように、指先はいつもどこにも無いものを探している、少なくとも昨日とはまるで違うものを求めている、手数はいつかどこかで同じものに辿り着くのかもしれない、けれど、例えば同じフレーズを使っても同じ意味になるわけじゃない、補足するなら、探し続けている人間は以前とまったく同じものを
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