愛の詩/201
それは
不思議でも
魔術でも
奇跡でも
神の行いでもなく
ただ
風の音を聞くこと
それは
遠い昔に忘れた
すべての記憶を
思い起こし
子供のように
年老いること
それは
沈黙
饒舌な嘘
左手と右手
柔らかい髪
白と黒の狭間にある
すべての色
それは
病んでしまった羊
人の子
二親のない
神の子
死んでしまった恋人
もしも
あなたが本当に
私を愛せるというのなら
もしも
あなたが本当に
私を許せるというのなら
それは
秋の暮れに吹く風
夜の終わりに流れる星
夏の宵に輝く海
冬の朝に零れる涙
そして
春の木漏れ日
それは
遠い遠い未来の昨日
過ぎ去ったものを数え続けること
着古したシャツを捨てるように
接ぎ剥いだ靴下を繕うように
生きた時間を思い出すこと
何度でも思い返すこと
それは
死ぬべきだった命
繰り返す
それは
死ぬべきだった命
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