はるな[ちりぬるを] 2010年3月21日10時41分から2024年12月4日9時12分まで ---------------------------- ---------------------------- [短歌]はつ恋/はるな[2010年3月21日10時41分] ひだまりに さらされてゆく くちびると 動けずにいる ぼくの両足 ---------------------------- [短歌]ため息/はるな[2010年3月23日4時54分] すこやかな寝息としろくなめらかな腕 みだれうつぼくの欲求 水を抱くように おもいだしている 髪の毛 指先 かさなるため息 ---------------------------- [短歌]さよなら/はるな[2010年3月26日17時07分] ありがとねの声が耳からはなれない さよならもう わすれるね ---------------------------- [短歌]劣等/はるな[2010年3月30日0時57分] 誰をみて誰にふれても かまわないけど ぼくのことは 違う目でみて ---------------------------- [短歌]春まつうた/はるな[2010年3月30日2時55分] つけたゆびのあとはうすあお桃いろはなほの不在をつらぬき通し おだやかな寝息はうみをつれもどしくち元にふるいはなをかざる つぼみさへかたく締まつてゆめを見る足音とほくはるは逃げたり ---------------------------- [短歌]曇天の匂/はるな[2010年4月6日1時44分] うその花にも匂いがやどりすあしをみせるこまかい蝶々のむれ うす皮をむくようなはだとうす皮をむくような思春期の目つき 曇天のむこうがわには陶酔とうすあおがともにめくばせてさく さかびんのかげにもしのぶはるのにおいが桃色をすこしつれてる ---------------------------- [短歌]澱/はるな[2010年4月9日2時08分] 肌やきもちが敏感になって あしたにはきえてしまいそうな夜 ---------------------------- [短歌]未練/はるな[2010年4月22日15時08分] 長い髪がどんなふうに垂れるのか その白い背を 思い描ける 椿にも桜も菊も石南花も 指先のあとがこゆく残る ---------------------------- [短歌]初夏、慕情/はるな[2010年5月13日1時36分] つつじから蜜を吸いとる口元が こぼれるようにあまく光った 胸もとはこぼれる花弁の花水木 火照る頬には蝶々が咲く 風が光れば花たちは咲き笑い きみが笑えば空が高まる 日ごと濃くなる緑と空 日ごと濃くなるぼくのもう赤い劣情 くちびると指先に赤をともした君花のようには枯れてゆかない ---------------------------- [短歌]宙/はるな[2010年5月14日15時02分] どこにでも 君のあとが のこるのに 僕たちの夜は どこにも もうない 蛍光灯にむらがるちょうのりんぷんをあつめて宙をとぼうとしている 青い夜 赤い欲求 白い汗 真っ黒い僕 透明な君 ---------------------------- [短歌]去り際/はるな[2010年5月19日7時31分] とじられたみじかな睫にさす寝息晩春をひきとめている夜 やわらかな毛布と肌の中間にうすくかく汗で季節をしる 曇天も蝶々もみな教えられることなく去り際にゆく ---------------------------- [短歌]通り雨/はるな[2010年5月22日14時01分] あまおとに そらにむらがる あまおとに たましいを忘れ たましいを忘れ はねかえり つらなる円を 欲すれど あるのは怠惰な 水溜まりのみ ひとことに ふとしたしぐさに まなざしに 弱いこころは すぐにしぐれる ---------------------------- [短歌]抱き合う/はるな[2010年5月23日1時14分] しおからい肌のおもては なまぬるく うらがえしてもどこか遠くて ---------------------------- [短歌]少女と少年/はるな[2010年5月26日2時54分] たゆたゆと零れおちゆく蒼いとき つめに絡ませ朝をむかえる すべりおちのたうちまわる欲情を 涙のようにみちびく指さき 肌を知りささやきを知り朝を知り 自分の皮膚の分厚さを知る ---------------------------- [短歌]朝方の眠り/はるな[2010年5月30日17時04分] 藍をぬぐしろはあさを見 みぶるいし夜は反転しぬるいねむりがふる 薄蒼い窓いちまい向こう側にはじまる新しいきょうに馴染めず ---------------------------- [短歌]柿ノ木/はるな[2010年6月8日14時54分] 柿ノ木がすきだと言って 柿ノ木に なってしまったあの娘を想う ---------------------------- [短歌]行為/はるな[2010年6月10日14時40分] 明け方の眠りにちかい藍色に 背中をむけて何度もふれあう ---------------------------- [短歌]息子/はるな[2010年6月20日15時44分] やわらかな寝息の燈る喉元に 肌近づけて我が息舫う 臍の緒のかすかな匂いと乾く色 掌のうえで吹き飛びそうな 汗ばんだ額に張り付く細い毛は 彼が残した最期の祝福 ---------------------------- [短歌]逡巡/はるな[2010年6月26日14時24分] いくつかのいろをならべてかきまわし 何も塗らずに雨をながめる ためらいを 固めたような白い空 てるてる坊主を逆さに吊す はげしさもやさしさもせつなさもなく とまどう甘さばかりが目につく 一輪をと手折った紫陽花一輪がほかのどれより早く干からび ---------------------------- [短歌]スカート/はるな[2010年7月9日23時43分] みず玉の瓶のむこうの夕立と 風をとおした君の目元と 君は右僕は左を濡らしつつ ちいさな傘をでようとはせず ためいきを午睡の風に結び付け生温いまま季節交わる 水溜りにかがんだ君のうすい背の清潔な汗をなぞってためる ためらいを見透かすように風が吹き微笑みかけるスカートの中 見覚えのあるワンピース去年よりほんのすこしだけ色褪せて見え ---------------------------- [短歌]七月/はるな[2010年7月18日15時04分] 汗ばんでためらう肌の距離をよみ 計らうようにつよい夕立 ため息を晴天に変え 風鈴のちらりと鳴れば緑濃く揺れ ひと筋の汗がもたらす扇動に僕の背中は夏より暑く ---------------------------- [短歌]熱帯夜/はるな[2010年7月23日3時01分] 抜けられぬ肌いちまいも超えられず「苦しい」と笑う夏 午前二時 ---------------------------- [短歌]千年/はるな[2010年7月29日2時47分] スプーンを傾けるその角度さえ愛しいままに百年が過ぎ カーテンの揺れるはやさに追いつけず取り残されて百年が過ぎ 指さきにのこる温度をたぐり寄せ記憶撫でるだけ百年が過ぎ 晴れわたる窓のむこうに世界があるとしりながら百年が過ぎ ゆめを見ず現実も見ずただひとつ恋をみつめて百年が過ぎ 色褪せる絵画に色を足したよな極彩色で百年が過ぎ 逃げるにはあまりにも遅いことを知る思い出も無く百年が過ぎ 真実も嘘も境目なくして想いだけがある百年が過ぎ 肌もなく髪も目もなく臓もなくたましいだけで百年が過ぎ 千年を繋いで過ごす約束を信じてもなお千年は遠く ---------------------------- [短歌]晴天/はるな[2010年8月11日14時34分] 晴天のすみわたるほど影は濃く 向き合いながらも表情(かお)わからずに 晴天に雨を呼ぶこえ 薄暗い部屋で待つ指磨いた首筋 晴天を裏切るような白い肌 夕暮れどきには空より染まる ---------------------------- [短歌]夜の魚たち/はるな[2010年8月11日14時43分] 海よりも空よりも青い夜を泳ぐ 果てたからだは一つによじれて ---------------------------- [短歌]untitled/はるな[2010年8月14日14時30分] もう一枚、もう一枚と 剥いでいく 辿り着けないことを知りつつ ずるずるの皮膚を引きずりゆく炎天 砂で身体を洗われるよう ---------------------------- [短歌]かわり目/はるな[2010年9月10日23時30分] まなざしが果実のように熟すなら 情も枯れゆき朽ち果てるのか 鰯雲 終い忘れた風鈴がからからと鳴る かなしいみたいに ---------------------------- [短歌]初秋/はるな[2010年9月20日19時41分] 別れぎわ惜しむ間もなく日は落ちて 寄り添う影に夜は優しく ---------------------------- [短歌]虫の音/はるな[2010年9月20日19時49分] こうばしい背中にのこる夏の日を さらさら撫でて響く虫の音 ---------------------------- [短歌]二人/はるな[2010年10月9日23時28分] ためらいを波打ちぎわでうけとめて こぼれる前に飲み干す二人 えりあしに新しい香をしのばせて 季節のように抱き合う初秋 組んだ手を解いては笑いまた組んで ほろりと落ちる金木犀 ---------------------------- [短歌]ぶどうの実/はるな[2010年10月9日23時35分] ぶどうの実みたいにていねいにしてね 薄い皮膚のしたは滲んで ---------------------------- [短歌]いとしいひと/はるな[2010年10月20日2時52分] くち元におだやかな笑み 午前2時 夢をみながら 夢みせるひと 体温のうら側を抱き合うふたり せまい寝床は寝息で縺れて ---------------------------- [短歌]神様/はるな[2010年10月20日3時12分] 遠い夢にひとりきりでたっている 澄んだ海辺に干されるように やるせないものばかりを盗んでいる ほつれた糸を引き抜くように 後ろ手に楽器を鳴らすようなもの わたしを見ないひとを抱くのは ため息を味わうように夜を汲み 肌も舌も敏感になりすぎた 朝だけをひたすら待っている二人 夜のすべてを肯定するため 金色の迷路のなかで木を食べる 本当のこと言わないように 前にも後にも進めないぼくの なみだに名前をつけて落とそう 神様どうかいかないでここにいて頭を撫でて頬に触って ---------------------------- [短歌]秘みつ/はるな[2010年10月22日23時54分] あの星が流れたらひとつ捕まえて 君に会うまで隠しているよ ---------------------------- [短歌]薄雲/はるな[2010年11月6日5時52分] 朝靄の薄雲に似た恋情の 移ろい易くもいちめんに咲き ---------------------------- [短歌]初詣/はるな[2011年1月2日2時40分] よぶ声のかなたに響くまなざしにあけゆく空の眩しさをみる 尖端の白きをつかみ撫でまわす手くびの技に鐘なり響く 空白をうめるが如く手を合わす かじかむ指にからむ願いを ---------------------------- [短歌]雪/はるな[2011年1月2日2時46分] もつれあう六度八分をもてあまし 外を見遣ればふりつもる雪 ---------------------------- [短歌]まちわびて/はるな[2011年1月16日0時50分] 夜と似た静寂をまちわびている 恋情の背にふる初雪よ 夢の続きをなぞるように傾いて空白のつめたさに日がさす からからの空気のなかにいきものが 二人そろって息を殺して ---------------------------- [短歌]一人/はるな[2011年1月27日5時01分] 広大なシーツの海にひとつの身 あたらしい日に寝返りをうつ 体温のいきどころ無くそれでいて冷えるばかりの指とつま先 ---------------------------- [短歌]どこへ行ってきたの/はるな[2011年2月3日9時36分] 「海をみに」 だからといってくちびるがこんなに冷えるわけないじゃない ---------------------------- [短歌]弱むし/はるな[2011年2月3日9時45分] ひと言の代わりに振った手のひらを降ろせずに一人振り続けている わがままを言えば最後になるような気がして噛んだ唇から血 ---------------------------- [短歌]立ち枯れ/はるな[2011年2月16日1時13分] 季節はずれの立ち枯れの薔薇の木と 似た者どうしで冬の日に二人 日が落ちて からむ寒さにあわす両手のひびわれがいつもより深い 何もなければよかったね なにひとつ持たずにここにいられたら ---------------------------- [短歌]なれない/はるな[2011年2月21日7時07分] わらうしかなかった なんでも持っているあなたのひとつになれないままで ---------------------------- [短歌]無題/はるな[2011年3月27日0時59分] 誘う手のまにまにのぞくかなしみよ ひとりよがりの罰か褒美か ---------------------------- [短歌]みず色/はるな[2011年3月27日1時11分] 花びらははかなくきれいうすいほど おんなのことは少し似てるね その間際 はかない音を散らすのは つぼみと脱皮するおとこのこ 女ならひとりでに咲くものかしら 触れられることも触れることもなく 木蓮の花弁はすこしぶあつくて 皮膚をかんでるみたいな音鳴る かなしみは鳴るように咲くからからと 春まちわびる少女の爪にも みず色のそらにうつして流されて 花もなみだも そだつ憂いも ---------------------------- [短歌]カンバス/はるな[2011年3月29日3時21分] 風は蒼 夜が海なら君は白 どこへも行けない絵筆が僕だ 桃色の裏側に打つ純情を 絞りだしたら赤黒い澱 ---------------------------- [短歌]はじめて/はるな[2011年3月29日3時24分] むすびめを ほどいてむすび また解く 甲にうずまく 視線の熱よ はじめては さいごのように あとをひき 最後のときにはしることもなく ---------------------------- [短歌]ふりむく/はるな[2011年4月10日15時27分] かなしみを束ねたように咲く春と 曇天に鳴るあさましい胸 振り向けば 散りながら咲く優しさを 知っているから前しか見れない ---------------------------- [短歌]春浅く/はるな[2011年4月17日23時29分] はるあさく みどりをまつは 黄卵と よるのせにさく ふくらみゆく月 ---------------------------- [短歌]高校生/はるな[2011年4月22日19時06分] あかるさに開いていたのはこころでもからだでもなく精神でした マニキュアが剥げちゃったから帰らなきゃ 爪のさきまであたしでいなくちゃ ふりむいて、そのときにまだちゃんといて 先に終わるなんてずるいよ ぼんやりとしていていやだな春なんて始まらなければたのしくならない ふり できる、 見ない聞かない知らないふり そしたらあたし いないと同じ? とべなくて とべないから歩くことにした 季節をわたるように地道に 何年か生きてはみたけどできないや 忘れることも 覚えることも ---------------------------- [短歌]群青/はるな[2011年4月25日15時16分] うす青は群青の背に程遠く 終わらぬ恋の浅はかさを見る はじめから終わっていたと知りながら引きずるように肌をぬらした すべてなどあってないようなものだから千切れた胸に世界を仕舞う ---------------------------- [短歌]ほどける/はるな[2011年5月25日5時55分]  内臓の   ころがる音に 群がって  肉が み し     み し      ゆがみはじめる   ばかだから  わからない  か ら    言って      いま    そらが伸びるまで  冷えて まってる  あやまるの ? なにに あなたが   あやまるの?    たま     たま  ふたり 知り合ったことに?   みないでご   めんねわた   しがわがま   まをいって   るだけの結   び目だった  かえるねと 言うのは  すきだ と  言うより  も いつだってずっと   むずかしかった ---------------------------- [短歌]泣き砂/はるな[2011年6月1日23時34分] かなしみは波打ち際でさざめいて泣き砂を踏むひとの無力さ ---------------------------- [短歌]未練/はるな[2011年6月1日23時36分] 知ることの無力さを知り無味を知り知らぬままいる恐ろしさを知る 上下する正しさのある胸のうちに 隠し持つ劣等の甘く腐れる 寂漠の砂地は濡れずざらざらとながれる雨の無情さに夜 ---------------------------- [短歌]根腐/はるな[2011年6月21日22時05分] 根腐れの根だけ残して摘み取られ 花だけを見て「咲く」を愛でられ ---------------------------- [短歌]液体/はるな[2011年6月21日22時14分] くみふせて あせばんだのち からからに かわいたのどに すべる液体 ささくれてささる六畳 古畳 色の移りは 抱き合うかたち ため息はしめる身体を押し出して 指の先までしずかに浸して 対岸にながれていった液体を 苦いきもちで掻きだして朝 ---------------------------- [短歌]ちか道/はるな[2011年7月10日2時16分] ちか道を知っているけどおしえない 君との時間が縮まるようで はえ際に濡れるうぶ毛を ひそやかなものにたとえる ばれないように 百年が経てば僕たちも街も無くなることだし 遠まわりしよう ---------------------------- [短歌]生活/はるな[2011年7月10日8時41分] 自分とはぜんぜん似ていないものを あつめて暮らす 花とか夢とか ---------------------------- [短歌]もういないのに/はるな[2011年7月14日13時49分] 影の濃くなる季節には男物のシャツを着て立っていた君 アスファルトさえ色づいて騒がしいから両の耳ふさぎたくなる 日に一個積む諦めの白々しくかがやく三百六十個目 ---------------------------- [短歌]這うように/はるな[2011年7月30日2時52分] 這うように日々をゆく目の多きこと嘆きながら同じ目をして ---------------------------- [短歌]海辺の桃/はるな[2011年7月30日2時58分] 熟れすぎた花がはじけるとろとろと下着をつけない肌のあいだに 砂浜は背につめたく体温は胸にあつくってどこへもゆけない こんな日に果実が海に生るなんて 咲かせばすぐに摘み取る指に ---------------------------- [短歌]朝まで/はるな[2011年7月31日3時50分] ため息がちぎれる夜に正座して冷蔵庫からの明かりで本読む 息つぎの仕方をうまく覚えられぬうちに夜はどんどん深まり 静謐をやぶる術をしりたくて肌を押したり引いたりしてみる ざらざらの床はよそよそしく冷えて遠のく群集みたいでつらい 天井のしみをかぞえるいつ見てもしみなんて一つもないけど 窓開けてかたまる夜を追い出してそれでも明日に来てほしくない 抱く腕の重みの正しさ一瞬でわたしの胸の卵を割るような 来るときはドアはきちんと閉めて来て去るなら鍵はかけないで行って だってこんなに暗くってわからないあなたじゃなくてもたぶん重なる 線をひく 朝、息、数字、温度、色 その様々が線をひき今日 ---------------------------- [短歌]母/はるな[2011年8月9日10時59分] うんと薄くつくったカルピスは母のワンピースに似て少しかなしい ---------------------------- [短歌]晩夏/はるな[2011年8月18日1時19分] そのかわり僕のなまえを覚えてて 僕がきみを忘れるかわりに ---------------------------- [短歌]わがままなひと/はるな[2011年8月18日1時24分] 「海は嫌い、夏も嫌いだし、晴れも嫌い」 僕が何よりすきだった君 わがままな人ほど白が似合うのだと知った 季節が変わる音がきこえた ---------------------------- [短歌]違う場所/はるな[2011年8月23日18時57分] じりじりと焼く鯵の身の焦げ方にわたしの罪をひっそり重ねる 降り出して濡れゆくまちで動けずに 空があまりに重たくあるので なにもかも違う ここではなにもかも違う あなたが過す場所とは違う あまりにも遠くまで来てしまった 潮風の優しさにも暮れる どこまでも続いているよと言うけれど あの街にはね海はないのよ ---------------------------- [短歌]さびしい右手/はるな[2011年9月1日8時16分] 傘も無く着る服もなく靴もなく さびしい右手と左手がであう 雨降りの日には出掛ける少しだけよそよそしい町で手を繋ぐ あまりにも遠くて帰れない夢を手招きしているさびしい右手 ---------------------------- [短歌]かまわなかったけど/はるな[2011年9月15日1時05分] みとめよう 夏は終わってしまったし あなたをぜんぜん愛してなかった 溶けているアイスクリームの傍らで 吹けばとぶような恋をしていた 場所なんてかまわなかった 季節なんて名前なんてかまわなかった ---------------------------- [短歌]ばらばらの穴/はるな[2011年9月18日22時29分] 開け放し砂漠のようなせまい部屋 砂糖の雰囲気を探してる 二人して抱き合うふりして寄り添って あつめたものはばらばらの穴 ---------------------------- [短歌]夜はまだ/はるな[2011年9月20日1時44分] 痛い痛い雨がやんだら堅い床踏みつける指すこし緑の 眠る人の横で研いでるさみしい女の匂いや色や言葉や 夜はまだ明るすぎるし広すぎる体が重くて朝を見れない 優しさのはりつく頬を撫でたあとつめたい体をなめたら辛い 振り向けば夜がひたひた溢れて死んだ虫みたいにこっちを見てる ---------------------------- [短歌]ちりぬるを/はるな[2011年9月23日2時48分] 「ちりぬるを」 いろはにほへと 、でも君は死なないだろう それが君だろう ---------------------------- [短歌]不安ちゃん/はるな[2011年9月29日18時03分] さんかくにだまって座っているそこの不安ちゃんたちこっちおいでよ どれぐらいさみしかったら死ぬかなと観察しているなかなか死なない 諦念はナプキンにくるみデパートの女子トイレへと捨ててきました 一生を電気の笠のなかで閉じる虫はわりかししあわせだろう 振り向くと十や十四のわたしが立ってるはやくわたしになりたいと ---------------------------- [短歌]たかまり/はるな[2011年9月29日18時10分] かたまったぼくのたかまりたかまったきみのからまり夜のまにまに ---------------------------- [短歌]キッチン/はるな[2011年10月17日8時28分] 生ハムのあぶらのようにこびりつく濁る合図とするどい刃物 明日にはしなびる青の予感抱き ちんげんさいとふたりでキッチン ---------------------------- [短歌]死たち/はるな[2011年10月21日3時02分] うつむせのしずかな背には薄い毛となめらかに降るみじかい死たち 閉じられたまぶた、唇、深い息 明けがたの音が通過していく 触れられず 逃げも進みもできないぼくらを死たちはじっとみている ---------------------------- [短歌]ちょうちょたち/はるな[2011年11月22日3時36分] つやつやの爪いっぽんに一つずつそれを当然とおもうかなしさ クッキーの箱に描かれたちょうちょたちくらいの不自由さなら欲しい ---------------------------- [短歌]つめたさは/はるな[2011年11月27日16時17分] つめたさは皮膚よりさきに目からくる すばやく、ゆっくり、的確に ---------------------------- [短歌]猫と犬/はるな[2011年12月10日0時27分] からからにかわいた猫とはす向かいぬるくて不味いビールを開ける 背伸びして届かない空、 十二月、とり残された犬はびしょびしょ ---------------------------- [短歌]鉢植/はるな[2011年12月14日9時20分] ベランダに並んだ鉢植 ベッドにはただしく冷えた子どもがふたり ---------------------------- [短歌]無題/はるな[2011年12月24日3時34分] 赤色を重ねて空し十二月 噛み砕かれた夜を吐き出す ---------------------------- [短歌]チャイム/はるな[2012年1月16日1時55分] 朝焼けと冷えた砂糖と緑の手 チャイムは一度も鳴らなかった ---------------------------- [短歌]つよく抱かれる/はるな[2012年1月16日1時55分] 死にかけの卵を袂に温めて知らない男に強く抱かれる ---------------------------- [短歌]放射/はるな[2012年1月27日0時38分] あるだけの星をあつめて飾る身をうかべる水は暗く濁って 強くなる光をまともに受け止めてだんだん薄くなる子どもたち ---------------------------- [短歌]いちにち/はるな[2012年3月10日14時54分] あたらしいかたちに明けた一日を 一日かけて同色に塗る ---------------------------- [短歌]泥/はるな[2012年8月6日17時42分] ささくれを剥いたところで息をつく (これがいつかの咎だったなら) おちてみて気づく深さの泥沼の いつか自分でそそいだ泥だと あわれみを十本のゆびにたぐらせて いい子 いい子 と その羽根を抜く ---------------------------- [短歌]つめたい気持/はるな[2012年8月24日16時33分] つかまえることなどできはしないのに つかまることはひどくたやすい はずかしいことばかり言う あさもよも なげだすつもりの つめたいきもちも 見えるはずのないものをみて みなければならないものに蓋して夕暮れ ---------------------------- [短歌]群衆/はるな[2013年2月24日18時08分] 陽と月の長さをわけるいとなみを あしをそろえて外をみていた 群衆のみている色のはんたいのいちばん端に紐をゆわえる 日のくれるながさに臓のかたむきをあわせひそめる影のようになる うつむいてふれる季節のつめたさにおなじ気持をもつひとのいる しろさより白いまぶたのふちどりの濡れる角度にこころはえぐれる ---------------------------- [短歌]ためらい/はるな[2013年2月24日18時13分] ためらいをすすいでもなおしがみつく なめらかな背にきょうも日暮れる ---------------------------- [短歌]吊るされたカーテン/はるな[2013年3月3日18時22分] ひとの手でひらかれてなお閉じている 体から出る術を知らない 吊るされたカーテン わたしはここにいて光の落とす影を見ている ---------------------------- [短歌]波/はるな[2013年3月11日10時28分] まちわびて平たい波のゆく先は きみの白さへ届くだろうか ---------------------------- [短歌]ひと粒/はるな[2013年3月11日10時51分] いち日にひと粒と決めた涙たち 青ざめている731粒 ---------------------------- [短歌]泥/はるな[2013年3月31日13時31分] 泥を食べ泥に抱かれて遠くまで来たはいいけど曇天の海 ぬかるみに口づけをする三月晦日 とう‐かい とか言う言葉を浮かべ ---------------------------- [短歌]かみそり/はるな[2013年4月7日10時08分] みず色を捨てられぬまま成人し 春をうっては剃刀を買う 上等の夜と下着とかみそりは薄っぺらいほど ななめに刺さる 春の背に流れていたのが情でなくただのいつもの赤い血だったら ---------------------------- [短歌]甘い手/はるな[2013年4月29日18時11分] 甘い手で引きずり下ろして見た空は 星も月も果て灰色の海 かわりめの溶けた若さを積む指はざらざらひかりなめれば甘い 幸福のかたちをつくる他人の手 呼ぶ声のする高く黒い手 ---------------------------- [短歌]ひかるひかり/はるな[2013年5月12日17時33分] ぬるぬるとひかるひかりの影を浴び 空 いちめんに蔓薔薇の咲く ---------------------------- [短歌]ふりやめば/はるな[2013年5月18日17時12分] ふりやめばななめに濡れた傘をもち 地図の無い身を倒して五月 くちづけの無い街に居て想うひと 鏡にうつる身は星だらけ 春過ぎて歩きつかれて血を食べて 想いだしては想いだされて ---------------------------- [短歌]蒼ざめた赤/はるな[2013年6月23日8時55分] はれあがる青ざめた赤のうら側で息をひそめて聞いていた脈 ---------------------------- [短歌]階段/はるな[2013年6月28日13時45分] 階段の途中で立ち止まるような恋 昇ってきたのか降りてきたのか ふりだせばいっそ気にすることもない水を遣らずにこの花咲くか ---------------------------- [短歌]あやつなぎ/はるな[2013年8月4日13時16分] ものいわずほどかれるのを待つふたり あやつなぎしたみはうつくしく 咲けばこそ散るや実のなる花たちの つぼみでいれば摘む指もなく ---------------------------- [短歌]水黽/はるな[2013年8月4日15時43分] じたばたと蜜に絡まる水黽よ 飛ぶがはやいかそれとも死ぬか なめらかな言葉をめくる指の香の 甘い匂いは罪か褒美か ---------------------------- [短歌]夏枯れ/はるな[2013年8月16日17時13分] ぎらぎらと夏枯れの咲くカウンター 汗ばむ肌はななめに剥けて ---------------------------- [短歌]からっぽ/はるな[2013年8月16日17時19分] からっぽをからっぽで埋めからっぽで蓋をしててもあふれるからっぽ ---------------------------- [短歌]とんぼ/はるな[2013年10月2日0時26分] 鈍痛をめくりあげると赤蜻蛉 あしたはどこか遠くへ行こう ---------------------------- [短歌]額縁/はるな[2013年10月2日0時31分] ふたりしてつくっていたのは絵ではなくかたちでもなく額縁だった ---------------------------- [短歌]きりもなく/はるな[2013年10月2日0時44分] はじまりのない迷路に居て終わらせる術はいくつも持って立ってる これいじょう失えるなら幸いだ まぶたにこぼれる星さえも今 きりもなく、おそろしいのは 何ひとつおそろしいとは思えないこと ---------------------------- [短歌]アイスクリーム/はるな[2014年8月8日19時35分] 幸福は匙で掬ったアイスクリーム みつめていても溶けてしまう ---------------------------- [短歌]かたえくぼ/はるな[2015年3月17日18時34分] かたむいてみていた月のかたえくぼ きっとだれかがキスしたのね と 左手をすりむいたなら右側も おなじでないと真っ直ぐたてない こぼれゆく砂時計の砂かなしくて寝かせてみれば どこへも行けず ---------------------------- [短歌]あかるみ/はるな[2015年5月14日1時26分] ぬかるみのあかるみにふと気をとられ 忘れたことを忘れて傾ぐ 筆先に闇がぼそぼそ溜まっている 想いもないままはしるからだと ---------------------------- [短歌]夕立/はるな[2015年6月30日0時05分] みたされて游ぐからだの陰を彫る 夕立に似た匂いの指先 ---------------------------- [短歌]バス/はるな[2015年12月25日10時41分] さいごまで赤くならない実のなかにいっぱいにあるなんにもないたち さか道を行って戻ってころがって恨みながらもバスには乗らない ---------------------------- [短歌]むきだし/はるな[2016年3月8日23時08分] 青のしたの鉄のむきだしすべりだい ななめにういた赤錆の音 (なるほど)と(それもそうだね)と(なるほど) (出していいよ)と(でもまだ待って) いつまでも凍えてるわけにはいかないでしょうわたしは女でいまは春だよ ---------------------------- [短歌]しらない・砂糖壺/はるな[2016年3月20日1時40分] しらないと言ったそばからうそになる 知りたくないのだ 正しく言うなら こわいのは戸棚の奥の砂糖壺 ざらめのついた世界はきれい ここからはからだを脱いできてくださいね 心も脱いじゃう人もいたけど ---------------------------- [短歌]◇/はるな[2016年5月20日22時42分] わたしたちどうしてこんなに悲しいのか 倒れながら飛ぶ鳥よりも 雨ごいはこうやるのよ見て ドーナツの穴が落ちてるはやく拾って 意味や色は流行りが過ぎて色あせて いまではみんな灰色の◇ ---------------------------- [短歌]迷子/はるな[2016年5月20日22時55分] 自由です迷子ですから自由です あなたに触れて明日も明後日も 迷子です自由ですから迷子です ひとつ触れたらひとつ忘れる ---------------------------- [短歌]風の日/はるな[2016年6月6日19時01分] 風の日にしろつめくさを摘んで来て 雨の降るまで歌をきかせる ---------------------------- [短歌]びわの葉/はるな[2016年6月6日19時02分] びわの葉に隠れてしたのを覚えてる? 分厚い梅雨の灰色の下で ---------------------------- [短歌]道/はるな[2016年10月2日0時47分] 乾かないとびらの前を転げてく あかい林檎と蠅と蜜蜂 どの花を食べれば会える どの花もいない人には繋がらないよ 例えばの話で塞ぐ逃げみちを 今さくかもやすかふりむくか ---------------------------- [短歌]爪を剥く/はるな[2017年9月13日23時45分] つめを剥く爪の転がる香ばしさ 言いたいことなど無かったのかも 立ち枯れの紫陽花程に美しく 言わなくて良い言葉を掬う ---------------------------- [短歌]滴る/はるな[2018年8月5日17時30分] 烈々と熟した夢の桃に似た 滴る目線を振り払う夜 うす昏い部屋には蜘蛛が住んでいて あるはずのない夢等を喰う ---------------------------- [短歌]プラム/はるな[2018年8月21日16時24分] ゆがんでるはじけたプラムその先にいる あれあなたもしかして裸足? みじかめの恋が流行ってるらしいよって 蟻が来そうに甘い口調で プラムとか桃とか葡萄とか林檎とかなんだっていいけど悲しい ---------------------------- [短歌]回転灯/はるな[2018年12月16日6時16分] 回転灯 知らない街の知らない手 あなたの肩の今日が溶けてく 空白の手前で気付かないように ちゃんと落ちられますようにね ---------------------------- [短歌]かげろう/はるな[2019年6月6日9時47分] 空腹に 甘いかげろう 甘い夢 コーヒーショップのにがい喧騒 ---------------------------- [短歌]あれかやし/はるな[2019年8月22日8時21分] あれかやし季語のない身をふるわせて いくつも嘘をみのがしました ---------------------------- [短歌]間際/はるな[2020年2月24日0時07分] ふたりして春の間際で咲いちゃって あるはずのない青い花弁 ---------------------------- [短歌]ずっと濡れてる/はるな[2020年8月27日0時13分] うみのような体ですから波打って別れ際にもずっと濡れてる ---------------------------- [短歌]蕾、マフィン、そして明日/はるな[2021年2月9日22時51分] 蕾さえ開かなくなったこの部屋であなたがいなくてどうして眠るの なぜだろうマフィンが今日はすごくかたい あした世界がおわるからかな 刻まれた時間のそとで落ち合おう 蕾、マフィン、そして明日 ---------------------------- [短歌]かたまり/はるな[2021年6月16日16時30分] かたまりを割ってほぐしてねばついて大事みたいに半分こした 愛とか愛じゃないとかで争った夜ひとつのかたまりで寝た ---------------------------- [短歌]夜/はるな[2021年9月4日17時37分] ため息の重さで溢れる夜を抱き わたしよ明日こそ私であれ ---------------------------- [短歌]体/はるな[2021年9月5日13時50分] 語られた言葉のあとで浮きあがる 静寂 目線 寂しい体 ふれられてふれてなお泳ぐ肌 これより遠くに行けはしないね ---------------------------- [短歌]炎/はるな[2021年11月13日18時49分] 燃えたのは夜の端、指さき、君の声 ふるえたのはそれ以外のすべて ---------------------------- [短歌]空洞・三月/はるな[2022年1月11日17時24分] もう来ない誰かの代わりに花を折り 空洞がまた広がっていく はじめからないものばかりを失って 立ち上がるたびに笑う三月 ---------------------------- [短歌]猛暑日/はるな[2022年6月2日16時12分] 夕立の跳ねて乾いてアスファルト 湿る私のおもたい体 どうしても遠いあなたと山椒の木 羽を乾かす若い蝶蝶 このままじゃ動けなくなるから行こう 猫は恋を終え 沙羅は咲いてる なげうってのぼせてかまけてむさぼって そうでないなら恋をしないで ---------------------------- [短歌]待ち合わせ/はるな[2023年4月19日4時10分] 結び目の緩いところで待ち合わせ よごれるつもりでした恋だから ---------------------------- [短歌]三時/はるな[2023年4月30日23時03分] どうしたら死んでいけるかわからずにすり潰されて夜まだ三時 ---------------------------- [短歌]花束/はるな[2023年4月30日23時18分] たらればの串刺し「100円」 ちょっと待て なくてもいい様な嘘を強請った 濡れたまま転んだからね血が出ても気づかないまま走りつづけた わーいわたしにぴったりの花束だ青くて赤くて白でみどりで ---------------------------- [短歌]夏椿/はるな[2023年6月13日14時50分] 紫陽花を行きつ戻りつ濡れながら 中中あかない夕暮れのドア 明日のない身と知りながら夏椿 羽根のかわいた雛が飛んでく ---------------------------- [短歌]囁き/はるな[2023年6月16日15時20分] 短夜の風を含んで消えていく ほとんど意味ない囁きの群れ ---------------------------- [短歌]すみれの日/はるな[2024年1月16日23時05分] すみれの日あなたは今もそこにいて横断歩道を渡らない 右岸には青い鳥がいて左岸には神様が居る 私ふやける だれだって皮膚を剥いたら一緒でしょ いいえあなたの骨はとくべつ ---------------------------- [短歌]床/はるな[2024年1月31日11時55分] 蜂蜜をなめて凌いだ一日のうち30分だけ陽が当たる床で ---------------------------- [短歌]しゃぼん玉/はるな[2024年3月22日11時12分] 底なしに冷えるからだとしゃぼん玉 愛されながら 高く飛べずに ---------------------------- [短歌]行止まり/はるな[2024年3月24日21時43分] 遠くまで来たねと言うが それは嘘 散々愛して 行止まりだよ ---------------------------- [短歌]バター、蝶/はるな[2024年4月1日10時46分] なんにでもバターをつけるきみのくせ そしてわたしは蝶を見つける ---------------------------- [短歌]蜜の束・うちあけ話/はるな[2024年4月12日11時13分] 光から溢れ散ばる蜜の束 あの子の耳を少しゆらした 手をとめて見てほら部屋の隅にある 打ち明け話のなれのはて ---------------------------- [短歌]清潔な指/はるな[2024年4月17日20時05分] 清潔な指のあいだで跳ねる闇 わたしはたぶん すべて失う ---------------------------- [短歌]落下/はるな[2024年4月17日20時08分] いまからじゃおそすぎるねと笑うから 星は落ちるし 僕も落ちるし   ---------------------------- [短歌]春風/はるな[2024年4月21日17時26分] 春風ね どこまでいっても凡庸な お前とお前とお前と私 ---------------------------- [短歌]いいこ/はるな[2024年4月22日10時46分] 笑うでしょ、君はいい子だよわるい日も 最悪な夜も 最低な朝も ---------------------------- [短歌]運命/はるな[2024年4月24日5時29分] 運命の裾が解れる 伸びてゆく はるか向うで か細く交わる ---------------------------- [短歌]熱風/はるな[2024年4月25日1時13分] 熱風の先にある体のかたちをした甘い嘘 ---------------------------- [短歌]庭/はるな[2024年6月7日13時37分] 甘やかな風を嗅いでる午後の庭 きっとあなたを失うけれど ---------------------------- [短歌]するなら/はるな[2024年6月30日21時00分] くらやみのひとつもない街でするなら明かりを消せる恋がいいよね ---------------------------- [短歌]こもれび/はるな[2024年7月24日13時33分] こもれびのなかであなたが笑うとき 世界はいつも正しくなった ---------------------------- [短歌]花火/はるな[2024年8月6日14時20分] 雨の日の花火のような恋だった あなたのことを 忘れたかった ---------------------------- [短歌]背中を預ける/はるな[2024年8月20日16時07分] よろこびをうすっぺらいその胸に抱き 悲しみに痩せた背中を預ける ---------------------------- [短歌]星の名/はるな[2024年8月20日16時09分] 星の名を知らないままで抱き合った 覚悟もないのに 恋をしたから ---------------------------- [短歌]ピザだ今日は/はるな[2024年9月4日9時35分] いみなんてずっと前からのこってない「かくこと」だけがここにあるだけ 転がって火のつく指に背に頬になんどもつめたい口づけをする 七七の拍子で揺れる夢だから 五七五はきみにあげるね 覚えのない服を着ている君が笑う ぜんぶ忘れて笑おうとする 欲しがった彫刻の夜、蝶の空、明日をこわく思わない胸 ピザだ今日は裂けそうになる意識だ チーズを伸ばして乗り切るしかない 明日からうまくできるはずだから ピザだ今日は お別れ会だ ---------------------------- [短歌]永遠/はるな[2024年9月21日15時24分] 永遠の表にバター裏にチョコレートを塗ってランチにしよう はしってく君は永遠 僕はバター なすすべもなく溶けていくから 大好きだよ 排気口にキス意味のない呪文で飛べるながい一瞬 ---------------------------- [短歌]さえずり/はるな[2024年10月2日11時09分] こんなにもどうして愛していましたか はばたきもせず囀りもせず ---------------------------- [短歌]背中/はるな[2024年10月16日8時21分] 暗やみを拭う光を待ちわびて 抱き寄せるのは 悲しい背中 ---------------------------- [短歌]歌/はるな[2024年10月30日9時05分] 饒舌な指の間で跳ねる君 誰の歌でも誰の指でも ---------------------------- [短歌]金色/はるな[2024年10月30日9時22分] 金色の 夢をみている うつくしい 世界があした おわるといいね ---------------------------- [短歌]うつむせ/はるな[2024年11月12日14時08分] 目が覚めて失われるのは物語 燃え尽るのは安い情熱 もう一度しようと思った 間違いを 同じ熱さで焼かれてくれる? うつぶせの君のまつ毛と同じくらい やさしいものって他にないよな ---------------------------- [短歌]靴/はるな[2024年11月14日22時00分] 詠んだけど書かなかっただけ思っても言わなかっただけあなたには 飲んだ嘘吐き出した嘘夜の数 囁きの音 数え忘れた あしたからあなたを忘れて生きていくひとりで靴を履いて出掛ける ---------------------------- [短歌]簡単な夢/はるな[2024年11月19日13時37分] これ以上失えないっていうくらい深い夜から君は見つかる 簡単な夢を見ている 生温い浅瀬であなたが手を振っている ---------------------------- [短歌]鶏小屋/はるな[2024年12月4日9時12分] 鶏小屋で 安易な名付け 浅い夢 散らかる祈り 深い傷跡 ---------------------------- (ファイルの終わり)