るるりらのおすすめリスト 2020年1月20日14時43分から2020年5月26日5時23分まで ---------------------------- [自由詩]骨の説教/もちはる[2020年1月20日14時43分] あっ 腰の骨が ポッキッと折れた 神経が暴れる 立つことも這うことも 激痛が走る 大混乱に つぶれた骨が怒鳴る 「愚か者!  粗末にするな  言い訳は聞かぬ  折れた骨は 戻らない  命と同じ 借りものと心得よ  最期まで 大切にせよ  今度は 只では済まぬ」 身体に落ちた雷に 平伏して 唸りながら詫びる すきまを埋める細胞たちに ていねいに頼みながら 腰をそっとなでる 新年も要らない ---------------------------- [自由詩]明日/水宮うみ[2020年1月20日17時37分] 昼が翻る。 靴が覆る。 夜が、甦るときに。 ---------------------------- [自由詩]教室/たもつ[2020年1月21日21時40分]     木立ちを抜けていくのが 私たちの木立ち だからすっかり抜けてしまうと 教室がある 先生は、と先生が言うと 先生は、と復唱する私たち やがて始業のチャイムが鳴り つまりそれは 今までの授業は何だったのだろう 昼間、給食が波のように押し寄せ 波が給食のようにほぐれ 午後には風やそれ以外も吹き始める 犬に形の似たものを答えなさい、という設問に 覚えたての母の名前を書いた私の答案は 二度と返ってくることはなかった 先生は、(先生が) 先生は、(復唱) 教室から木立ちを抜け 木立ちはすっかり抜け落ち 後は延々と水みたいに坂道が続く 祈り、という言葉を簡単に使ってはいけません と先生に注意された私たちの祈りは 本物や偽物よりも多分ずっと儚い     ---------------------------- [自由詩]Astronomy club/AB(なかほど)[2020年1月27日23時05分] 1 毎年この日の夜には 上原君の星が話しかけてくるはずなのに 今年は何も聞こえてこなくて 見上げても光が揺れることもなく なあ、もう忘れちゃうよ と、小さく嘘をついてみた 2 帰り道は晴れていて すっかり覚えてしまった物語をつぶやくと 齧りかけの月、歪んでゆきました 置き去りの絵本、店員さんに見つかる前に 誰かが手にしてくれるでしょうか それともその前に 3 でもさ そしたらさ よるのそらがきれいでさ みたことなかったからさ おほしさまとか おつきさまとかさ 4 君が百本の小説を乗り越え眠るころ 僕は一握の詩の前で童貞のままで 国際色の喧騒にしがみつきながらも 同じ月の夢に  ニャー    と哭く 5 もう切る指をなくしてしまったらしいので 嘘つきなのは僕のほうだよ と嘘をつく 琴座の一辺を二倍伸ばした線上に 糸切りを持った君がいて 約束、と言いながら弦を張り替えているとか 6 ここのプラネタリウムの寝心地は格別で やがて40分の夜が明けて おはようって言ってみるのがいい 眠りにきたの?と訊きながら息子は 小春日和の堤からふんわりロケットを発射する それはあまりにもゆっくりと静かなのだけれど 7 僕が天文学者だったらと その星帯の向こうのカロンを指差しながら あたしを見た あたしは冥王星のあなたの側で足をぶらぶらして そんなに遠いんか と笑った 8 銀河鉄道の話を聞きながら 僕は窓の外の天の川を 思い浮かべていた 君はそんな僕を とても遠いとこから 探し出してくれた 9 どうして星は夜に見えるんですか 三鷹の空から130億光年先まで広がる宇宙の球は ほんとに球なんですか あんたの唇が動く ただそれだけ待っている 夜はどうしてすぐぺしゃんてなるんですか 10 小惑星にまで触れたイカロスは 大気圏へ突入するその時に その目で見た最後の映像を送信した それは当たり前の私達の星の姿 君達の足並みは、羽ばたきは、瞳の色は 揃わされなくてもいい 11 猫と月は もともとおさななじみなのに とおく離れてしまって それでも 月の胸に猫の痣があるように 猫の瞳に月がいる 12 空へ消える 天に昇る 残る記憶を感じて生きてゆく 空から降る声にも 清しい 瑠璃の色香にも ---------------------------- [自由詩]トウモロコシの覚悟/ブルース瀬戸内[2020年1月31日8時46分] トウモロコシに憧れたので トウモロコシになりました さらりとそう語れたのなら カッコいいかもしれません でもそういうわけではなく トウモロコシに生まれ育ち トウモロコシになりました 簡単に半生を語ってますが それなりに苦労はしました まずはトウモロコシとして 認めてもらえないわけです 植物学上のモロコシ程度で 認めてもらえないわけです 精神的なモロコシがないと 認めてもらえないわけです 存在も脅かされるほどです おまえは半モロコシ前だと 父モロコシや兄モロコシに 指導という名の説教を浴び 泣きモロコシにもなります そんなヒゲは百年早いとか えげつなく言われるんです 植物学上伸びてくるんです どうしたって伸び伸びです でも僕は早くなりたかった 立派な一人前のモロコシに 一早くなりたかったんです 涙で滲んだ銀河を見上げて ぎゅっと隠しヒゲを握って すぐにモロコすんだからな 明日にもモロコしてやるぞ そう固く誓ったものでした あれから7年が経ちました 僕は遂に立派なモロコシに 成長することができました 隆々たる粒々をたずさえて ゴールデンな輝きをまとい 自信に裏打ちされたヒゲを たっぷりとしっかりと蓄え モロコシ畑に君臨できると 自負だってしているんです 弟子モロコシには抜かれて 孫弟子モロコシに養われて ダメモロコシみたいですが モロコシの極意は会得して 忘れたらまた会得し直して 現状は忘れているとこです それでも輝きはゴールデン 蓄えたヒゲはデンジャラス 父モロコシに言われました そのヒゲを待っていたのさ 兄モロコシに言われました モロコすにもほどがあるぞ 血こそ繋がっていませんが 粒と粒とで繋がっています 今はモロコシ畑の夕焼けを 風に吹かれて歩いています 銀河もじきに見えてきます お祭りの仕事を頼まれるも まずは断ったわけなんです このゴールデンは屋台では 持て余してしまうからです 包み隠さず言ってしまえば 食べられたくないからです じゃ僕が祭りに行きますね 孫弟子モロコシが言うので そんなことをされたならば 誰が僕を養うのかと思って いやいやそれなら僕が行く いやいや師匠が出るなんて いやいやそこは僕が行くよ いやいや師匠は怖がりだし いや別に何も怖くないから 何も怖くない自分が怖いよ じゃあ師匠がどうぞどうぞ モロコシ畑の夕焼けと風が 粒に沁みます心に沁みます じゃあ師匠がどうぞどうぞ 孫弟子の言葉を反芻します 祭囃子が聞こえてきました やっぱ次の祭にしようかな ---------------------------- [自由詩]暖冬のしたで/帆場蔵人[2020年2月7日16時09分] ゆきの降らない冬の日々 吊られたあらいざらしの Tシャツはふるえていた それはゆきを待つわたしのように 次第に乾いていく暖かい日差しのなか 磔刑にされしろくしろく待ちわびている 誰かのためでない 誰かのための祈りが 蒸発していく白々しく ---------------------------- [自由詩]てのひら/羽衣なつの[2020年2月7日16時14分] どうすればいいのか わからない 貝の中で 泣いていた 日 それから いちど海がかれて 空がおちて ながくもないとしつきを 二億年と少しへだてて わたし またここにいる どうして うつむいて てのひらに なみだをこぼしながら ---------------------------- [自由詩]初春/石村[2020年2月12日10時56分] どういふことだ まだ ひとのかたちをして 星の上にゐる 急がなくてはいけない 廃村のはずれの小さな草むらに 菜の花が咲きはじめてゐる ……風にゆれてゐる やさしいやうな かなしいやうな 春にならうとしてゐる午後 俺はけだものになりたくて おだやかな海にさけぶのだ 神なる者どもが降りてきて 俺らをのこらず 喰つてしまふ前に ---------------------------- [自由詩]わらしべのかげ/帆場蔵人[2020年2月14日4時21分] 遊べや遊べ わらしべ一本 わらしべ一本 遊べや遊べ 遊びをせむとや生まれけむ 誰もが一本のわらしべ握り 明日は長者か乞食ぼうずか 種もみの実りを待たずさり 中洲で噛みあう野犬の群に 案山子の眼がひとつ落ちた わらしべ一本 手放すならば その手はなんでもつかめるぞ なんでもつかみなんでも育て なんでも手放し空でもつかむ 遊べや遊べ 夕陽にのびた その影こそがわらしべ一本 わらしべ一本 遊べや遊べ 明日は長者か乞食ぼうずか 楽しや愉し 烏が阿呆と鳴いたなら 童に戻り遊びをせむとや生まれけむ ---------------------------- [自由詩]哀れむ/もとこ[2020年2月16日21時52分] アタシは衰弱を否定する老人を哀れむ アタシは革命を嘲笑する若者を哀れむ アタシは現実を拒絶する大衆を哀れむ アタシは服従を肯定する個人を哀れむ 今や傲慢さを隠そうともしない奴らに 踊らされていることにすら気付かない 己が餌を貪る家畜だという自覚がない そんな愚か者たちの群れを哀れむ 自分の頭で考えて答えを出している つもりの 頭からっぽで右向け右な人形たち を哀れむ そして神さまを真似て何もせず スマホの指先で作成した告発文を ネットの海に放流しただけで 何かを成し遂げたつもりでいる アタシ自身を 蔑み、哀れむ ---------------------------- [自由詩]空を突き刺す魔女の箒のような裸の並木/Lucy[2020年2月19日20時42分] 柔らかな薄桃色の掛布団 夕暮れの雲に覆われた空 真っ白なシーツをふわりとまとう敷布団 おやすみなさい 積み上げられた徒労を包み 疲れた笑いを しずかにほどいて 瞼を透かす朝のことなど 考えず ざわざわと記憶の底深く引き寄せる 波のような引力に じっと耐えながら   ---------------------------- [自由詩]濡れタオル屋/たもつ[2020年2月21日19時38分]     水に濡れたまま 雨にうたれている 妻が傘の下からタオルをくれる いくら拭いても 濡れタオルだけが増えていく 妻は可愛い人 こんな時でも傘には入れてくれない 濡れタオル屋でもやろうかな と言うと それじゃあ私はタオル渡し係 と答えるから尚更可愛い いつまでたっても 雨にうたれるのは下手糞なのに 濡れタオルを作るのは 上手になっていく それでも可愛い妻は傘に入れてくれない 柄しかない傘に入れても 僕が傷つくだけだと知っているから また一枚 妻が濡れタオルを差し出す 水に濡れながら涙をこらえている妻は ほんのりと色気もある     ---------------------------- [自由詩]水仙の妖精/丘白月[2020年2月21日21時28分] 誕生日に買った花瓶 薄く透き通る黄色いガラス 食卓の窓辺に置かれ 水仙が部屋を見渡している 母の誕生日に咲く庭の水仙 可哀想だけど そう言って摘んでくる 朝の澄んだ霊気を浴びて 水仙の妖精はゆっくりと 背伸びして花を開く 朝ごはんの匂い 沸騰した湯気の中 いつもより笑顔の母がいる ---------------------------- [自由詩]薔薇の声/服部 剛[2020年2月24日16時30分] 今宵、記憶の薔薇は咲く 紅い 紅い あの花が 安易なラブソングは好まない とか 僕はほざいていたけれど 所詮この世は男と女 今宵、記憶の薔薇が咲く 紅い 紅い あの花が 遠い庭の暗闇に やがて 薔薇の唇はひらき 遥かな過去の絵のように 僕の あなたの 秘密を囁く ---------------------------- [自由詩]デス・スター/たもつ[2020年2月26日21時06分]     父と僕の妻が併走する 妻にとっては義理の父 僕にとっては実の父 父とはそういう人だった ダース・ベイダーにとってルークは実の子 ソロは義理の子 フォースも使えないし、 カーボン凍結で囮にするくらいしか 使い道のないならず者が義理の子になるなど ベイダー卿が御存命ならば大層お怒りになられただろう 僕が結婚して 両親は良い娘ができた、と大層喜んだ 妻とはそういう人はだった 今もそう 父は要介護となり痴呆も入った 体が動かなかったので徘徊はなかったけれど 心はいつも旅をしていた 心は走り続けた 妻は仕事を辞めて父と併走した デス・スターはまだかい 義父さん、デス・スターはもう破壊されたでしょ (俺達か破壊してやったんだけどね) ダース・ベイダーとはそういう人だった 父は僕が帰宅する前に他界した 最期を看取ることはできなかった 血の繋がりより 併走し続けてくれた僕の妻を選んだのだ 僕とはそういう人だった 今もそうなのか 恐くて妻には聞けない ---------------------------- [自由詩]レモンサワー/石村[2020年3月3日22時32分] (*昨年書いて現フォに投稿せず忘れていたもの。アーカイブ目的で投稿。石村) しつこい梅雨が明け 夏がはじまつた はず であるのだが ひさびさに傘を持たずに 散歩なんぞに出てみると 夏初日にして 早々にくたばつたクマゼミが ぶざまに腹を出して 舗道のうへにころがつてゐる いやなんとも 気のはやいことだ ながい地下暮らしから這ひ出して この大雨続きの数日間 どれほど鳴いたかしらないが お前さんのいつしん不乱な大音声が いつたいどこの 誰にとどいたものか 俺もまあ 言へた義理では なからうよ 誰に読まれもせず おもしろくもおかしくもなく 清くも正しくも美しくもない いまどきはやらぬ詩もどきを 書き続けたあげく いつかくたばり ぶざまに腹を出して その辺に ころがつてゐる ことになるんだ は それがどうした くだらない いつぱいやつて気を晴らさう レモンサワーください もう夏だからね さはやかに行かうや とまあ いつもの嘘だ 毎分毎秒 毎年毎月 こんなこといつまで 続けるんだらうね 神はもうゐない といふことにして いけしやあしやあと 生きてゐるつもりになつても 背負ひ込んだ業のふかさは どこまでも肩に くひ込んでくる 来世の永遠も 諸行無常も ひとのいい気な妄想にすぎない それでもわれら ことばといふ罪を負つた者どもは なにかしら 書かずには ゐられない から 書く のだ 愚か者め と空がいふ わかつてゐるさ わかつちやゐないよ 俺もきみらも だからこのレモンサワーの 泡がはじけて消える その一刹那に 真のしんじつをかんじたまへ それからもう一度 まぶしくひかる空を見上げて 耳をすませてみるがいい ほら やつぱり空がいふ 愚か者め と空がいふ 書き続けろ と 空がいふ ---------------------------- [自由詩]撃たれる/岡部淳太郎[2020年3月8日15時21分] 思えば、あの頃からいつかこうなるのではないかと、漠 然と予期していたのだった。あの頃、俺がまだ若くて、 日常の懊悩や苛立ちや、燃えやすい枯れ枝のような未熟 な考えを持て余していた頃から、いつかこんなふうに世 界は混乱して、空の上までいっぱいに、唾液のように吐 き出しては飲みこまれる思想で満たされて、人々が互い に争う日々が訪れることを、感じていたのだった。あの 頃、それをいまはもう名前も忘れてしまった友人に語っ たけれど、馬鹿だな、そんなことに、なるわけがないじ ゃないか。そう笑われて終ってしまった。だが、いまや 人々は戦いのなかにあって、その淵で足並みを揃えて行 進している。日々新しく塗り直される、そう思われてい る情報や流行や風の噂のなかで、俺は何ものにも反対も しなければ、賛成もしない。俺は青くさい平和論者でも なければ、急進的な怨念で戦う者でもありえない。俺は 俺で、ありつづけたいだけだ。だから、戦いが日常であ る巷に不用意に出てしまえば、撃たれることもありうる だろうと思っている。馬鹿だな、そんなことに、なるわ けがないじゃないか。頭のなかでもう一人の自分がそう 嘯くが、この戦闘のなかでは、すべての最悪に気を配っ ていなければならない。何しろいまは戦中なのだ。発禁 文書が枯れ枝のように次々に燃やされ、安っぽい思想が 怒号のように響き渡る。すべてのいのちは撃たれるため にのみ存在し、俺のかつての漠然とした予期もまた撃た れて、燃やされるだけだろう。何ものにも反対もしなけ れば賛成もしない、この俺を撃つがいい。俺の安っぽい 矜持も撃たれ、その死骸はただ通過されてゆく。その後 は生臭い風が吹いて、ささやき声が交わされるだけだ。 馬鹿だな、そんなことに、なるわけがないじゃないか。 (二〇一六年七月) ---------------------------- [自由詩]帰宅/大村 浩一[2020年3月10日23時07分] 夕暮れの柳新田 家路の車窓から 不意に 更地になって 更地になった場所に気づく 確かに低木を植えた 黒板塀の民家か何かが あったのだが 家路を辿る人たちを見て 娘がたどたどしく言う ミンナ オウチ カエル おうちのお家は どこにあるのだろう 2011/10/31 記 ---------------------------- [自由詩]知らない話/チアーヌ[2020年3月12日16時27分] 知らない駅の改札を出ると右に曲がった 四車線の道路があり 階段がいくつもの方向に分かれている 大きな歩道橋を渡った 焼肉屋からは 肉の焼ける匂いが流れ出ていた これが鰻だったら たぶん帰っていた 肉が焼ける匂いは わたしの気分を邪魔しなかった 焼肉屋の向かいのコンビニに入った 後方の冷蔵庫から ミネラルウォーターのペットボトルを取り出す 蓋を開けると床に中身を零した 知らない夜に高架下のガードレールを跨いで ぬるい川に潜りゆっくり遡った 向かい合う人の顔がわからない あなたは誰ですか? この際だから 「月がきれいですね」 月ってそんなにきれいかな まあいいや これも何かのご縁 何度も何度も同じページを捲る 最後まで読んでないけど もういらないからあげるね その本 ---------------------------- [自由詩]コロナくん、顔を見せてよ/yo-yo[2020年4月11日10時36分] 目に見えないもの 姿の見えないものは怖い いま世界中のみんなが怖がっているもの それがきみだ コロナウイルスのコロナくん いまやきみは 放射能よりも怖がられているよ あの悪名高い放射能でさえ ガイガーカウンターで探知できる ピーピーと叫んで知らせてくれる なのにきみは 何処にいて何処からやって来るのか 黙ってそっと近づいてきて ノックもせずに侵入してくる まったく失礼千万なやつだ ごく善良な人々は 日がないくども手を洗い がらがらぺっぺっとうがいして ことしは花見も宴会もキャンセルし 会いたい人にも会わずにじっと ふるえながら引きこもっているよ こんな春をどうしてくれる ウイルス&コロナくんよ きみは足音もたてず声も発せず いきなり熱風で襲ってくる 咳はごんごん胸は苦しい ごちそう食べても 味も匂いも分からないなんて 嫌われ者のコロナくん どうか顔を見せてくれないか 姿を見せてくれないか 見えないからシカトもできないし 友達にもなれない みんなに除け者にされて淋しかったら ハグも握手もできないけれど 優しい言葉くらいかけてやってもいい だから勝手に濃厚接触するのは止めてくれ 2メートル位は離れていてくれ できればマスクもしてくれないか そうしてそれから きれいな手を振ってバイバイしてくれ ---------------------------- [自由詩]鳥葬/こしごえ[2020年5月7日17時36分] 銀河の岸で静かな深い鬼は 星の亡骸へ ほのかに歌をうたっている 忘れられたことも今につながっているのよ そうして静かな深い愛の鳥は 星の亡骸を ついばみ 果てを超えて 静かな深い愛は耳をすますと ありがとう と どこからか声がする ---------------------------- [短歌]住み慣れた街/夏川ゆう[2020年5月26日5時23分] 人間はもっと自然に触れるべきストレス溜めない生き方目指す 散歩道街もいいけど山もいい季節で変わる植物の色 潮騒に誘われて行く砂浜へ夜になるほど音が良くなる 住み慣れた街の見慣れた景色見る生まれ育った街に感謝 ---------------------------- (ファイルの終わり)