朧月の梅昆布茶さんおすすめリスト 2011年12月13日10時13分から2016年4月12日12時38分まで ---------------------------- [自由詩]星の子供達/梅昆布茶[2011年12月13日10時13分] 僕達は北極星からやってきた 銀河の闇を切り裂き 暗黒星雲や超新星と交感しながら 遥かな光年をやってきたのだよ オーロラのカーテンをゆらしながら 氷雪を溶かしながら 地上に降り立った魂なのです そしてストーンヘンジは星を測るおもちゃ ナスカの地上絵は僕らのアートです ゴンドワナ大陸を悪戯して壊してしまったのも 僕達なのです 地球の雲といっしょに流れてゆく そしてイングランドの牧草地帯を吹き渡る風なのです 無名戦士の墓やボスポラス海峡を走り抜けます 針葉樹林をゆらし中央アジアのステップをかすめ ヒマヤラの山壁をかけのぼってゆく風なのです ピラミッドを風化させ紫禁城を高みから見下ろし 幾多の戦場の血の匂いを拭い去ってきました 120臆光年の未来からやって来た僕らは この緑色の星を循環させます 祈りのある人びとにはたぶん僕らの姿は見えるのですね メタセコイアや翼手竜やバクテリアの次元の命までも光をとどけたいのです 風のなかにすべての生きとし生けるものの喜びや哀しみや叫びをのせて 僕たちは巡ります 目的はありません 意味も求めません ただただ星の光をとどけたいのです 循環する世界の片隅のすべての場所へ ---------------------------- [自由詩]魂の浄化のレシピ/梅昆布茶[2012年4月25日20時24分] まず魂のくせを矯正します 今世のくせも後で清算する予定ですが... とりあえずお世話になった想いの数々に手土産のひとつももたせて さっと湯通しをします その際肩をおもみしても構いません 長年の労をねぎらう気持ちが大切です エクソシストまではいりませんが 軽くしおを振るのもよいでしょう 一昼夜ほど風通しのよい処で陰干しします 希望や嫉妬や絶望や失意がほどよく分離したら ひとこと感謝の気持ちを伝えましょう それがすんだらあたりに充満した想いを ダイソンのサイクロン掃除機で一気に吸い取ります なにも残らなくてもいいのです それが実態ならば あなたにもぼくにも後悔はないはずですから 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うちの孤高の戦士はいまベランダでひなたぼっこ あえて妄想中とは言いますまい ときどきかれの誇り高きぶた猫の本能が のねずみやのうさぎの後姿をおもいだすのかもしれない それとも昔の彼女の寝姿か 戦士は群れをなさない 決定的な決断のための孤独は最強の武器でもある やめない政治家ではないのだ チャンネル2で内輪に言い放つだけの病気などは すくなくともうつらない おかずは程ほどで良い 妥協はときに価値をうむものだ でもなぜふとっているのか? 幸せは求めるものではない 研ぎ澄まされた精神の別名を幸せと呼ぶ 食べる幸せだけは例外だが 言葉は多くを語らないもの 人間が自らのおもいつきを哲学と称して堕落がはじまった 戦士は言葉におおくをついやさない 詩だ文学だとも騒がないし だいたいわかっていない おのれへの自信を尊ぶ 傍観者の目のなかに確実さを求めてはならない 戦士は自らの目のなかに無欠さを見つけてそれを謙虚と呼ぶ 周囲の人間にとらわれずただ無限なるものにのみとらわれるものを 戦士と呼ぶ だから鳩にはなれない だいたい重くてあのようには飛べない 我が家の賢人はときどきくさいおしっこもするが それ以上にデブで憎たらしい戦士でもある 変猫とも呼ばれるがそれを 誇りに思っているふしもあるのだ ---------------------------- [自由詩]ちょっとだけ哀しい人生/梅昆布茶[2012年8月22日18時16分] 読んだふりして投げ出した恨みも捨てにブックオフ いまさら人生の意味なんてと言いながら尾崎豊を聴いている じゃんけんに勝ったら寝るよと言った娘のおそだしのズルを言えなかった夜 恋人になれなかった恋の領収書って詩なんだね 生きてゆくそれを理由に嵌めはずす新盆の母のあきれてかえる 好きと百篇言われるよりもおいしい料理がたべたい日 自分の馬鹿を知らずに生きた半世紀 ---------------------------- [自由詩]いつか詩人になれるなら/梅昆布茶[2012年8月23日16時17分] いつまでたっても電信柱のようにたっています 恋は百万遍すどうりしてほかの誰かをむすんでます それでもけっこう嬉しかったりするのですが もうちょっといい脇役にもなりたかったりして ギターだって女の子受けするために始めたのに下手です 死ぬ前にいっそのこと詩人にでもなろうかと思ったのです これって犯罪でしょうか 極道にもなれなくて もとそっちの若頭の しりあいもいますがでも いちばん世話になってる人がもと警視庁なんで うるさく酒は飲むなたばこはやめろまあ女はいいとか 人生の指針を示してくれて まえのかみさんよりはいいかなと思っているのです ろくに恋もしてないのに恋の詩を書いたりして これは犯罪でしょうか 捕まるまえに愛をつたえたくて そのために詩を書いたりしているのです いつか涙がかわいたときに思い出してもらえる 言葉の一片でもあったら それでいいと思っているのです ---------------------------- [自由詩]脱皮の記憶/梅昆布茶[2012年9月26日21時48分] 一枚一枚じぶんをひきはがしてゆく 夜の電車の窓に映った つり革にぶら下がった幽体 遊隊を離脱し こんなところに居たのか 勘違いした片恋の記憶 まだ薄皮がひりひりと痛むが おわらいぐさだ とうせんぼしている明日に てを振りながら枝道を歩く 自分に舌打ちしてぐっと飲み干したコーラの 泡立った夏もまた赤と白の記憶になってゆく 空き缶がころころと 風にころがってそして秋 雲の上の空はいつも晴れているのだろうね 雨のそのまたうえの空 機関車が長い貨車たちを牽いて丘をのぼってゆく それはいつの風景だろう またちりちりと 脱皮の予兆が午後の日差しのなかで コーヒーカップのミルクの渦のように 予定調和のなかにしのびこんでくる いつかこうしてまた一枚淡緑色やラベンダーや ときに薄墨色の紗が 風に剥がれてゆく なにもかわらないふりして その実こうやって脱皮することで ぼくらは生きてゆけるのかもしれない また一枚 君の色が風に溶けてゆく ---------------------------- [自由詩]デスペラード/梅昆布茶[2012年11月23日20時51分] 深紅の薔薇を投げた夜 いくつもの吐息をかさねていた 僕達の想いには名前がなかった そんなもてあました悲しみが 僕達は好きだった いくつもの季節を共有し 違和を閉じ込めた小箱を持っていた 憎しみという熱いかたまりさえも 飲み込んでしまった日常は もうあきらめかけた 色をしていたっけ 旅立つ日はいつも雨なんだ そびやかした肩にきらきらと 滴が光るんだ もう若くはないし ふんだんな時間は過ぎてしまった もういちど待っているものを さがしに行こうと思うんだ せめて君の 手の温もりが 残っているあいだに ---------------------------- [自由詩]次元の詩/梅昆布茶[2013年2月23日16時59分] 0次元 面積を持たない点は哀しくて あられのようにパラパラと降りそそぐだろう なんのうえに 1次元 線虫となった哀しみはのたうちまわって それでも面積を持てない 2次元 厚みのない平板な草原に 哀しみの馬がかけまわる 名前の無い馬 3次元 凍結した立体のなかで 恋をしていた 今しかなかった僕のように 4次元 やっとセピア色の想い出が 動き始める 雲が流れて風をよぶ 微かに音楽も流れている 君が踊り始める 時間の舞いといううやつかもしれない そこに数理学者が忍び寄ってささやく それはミンコフキー理論だけの 有効性しか持たないんだねって でも僕たちは 踊りを止めない その先の次元に充分なだけの想像力を信じていたから 僕たちはどの次元でも自分の意味にもとづいて 相対性理論を軽がると 超えてしまうのかもしれないんだ ただし想像力は科学の敵ではないと はっきり言っておかないとね だって次元大介はルパンの相棒なんだぜ ---------------------------- [自由詩]流れながら/梅昆布茶[2013年3月27日7時50分] もうずいぶんひとにに押されていきてきたようなきがする 妻や子供にもめいわくをかけた でもいっぽん筋を通そうと思った この年で せめて残りの時間を拡散しない正しいものに 整えてゆきたいと思った 最後まで正しいものは何か 考えてゆきたいと思った 流れは速く時を侵蝕してゆくが それでも何かを見たいと思った すべての夕暮れがおわるまえに すべての友が去る前に ---------------------------- [自由詩]からっぽの家には/梅昆布茶[2013年4月2日16時49分] ショッピングセンターの駐車場でカレーパンと牛乳でお昼を済ました なかなか家に帰れない 僕の家って本当は彼処じゃ無いんじゃあないのかなんてねときおり思うんだ 誰も待ってないし読まない新聞だけが溜まってゆく きっと僕の留守には 僕じゃない僕がテレビを観たり煙草を吸ったりご飯を食べたりして 僕の知らない奥さんと住んでたりするのかもしれないな だって僕には確かめようが無いんだもの また今日もショッピングセンターの駐車場で 桜が風にちらほら綻びながら舞っているのをみているのさ きっと僕の留守には僕の知らない僕が友人たちと 誕生パーティーを楽しくやっているに違いないのだ 仕事は嫌いでは無いのでいいのだが ふと僕の知らない僕に 会ってみたい気もするのだ ---------------------------- [自由詩]微熱の季節に/梅昆布茶[2013年5月28日6時41分] 身体のなかにわだかまっているものたちが心を刺す なんだかチクチクして気色悪いのだが我慢する もういいさ年貢の納め時だと何かが言ういや違うと別な声もする 人間はこうやってせめぎ合いながら生きてゆくものか 今朝も陽が昇って一日が起動するただし心はあんがいブスッとしている 何が不満なんだろうなんとなしの不安これは病気だろうか ときどきこういう心理状態に陥るのだがいつかそれも晴れるさ そういまは僕の微熱の季節なんだ きっとそうさ ---------------------------- [自由詩]たった一人のこの部屋で/梅昆布茶[2013年6月18日20時47分] 壁にピンナップされた僕らの写真を見ている 時々締め付けられるように過去が蘇るのだが 時間の不可逆性は 僕の味方ではないようだ 一人静かに時を消費することにも慣れてしまった もちろん本意ではないのだが 孤独とつきあうのがうまくなったかもしれない もともと孤独な性癖だったから 幼稚園の入園写真や 運動会の写真 そう言えば亡き母のアルバムに貼ってあった姉と俺の写真 セピア色で 姉はしっかり者 僕はひょろひょろに映っていた でも貧しいながら寄り集まって 北海道で生きてきたんだ 時代という風のなかを寄り添って生きてきた気がする いまは亡き若き日の母が 僕らと食卓を囲んで微笑んでいる 零落した地主であったらしい母の実家にも いまは亡きバイオリニストであり化学者でもあった叔父の 税理士であったその兄の 生涯独身をとおした叔母の 気配をいまも感じる 商家であった父の実家で母と父は縁をもったらしいが すべては霞のように遠い その遠景のなかに 僕と妻と三人の子供が重なる 三人ともに分娩に立ち会った なんだか血みどろの肉塊が ほぎゃーとこの世の第一声を発する 一人ひとり産まれた時から 見目かたちは違うもんなんだなあって思ったものだ 長男は僕に似ている おっとりして不器用でちょっと神経質だ 次男はけっこう天衣無縫 母親似かもしれない 発想が豊かな子だ 三男も僕に似ている なんだかいるんだかいないんだかわからないんだけれど 自分の好きなことを 物静かにやっているようだ いつか僕も誰かの遠景になるのだろう せめてあまり邪魔にならない遠景であって欲しいのだが 風は時代を引き継いでゆく それは自然な摂理だ 誰も抗えないもの 時は蓄積された記憶を いつか風化させ 拡散する 家族の記憶も いつか古びて いつか自分は離脱してゆく もうすでに 僕の記憶は 子供達にとってずいぶん薄くなっているはずだ それでいいとも思う 僕は宇宙に還る いつか星屑に戻りたかった それも遠くないいま それでも家族を想っている たった一人のこの部屋で ---------------------------- [自由詩]小さな幸福論/梅昆布茶[2013年6月25日1時48分] 僕の小さな幸福論 TSUTAYAでアランの幸福論を探した もちろんヒルティの幸福論でも良いのだ 幸福な気分になりたかったんだ しばらく味わっていないような気がするんだ 幸福は乾いた日なたの匂いがするのだろうか それとも母の乳房のように懐かしい匂い 僕の幸福論は単純だ 生きてさえいればなんとかなるものだ 幸福になるのは案外たやすい ギター一本と酒と時間があればそれで事足りる そんな些細なものなんだ でも心に波風が立っている時は どうもそういう気分にはなれない 僕が遺失してきたものはなんなのだろう それは幸福と関係があったのだろうか 過去は陽炎のように儚いものだ ソシュールの言語学のようにかたちのつかみにくいもの 逃げ水のように あるいは水面の月のように追えば遠く駆け去ってゆくもの 僕の盟友でもあり 遠い縁の薄い親戚 血の繋がらない 地の果てに住む兄妹なのかもしれないが それでも時々はその名を呼んで見るんだ 君の愛らしい名前に託して そう幸福って 可憐な素敵な名前なんだね まるできみのようにね ---------------------------- [自由詩]人生は回転木馬/梅昆布茶[2013年8月23日15時48分] 時にゆっくりと或いは急に速度を増して上下する人生 君は金の木馬に僕は銀の木馬に くるくると廻り続ける 音も無く それはやがて闇に溶ける 美しい二人の風景だ まるで回文のように行ってはもどる 古い柱時計の長い振り子のよう いつの間にかキャンドルは燃え尽きようとしている 僕の人生の もうさよならを言う時間になってしまったんだ たった一回だけの 僕の綴った人生は遊園地のようににぎやかだった 様々な人が行き交い 言葉を残していった 夜には雪が降るだろう もうクリスマス 僕も空のサンタに成れるかもしれない それともぼやけた六等星 それとも小さな翼を震わせて 君の夢を訪れるの 夢の門出にまた夢を見る 言葉に出来ない唄 或いは想い 僕は回転木馬フェチ くるくる廻るのがすき  ---------------------------- [自由詩]新しいノート/梅昆布茶[2014年1月30日0時50分] 新しい言葉を綴ることは 新しい土地を開墾するように そこへ種を蒔くように描いてゆくこと 自由を描くことは難しい だれも自由の光をみたことがないから それでも描こうとする 愛を定義することは難しい 愛はどこにも陳列されてはいないから それでも愛する 幸福を語ることは難しい 私の幸福はあなたの幸福と 交換できないから それでも言葉は試みてゆく それが唯一の機能だとでも言うように   新しいノートはいつも最初の一言で失われてゆく 新しいノートは積み上げられいつか崩れて均されて そこに次のノートが重なり堆積して 言葉は拡散し失望する そして回復し再生する 新しい言葉を捜すことは どこかへ通じる穴をあけること そこからわたしたちは 新しい海へ流れてゆく流体なのだ 新しいノートをひらく またあらたに種を蒔くために ---------------------------- [自由詩]姉と話す/梅昆布茶[2014年4月26日0時09分] 横浜の姉に電話する。 料理や家事のことでわからないことがあると 姉にきいてみるのだが。 姉もだんだん逝った母に似て 話が長くなってきつつあるようだ。 煮ると焼くしかない僕のレパートリーを ちょっと広げてみようかと 揚げ物のコツをきいてみたわけなのだ。 いろいろ話したあとで甥っ子の鬱病の話。 帰国子女の彼は僕の高校の後輩でもある。 某なんとか総研の中間管理職らしい彼。 生まれてしばらくは母が面倒を見ていたこともあった。 ボクもよく近くの公園や動物園などに連れて行ったものだ。 トンネルのなかにいる彼。 どの場所に居ようとも 人間は何かを抱えながら生きなければならない。 ---------------------------- [自由詩]猫でした/梅昆布茶[2014年5月9日3時39分] 猫でした まちがいなくねこだったと思うのですが 定かではありません 幸せだったかもしれませんし そうじゃあなかったかもしれません 宿無しだったのはたしかです いまでもたいして変わりはしませんが 濡れそぼる夜はなくなったようです また猫に戻りたいかときかれれば まああれはあれで良かったかなと思うだけです よく遠くのそらをながめていました 腹も減るものですが別の何かもさがしていたものです からっぽの街で風の行方を追いかけては 光のあふれる季節をみつけようと彷徨いました そう猫でした いまでもその記憶が残っているのです ---------------------------- [自由詩]遺あるいは/梅昆布茶[2015年7月18日12時55分] 遺蹟 奈良の友人の結婚式に列席したついでに 飛鳥の遺跡を畏友のK士と巡る 石舞台 酒船石 猿石 高松塚古墳 でも駅前で立ち寄ったうどん屋の 出汁がしっかりきいて品よくかるく醤油の効いた 透き通った一杯に参ってしまった 北の人間はやたらしょっぱくて かみさんの実家に寄ると 秋田は男鹿出身の義母のみそ汁に けっこう抵抗があったことをおもう 結婚した奈良の友人がいうには 東京に来てびっくりしたのは うどんのつゆが真っ黒なことらしい 僕も函館生まれでほんとうは 真っ黒くろすけなのだが おそらくはとじこめられる冬を のりこえるために北の人々が醸成した 貯蔵のための食文化なのだろう 遺構 めったに散歩もしないが 毎日の労働が筋トレなのでまあいいか それでもたまにお天気に元気をもらった日には 大好きな荒川のあたりを散策する 釣りもいいが自分で食すのでもないかぎり あまりさかなには傷をつけたくないから 石戸城址 戦国時代に 武田信玄が 攻めあぐねたという古跡だが 話はとつぜん 変わるがうちの事務員さんがいい バツだが紛れも無くかわいいおとなの女の子 遺構とはかんけいなくなってきたので ここで斬るが ハッピーバースデイ だれも 楽しみにしていないような 親父ギャグを君に 椅子 30数年使ってきた船橋で買ったIKEAの折りたたみ椅子が。 壊れたのだがそれとおふくろが亡くなるのとどっちが先立ったか判然としない もちろんおふくろとはその倍ぐらい生活してきた 三回忌をむかえてあらためてそのぶんも生きようとおもう 余生なんてないいきているかぎり余りってないんじゃないかな 異端 20代のころコリンウイルソンというアイルランドの作家思想家の本なぞ読んでいた 「発端への旅」という自伝がすきで彼のベストセラーである「アウトサイダー」 がぼくの書架にあったこる神経症だったぼくはカウンセリングをうけた 大学のかたすみの小部屋でそのひとは僕も知っている 森田臨床理学を たずさえた やさしい先生がいうには まったくあなたはなんともないので普通にいきてゆきなさい えー。。 だってさ 普通の定義に迷っているのですがねえー 異端てどのへんだ だって新宿2丁目にゆけば 素敵な男子が腕くんであるいて ぼくの大好きかもしれないひとは バイででもとても素敵なひとで 鋭い詩人でディーヴァなので たぶんシンディローパーなのだろう ---------------------------- [自由詩]えーと。。/梅昆布茶[2016年4月12日12時38分] 頻繁に人にであうでもない この生活にあまり不満はないのだ ベランダの脇の雑草がどう伸びようと 有る意味僕のそとの世界のできごと 疲れている意識もなるべく解消しようと 優しい母や鬼嫁も懐かしく いつもきみを牽引している言葉が欲しい 拙かろうとすくなくとも君なんだな 酔っぱらってばかりはいられないので 21世紀の最初の精神病患者としては ただしい狂気のありかたに したがうしかないのです ---------------------------- (ファイルの終わり)