花形新次のおすすめリスト 2011年12月31日11時02分から2012年7月20日0時33分まで ---------------------------- [自由詩]遠目の我が家/salco[2011年12月31日11時02分] 色派にへとへと尻垂れお婆 老年病み易く岳父逝き難し 中年売り難く整理され易し 死んだならリバティー オバサンいいツラの皮 オジサン千金のみ値 友あり遠方より「来る選挙は公明党候補に」 Boys Be Sid Viscious Good jobs, Steve! ♪I saw mommy sucking Santa’s cock Underneath her butt, he was not dad♪ ハゲ髪散財ジョーク ブスも野獣 妄母散々 泳げぬ父はワラントをも掴めず 妻を娶らば差異猛て、さもしき事のみ多かりき 子はパラサイ エロは儚し行っとけ男子 門前の虚無僧 猫に大盤振舞 尻を隠して顔隠さず ウサマも奇襲に落ちる 長茄子は嫁に買わすな 東大塀高し 喫モク税空 空喫モク税 暴行も筆の過ち? 婿さんかい?に家なし 紙面「そうか?」 未知を友と呼ぶ 貧乏ひまつぶし 金持ひつまぶし 父唱不随 概反母子 電網怪怪疎にして封ぜず 厭世尽語 態勢幇間 隣の柴犬は五月蝿い ガキ生せば金が要るなり法善寺 バカラ出たワビ ゴマキ倒踏 おさるの加護ちゃん 48にして立つ 「デミ・ムーア、11月パパに」 不戦敗にて日が暮れて もうかりまっか? / 没没でんなー ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]「名」馬列伝(23) レガシーワールド/角田寿星[2012年1月22日13時30分] 彼のことを一言で評するなら、一般には「日本史上最強のセン馬」だろう。異論はない。 気性難を解消するための去勢は、種牡馬への道を閉ざされるため勇気がいるが、彼の場合は成功した。 が、筆者は彼のことを、「ものすごく強いヤラレ役」と評したい。 いわゆる、強すぎてG1まで勝ってしまった、ヤラレ役である。 とにかくライバルに恵まれ、しかも自分の力を最大限に発揮して、勝ったり負けたりしてきた。 最終直線、併せ馬のようにゴールに流れ込んだセントライト記念。 マッチレースを演出したライスシャワーの、その後の活躍は言うまでもないだろう。 菊花賞の裏レースとも言われた頃のドンカスターS。相手は未完の大器のまま終わったヒシマサルだった。 敢然と逃げて見せ場を充分作った、3歳時のジャパンC。勝ったのはトウカイテイオー。 有馬記念では、逃げたメジロパーマーに猛然と迫るも、ハナ差届かなかった。 明け4歳初戦のAJC杯、ホワイトストーンにまんまと逃げ切られ、少なくない白石ファンを喜ばせる。 京都大賞典では、メジロマックイーンのレコード激走の露払い。ほぼ同じ位置から千切られて、これ以上ない引き立て役を演じた。 と、ここまでの戦歴でも判るように、いわゆる大レースの前哨戦や裏開催のレースで、勝ち負けの勝負を繰り返してきた。 が、クラシックや天皇賞は、セン馬であるために出走資格がなく、その他のG1レースでも惜敗続きであった。 主戦の小谷内騎手で、G1勝ちはおろか、ついに重賞を勝てなかったことも、涙を誘う。 パドックでは、常にすごい入れ込みだった。発汗もひどく、腹が汗で真っ白になった。 本馬場入場後も、返し馬など出来る状態でなく、引き綱のままスタート地点まで向かうほどだった。 去勢してこの有様なので、去勢する前はいったいどうだったのだろう。 本来ならまともなレースにならない筈なのに、いつも自分の力を出し切って、上位争いに加わってくる。 先行力があり、キレというより、ばてない持続力で、ゴールに突っ込んでいった。 故障するまでの19戦、掲示板を一度も外さなかったこと(心悸亢進による競争除外は除く)が、彼の強さを物語るだろう。 4歳のジャパンC。コタシャーンのデザーモ騎手のゴール誤認、という思わぬミソは付いたものの、堂々たるG1勝ちであった。 この時の入れ込みは更にひどく、腹から汗がぼたぼた滴り落ちていた。 故戸山調教師夫人が「勝ったのは嬉しいけど、これが小谷内だったら…」と呟いたと聞く。 小谷内騎手は落馬負傷のため京都大賞典で乗り替わり、以降、彼の背に跨ることはなかった。 彼の絶頂期は短かった。 次走の有馬記念は5着、そして屈腱炎で一年半の長期離脱。 復帰後の彼は、まるで別の馬だった。 と言っても、パドックで入れ込み、返し馬が出来ないのは、相変らずだったが。 復帰戦の函館記念は4角で末を失くし、シンガリ負け。これが初の掲示板外しである。 叩いて良くなるかと思ったが、以降も似たようなレース、惨敗の繰り返し。 直線の粘りがまったくなくなってしまった。 復帰して13戦、掲示板に乗ったのがオープン特別の一度のみ。そしてひっそりと引退。 強かった彼の復活は、成らなかった。 引退後の彼は、生れ故郷の牧場で、功労馬として余生を送っている。 パドックやレース場に似た円形の場所に行くと、相変わらず入れ込んでしまうが、本来は穏やかな性格だったらしい。 相棒のポニーといつも一緒で、ひとりきりだと寂しがって、お互いに大騒ぎするそうである。 レガシーワールド     1989.4.23生              32戦7勝              主な勝ち鞍:ジャパンC(G1)                    セントライト記念(G2)                    有馬記念2着 ---------------------------- [自由詩]虫の女/salco[2012年1月22日22時52分] ああ それはあなたを思い過ぎて変わり果てた私の姿 月光も凍てつく森で 樹液すするあたしは虫の女                      〜 パンク蛹化の女  戸川純  滑久慈爛子のゑいせい日誌 より 十月十八日 嘆くのは止したわ。 総ての鏡を割ってしまえば、それは顔を剥いだのと同じ。 あたくしに既う、顔は無い。 左手首のガングリオン。尺骨の突起を二つ重ねたよう。 貴方があの夜、強く握ったからよ。「付き纏うな」と云った、穢らわしい 賤奴の貴方。 針を刺して押し出せばたちどころに消える。 かかりつけの先生は仰ったけれど、薄い嚢に包まれた、透明な中にも透明な コラアゲンの滲出液は、一夜の記憶が形成した胚。 毎夜手首をランプにかざしてあたくしは、胎動が生ずる時を待つ。 十二月二十五日 聖夜。 長血が続いている。血まみれのお蒲団に寝そべって書いている。 食べるのは干葡萄だけ。 嚢胞はピンポン玉の大きさになった。あたくしはどんどん痩せて行くのに、 成長が遅いのではないかしら。真実は、 あたくしが立てる匂い以上の真実がある? 血そのものは、滴る感覚も幻なのかも知れない。だってこれは肉体の悲しみ でしょう? 絶望も目には見えない。 御返事下さらないのね。貴方は幸せ? あたくしの事は既うお忘れ? 十二月五十八日 雨。 人間の性は好奇心、探究心。それは解剖と解析、解体に向かう。それから 加工の過程に入る。 切開すればするほど苦しいのは、人体というものが凄い臭気を立てるから。 家畜の解体のようには行かない。 血の匂いは同じだけれど、筋肉も内臓も、骨髄も酷い匂い。 殊に貴方は酷薄な男、身も心も汚れているから尚更よ。 そんなものには慣れたくないの。香水を染ませたハンケチを鼻腔に当てて、 貴方の内容を腑分けしている。 行動原理と行動様式の糸を一本ずつ、こうして繋げて行けば、必然が全体像 を結ぶはず。 そうして十指に絡ませる。 この子は小さいままだけれど、確かに胎動を打ち始めた。 貴方は父親にならなければいけない。 あたくしは貴方の血脈に仔を通じた。逃げても無駄よ。 ---------------------------- [自由詩]永久凍土のバーゲンセール/salco[2012年2月1日22時42分] 産婦人科の待合室には アヒルみたいにヨタヨタ歩く満腹の妊婦達の他にも スーツなんか着こなして 生真面目に思いつめた石女達が列を成している コウノトリを生け捕りし キャベツに頭を突っ込んで 夫を1?残らず搾り上げたのに いまだ孕めない女達 お前の子宮は石で出来ている お前の卵巣は腐っている お前は女の不良品だと 生まれた世界に嘲られ 無用な乳房を嗤われ続け 生まれて来ない子の為に 毎日弔いの悲嘆に明け暮れている 親になりたい病を患い 人並の人生という鑑札を乞い 領有する時空の欠落部分に子という充填剤 あるいは君主をあてがおうと ひねもす狂奔している 「これは生物学と医学の勝利でありましょう!」 受胎の秘蹟は電子顕微鏡の下で行われる 試験管ベビーは畜産技術の応用だ まことに牛の卵細胞こそは祝福されてあれ! ひん曲がって詰まった輸卵管や 子袋の荒れた畑土の為 あるいは 過疎・鈍足・虚弱な精子達の為に 卵巣から直々に採卵し 針で細胞膜に穴を開け 厳選の有望株を裏口入学させてやり 適温下の試験管で胚を分裂させ ピペットみたいな輸送管で護送し 子宮に着床させてやると言うのだ 今や子宮は他人で代用に足る ゲロブスに腹を借りても遺伝の恐れは無い 石女達は頬を紅潮させ 開かれた未来の歓喜 不等な人生への復讐 双頭の切望が果たされる日への期待と不安にわなないて 診察台の上から降り 足運びに気遣いつつ明るい出口へと向かう そのスリッパ履いた足の下 ワックスと蛍光灯にテカる床の下 中絶天国の下水管を 断たれて掻き出された胎児達の血が消毒液と共に流れ 容器に人れた傷だらけの骸が裏口から 胞衣(えな)屋の手で今日も運び出される 誰にも歓迎されず 臍の緒を断ち切られた厄介者達は 人間仲間の墓にも入れず 地を汚しもせず 忘れじの生ゴミとして人知れず焼却される 存在をさえ否定されるべき者達に この世の居場所があろう筈もない 世の中には様々な親の予備軍がいて 彼らは全て無審査・無資格で親となり 工場廃液のごとく子を世に垂れ流し その俗物根性で我が子に日々 鋳型に適う入れ知恵をする 人並か並以上の人生設計で よかれよかれと歪めて行く 子は子として愛され囚人として苦しみ 復讐の季節に向けすくすく育つ 親は親として愛し看守として苦しみ 面罵と裏切り、姥捨てを待つ 産声を上げる子 上げない子 良い子 悪い子 要らない子 道程の険しいほどに気高く燃ゆるアルピニストのごとく 機能的欠陥の克服と 愛玩への飢渇を募らせた者達は 手段選ばず金額問わず 己が遺伝子を有する未来を求め 病院という病院の廊下で シロップ漬けの可愛い我が子をうっとり夢に描くのだ ドブネズミの胎児みたいに始末され あるいは運良く養護施設に掃き捨てられた 何万もの今在る子達には目もくれず 「あら。だって私は自分の子を  そんな目に遭わせたりしないもの」 ---------------------------- [自由詩]君/salco[2012年2月4日0時07分] 目を瞑っても嫌な事はそこに在る 目を瞑っても轟音からは逃れられぬように 耳を塞いでも恐ろしい事は起こっている 耳を塞いでも嗅覚は異臭をとらえるように 鼻をつまんでも根本事由はごまかせない 鼻をつまんでも吐き気をもよおすように 口を塞いでも人に沈黙はない 口を塞いでも心は殺せぬように そして地団駄を踏み隠れても 世界はなくならないよ バカづらもバカ笑いもしないのは 伝説的人物みたいに賢明だからではなく 単なる意識過剰のせい 君の神経はその部屋の空気や人口密度に ぴりぴり震え張りつめる 君の心は眼前の人の背後に先回り 四メートルの向うから自分の歪んだ笑いを見ている 君は余りに臆病なので 言葉の武装を解除しない とっても傷つき易いタチなので 心を人に語らない 心情とやらをぺらぺら吐き散らす神経壊死の口臭 俗物が平気で上げる泥水をひっかぶるのが嫌なので 神秘のオーラをコート代りに羽織っている 誰にも指を立たせないよう いつも壁を背にして立っている 君がほとんど寡黙で通すのは 話す事が無いからでも 本当に話下手だからでもなく ただ下劣な応答にうんざりしたくないからだろう ハキダメに鶴がいるように 鶴の周りはいつもハキダメだ どこでもいつでも無神経と無礼と無理解が群れている 何でこんな所に降り立ったのか そうじゃなく 君がこうしたハキダメに湧いた者なのに他ならない ある種の孤独は自身から湧くのではなく こうした人々を 生涯相手にせざるを得ないという事情に来ている 詩人の悲劇はそこに在る だってお前の母ちゃん見てみろよ… 才人のばら撒く作品を手にするのは神々でも偉人でもなく 「貴様は一体ナニ様のつもりだ?」 と眉吊りあげるハキダメなのだ 何故こうも世の中はつまらなく 何故こうも毎日は事もなく過ぎて行くのだ 興味は年ごとに一枚一枚むしり取られて とうとう君は目を逸らし窓から離れる すると今度は女房がまじまじ目をのぞき込み 冷淡な男の犠牲になった豚肉への関心を要求して来る つまり奉仕に対する感謝感激と待遇改善の督促だ ああ、 年ごとに愛が冷めて行くのは時間のせいで この不幸な女のせいじゃない どうして毎日がこんなに輝きの失せたものであるのかも 君の視力過剰のせいじゃない 虫めがねで物を見るには若過ぎて 望遠鏡で世界を見るには年を食った 思いに沈む君の足元では 玩具の車を走らせながら 幼い息子がミロの唄を呟いている この子にまだ在る背中の羽根と神々の世界に 君はすっかり磨り減った永久歯で 絶望に似た嫉妬を噛み殺す 口の周りに牛乳髭を生やし ソースやパンくずを散らかしながら 親父に向かって回らぬ舌でピーチクさえずる小人族の 手札の数に君がようやく勝るのは ゴミと積まれた語彙ぐらいのもの 経験に勝る無垢があり 論理に勝る衝動があり 君の詩才も三歳児のインスピレーションには敵わない 家庭を持つのは良い事だ 家族といるのは居心地が良い けれど時々君はやはり 九十センチ平方の孤島に立っている自分を感じる イビキやオナラを聞かせても 生涯の伴侶にすら 決して見せない地所が君にはある それは過去の沙汰でも昨夜の浮気相手の声でもなく 極めて陰険悪質な性格の一面でも 腹に隠した性的嗜好でもない 心の片隅で呟き続ける孤独の言葉を誰にも聞かせないのには ちゃんとした訳がある それは決して言葉にならないし 誰にも解決できないからだ 朝方の眠りに覚える寒気は身を起こし もう一重の毛布を要するものでもない 体温よりも一度だけ低い孤独を人は飼っている それは檻の中から決して逃げようとせず とても澄んだ声で君の為だけにさえずるし その旋律に耳を傾けるのも悪くない けれど時々やりきれない 暗闇に取り残されて 年だけ取った赤ん坊が老人の顔で泣き喚いている 時々そんな風に感じられる それは早く死にたいと言っている風でもあるし まだ死にたくないと訴えている風でもある ところで君は何に固執して生きているのか まさかこの先何か 望ましい事が起こるとでも? レールの継ぎ目の震動が? 外界に対する執着を全く感じなくなっても 君にはまだ生きながらえる理由があるんだよ しかし自分と向き合い続けるというのは 往々耐え難い賽ノ河原じゃないか こんな死体みたいなお荷物を しかも生きている限り曳きずらなければならない そして君のは他人のより 僅かに重いのかも知れないが 到達点も示されぬのに重荷をずるずる振り返れば 足跡一つ無いのだ ただ遥か前方には 人生をすっかり習慣化したもう一人の君が 半透明の巨人よろしく穏やかなバカづらをして うたた寝しているのが見える あれこそは生が付与する至高の境地と言わんばかりに それはそうだ 一つの生が終った後に残るのは 生活の残骸と色も褪せた作品群で 反吐と血反吐にまみれて来た魂ではない ああ、 と君の役立たずな溜め息が洩れる 俺は一体こんな所で何をしているのか 徒労の苦悶が君の舞台だ ---------------------------- [自由詩]ポップ オン ザ ワールド/salco[2012年2月13日23時12分] “ストライク ザ ポーズ”とマイゼルの写真で 世界を席巻したイメージの達人マドンナが 諧謔のモンスター、レディ・ガガを表敬したように 自らの薫陶を受けて来た よりエッジーな新女王と交代する時、 元女王にはABBAのサンプリングぐらいしか 楽曲が残されていなかったように かつてホイットニー・ヒューストンに浴びせられた 歌姫の称号をマライアが改め セリーヌがビヨンセが、アギレラが受け継いだ時、 声の潰れた中年のホイットニーには ふやけたアダルトコンテンポラリーぐらいしか 似つかわしい場所がない 固太りのアレサ・フランクリンが横綱並の巨体となり 小太りのチャカ・カーンがぶよぶよのオバサンになったように スレンダーなホイットニーが固太りの腹回りとなった時 さりとて懐かしのオンパレードで大御所づらするには 両人ほどの音域を残していなかった しゃがれ声はサビのハイノートでことごとくへし折れ 聴衆はそこに失望だけを投影し フラストレーションに対価を払わされて 有名無実の詐欺を働くスターの 自負の堕落に憤る うたが変わったカナリアの 生け恥さらしの断頭台 その先は ダイエットと引換えに声量を失った“ショウ・ストッパー” ジェニファー・ホリディよりも惨めな末路だったとは 48歳 エイミー・ワインハウス27歳 ジュディ・ガーランド47歳 マリア・カラス53歳 遅かれ早かれ 一世を風靡したディーヴァに 脇役で食いつなぐ道などありはしない 今年のグラミー賞は 6部門をおでぶのアデルがかっさらう ツケマが無ければイースト入れ過ぎの パンだねとさして変わらぬ控え目な 二重あごのクイーンオブポップはイギリス産 そのブルージーなハスキーヴォイスは でもマライアやビヨンセ、アギレラ、ガガと続いた またジャジーな同朋のエイミーとも違い ゴスペルやソウルの節回しに毒されておらず リスナーの耳に新鮮だ ---------------------------- [自由詩]無理なお願い/salco[2012年2月26日23時44分] やがて再び北風の中 道端のネコヤナギの蕾のように やさしい春の指先が頬を撫でようと いつか一つの曲がり角の先 私を包み、光へ導くような 誰もが期待する運命が待っていようと もうこれ以上一つだって 年を取りたくないのだ 知恵など要らない 今よりましな住まいも 衣服も舌も要らない 外に築く財産も 内に蓄える財宝も 愛しい人も 家族も要らない 夏の光に三秒で引き締まる肌の艶 機関銃のように言葉を吐き出す脳 こんな些細な快感さえ失ってしまった 軽はずみで愚かな心を胸に抱いたまま この電信柱の手前に足を止めて 出生届さえ破り捨ててしまいたい 私はもうこれ以上一つだって 年を取りたくない 孤独なら負いきれない程 背負い込んでいい どんな苦痛も労苦も払いきれない程 与えられても構わない 苦悩だろうが悲嘆だろうが 「死に至る病」だろうが 頭がぶち割れる程詰め込んでいい 何をされようと構わない ただ、年を取る事だけ免除して下さい ---------------------------- [自由詩]卦(け)/salco[2012年3月5日0時46分]  ハム派樽子の濃い占い あなたの髪に触れたいの 愛され女の特権で スキ、スキ / キス、キス あなたの睫毛を見つめてみたい わたしをどうか見つめて欲しい スキ、キライ / スキ、キライ… あなたの眉毛に手を入れたいの むさくるしいのは時代遅れよ? 鼻毛のビミョーも目に障る あなたの乳毛を抜いたらどうよ 何でここに生えるワケ? スキ、キライ / スえ?終わり? あなたのヘソ毛は放って置くわ だってばっちい場所じゃない? ワキ毛も全然そそらない ケツ毛は抜かせてもらうわね もちろん毛抜きを使ってよ 残らず金の切れ目まで ケを挟む、爪の角度  垂直に抜く、力の瞬発  あなたのモー根、半透明の わたし、ブチ / しわた、ブチ たわし、ブチ / したわ、ブチ わたし、しあわせになりたい  12星座占い 土下座    あなたはいつも遅いのです。  その謝罪は相手の度量に恃んだポーズに過ぎません。  「ごめんなちゃい」「すんませーん」で済む行ないを心がけましょう。 やく座    落し物は返って来ません。  それが小指ならば指切りが、薬指ならば婚約が、人差指なら指弾と鼻ほじり、  中指ならば洋式挑発、親指なら指圧ができません。後悔先に立たずですね。 ザム座    お気の毒ですが、人間の生よりは安楽ですから、生涯一虫けらで行きましょう。  日本には屈折の雄いや甲、斎藤*もいますから、決してあなたは1人、いや1匹  ではないのです。 前座    才は無くとも、努力は重ねるだけの成果ぐらいはもたらします。  「如才なく」とはこの事です。  ゾウリ持ちカバン持ち大いに有望、皇帝も師匠も背後から刺すものです。 頓座   煮詰まったら冷まして置きましょう。  放置プレイは行なう側の正当な権利であり、誰もが認めるささやかな愉悦です。 口座    超低金利のいやな時代ですね。ドルも77円台*に突入です。  ハイリターンの甘っちょろい夢などは断ち切って、せいぜい身を粉にして働くが吉  でしょう。 あ座   その憎悪こそが執着の証なのです。  人は必ず、何かに仕えなければなりません。  死ぬまで配偶者のせっかんを受けましょう。内出血は生あるヨロコビ。 わ座    大抵の事はこれで凌げます。  が、半端な内は必ず誰かしらに見透かされて恥をかきますから、無形文化財や人間  国宝程度になるまでは、自戒と自重が欠かせませんね。 便座    オー、ユーは人間社会にとって欠かせない、有難い存在です。INAXでは困るヒ  TOTOなりなのだと自覚して下さい。 銀座    未来はありません。  あなたのステータスはもはや、資生堂パーラーとCHANELビルヂングだけ。  誰がくそダサい和光で買物するでせうか。ご覧なさい、「ここから2億円出ました」  売場も老残の目白押し。 マ座    安んじなさい、「損して得取れ」があなたの守護天使です。  舅姑にアゴで使われ小姑に蔑まれ、夫子供に足蹴にされても忍耐第一。  子孫の訪ね所は必ずあなた。つまり人文科学ほぼ掌握です。 ファ座    諦めなさい、「骨折り損でくたばれ親父」があなたの宿命です。  淘汰的に残される父親像とは地位や資産や人品関係なく、おおむね運転手の後頭部と  肩車の記憶だけ。人類の父性は征服欲の戯画化、ただのジョークです。 *斎藤 … 吉田戦車『伝染るんです』の浪人かぶとむし。 *77円台 … これは昨年夏に書いたものです。         因みに現在は続落、81円79銭前後の攻防。         輸出関連企業の皆様にはお慶び申し上げます。 ---------------------------- [自由詩]炭水化物の夜/salco[2012年3月23日0時58分] 近頃だせーダッフルコートを ファミレスで脱いだ娘は今どき見上げたショートボブ カラーリングもメイクも知らない つぶらな瞳を見開いたまま 発育を15で停めた18歳のレジスタンスは北風の中 孤立無援にスピンする 制空権は行くトシ来るトシ、街は行くヒト帰るヒト道交法 ここは本郷 自分以外は楽しさ轟々(ゴーゴー)の夜 東武東上線と埼京線とメトロを乗り継ぎ ダサイタマのプレーリーから会いに来た黒い白髪の母さんは アキ美容室のロットによく合うファッションが当然スガモな教育一途 気軽なタッチの過干渉にエゴのマグマを覗かせて 話の接ぎ穂に困りはしない それでも説教と栄養学は控える生活習慣 琴線の傷んだ娘がわめき出すから ここはサイゼリア ぶちまけ多孔質パスタの夜 国連担保理タンポン決議に基き 内政の混乱に乗じて国交を辞さぬ枢軸 そんな敵国が撃ち込んで来る高射砲を避けるため 近視もないのに平行移動の犬喰いをする 版木に向かう棟方志功の傾きで一意専心ドリアにタラコソースシシリー風 湯気だけステキなコーンのスープ 文科?類狙いにつまずいて嗚呼、犬喰い娘は楽しゅうない トレンドと恋に尻振るだけのIQもなく ここは本郷 お先まっくら水田地帯 犬の娘は犬の娘は 澱みなくぺらぺらお喋る母さんの澱みがキライ 人生を習慣に生活を習性にドリンクバーをお得と概念 疑似餌に釣られてお財布のアルミ貨と生涯向き合うマシーンがキライ 「ママはホットでシュガーじゃなくてガムシロね」と念を押す ホワイト家族のファミリー割引につながれて 孫さんでもスカッドミサイルでもない自分がキライ 子宮で見たのは甘い夢、白亜紀パンダ期思春期後期 初潮と同時に始まったと余命宣告された人生と 人生の意味とやらが大キライ フツーじゃないのに平凡な自分が誰より何より大キライ 嗚呼炭水化物 暗夜行路の犬喰い娘 ---------------------------- [自由詩]ペーター/藪木二郎[2012年4月9日1時35分]  ばあさん  俺の両眼が  そして股間のナイフが  ずっとポイントしてたのは  あんただったんだぜ  気づいてたかい  天真爛漫  って言や聞こえはいいが  あんな馬鹿娘  眼中ねえんだよ  あんたが傅くあの令嬢も  令嬢だってこと以外  値打ちねえしな  ばあさん  あんたに口で  奉仕させてやりてえ  知ってたかい  そんなテクニック  あんたがその  肉の薄い頬っぺ  さらにペコッてへこませてな  最高だろうぜ  最高だろうぜ  だが  お高くってクールなあんただ  俺のほうが  奉仕する役  ってのもいい  長え空閨託ってた  手入れもしてねえ  その臭え  臭え部分を  俺の舌で  俺の舌で  あの令嬢の身代わりにあんたが  なんてシチュエーションも  いいな  ってわけでやっぱ  令嬢  襲っちゃおっか  そして俺は  敢えて言うんだ  引っ込んでなババアッ  まだ手前が  女だってつもりでいたのかよ  笑わせんじゃねえっ  誰が手前なんかとっ  誰が手前なんかとっ ---------------------------- [自由詩]憑依/salco[2012年4月10日22時07分] 丑二ツ 闇底の寝屋 戸板の合わせ目の 線なす月影に蒼く透け 枕辺にうずくまるおんな 痩せさらばえ ざんばらと髷ほどけ 何処から入り来たやら 長い鉤爪震わせて 寝入る頭骨に額つけ 中の夢見を食っている 寂寥の景色の委細 満ち足りた赤子の安気 そよめく抒情を音もなく ねりねり齧る もぐら眼亡者  持たざる者の哀しい憧れを  きっと許しておくれだろうね  儂(わし)とて夢を視たいのよ  取るにも足らぬ卑しい業よと  看過ごしておくれだろうね  儂とてありてみたいのよ 夢見の地所を盗み食う それで胸の洞を充たし 剽窃泪に酔うと云う ---------------------------- [自由詩]運転/salco[2012年4月14日23時29分] オレは傷つきやすいヒトだから オマエの言う事なんかに耳は貸さない アスファルトの無限の連なりに出過ぎた 赤いコートの物乞いの過ぎ去る一瞬に 一瞥を投げるのみ カーラジオの蝿・蚊の軽い唸りや カーステレオの摂氏6度の音楽を 右から左へ聞き流し、常に 耳の通りの良いのが好きだ 何故なら オレは傷つきやすいヒトだから クロムメッキの鋼鉄を着込み およそ1億2千万の人間社会をブッ飛ばす およそ8万6千400秒のフルコースを平らげる人生の およそ15億7774万5千360秒を駆け抜けようというのさ 信号の数とうるせえ規則や警告にイラつきながら 時速60乃至110で そしてヤツらは歩道を歩き オレは横断歩道をクリアする 守り続けりゃパトカーは追いつけない 怯え続けりゃジンシン事故とも縁がねえ 何故なら オレは傷つきやすいヒトだから 自滅の道など選ぶかよ ああオレはとっても傷つきやすいから 攻撃しねえし攻撃して来るヤツは許さねえ 卵黄よりも柔らかいこの心臓 クォーツ並に正確な自律神経に足掛けるハイカーを オレは絶対許さねえ オレの手がそいつのザイルの端をつかもうと オレはそして助けはしない 関わりあうのは御免だね 憐れみは裏切りに会う 愛は年老い腐って行く 未必は反則切符で責め立てる どいつもこいつもネコのように爪を立て イヌのようにいぎたねえ 盲やスターの真似でもないが オレは傷つきやすいヒトだから サングラスでささやかに武装して 夜の色で目を覆い 自分だけの太陽を護っている こっち側から見つめる世界(あっち)では およそ1億2千万の人間達と事象は 生々しさを失いセピアに沈んだ書割り そしておよそ このオレが秘宝のようにしまい込む 内面世界には踏み込めぬ距離に退き オレの安全を保障しながら 同時にオレを ヤツらの支配者たらしめている ---------------------------- [自由詩]次期村長選マニフェスト/salco[2012年4月23日22時49分] わたくしが ブロッコリーの作付面積比、堂々の全国第三位 この片岩志(かたいわし)村の長となった暁には まず、村名をブロッコ里ー村に変え 村民の皆さんにはブロッコリーの里の住民 ブロッコ里ー人となって頂き 村外から大勢の観光客、見物客を呼び込むべく ブロッコリーあたまになって頂きます 乳幼児から御長寿まで、村民の皆様には レリーフを施したアフロのカツラを配布致しますので まずは外出の際、ブロッコリーになり切って どうかひとつ、村政にご協力頂きたい 無論 特化までには長い長い時間がかかります 世界遺産の白川郷 あれは昭和という時代の指針 いうなれば「一億総未来志向」に基づき この国から茅葺き屋根の家屋が一掃された事により 独自性を獲得した集落です つまり時代風潮に取りこぼされた生活形態でしかない 淘汰を受けたのは寧ろ、周辺環境の方であったということです そこで初めて、あの保存が 近代化の効率性になびかなかった愚直なまでの いや偏狭なまでの郷土愛 その賜物だと言うことができるわけで 要は「継続」 何事もここから発祥するのです さて、わたくしの 施政方針の柱である地域振興策 その素案は以下であります JAブロッコリー学会 B8首脳国会議及び ワールドワイド・ブロッコリー(略称WWB)品評会 ブロッコリー・アイデアクッキング大賞選考会 ブロッコリー早食い世界選手権 ブロッコリーつぶつぶ数え競技会 春の全国高校選抜ブロッコリーで野球大会 ブロッコリー流鏑馬(やぶさめ)と仮装行列 それらを一括して行なう 年一度のブロッコリー・フェスティバルに向けた ミスブロッコリー・コンテスト及び 日本天パ親睦会改め ジャパン・ネオブロッコリーヘッド・コンベンションの開催 夏のブロッコリー合同慰霊祭 宮様は無理なので全国の「宮」様をお招きしての記念植樹祭 秋は日本ブロッコリー芸術祭及び 母と子のブロッコリー・スケッチ大会と ブロッコリー農家スタンプ・ラリー そして大晦日には英国の「ガイ・フォークスの夜」に想を得 ブロッコリー嫌いで知られた前アメリカ合衆国大統領 ゲオルグ・W・ブッシュ氏の尊父 元アメリカ合衆国大統領ゲオルグ・H・W・ブッシュ氏をかたどった人形を 村内引き回しの刑に処する火祭り「ゲオ・エアフォース1の夜」の開催 当面は以上でありますが ゆくゆくはGI値とピロリ菌を悪者に 「やれ行けブロッコリーマン!」の実写映画製作にも着手したい このように考えております 不肖わたくしが何故 住民票を移してまでこの地に参り 村長選に立候補するに当たって かくもブロッコリーを翼賛するのか 実を申せば十四年前まで ブロッコリーは「都こんぶ」の次に嫌いな食べ物 最も嫌いな野菜でありました 毛深く又いたずらに骨量の多い 恐らくワキガでもあろう人の夢想めく もっちゃり重いあの姿 茹で汁を隙間という隙間にぐっしょり挟み込む あの欲深で押しつけがましいモスグリーンのたわわ そして微かな紫に色づいた花蕾が発する 怒張陰茎の皮めいて紗のかかった およそ植物らしからぬ妖しい光沢より寧ろ 見かけは蝋細工の脳みそめいてグロテスクながら 色も味も歯ごたえも上品かつ愛らしいカリフラワーとは似て非なる 鼻腔に突っ込まれ脳床に突き刺さる中指のごとき あの匂い 湯気と共に食道をたちまち硬化させるあの匂いが わたくしは駄目でした しかしある日ふと わたくしは自分に問うたのです お前は恥ずかしくないのか 手下国首相主催の晩餐会で下呂を吐き昏倒した 合衆国歴代大統領の面汚し 共和党稀代のヘタレ ゲオルグ・ブッシュと同じ趣向でどうする どうやってこの世界を生きて行く? そこでスーパーに出向いてブロッコリーひと株を購い 食塩適宜を入れた熱湯でさっと茹で 鼻をつまんでマヨネーズで食べてみると あら不思議❤ すると、殆ど忘れた少女時代の忘れもしない一夜 吐き気と共にブロッコリー嫌いになったのは 隣町の激安八百屋で母が買い、食卓に供したブロッコリーが 傷みかけていた上に長茹でしたのであったに相違なく こうして 半生に及ぶ食わず嫌いを一夜にして克服したわたくしは ブロッコリーがなくては、生きて行けはするけれども 折ふし買わねば気が済まぬ人種へと転向したのでした 何しろ供給価格が安定しており 冬は輸入冷凍物、春からは国産物と 年がら年じゅう店頭にあり、茎まで食べられ ビタミンそこそこ、鉄分そこそこ、食物繊維そこそこ しかし今は、トマトが食べたいです あとマスクメロン まだまだお高い だからこそ余計に食べたい (ここでふとイチゴが食べたくなり買いに出た為、起稿途中) ---------------------------- [自由詩]デイリー××/salco[2012年4月25日23時25分]  デイリーテレグラフ 空の下 ナマズは沼の生活に不満をかこつ 淀水に護られる生態をかえりみず ナマズは  デイリーミラー 窓そとを眺めては焦がれ騒ぐ ミラー部屋で暮らすMEラー 相手にされぬ理由がわからぬ 網膜はカサンドラより幇間(たいこもち)  デイリーメール やっほーお元子? 手紙は空しいね 心化けの文字ばかり PCから画像送るとケータイの通話料すんげーって本当?  デイリーニュース あの頃は良かったと言い あの時代は苦労だったと言い今があると言い 今の時代は異なると思い情けないと思い その実、気がかりは暮らし向きと寿命だ  デイリーエキスプレス 明日も天気とは限らないと思っても 明日を見られる限りでないとは思っていない  デイリーヤマザキ まずネーミングがアレ んで連想もアレ 差別化した方がいいんじゃないっすか? せめてパン激安とか肉まん超デカとか ---------------------------- [自由詩]ダウンタウンBoogie-woogie/salco[2012年4月30日23時15分] モナコ辺りのシンデレラ リモで手を振るみんなのディーヴァ バーゲン漁りをせずに済む 女が幸運なのかは知らない 尻の軽い女だって? ここには沢山いるからねぇ パリスヒルトンのバカづらも ノーマジーンの流し目笑いも マーケティングに則ってあれ 勝ち獲るものが何であれ 腹痛からは逃れられない 空っぽ頭じゃいられない 溜め息なんかつかないよ 絵になる愁いは三十九まで あとは醜いだけだからね ふくれっ面で口笛吹いて びっこ引き引き行こうじゃないの ケツが重たい女だって? そんじょそこらにいるじゃないさ ほら後ろをフリーダが 今日も担架で運ばれて行く 背骨にボルトが入っているとさ 満身グズグズのプチビジュー ロートレック様より悲惨なのは 女王様が女だからさ 足元を見てみなよ あれはリベラな亭主のせいじゃない あの血溜りは 刺されて出来たものじゃない Oh,葛飾カーロ春日部鎌ヶ谷 ---------------------------- [自由詩]クリーム/salco[2012年5月10日23時15分] 私がクリームを塗るあいだ 兄たちは指さして嘲笑っている 私がクリームを塗るあいだ 妹たちは人形を投げ合って騒いでいた 私がクリームを塗るあいだ 彼氏たちはクイーンのベッドでTVを観ている 有線放送のAVを、私を待つ風でもなく 私がクリームを塗るあいだ みすぼらしい女には目もくれず 夫たちは酒臭いイビキをかいている 私がクリームを塗るあいだ 洗顔にすら傷む皮膚を癒そうとしているあいだ 赤ん坊たちは皇帝のごとく泣き喚いていた 私がクリームを塗るあいだ ドラッグストアの棚からやっと選んだ 安物の幻覚剤を塗膜するあいだ 子供たちは世界を股にかけて冒険している 私がクリームを塗るあいだ ヒアルロン酸やコラーゲン、レチノールからビタミンEの 謳い文句にすがっているあいだ 誰も彼もが今を享楽していた ---------------------------- [自由詩]かげぼふしのありくくに/salco[2012年5月13日22時24分]  齟齬の由来 影はいつも 動く舗道の上 坂もスルスル ずるいね こっちは歩いているのに 考える人はこっちなのに のっぺらぼうの頭の方が よっぽど考え深げ 憂わしげだ 「そうね。死体に影は生えない」  かげぼふしのありくくに へらへらと空から 足元にビラが舞い落ちた 拾って読めば頭脳に沁み込む 『このさきはかげぼふしのありくくにです。  そこではあなたのしゆたいせいなぞ  かげぼふしにすひとられてしまふのです。』 市場の取っつきには 筵敷きの陰門おんなが座ってい 鮑そっくりなびろびろの肉顔の真中から イクラみたいな卵子を毎日ひとつ 客と見定めた相手に取り出し売りつけている 「買っておくれよこの子は別嬪になる分だ」 「きっと働き者になってあんたに恩返しするからさ」 「いえね、うちは亭主がなまくらだからもう子は要らないんだ  居れば物入りでしょうがない」 つい 損壊の抉り傷みたいな陰門おんなのべろべろ言うなりに 卵子を買い食ってしまった ほら、いちばにはかげぼうしがゆききしてい ここではわたしのしゅたいせいなぞ すいとられてじったいがなくなってしまう。 ---------------------------- [自由詩]演歌のニーズを探る 2/salco[2012年5月15日22時51分]          作詞 花 水子          作曲 奥座敷まこと          歌  キャシー芭菜々田  赤ちゃん列車 あゝ、カンテラもなく黎明の 生ぐさ暗きトンネルを 母の呻きを聞きながら あゝ、へその緒が  へその緒が伸びて行く これを別れの一里塚 赤ちゃんよどこへ行く あゝ、哀愁 赤ちゃん列車 おぎゃあと生まれたその日から 母をたずねて滂沱する 夜を日に接いでシュプレヒコール おゝ、おっ母さん おっ母さんよ来ておくれ そこに辛子を塗りますか 原始の望郷ここにあり あゝ、愛憐 赤ちゃん酒場 犬には勝るが猫にゃあ負ける 四足(しそく)のバトルは理が仇よ 功成り遂げますよ父さんと えゝ、変な名前をつけられて 月並み背負い這って行く あやかりホープが偉人なら あたしゃ一体どうすれば やさぐれ街道ひとり旅 あゝ、雨降る 赤ちゃん行路          作詞 猿城寺ゴンザレス          作曲 長井 猩々緋          歌  ズンドコ太郎  青春怨歌 いい子ってなんスかねお母さん ガッコ行ってベンキョして帰ること? 偏差値上げ受験して四年制 ソコソコにジジイまで稼ぐこと? そんな願い期待通りいいですか 小六でウリ出してシャブ打たれて シャブ中のバカ親に孝と ちがいますか 得られる実利はちがいますか 覚える安堵ちがいますか 経歴のただれは差しひいて 記憶のよじれは差しひいて 悪い子ってなんスかねお父さん バカだから落ちこぼれ曲がること? 荒れ出して暴れ回り吠えること? 事件リピで家裁あずけ悪いっスか 花のようにいじめられひきこもって 息もできずリスカの誠 ちがいますか 胸えぐる子の姿ちがいますか 親の嘆き悔いの嵩ちがいますか 情けなさ不甲斐なさ晴らせますか あんた子ども楽にしてやれますか ---------------------------- [自由詩]タニング レッド/salco[2012年5月23日23時13分] Tanning red 雲ひと筋ない昼下がり 日差しがもう頬を刺す 樹々は一段と深くなり 更地の砂埃の向こう 間延びたロングショットを打ち合う 2面だけのクレイコートの4人は肌が赤い 手前の広場では近所の子供が3人 古パター、ドライバーを手に手に 野球のボールを打ち合っている と、 電柱の足元にハガキ大のチラシ 黒のゴシック体で 「あけぼの会」 パートナー紹介、出会いの場などと 名称と文面から察するに高齢者用らしい  ふん、爺さん婆さんの「あけぼの」ね しかしチワワの丈ほどの所に こんな小さなチラシを貼って誰が見るのだ 目線位置ではすぐ剥がされてしまうのか それとも犬に用足しさせる老人の視点に 合わせての事なのか 犬猫が無聊を慰めてくれようというのに 男女交際、夫婦関係の煩わしさをまだ繰り返したいのか それでもじき死に行く身なればこそ 泣いて骨を拾い、2年でも3年でも仏壇を拝んでくれる そんな相手が地球にひとり、遺した居間にひと時 いてくれたら消え甲斐もあるというわけなのか かくも老残は生なまと侘しいか ---------------------------- [自由詩]うんこ座り考/salco[2012年5月24日23時21分] 例えば 渋谷のセンター街でうんこ座りしている若者を 通行の妨げになるからと追い立てるのは仕方ない がしかしモラルを問うのは的外れである 何故なら アルツハイマーのじじいなどは衆人環視で「本物」をする 半世紀も先駆けて公理と自戒の裡に生きて来ながら 晩節になって矯正の余地が微塵もないとは 一体どうしたことか そう、退行に成長の要素はない 進行あるのみだ 若年性の撚(よ)れは 反動というより寧ろ 発情期のディスプレイに類する「表示」である これは一過性の発現であって 実際、ああした姿勢は脱力に見えて 脊椎にも下肢の血行にも相当の負担をかけており 長時間耐えられるものではない 人間にとって一番楽な姿勢は畢竟 座位・立位と歩行を含めた四肢の運動と 臥床の適切な配分に於いて実現される 又 有機溶剤等の過剰摂取で 眼球が黄変し歯が溶けかかっている場合も 将来的には脳間室の拡大が懸念されるものではあれ 収賄で家のローンまで賄う官僚のキャリアよりは 自己犠牲という取引の公正に於いて 正道なのは言うまでもない ---------------------------- [自由詩]マルガレーテ ニヒトステュレン(Nichtstüren)の配偶/salco[2012年5月29日23時23分] 短針はいけない物でしょう?  あの人に消失の堆積を告げ口するのだもの 毟り取りました 長針だけがぐるぐる回る愛らしさ それは日を終わらす害意がない、 健気な女の恋ごころ 窓も扉も塞ぎましたよ内側から あの人が憧れたり、出て行こうとするから 朝が来ないようにしました 男が勝ちに出たがるなんて そんなの大うそ 征服と領有にはじき飽きてしまう 男はみんな死に場所を探している 捨て犬みたい ひと頃、先端をドアノブに結んで置いて 旅する距離ほど伸長できるなんて 陰茎牽引機が流行ったけれど あのネフローゼ詩人が死んで以来はすっかり廃れたのが いい証拠 物書きなんてみんなうそつき 絵描きと違って みんなみんな虚言癖の詐欺師 夢想や現実に忠実な人なんて一人もいやしない 結末に至る長口舌をひねくる手管だけ 女の所に行くつもりだったのでしょ? あの時 でも脛を砕いたのは、何もそのせいじゃない 私をぶたないようにするため 手じゃないのよ、ぶつのに要るのは 人の腰より低ければ、貴方はただの侏儒(こびと) 蹴倒されるだけのいざりの僕(しもべ) 第一、手が無ければ手遊びできないでしょう? それは絶望をもたらすから、あんまりかわいそう 手指はとても大切な器官よ、人間には 爪のお手入れと同じくらい、精神的にも さあ、食事にしましょうか よだれ掛けをしましょうね ふーふーするのよ、熱いから ほらほら、もっと冷まさなくては駄目 でも、もう猫舌とは言わないわね またそんな目をする 私に意見しようたって、できないくせに そんな怖い顔はやめてちょうだい 罰じゃないのよ 上の歯を取ったのとはわけが違う だって、罵詈雑言なんか誰が聞きたい? 口論なんて、お互いちっとも建設的じゃないでしょう 貴方が腹いせにクリトリスを噛み切った時は死ぬかと思ったし 怒りに焼かれもしたけれど 心の傷はもっともっと癒えにくいものよ? 止血と縫合の術が無いもの 第一、怒りにまかせたもの言いは自分を貶めるだけ 私だって厭気が差す 睨まないで、お願いだから 貴方の目はそのままにして置きたいの 素敵だし 見えなくなったらもっと手がかかるでしょう? へとへとに疲れたら、もう愛せなくなるかも知れない そんなむごい事はとてもできない だからほら、あっちを見てみて? 今日は新月を描いてみたの もう四つ目 いつか赤ちゃんが生まれたら、壁はぜんぶ塗り潰して フランス窓とお日様を描くつもり でも、貴方に元気がないからまだ先の話 私のは指しか産めないぐらいに狭いから お産がとても楽なのよ 広口瓶にぜんぶ漬けてある ---------------------------- [自由詩]女神の肖像/salco[2012年6月13日23時36分] この顔はデンマークとか何とか そんな緯度の産 しかもダ・ヴィンチの 妖艶ヨハネが指差す方角からの下賜品 ってところ そして色素の少ない 血色もないこの乾いた肌は ケルトの俗謡、ドルイドの神託を体内に秘めた サクソン人の女 というのが似つかわしい それは多分、千年の眠り かそけき滅びの寝息 混血を重ねた遺伝子に残存する 遥か古代民族の征服劇と凌辱のすすり泣き 毛穴から立ち昇る ローマによるキリスト教化以降の ノルマン人に始まる侵略の塩基配列 だから背景に陰鬱なハイランドの空を感じさせる 濃緑にひしがれたアイルランドの無明がある ヒースの曠野 古戦場の雲雀のさえずり 夕景に翳るハイ・クロス 夜の森 灰色の、柱廊の反響 そう、風の音がする女 静謐の饒舌がある シェイクスピアの女だ すらりと細い、楚々たる非業の女 愛するが故の末路を辿らされる女 デスデモーナの寝室 オフィーリアの裸足 レディ・マクベスの困惑 ラヴィニアの泣哭 シェイクスピアは こんな女が好きだったろう 搔きネタ代りに書いたのかね  さぞかし愛し憎んだだろう Shakes Peare 頭の中で か弱くつれない女を 翻弄 愚弄 凌辱の狼藉三昧 尻の青いジュリエットや赤ら顔の乳母ほどの諧謔と機智さえ 哀れな佳人の舌先と心映えに置いてやらないペンの苛み ミソジニー 粗筆チンポの嗜虐趣味ってところか いや、インポだな ---------------------------- [自由詩]世界のハゲとクズのための歌/いつも神様の国へ行かうとしながら地獄の門を潜つてしまふ人間[2012年6月19日16時40分] そんなんじゃまだ俺は倒れなかった そんな言葉じゃまだ俺は壊れなかった でも実はわりかしギリギリだった 見上げる空はビキビキ鳴ってた 今にも割れて降ってきそうだった でもそんなことなかった 自分の性欲は許すけど 他人のは とりあえず許さない よ ナイトクラブとかはぜんぶ爆破したい 絶対に許さない 街で首振りながら歩いてたらコンクリの敷道からBakoooonって腕が現れて Gasiiiiiiiて俺の足首握って Zowaawwawawa って教会の共同墓地に力一杯ひきずっていく妄想をしてたら マジで着信アリ びびった 友達から なんか彼女と別れたってさ 結婚すんのかとみんなおもってた 飛行機雲で綴られた 巨大なくそったれ を見上げるくそやろうども 俺たち 穴兄弟ばっかり つまりクズ そんなに空を仰ぐなら もうまじでみんなでお手手つないで天にでも帰る? そんときゃ金も薬も女もナシ な いまんとこそれが揃うのは地獄と地球だけ 鉄色が吹いて錆びちゃった風 街 すこし苦い みんながみんなをみつめるような街 そこらで売ってるどころか 出し抜けにプレゼントされる 愛 とか呼ばれてる もの でもいっつも ちょう天気は良いし 雲ない 街 天使とか降ってきそうだけど じっさい降ってくるのは 科学スモッグと昆虫とファックユーだけだし ガンギマリ 瞳なんてもうまじ虹色 朝から虹色でオナニーして飯食って昼寝して起きて吸って音楽きいて吸って晩飯くって吸って眠るを週5 普通にクズだねって言われますね haha ジャンキーのつらいとこね これ さっき話したのと別の友達は飼い猫に逃げられたそうです 何言えばいいかわからないっす 行ってしまったひとは帰ってこない そのことはたぶん俺たちが一番よく知ってる 愛想ないやつ には絶対しない愛想笑い 愛とかさ ぶっちゃけガニメデくらい遠くにあるきがする 俺が興味あるのは俺の痙攣だけです 花火大会があるから行こうよってまじめんどい でも女の子が来るらしいからやっぱいきます! 俺が興味あるのは俺の痙攣だけです シャッフル再生のiPodなんて狭い場所で ハゲのアメリカのパンクのおっさん が世界中のsorrowを歌う はっ?みぜ’りー?そーらうー? いずんだらばっれりじぉん? I don't give a fuck about that kind of shit thoughts; I also don't give a fuck about that slut anymore and er well, oh, by the way, will you say hello to the God? Only if it's possible. He was supposed to take away all sadnesses around the world, wasn't he? Or he dosen't care about us at all. なんてとりあえず強がってみても 聴いてたら結構いい曲だった つうかすげーいい曲だった とりあえずようつべ貼っとくから見れな 俺はふつうに泣いた haha なんてな こんなふうに俺は感情にすぐほだされるよ すぐ感情は俺を変えてしまうんだし そして俺はすぐ意見を変えるよ 赤旗と白旗を上げ下げするよ やれやれだよ でもしょうがないよ 生きるってそんなしゃあない感あるよ 日が暮れても 夜の訪れも 海の向こうで戦争が始まっても どっかのビッチががっつり犯られても たとえお前がそいつに惚れていても 薬であらゆる思い出を透明にしてしまった奴も そいつの父親が自殺しても 彼女が風俗をやめなかったとしても 友達の猫が逃げても 知らん奴の犬が死んでも 浮気しても 教師をいじめ殺した子供たちも 毎晩ほんとだれでもいいだれかと手をつないで寝なきゃいけない病気のひとでも あいつを殺したくても だれかを愛したくても 駐禁くらってまじ罰金いてぇでも 飲んだビール瓶が第三インターナショナルみたいに整列しててうおおお革命でもはじめようかあああって馬鹿げたテンションにも お前まじありえないでしょ セフレと間違えて双子の姉をアナルファック まじ鬼畜 中出しの時に別人だってきづいたって まじばか いっぺん存在なくなったほうがいいかもよ って言われたあいつも ナチュラルもんじゃをふみつけて とびちって うわ きたねぇまじついてねえくせえし くそったれな人生でまじクズ 普通にクズ 単純にまじなめてる 生きてる価値ない って 女に無表情にいわれて どういう風に生きたらいいか わかんないし ていうか失恋とかひさしぶりだし なんか損した気分だし 傷ついたし でも俺は真心をわすれなかったはずだし というかそんなに辛いのはぶっちゃけまじだりい 普通に死にたい 的な誰かの独り言にも 俺のすげー好きな奴にも まじぶっ飛ばす奴にも 殺したい奴も 救いたい奴も 世界に向けて吠えつづけるハゲのアメリカンのおっさん自身にすらも ”There will be sorrow.” 「悲しみはそこにある」 くそったれ! そんなの12歳のときから知ってたけど ふざけんな 思い出したろ お前おいおっさん ハゲのくせに そんなに美しく歌うから 悲しみがなにか美しいものに思えてしまうだろ 悲しみが美しくなるなら密かに悲しみをささげたものたちが美しいものになっていってしまうだろ やめろ 俺たちのくそったれなものどもをそんな風にするな それは決して美しくしなかったものだ 否定したものだ 俺は少なくともそれを罵倒して呪って焼き殺しながらそれでも生きてきたんだ その日 夜空にはでかい花火があがりまくった でも空は壊れなかった あ あれは 幻覚でみたな でもこれは幻覚なんかじゃない 今俺達のみてるものをそういうふうに否定してはいけない それはダサイ たしかにそこにあるもの そこにあっては消え失せるもの もう戻ってこないもの 綺麗な花火 綺麗なもの 街には光の破片が舞った まるでそれが癒しのやり方のひとつに思えたようだけど 本当だったのだろうか? あんなに大きな音をだしながら衝突してるのに 壊れない空 そして一番大きな花火が上がる 一秒前 ハゲは世界のために歌いだす THERE WILL BE SORROW! Yeah, THERE WILL BE SORROW! 花火はまるで凍らせた銀河を放つように弾けた 昔 知ってた 人の匂いが 空に帰っていった気がした 僕たちはこれでよかったのかもしれない 僕たちはこのままでも これからも すくなくともその時はそんな風に思ったんだ haha クズのくせにね  あと女の子はなんか途中で帰った +ブスだったからどうでもよかったなあと思いました それから友達とドライブに行きました ウィンドウ がん下げ 大きな声で歌を歌いました  そしてポリに幅寄せくらいました haha くそったれが http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=there%20will%20be%20sorrow&source=web&cd=1&ved=0CFkQtwIwAA&url=http%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3Dt1-OOj38QpM&ei=yjbfT4eQBMehiQfpgO2SCg&usg=AFQjCNFKb1MSMw0FgfwErIWAKrPbxCGbew&cad=rja ---------------------------- [自由詩]腸詰めをものする/salco[2012年6月24日23時55分]  成分非表示 1本のソーセージを自我とする 貫く串はリビドー又は時間軸だろう 小麦粉と溶き卵、それに砂糖 このブ厚い衣が自尊心 適温の食用油で適宜に揚げる これは処世術(セオリー)と言える 外はカリッと 中はフワッフワ 仕上げにケチャップとマスタード 適量の楽しみ、スパイスの添加は欠かせない こうするとソーセージの質を問わず おいしく食べられ、小腹を満たせる 実にコンビニエントだ そして串の尻にこびりついたカリカリの欠片 このいぎたないひとかじり分が恐らく 私の実質  誇大広告 1本のソーセージを戯画化する それは男性器1本しかないだろう 性欲と繁殖の前哨基地いや砲身 雪隠詰めの朕詰めはだがしかし 噛んではいけないのだ 優しく舐め且つ適宜に吸わねばならない この作業は 雑食動物の歯牙にとって厄介な事だ およそ ヒト科以外でこの業に励む動物はいるのか ま、犬猫のは自己グルーミングだ 母親以外はやらない 朕の支配欲は 一定の女性器への収容により鎮静し めでたく去勢を見る 「属する」 それがヒト科唯一の幸福論である これをケツ論という 属性の恒常的安泰を得てヒトは初めて 自由への飢渇で心おきなく遊ぶ事ができる これを心因性解離包茎もしくは いい御身分という フランクフルト・ソーセージの自己認識 この過大評価は幻影でしかない 何故なら怒張とは方法論の過程形態であり 自ずと委縮を以て完了とする でないと日常生活に支障を来す これは体面の対海綿体機制 もしくは淫果おほほほと呼ばれる 男は神経学的に不利ですよ 形態機能からしてストレスフルだ 長生きを望めるわけがない ---------------------------- [自由詩]検証 淫らはマグダラか馬鹿野郎/salco[2012年6月30日22時10分] まるちん・るったー ヴィッテンベルクで思索の散策中 村の娘をやっちゃった 長いおくれ毛、まあるいお尻 めくれ上がった唇が まるちん・るったー  そそったと まるちん・るったー 女子高生をうまうま触る通勤中 エスカレーターでスマホ出す 夜の路地でずぼんを下ろす 独居の女を付け回す まるちん・るったー  君子豹変 おそそそそそそそ  楚々楚々粗相素 「天は自らを助くる者を助く」 だと? まるちん・るったー  中学教諭 小学生にみだらな行為 まるちん・るったー  捜査課刑事 取調室でいかがわしい行為 まるちん・るったー  施設長 入所者にわいせつ行為 まるちん・るったー  堅物仮面 てめえら全員ちょん切ってやる 「天は自らを助くる者を助く」… サミュエル・スマイルズ『自助論』 (おまけ)  せんごく せんごくセクハラ せんごくはらセク ラクハくセごんせ クセんごくせラハ おとこは たつたつ  おいぼれ びんびん せいじか ったった せいしょく ンビンビ せんごくセクハラ ラんごクせハくセ ラセんごクせくハ ハラせんごくセク せんせい いせいせ せいせい んせんせ せんしん こくこく せいせん しこしこ ---------------------------- [自由詩]替へうた/salco[2012年7月20日0時33分]  人災テポドン       東京ムービー企画部 作詞    平壌ダービー企画部 補作詞    渡辺岳夫 作曲 父から昇った正日が 草場へ沈む(あっ たいへん) これでいいのだ これでいいのだ ドン ドン テポドン テポドンドン 人災一過だ テポドンドン 柳の下にはドジョウだね 政権移譲だね(えっ 正恩) 世襲いいのか 世襲いいのか ドン ドン テポドン テポドンドン 丸顔一家だ テポドンドン 三十そこそこ二重あご 腹が布袋腹(ウワ 食べ過ぎ) 社会主義だな 社会主義だな ドン ドン テポドン テポドンドン わかりやすいね テポドンドン 人民代表会議は 拍手大会(ウッ 党員代表かっ) 白紙委任だ 白紙委任だ ドン ドン テポドン テポドンドン 独裁国家だ テポドンドン ソ連が後押し、今チャイナ キツネやり放題(キャー ショボい) 今にヤバいよ 今にヤバいよ ドン ドン テポドン テポドンドン 時代は動く テポドンドン 経済、外交両輪だ 軍備はその後ね(ヘッ 順序ぎゃく) さかしまビンボー さかしまビンボー ドン ドン テポドン テポドンドン 旗幟喘鳴 テポドンドン  トム某の至極    老嬢過疎  詩集「布巾」より 嫁は出て行く、娘幼く 夫トム某お仕事中 男やもめは三度目トム某 愛想尽かしの寝耳水。 先妻も大きく育って独り立ち、 おめーは谷崎ピグマリオンか。 先手必勝、法廷策 アキレス腱切り、親権まず王手 あることないことリークするわよ、 離婚調停は蛇のみち クライアントはやり手をたのむ。 金の成る木に、美味い汁 銀行口座にいやというほど入れてよ、 人生リセット、リニューアル。 この養育費が破格でしょうか、 近所のガキの五、六十倍 私大医学部なら二十人分。 どっぷりカルトのお先棒 超能力者の称号とその気が自己実現か、 自我拡大で至極をめぐるトム某。 妻縁トリロジー、だよねタクティクス 真理を求めて荒唐無稽と宇宙戦争 理念に憑かれてあたら現をどぶに捨て、 不惜身命と堅忍不抜か不撓不屈 おめーはひとり花田兄弟か。 阿呆なトム某のひとりクルーズ 永劫不滅を目じるしに。 ---------------------------- (ファイルの終わり)