ルナの未有花さんおすすめリスト 2009年4月22日12時37分から2010年5月6日10時07分まで ---------------------------- [自由詩]夕暮れ 橙 さびしんぼう/未有花[2009年4月22日12時37分] 夕暮れ 橙 さびしんぼう だあれもいない公園で 影踏み かけっこ かくれんぼう 風といっしょに遊ぼうよ いつも泣いてる あの子とふたり 遊びにおいで またおいで ぶらんこ お砂場 すべり台 夕日に染まって待っている 明日も遊ぼって待っている 夕暮れ 橙 さびしんぼう だあれもいない公園で ---------------------------- [自由詩]私がふたごだったとき/未有花[2009年9月3日12時57分] 私がふたごだったとき ずっと森で暮らしてた ふたりおそろいの服を着て 毎晩同じベッドで夢を貪りあった ふたり一緒にいること それが当たり前の世界だった 私がふたごだったとき 世界はひとつきりしかなかった 庭にはいつも同じ花が咲き 季節は春と夏しか知らなかった 変わらない風景と代わり映えのしない日常 狭い箱庭の中の世界がすべてだった 私がふたごだったとき 空想することが生きている証だった ふたり裸足で森を駆けめぐり 森のあちこちに物語を埋めて歩いた いつか思い出したときにまた読むために 埋めたところには必ず目印をつけた 私がふたごだったとき こんな幼い夢がいつまでも続くと信じていた 世界は私たちを裏切ることなく 少女のままずっと一緒にいられると思ってた 大人になる日が来るなんて 恋をする日が来るなんて永遠に来ないと信じていた だけど大人になって恋を知ると 私たちはふたごでいられなくなってしまった やがて森は消えてなくなり 季節に四季があることを初めて知った 空想だけで生きていけるわけもなく 少女の幻想はあっけなく壊されてしまった 私がふたごだったとき それはきらめく光にあふれた記憶 愛しくも愚かなやさしい時間 物語の続きだけは森の中に隠されて いつしか母となり新たな命を宿したとき きっとひそやかな夢の息吹を感じることだろう ---------------------------- [自由詩]秋は詩人/未有花[2009年10月14日12時38分] 道を歩いていたら 言葉が落ちていたので 拾いながら歩く 拾った言葉を並べてみたら 詩のようなものができたので 額縁に入れて飾っておく 紅葉が一枚 はらりと落ちて そこからまた言葉が生まれて行く 秋は詩人 たくさんの言葉が生み落とされて 落ち葉のように そこらじゅう言葉で埋め尽くされて行く 世界はたくさんの詩であふれている 夕焼け空を眺めながら ススキ野原で風に吹かれながら また言葉でも拾いに行こうか ---------------------------- [自由詩]五月の窓/未有花[2010年5月6日10時07分] ようやく僕の窓にも光が差して来て 暖かな日差しを感じるようになって来た めいっぱい窓を全開にすれば この病んだ部屋にも新鮮な空気が入って来て まるで心が洗われるよう しばらく窓辺で風に吹かれていると おいで そこから出ておいでと 誰かが僕を呼ぶ声がする その声に導かれるように 窓に手をかけ足をかけ 思いっきり窓の外へジャンプすれば ああ なんて眩しいんだろう 僕が窓を開けない間に 季節はいつの間にか夏に変わっていて 何もかも緑色になっていた いつもは窓辺を飾る花が もうすっかり散ってしまっていて ちょっぴり残念だったけど 僕の大好きな季節がやって来る そう思うだけで心はときめいて この緑に今にも溶けてしまいそうだよ もうあの部屋に戻れなくったってかまわない いやむしろ戻りたくない気分 このまま緑の中へエスケープ 僕は風になるんだ ---------------------------- (ファイルの終わり)