草野春心のおすすめリスト 2016年2月8日20時59分から2022年2月15日17時47分まで ---------------------------- [自由詩]ミサイル/はるな[2016年2月8日20時59分] ミサイルは 花のうえをとんで どっかいった あぶないから 線の内がわをあるこう くるまが、ほらこわいよ というと 花がはじめて こわい といった ミサイルも だれかに抱かれたり 泣いたりすればいいのに ---------------------------- [自由詩]ちがう/はるな[2016年2月25日0時04分] 夜をむかえるのと 朝をむかえるのは どうちがうだろう うえになるのと したになるのでは 愛するのと 愛されるのでは 生きてくというのと 死んでくというのは どうちがうだろう あなたに入っていくのと あなたが入ってくるのは 行ってしまうのと やってくるのとでは まるでちがうのにね ---------------------------- [自由詩]せまりくるぅ9ケツ/狩心[2016年2月26日12時03分] 望むことを できないジキがあり 望むことを できるジキがある ジィ〜キル歯貸せと ハイドゥ死のように ぱっぱか、ぱっぱか、 お産まサンが進む 産婦人科のお前は 富士山になる前のフジテレビだ! は? 一人の人間は、歯が型型震え、 単純 には居られない 遥か彼方の意味が挿入される 通り魔の事件簿で ボシ手帳で画面の顔面が連打されるビンタで 目を覚まし 字を殺せ 濁点を無くした純粋なるシ そこから始まるお前がある お前が今と握手する前のお前 それは過去ではなく、きっと未来だ! 与えられた意味ではなく お前の本質の 比喩の姿を探せ あ〜あ、やってられないよ 麻薬の雨が降る惑星で 一つの事は 一つの事ではなく あらゆるものが集約されて そこにキている 何が集ケツしたのか イシキ的に理解するのだ ジィに騙されるな いないいないバァを信じろ か弱き人間のソウ、 今という質量をゼロにする 無限の握力を見せつけろ 到底叫ぶことも許されない ワームホールを抜けた先に キミーの正しさがある ただしそれが質量ゼロでなければ キミーは偽りになるぞ! 私はキミーという外国人を知らない 一体誰なんだチミは そう言えばぞうさん ハナ切ってからの 大量の出欠マント広げて体を包み youパックする爆撃チタイで お前、何ぞ!?という口も加工して 最新式のテツのチャックという  素晴らしいコウソク具 それをぶち破る内臓の肥大の 飛び出す弾丸の半径十メートルは死すの 結果、 内蔵が無いゾウ サンの出来上がり つまり、 シンボリックに シして 固まる 蠢く、定まらない、生身の人間 幽閉を超えた  事業としての死生  案山子としての俺一本 片足で たった一つを指差して シンボリックに シンで 固まる 他者には分からない 違う座標に居たものタチがさまよい、切り刻まれたタイ、席を無くした 消えそうな直角、二等辺サン角形の先端が作り出した二人の、 一人としての人生の交差地点と その意味を 美学は誰かに見せるためではない、 己が死なないために または生身を超えて  死ぬために 必要だっただけだ ここで終わらせられるはずなのに お前が愚駄愚駄している間に ほぅら、9ケツが並び始めてしまった 壁に埋め込まれた形で 理々生前と  ソウ、 濁テンのイチはスデ二決められている 2ケツの 走り去る 亡例の 恋人達の アィ〜ンの先に  妻好きを挿入 という言葉は 恥ずかしくて癒えない者劇の イシの 惨殺ブタイの狙撃 という案山子タチの 一本の、ターゲットの夢に ああ、チが呑みたい ニジ色の嘘の中にアル callのテツの味を 紙、閉める のだ アイ、シている君の首を絞めるように 一つの、電子の手が 実のように肥大化して ほぅら、僕らが産み出した仮実だよ? 百花繚乱の仲、 僕が腐るなら、君が咲こう たった一つを指差して シンボリックに シンで 固まる 内蔵が無いゾウ サンの出来上がり つまり、 シンボリックに シして 固まる どうだキミー チミという名前に カイメイするキはないか さらば我がアイ! イ色白濁の仲、 カミのケツが、僕の眼に  入ってくる、  9ケツをグルグル巻きにして、僕は 目覚めの仲で眠る。 ---------------------------- [自由詩]出会いと別れの雨が降っている/伊藤 大樹[2016年2月26日21時34分] 息を止めるのも 生き方のひとつと気づいて 息を止めたまま 水に飛び込んだ 晴れていても 目に見えない透明な雨が降っている 名前も知らない人とのあいだにも 透明な出会いと透明な別れが まるで見たこともない川のように流れている その唐突な雨に打たれまいとして 人は透明な傘を差して出かける 決して思い出すことのできない秒針が繰られる そのような愚かさを抱きしめることのほかに 人は人を愛する術を知らない いつ去ってもいい場所にいることの慰めに 透明な雨は 透明な傘を貫いていつまでも思い出に人を濡らす ---------------------------- [自由詩]かもめ/はるな[2016年2月26日23時31分] またくよくよと絵の具を捏ねては黒くしているあなた 飛べないばかりか落ちていくこともできなくなったあなた 海だとか空だとか持ちだして悲しんでいる いいよ いくらでも このあいだふたりで行ったコーヒー・ショップ 甘いだけのドーナッツ 熱いだけのコーヒー 指についた砂糖みたいに 忘れながら愛している ---------------------------- [自由詩]辞書/はるな[2016年3月13日1時39分] さいしょは辞書を食べるのがいいとおもったの すべてがなにかということと 言葉の味と、紙のにおい うそだよ、とか、そんなものないよ とか それか、 ほんとうにすべては正しいのだ というひとが現れても あなたが冗談というならそのために生きようかなとおもった でもそういうのは幻想というそうだ ---------------------------- [自由詩]シャッフル  /【幻想30】作品/ハァモニィベル[2016年4月5日16時14分] *  シャッフル 雨合羽の内側みたいに湿った霧の夜 水槽に堕ちた帽子のように少しずつ想い出す 刻まれたまま床に散乱している時間 ボロボロに傷ついた 一枚一枚を拾い集め 飴のように粘りつく記憶が 繋いでいく連続…… 音楽は何処に? 電池切れの 玩具の楽器といっしょに ゼンマイが壊れたまま 押入れで眠る 幸運の映写機のとなり 幾つもの景色のなかで、 沢山の雨滴が接着剤のように 窓に貼り付いたまま取れない。 バッグを抱えたご近所さんが二人、船出してゆく。 その後をゆこう。 腹痛を抱えた白鯨のように。 明るいデパートの地下を 泳いでいこう 切り札のない一○八枚のカードを 並べて迷いながら 壺のなかの血のようなエーテルを ひと匙垂らした 牙でできた勾玉よりも 薔薇の缶詰を買うために * 《 シャッフル 2016年四月五日 ,幻想詩30への企画投稿, 》 ---------------------------- [自由詩]切って縫う/DFW [2016年7月27日23時37分] 夏の髪は濡れている わたしの髪が揺れている 遠浅の海はそのなかで年老いていく 形態が機能に従い それぞれの行為が所定の位置に置かれていく 気晴らしのような裁断の美しさは それはそれとして分裂、いや放棄しながら 語りつくされないものの姿勢で縫製された 物乞いの上着のような夕空を それぞれの面が最初の層に引かれ、めくれた空白の羽根となり ワタリドリのように横断した 夏のうね曇にまでとどいた塔の貯水槽から 投与される 点滴 を 、 写実の 水粒を 奥 稠密する不毛性の また 奥 に 推移しながら重ねられ 溢れながらも汲みあげられる 縫い針の限りのないインフォームドな投身 テーブルマナーの悪い静脈の影を仮どめしていた マチ針が はずれ いましがた留置された 再生の胚芽に いたり 疲れた子供たちと まどろむ 比較的平らな円の角に寄りかたまり まだ眠れずに夢みている 青い目の物静かな老女は リメイクにはわりと向いた夕凪だと考えて 空をみあげる ワタリドリたちが通りすぎた跡に重ねるハサミは傷のような矢印 ---------------------------- [自由詩]ぬれた犬/はるな[2016年9月25日3時33分] ぬれて可愛い犬のあたまを撫でてやる 自分の手が よいもののようにみえてくる ほんとうのことを言っていればいいと思っているひとのとなりだと まるでほんとうでないように見えるわたしの手が なにか よいもののように思える あなたたち いつまでもぬれていないで はやく もとのところへ かえっていきな 撫でた手いっぱいに 雨を湛えている ---------------------------- [自由詩]あいたち/はるな[2016年10月3日23時41分] もうそれは溢れてて、熱くて こわれるみたいに鳴っていた わたしは切るところがなくなって 肌ざむい朝を待って 家をでる やわらかいブーツとか、とくべつなジャム、 相槌がわりの歌詞やクレヨン、 ほつれはじめたアルバム、コルクボード、字 言葉よりまえからそこにあった愛たち 何万年もまえから、そもそものはじめから それは溢れてて、熱くて、 どうしようもなく鳴っていた ---------------------------- [自由詩]下北沢/5or6[2016年11月3日23時39分] もう 花を摘まない それが素敵だからといって 紫に心を奪われた時があった あれはいつだったのか 井の頭線で下北沢に向かう途中だったのか 定かではない そういえば 最近虹を見ない きみも見てない ないこと続きでも 泣いてなんかいられない 流されない 止まらない きみを忘れない ---------------------------- [自由詩]ときめいて/もっぷ[2016年11月29日17時52分] 東の海 三月もまだ やがて/ひかり 訪れる あしたの その故郷に わたしの 椅子はありますか それはおさない こども用の やがて わたしは名を覚えますか 戴けて、悟ることができますか がっかりしないことができるのでしょうか 信じてみたい あなたを 地球を 心音を なにも視得ない 闇は/いま ---------------------------- [自由詩]せん/はるな[2016年12月4日23時43分] あなたがわたしにひいた線は しずかに沈んで いまはもう ほとんど わたしになりました 種から花へ あるいは花から種へ その季節ごとにひいた線は たがいに絡まりながらなお伸びていきます わたしがあなたとひいた線は いつのまにかふたりを断ち切って いよいよ深くなったときに 水を湛えてながれはじめました 秋がきて 冬がきて 涙がこおりはじめても それはながれて ながれて ながれてました ながれてました そして しずかに沈んで 種たちを抱いて 春を呼んでます ---------------------------- [自由詩]すみれでいっぱいになった/はるな[2016年12月10日20時45分] だれかのためにしたいと思うとき 胸はすみれでいっぱいになった 雨のあとのコンクリートみたいにふしぎに澄んで すみれでいっぱいになった そもそものはじまりとして 世界は美しく ひとはひとりでばらばらだから ばらばらのすきまがいっぱいになった 望んだり離れたりしながら 愛っていいだけのものじゃないと思う いいものじゃないと思いながら愛するとき 胸はいっぱいになった 世界じゅうが世界でいっぱいになった 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まぶた つめたいね 泣いて、ひかりは増えた 増えてもたりないけど わたしの足はあるくから いつか家につくよ ---------------------------- [自由詩]詩を書いてよ/はるな[2018年2月24日1時40分] 春だし煙草が吸える場所はどんどんなくなるし 取りこわし多々 街の自我崩落 もっと詩を書いてよ 泣いたりわらったりして詩を書いてよ 枯れながら苦しんで書いてよ ひかりがひかるみたいな当然さで詩を書いてほしいんだよ 朝の雑な愛しさで書いて 星が壊れるのにさわったみたいに書いて 書いて それで また 詩を書いてよ ---------------------------- [自由詩]さよなら/たもつ[2018年6月8日18時16分] 僕に関係の無い人が笑っている 僕に関係の無い人が泣いている 僕に関係の無い人が風に揺れている 僕も少し風に揺れながら口を開けて あの日のことを思い出そうとしている あの日、が何のことなのかも もう思い出せないのに さよなら 幸せになることばかり考えてた ---------------------------- [自由詩]凡庸な/はるな[2018年7月13日8時11分] あなたの 爪をきってやるの 忘れていた 過去がひとつづきだと まるで信じがたい 新品の朝 お湯はいつもどおり 湧くけれども 忘れながら 愛すと決めたのに 髪は伸びる ありふれた夢だった みたかどうかも 思いだせないくらいの でもたしかに ---------------------------- [自由詩]熊を抱いて眠る/はるな[2018年11月14日21時59分] 十匹めの 熊を抱いて眠る 波寄せて ひいていく ながい一瞬に あらゆるものを天秤にかけ そして 壊しました 抱いたまま ゆきます 壊れながら 熊たちの なき声を 眠りに焼べながら ---------------------------- [自由詩]教室/たもつ[2020年1月21日21時40分]     木立ちを抜けていくのが 私たちの木立ち だからすっかり抜けてしまうと 教室がある 先生は、と先生が言うと 先生は、と復唱する私たち やがて始業のチャイムが鳴り つまりそれは 今までの授業は何だったのだろう 昼間、給食が波のように押し寄せ 波が給食のようにほぐれ 午後には風やそれ以外も吹き始める 犬に形の似たものを答えなさい、という設問に 覚えたての母の名前を書いた私の答案は 二度と返ってくることはなかった 先生は、(先生が) 先生は、(復唱) 教室から木立ちを抜け 木立ちはすっかり抜け落ち 後は延々と水みたいに坂道が続く 祈り、という言葉を簡単に使ってはいけません と先生に注意された私たちの祈りは 本物や偽物よりも多分ずっと儚い     ---------------------------- [自由詩]光りはじめる/はるな[2020年1月25日0時22分] パンはもうすぐ焼けると思う 夜が来たり 雨が降ったりする 人間の気持ちを傷つけたくて仕方がないときがあり 着替えて 街を廻る そんなふうに 蓋をして 砂みたいになっていく 精神というものに水を与え 地べたにねそべって踏まれることで やっと固まる自我らしきものが ただの砂だとわかったとき きみの背中が 前触れもなく光りはじめる ---------------------------- [自由詩]明滅/たもつ[2020年4月2日22時17分] お言葉ですが、と言った男 確かに言葉に違いない うまく喋る 来年の言葉も昨年のように喋る 言葉は耳で聞くものではなく目で見るもの 肉体だからね、目で見る  山下君、山下君だったね  はい、山下です、お言葉ですが 細い首にネクタイが結ばれて歪んでいる 肉でも体でもないのに 自分自身であるかのように直す 山下君は街を歩く肉体のひとつ 街には縦に川が流れ 丹念に探せば階段もある 生きているものしか上り下りできないから 山下君、今日は どれだけ上り下りしてきたのだろう  階段ですね、お言葉ですが うまく喋る 三日後の階段について喋る 肉体への愛が見てとれる 愛は一人で支えるもの 誰もが一度はそう思う 明滅する魂たちの遊び おそらく魂は肉体に甘え過ぎでしまった すべては夜になる 親戚のように世界は寡黙になり 山下君の夜のお言葉だけが続く ---------------------------- [自由詩]たべる/すいせい[2021年1月24日1時11分] 橋の上をゆく歩幅が すこしずつずれていく きっと 地軸の歪みが 音符をともなって 溢れだす 太陽の果汁 つるんとした前歯に 舌をふれさせて たどたどしく呼んだ名と たゆたいながれこむ音 やがて膨らむ果実が  すなおな身体となって 器を みたしていくのだ 炊飯器で焼いたパンじゃなく 誰かの歌った歌でもない 階段の隅にほころんだ影に やさしく手をのばす かかとに食い込む石の道の その勢いで飛び出して 風に乗るために必要なことは きっとすでに知っている ほほに いのちが道しるべとなって 光っていた ---------------------------- [自由詩]夏/はるな[2021年8月30日21時49分] ひどい気分で目を覚ますと、今日はもう終わっていて どうしてかわからないまま靴を履き替える さめた湯を浴びて 窓を開ける 今日はもう終わっていて かといって明日も始まらず 室外機の唸りだけが響いている ---------------------------- [自由詩]洗濯物/はるな[2022年2月15日17時47分] あなたのかわいい おくれがちな相槌 寒すぎて ちょっと笑ったよね 愛してたけど 愛じゃなくてもべつによかった 隣りあう洗濯物 使いふるされた工具 石ころ 乾いたスポンジ そういうものでも べつによかった あって ついでに ちょっと笑うなら 愛じゃなくても べつによかった ---------------------------- (ファイルの終わり)