イズミナツキのおすすめリスト 2006年7月2日19時55分から2007年6月19日8時01分まで ---------------------------- [自由詩]灰色吐息/仲本いすら[2006年7月2日19時55分] 暑いこの夏を乗り切るために 人々は、まるでエアコンのように 乾いた声を漏らしている。 口では冷たいこといって おしりでは、汚いこと 吐きまくって。 暑いこの夏を乗り切るために テクノクライシスのマイライフ 素通りしていく。 HEY. 気づいているのかい。 HEY. そこに真意はあるのかい。 寒い夏が来なくてよかったと思う そしたら人々は それを乗り切るために ストーブのような 乾いた叫びを、漏らすのだから。 こぽこぽと。 ---------------------------- [自由詩]天地騒ぎ/ペポパンプ[2006年7月3日20時00分] 雨よ降れ 風よ吹け 雷がなり 眠る妖精 拳を上げ 根性出し 底力見せ 男の意地 元気愉快 緊急事態 緊張状態 放心状態 ---------------------------- [自由詩]七夕の下/ペポパンプ[2006年7月7日20時00分] 川で魚を釣り 川で洗濯する 魚を焼き 風呂に入る 一緒に食事して 一緒にドライブして 一緒に川辺で話す 一年に一回だけ 笑って泣いて 楽しく話しましょう こんな日が毎日ならいい この日の為に働く ---------------------------- [自由詩]背水の陣/ペポパンプ[2006年7月10日20時01分] いつも水を背にして 戦う もう後には引けない。 負けられない。 苦しむ 悩む 嘆く 生きている間は頑張る いつ死んでもいいように 今を大切に生きる 切腹も厭わない 悔いなく精一杯生きた。 ---------------------------- [自由詩]ポッキープリッツポッキー/仲本いすら[2006年7月10日21時04分] プリッツとポッキーの違いって何よ? と聞かれても チョコがかかってるか、かかってないかだろ としか言えない。 成分がどうのこうのとか そもそも名前が違うだろとか プリッツはビールに合って ポッキーは紅茶に合うだとか プリッツには様々なバリエーションがあるけれど ポッキーはどこをどう変えても結局はチョコレートなんだとか 結局はただ小麦粉を焼いた棒状のお菓子なんだとか そんな事いえたら もう少し話は続くんだろうけど なんとなく、何も言いたくなかったから ポッキーのチョコレートの部分を舐めとって これで、どっちもおなじじゃない?と 恥ずかしながら言ってみた。 ---------------------------- [自由詩]優しさ一杯/ペポパンプ[2006年7月12日20時00分] 真綿のように 柔らかく アクアブルーのように 澄んでいる 貴方の心は 1マイル先をも 見ることが出来る 邪心がない 貴方の笑顔は 優しい 貴方のピアノは 楽しい ---------------------------- [自由詩]ケトルマン〜毛の裏を太陽に〜/仲本いすら[2006年7月14日20時13分] 僕らもいつか禿げて来る 禿げてくるから光るんだ 僕らはいつか禿げて来る だからこんなに悲しいんだ 毛の艶を太陽に 掲げてみれば 見事にパサパサ 僕のキューティクル ジダンだって 温水(ぬくみず)だって たこはちろうだって みんな みんな生きているんだ 負けていられない。 キミだって、いつかはツルツルになるけれど ボクだって、いつかはツルツルになるけれど 聞いておくれ。 聞いておくれ。 プロポーズの時には 「ボクの髪がなくなっても 愛してくれますか?」と 言わなくちゃいけない。 いけないんだ。 僕らの髪も生きている 生きているから息絶える 僕らの髪は生きている だから大事に育てたい トントンと叩くより 優しくなでて 「がんばれよ」って言ってあげて そのまんまだって アルシンドだって たこはちろうだって ミンナ 昔はフサフサだったんだ バカにすんじゃねぇ。 ミンナ昔はフサフサだったんだ そんな昔は育毛なんてなかったんだ でも。 でも。 でも。 髪の毛の量とかで 人生が決まったりするわけじゃ ないとおもうんだ。 だって、だって、 みんな みんな生きているんだ 友達なんだ。 ---------------------------- [自由詩]何度目かの遺言/蒸発王[2006年7月17日21時49分] 旅先で 必ず訪れる旅館があって 其の庭には 花をつけない 見事な桜が佇んでいた   花をつけないのは   私のせいなんですよ と 其処の女将は笑う 彼女は下働きの仲居から ここの一人息子と結婚し すぐに夫が死んだので 首尾良くと言うか 何と言うか 玉の輿によってこの旅館の女将となった人だった だから色々な嫌がらせが耐えなくて 長い事 苦労したらしい   毎日毎日   もう駄目だと   明日の朝には起きずに   死んでいたらどんなに楽かと   毎晩毎晩   寝る前に遺言を遺したんです   誰にも言えなかったから   庭の桜の木に ね    いつからか 遺言を告げられ続けた桜は 花をつけなくなったという 遺言はもう日課だと 笑う彼女には 昔あったであろう陰りは無く 結い上げた白髪が 少しの憂いを秘めて 上品な白金に輝いていた 夫に先立たれても なお この旅館を継いだのは 何より 女将がこの宿を愛していたからだろう 其れを支えた 花をつけない桜の木が 私は 少し羨ましかった **** 久しぶりに訪ねると 女将は庭の桜が見渡せる一室で 病床についていた 私が見舞うと 彼女はころころと 花のように笑った 遺言の日課は まだ続いているらしい 不躾ながらも気になって どんな遺言か聞いてみた   あら   昔から同じ遺言なんですけども   お客様には何時も言っている言葉ですよ 恨むことなど 空しいだけ 一生懸命になれば 自分の非力が良く判る だから この世の感謝をこめて ただ 一言       (−お元気で−) ******    初春の夜明け 何度目かの遺言を呟き 女将は旅立った ふと 濡れた瞳で 庭をみると あの桜が 何度目かの遺言を受けた 桜が 何年も 花をつけなかった 桜が 一気に 満開の花をつけていた はらはらと 散らす花弁の 其の数が 彼女が告げた 遺言の数のようでもあり 涙 を 流すようでも あった (−お元気で−)    ---------------------------- [自由詩]夜/武富諒太[2006年7月20日0時17分] 僕は 今日も 身の内に孤独を飼いながら このまちを歩いている 人として話す言葉が 僕という存在の上をすべり 君はあくびをしながら 空を見つめている 長く暗い闇が明けた時 君はほっと息をつくのだろうか 僕はこの闇と居る方が うそぶいて人間をやるには都合がよい 君は人の愛を求め このまちを歩くけれど 僕はこのまちで 人に出逢うことはない ---------------------------- [自由詩]朝/武富諒太[2006年7月21日7時18分] 夜更かししないで 朝に会いに行こう 僕が目覚めた瞬間(とき) 朝が生まれる 木々の緑にも ビルの谷間にも 光と共に 等しく降りそそぐ 寝ぼすけの誰かさんの 夢をくすぐって 雨にぬれる日も 静かにひろがる 僕が生まれた朝は もう 戻らないけれど 何度でも出会う 今日もまた 会いに行こう 朝に ---------------------------- [自由詩]生きとし生ける者/ペポパンプ[2006年7月21日20時00分] もうお前はいらない! それは私をどれだけ 傷を付けただろうか その言葉に泣き崩れた 私だって 貴方みたいにかっこ良く 生きたいけど生きられないのよ だって私は不器用なんだもの...。 私はこの世に必要ない と言う事なの? 教えて、お願い 私はどうすれば良いの? ---------------------------- [自由詩]鶏頭の花/結城 森士[2006年7月21日23時12分] 風、吹き 障子が揺れた時 襖から、祖母が顔を出した 時は既に遅く 襖から、祖母が顔を出した 葬儀の前夜 その白い布の下から 祖母が顔を出した 少年が泣いた 時は既に遅く 祖母が死んだ いずれ何処かへ行く風の様だ 彼はお墓の前で水をやる 鶏頭の花に水をやる いつか墓の後ろに 鶏頭の花が顔を出した 風、吹き 少年の空 祖母の雲 鶏頭の花、咲き ---------------------------- [自由詩]夜   晩夏/武富諒太[2006年7月24日0時27分] 欠けていく 月のもとで 君と愛し合う 風に呼ばれ 二匹の猫と戯れて 君を味わう 曼珠沙華の色と 虫の音が 君を満たしている 少し 湿った空気が 君と共にある この世界に 生まれて 君を愛さないという法はない 水たまりや 人気のないビルに 君は溢れている ヒトは 夢の中で 君を思う 僕は 下弦の月のもと 君と愛し合う やがて 朝日がめぐるまで ---------------------------- [未詩・独白]詩のダンス(仮)/武富諒太[2006年7月24日23時01分] 詩って詩って詩って 言葉のダンス 初めて出会った恋人たちが ささやくように 歌いかける はじめのステップはぎこちなくても 言葉のリズム 胸の鼓動 詩って詩って詩って 恋のダンス 愛に出会えた僕たちが ささやくように 踊りつづける  Pas De Deux(パ・ド・ドゥ) 文字という形になる 言葉という愛の結晶 君に出会えた喜びを いついつまでも 紡ぎつづける ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]詩が好きなんです、多分。/仲本いすら[2006年7月28日19時59分] 「人に語りかけるような、優しい口調の、飾らない言葉で綴った詩を描きたい」(僕にとって詩は風景画と似た感覚なのであえて「描く」と表記します) そう思ってたはずだったんです。 かっこいいことはいえなくたっていい。 ただ、自分の気持ちを比喩だの倒置法だのそういうめんどくさいもの抜きにして 素直に表現できたらそれでいいって そう思ってたはずだったんです。 でも、だんだんと 少しずつ、別に誰かのせいってわけじゃないのだけれど 誰かのせいで、僕は詩にかっこよさを求め始めた。 たしかにかっこいい詩ってのは大事だとおもう。 と、いうよりも詩にもかっこよさは大事なんだとおもう。 そのかっこよさっていうのは、モデルなどが着てるかっこいい服とか そういう部類の「かっこいい」ではなくて 「ねぇ、見てよあの人。全員ラフな格好なのに一人だけスーツよ」 「ほんとだー、まじめ気取っちゃってバカみたぁい」 とか言われちゃうそのスーツの男のかっこよさ。 (あくまで持論ですがね) そういうかっこよさが大事なんだと思うんだ。 でも、だんだんと僕の詩には モデルみたいなかっこよさを求めるような、そんな傾向が出てきた。気がする。 今だってそうなのかもしれない。 それでも僕は今でも 「人に語りかけるような、優しい口調の、飾らない言葉で綴った詩を描きたい」 と思ってるんです。 「巨乳な女の子とヤりてぇなぁ」とか「楽して金稼ぎたいなぁ」とか そういう誰もが頭にすこしはあるような願いとおなじくらいのレベルかもしれないけど 確実に僕の心は 「人に語りかけるような、優しい口調の、飾らない言葉で綴った詩を描きたい」 そう思ってるんです。 そんな僕でも、詩人を名乗っていいのか?なんて そんなこと聞いたりしません。 「おまえ、結局何が言いたいの?」なんていう人もいるかもしれませんが 結局僕が言いたいのは 詩が、好きなんです。 そういうことなんです、多分。 ---------------------------- [自由詩]空っぽの僕を捨てたら/武富諒太[2006年7月30日21時34分] 空っぽの僕を捨てたら 誰かがやってきて 僕のかわりに僕を生きてくれるのだろうか 2丁目のさんちゃんがやってきて 僕の顔で笑うんだろか それとも 僕だったはずのモノは さんちゃんの身体(からだ)になって笑うんだろか 空っぽの僕を捨てたら 隣り町のゆきちゃんがやってきて そっと捨てられた僕を拾うんだろか ゆきちゃんは家に持って帰って そっと被ってみたりするんだろか 空っぽの僕を捨てたら 僕は何処(どこ)へ行くのだろうか ただ 夕闇に溶けて 風に紛れてしまうのだろうか 空っぽの僕を捨てたら 僕は本当に空っぽになれる 空っぽの僕を捨てたら 本当に 空っぽに ---------------------------- [自由詩]空の寿命/けんご[2006年8月7日20時22分] 湧き水の底から 三日月が現れて 私に問うた 空の寿命はいかほど? さあ 太陽にも相談しませんと 何とも言えません 太陽は山の端に隠れる最中で やさしく 月と太陽がかき消えるまでです と笑って言った それは随分遠い日の話で と私も笑って 夕闇に沈んでいく空を眺めた 最後に小さくなった太陽が 微かな声で 空の寿命より 地上の寿命を気にしなさい 地が廃れても 星々は巡る とこぼした ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記号の人/仲本いすら[2006年8月13日19時59分] ボク達は、記号というヤツに囚われてると思う。 それが悪い方向に転ぶか、いい方向に転ぶかは 人によって違うとして。 パターン化された思考、パターン化された日常。 まるで誰かにプログラミングされてるかのような そんな日常。 そういうのを感じる人だっていると、ボクは断言する。 いや、別にボク自身がそう思ってるわけではなく、ね。 たとえばボク達は、メールやチャット(中には手紙などでも)で 「顔文字」というものを使う。 (*´∀`*)こんなのや ・゚・(ノД`;)・゚・こんなの (´・ω・`)こんなのだってあるし |Д`)ノ⌒●〜*こんなのだってある。 顔文字というのは、つまり 私たちが文字では表せない感情を、記号を使って表してる と、いうことですよね? これはつまり、私たちは日常・・・記号に囚われてるってことになりませんか? だって、たとえばですよ 例として 「やっほー(*´∀`*)ノ 今日バイトの面接受かったょん(* ̄д ̄)y-〜〜〜〜 これでやっと、金欠から脱出できるヽ(=´▽`=)ノ」 なぁんてメールがきたら 「お、こいつ相当嬉しいんだな」とか思ってしまう(と、思う。) 私たちは、記号に「人」を見出しているのではないだろうか? メールなどで、顔文字が使われていたら それは明らかにその「相手自身の顔」なのだ。 (*´∀`*)こんな顔文字が着たら、相手は喜んでいるのだと思い ・゚・(ノД`;)・゚・こんな顔文字が来たら、相手は悲しんでいるのだと 思ってしまう。 それがどれだけ怖いことか。 いや、怖いというのは語弊かもしれない。 しかし、記号だけに囚われるのは危険ではないか、と ボクは言いたいわけですよ。 顔文字(記号)なんてのは、今の気分がどうであれ 指先ひとつで作れちゃうわけです。 私たちが普段使う「つくり笑い」なんかとは違い それは完璧な「笑い」。 簡単にだまされてしまう。 記号に囚われないで。 記号を使うだけじゃない、言葉を上手に使ったコミュニケーションが とれたらなら、ボクは しあわせなんじゃないかな、とか 思ったりするわけです。 言いたいこと、まとまったかなぁ。 ---------------------------- [自由詩]たまご/仲本いすら[2006年8月14日20時27分] たまごを 割るように 涙を 流す そんな人が 好きだ 誰かを 傷つけもせず 自分も するりと 誰かに 溶けて 真ん中に 咲いて。 ---------------------------- [自由詩]虹/導[2006年8月30日15時24分] ほんとは 虹の出てる場所ってあるんです ただ人間は その場所がわかんないだけなんです それだけなんだと思います ---------------------------- [自由詩]ピアノ深理/導[2006年9月2日1時10分] 奏でる音で   眠りを誘い   ピアノ線で   肉を切り裂く     黒光したホントの心   ピアノが奏でる裏側の   ピアノが奏でる罪のうた ---------------------------- [自由詩]幻想生物のマリオネット/こめ[2006年9月22日22時42分] ゆっくりと少しずつ時計は時を刻んでいく 叶わないとしていながら 行動に移してスグに失敗 悲しみの奥底の小さな穴から見える 希望絶望そのほかの 万華鏡に反射した波長の光が 規則的に僕を攻める 限りない物なんてないのはわかってる 実在しない物を掴み取ろうとして 矢印の向く方向へかけはしる 破壊衝動押さえ込み心の中はデストロイ わかるか?わからないのか? わかりたくないのか?わかってもらえないのか? わかってたまるか 激しい雪に身をこすりつけ 泣きじゃくりながらスノーマンを作り上げた リモコンで操作してるはずのテレビには 砂嵐しかうつらない コントロール不能の幻覚生物を マリオネットにして無邪気に遊んだ 夜の公園に一人たたずむ 未来を覗く物は ブランコをこぎながら夜空みて 世界の最後を見届けた このまま溶けて消えてしまいたい ---------------------------- [自由詩]飛行機雲のSOS/こめ[2006年11月11日21時26分] ガラスの割れる音に気が付き起きる毎日 命綱なしで挑む世界の破壊神 黒い沼に一粒おちた血の涙は 瞬く間に血の光景を広げていく 二酸化炭素濃度100% 夢の中見えてる確かめないダイヤの原石 スピーカから流れるレクイエムの中 アトランダムに見え隠れする 捜して見つかることがない 砕け散った僕の理想感覚 闇をはらって光を殺して 真っ青に染まった空に 飛行機雲のSOSが一つ描く 拾った小石を大空高く投げかけること 心臓に根を張った悲しみの花は もう開花してやがて苦しみという花粉を まき散らす 繰り返された裏切りの連続に 痙攣怒り衝動感 かまかくはじけ飛ぶ雨の滴が 全てを無言のままながしさる 切り取ったハズの集合写真の中に 思い出などとうに存在しない 響きわたる気高き轟音 涙のカケラをすべて集めて 見たくもないのに求めてる 君だけそう僕を忘れていなくなるだけ ---------------------------- [自由詩]或る紙すき職人の遺言/蒸発王[2007年2月1日19時05分] 最近の紙ってのは 紙じゃないね ケント紙だとかルーズリーフだとか 下らない にじまない紙の何処が紙だというんだ 紙はね にじんでこそ紙の価値が問われるのさ とくに 和紙はね 手すき職人が1枚1枚魂を込めてる そこに滴る水一滴 墨の一欠けら 時には血でさえも 落ちれば吸い込み 深く深くにじむ にじめば手すいた人間の魂が 紙の上に見えるものなのさ 俺の手を見ろ ほら 薬品でガサガサだろう ちり取りって言って和紙を作る時 ゴミが入らないように取り除くときにヤられる こんながガサガサ1つとったって 同じ職人なんぞいない この手ですくんだ 違いも出るし にじみ方にはクセができる 和紙はあんな薄っぺらいのに 幾層に上重なってるのは もっと色々な温かみだ それでねお前 俺が死ぬ前には遺書を書くから もちろん俺の紙を使って 最期の手紙を書くよ 墨はにじんで 俺の紙にしか出ないにじみ方をするだろう 其れがあればいつも一緒だ それからねお前 俺が死んだら 骨壷を包むあの白い袋 あれあ和紙で その和紙をお前がすいておいてくれないか そうすりゃ独りで逝くんじゃない 其れがあればずぅっと一緒だ だからねお前 ちゃあんと紙すきの修行しろよ 後々困るから 薬品には注意して 後でハンドクリーム塗れよ ガサガサになるから あのねお前 泣くんじゃないの これで涙ふけ汚いな ああそうか この懐紙も俺の紙か お前の涙は 俺の紙の上で こんなにじみ方をするのか なかなかどうして 綺麗じゃないの 『或る紙すき職人の遺言』 ---------------------------- [自由詩]HELLO〜母星〜/仲本いすら[2007年2月12日19時26分] 浮かんでいる事に 疲れてしまった彦星(ひこぼし)が 君の引力に 導かれて 冷たい、 アスファルトに クレーターを 作りだした そこから生まれるのが 儚い愛情だって、 僕は全然構わない (大気圏を突入する際には) (多少揺れることがございますので) (しっかりと) 君と繋がっていたい 囁く愛は、 宇宙規模で (多少揺れることがございますので) しっかりと、 抱き締めていて。 MOTHER。() ---------------------------- [自由詩]そんなこんな/導[2007年2月17日0時48分] 真っ暗な部屋で あなたの声を聞こうったって 聞こえてくるのは 窓の向こうの 道路を走る車の音と 時計の針の無機質な音くらいで 他に時々聞こえる音ってのも ぼくのお腹が鳴る音くらいだ ---------------------------- [自由詩]LOVING YOU./仲本いすら[2007年2月19日21時27分] 僕はこれから逃げ出そうと思う 自分自身に宣告をし終えたら、 吐き出し損ねたその心臓を出し これから二人蒸気船に乗ろう。 誰かの為の架け橋を潜り抜けて 涙がバイバイの形に成長したら どうしようも無く愛を語るから いまさら覚悟しておいて欲しい I CANT STOP LOVING YOU. ワインレッドの海に到着したら 僕の手をもう二度と放さないで そして二人また見詰め合うの、 世界の始まりの事を語り合って 結局答えは見つからないから、 また二人見詰め合ってそれから I CANT STOP LOVING YOU. いつも通り寝坊をしてくる君に 明日の朝大真面目にこの話を、 放課後のゆったりとした空気で 何にも染まらないよう話すから I CANT STOP LOVING YOU. 僕の頬が赤くても、笑わないでね。 I CANT STOP LOVING YOU.        LOVING YOU. ---------------------------- [自由詩]古惚けた朝/仲本いすら[2007年3月2日21時53分] 起立、気をつけ、礼を繰り返して 僕らの夢は近づいてゆくのだけど それだけ涙を流す量は 増えてゆくもので 僕はまた今日も机に突っ伏する。 * 「おはよう」の一言が懐かしく響く。 放送事故による君の早めの告白は いつの日にか当たり前になってしまって 「おはよう」の一言が懐かしく響く * * さよならだけは どうしても言い慣れないけれど、 むしろそれで良いと思うことにしたのは あの人の涙にまた会えたから * * * BGMは、いつも決まって チャックベリーだった * * * * 8ミリビデオの中の僕らは 不思議と綺麗に泣いているけれど すべてを美化してしまわないように タイトルはまだ付けないようにしている それを君は 逃げだというが それもすでに物語の最中であることを、 * 起立、気をつけ、礼が続いてゆき 僕らの夢は触れられるほどになったけれど それだけ涙を流す量は 増えてしまっていて * *** がらんとした教室に 蛍光灯の突き刺す灯りと 草臥れたフロアワックスのかおりが広がっている そこから産まれたデジャビューに うなだれながら 黒板の真ん中に ただ一言だけ、遺してゆく * **** さよならは、言わない。 * ***** 明日の朝おはようを告げるのは 無機質な目覚まし時計だけ 朝食にはベーコンエッグに カリカリに焼いたデニッシュ しかし 明日の朝おはようを告げる相手は 無機質にりいんと鳴るだけで 昨日の余韻を噛みながら また明日へ進む準備として リクルートに染まっている。 人間を、 続けている。 * 着席。 始業のベル。 ---------------------------- [自由詩]AO/導[2007年5月18日22時24分] (それを希望と呼ぶには絶望的で) ボクは あてのない希望を握りしめて 待ってるから (それを希望と呼ぶには絶望的で) 時々 その希望を落とす事もあるかもしれないけど (それを希望と呼ぶには絶望的で) きっと どこかの親切な人が拾ってくれて 目立つところに置いといてくれると思うから ずっと 無くさないように握りしめてるから いつでも 振り向いてよ (それを希望と呼ぶには絶望的で) 心配しないで この希望にそんな輝きはないから 大丈夫 眩しくないよ (それを希望と呼ぶには絶望的で) ---------------------------- [自由詩]造花(笑えない世界だからこそ)/仲本いすら[2007年6月19日8時01分]   僕はいつになったら日本人をやめられるだろう! 僕らはいつになったら地球人になれるだろう!   nan-nan-nanan-na" nanan-na" nan-nanan-na"   僕らのこと.jpにアクセスをちょうだい 月の裏で泣いているなら迷わずにちょうだい 終電に間に合わなくなったら僕の家に泊めてあげる 温もりの残るクローゼットを貸してあげる     なんなんななんな ななんな なんななんな   学校にいったら机がなくて 僕らの夢には花が添えられていて いくつ数えたら大人になれるだろう いくつ引いたら昔に戻れるだろう   Naaaaa!!! 隠しもったプライドで 十二指腸ねじれてる 大事に持ちすぎたせい 根元の方から腐ってる   Naaaaaa!! ずる賢い僕らは 君の身体を狙ってる 船のふりして今日も 君が開くのを待ってる そんなこんなで今日も 野外生活は続いてく   nan-nan-nanan-na" nanan-na" nan-nanan-na"   nan-nan-nanan-na" nanan-na" nan-nanan-na"   Ahaaaaa!!!! 冷えた顔して今日も 誰の笑顔待ってる 殴られたあとから 君が少しずつ生える   Ahaaaaaa!! 冷めた夢なら今日も また無意味に終わってゆく 僕白馬君王女 結局僕は救われねえ 救われねえ   Naaaaa!!! 隠しもったプライドで 十二指腸ねじれてる 大事に持ちすぎたせい 根元の方から腐ってる 水をやりすぎたかな 根元の方から腐ってる   Ahaaaaaaaa!!! ティッシュ配りの女の子 少しだけはにかんだ後 僕の一歩手前でこっそりと倒れていった     僕らは日本人をやめて 地球人になって 小さな世界を歌うんだ 幸せなひとも そうじゃないひとも 不思議と笑みが溢れて そんな世界を皆が願っているのに!(いるのに!)   Naaaaa!!! 隠しもったプライドで 十二指腸ねじれてる 大事に持ちすぎたせい 根元の方から腐ってる   僕らが花開くには ちょっと水分が多すぎただけ   涙の数が多すぎただけぇぇぇ!!!!!   nan-nan-nanan-na" nanan-na" nan-nanan-na"   nan-nan-nanan-na" nanan-na" nan-nanan-na"   (S○it!!!)   ---------------------------- (ファイルの終わり)