有紗の恋月 ぴのさんおすすめリスト 2005年8月24日6時46分から2005年10月4日6時28分まで ---------------------------- [自由詩]とんび/恋月 ぴの[2005年8月24日6時46分] 君は覚えているだろう 君がはじめて掴んだ自由は 真新しい買ったばかりの自転車に乗って 得意げに街中を走りまわる事。 そして今 世間との関わりを君は海に投げ捨て 白い灯台すれすれを斜めに横切っては 潮風を翼いっぱいに受けている。 「今さらどうすりゃ良いのか」と言いたげで 僕を嘲笑うかのようにあたりを飛び回るけど そんな君でも人恋しいのか 水平線の彼方までは飛び去ろうとしない。 君の望む自由ってやつは 下手なコラージュで描いた青空のようで 何処までも平坦な青さの中に くるり 吸い込まれていく。 ---------------------------- [自由詩]もぐら/恋月 ぴの[2005年8月30日6時52分] 何だか最近こんな感じだね ちょっと手を伸ばせば 君の優しさに触れられるのに 何故かためらってしまう あのゲームと一緒かも 無数の穴凹から僕のあたまは 勢い良く飛び出しては 怯えたような顔をして直ぐに引っ込む 誰かを傷つけたくないって思いは 結局自分を傷つけたくないだけさ 自傷行為は暗い夜の淵から 「こっちへおいでよ」 と僕を呼んでいるけど 弱虫だから こそこそ後ずさり 毎度毎度の逃げ腰って感じだな 手のひらの感覚は結構あやふやで 箱の中で掴んだのは、もぐらのしっぽ ---------------------------- [自由詩]フルムーン・フルボディ/恋月 ぴの[2005年9月10日19時24分] 満月とは中秋の名月 ゆらゆら揺れる水面にて 時と戯れる 満月とは君の面影 苦しい時も笑顔を絶やさず 額の汗をそっと拭う 僕は忘れたりしないよ 君の優しさを 君はひたむきに生きてきた そして、これからも 慌ただしい日々の暮らしの中で 小さな幸せを指先で確かめながら 生きてゆくんだよね 時には、ひとりワイングラスと戯れ センチな想いに浸ってみる それも良いかな 寝静まった夜更けの台所 チリ産の赤ワインと美味しいチーズ そんな君に 秋の虫達は「頑張れ」とエールを送り 確かめあう絆の深さに フルボディの芳醇な赤ワイン 心の底のわだかまりを ゆっくりとアルコールで溶かし 満月の夜は更けていく ---------------------------- [自由詩]恋の捨て方/恋月 ぴの[2005年10月4日6時28分] 君は寝た振りが得意 わかっていてもウッカリ騙され 今朝もゴミ捨ては僕の役目 君は大人だから 分をわきまえているよね 僕はと言えば歳はくっても 燃える恋と燃えない恋の分別さえ 未だに出来なくて 君に窘められてしまう お金は一向に貯まらないけど 恋は夜毎に溜まる ゴミ袋一杯の恋 あの娘の何気ない仕草に 通りすがりの見知らぬ女に 勿論、君の手料理にも恋するよ 胸一杯の恋 どうして人は恋をするのだろう 心に溜まりすぎた恋は鬱陶しくて 息苦しいからポイ捨てしよう でも取って置きの大切な恋は 君の知らない 君の気付かない 秘密の場所に隠したよ スーツ姿で両手に提げる 燃える恋と燃えない恋 ゴミ捨ては僕の役目 ---------------------------- (ファイルの終わり)