フリーダムの秋葉竹さんおすすめリスト 2019年2月28日23時49分から2020年5月5日7時25分まで ---------------------------- [自由詩]こらえる犬/秋葉竹[2019年2月28日23時49分] 小さな神様は二人いて、一度現れて そして影となり、二度と現れなくなった とてもむかしから飼っている犬がいる 夜は犬小屋で静かにしている 死んだような影を落として 鳴き声をこらえている さいきんでは遠吠えを忘れたようだ もう、長くないのかもしれなかった 水の無い川があった 是山橋の上から 薄日さす河原を眺めた 犬は飼い主を探して 転げまわるように運命に操られていた ほんとうに大切なことは すべて犬から教えてもらったけれど けれど 犬が言葉を喋るわけもない こともないにしても、 尾っぽをヒラヒラと振りたくり 丸い目をして伝えたかったのは ただ新しい冒険に出よう。 そんなことより 魅力的な影がある、 のが真実だとしても。 二人の少年の笑顔も泣き顔も期待どおりだとしても 小さな神様は二人いて、一度現れて そして影となり、二度と現れなくなった ---------------------------- [自由詩]すなはま/秋葉竹[2019年4月6日12時06分] さかなのひれが走り 海はのどかに青い石をのみこむ くじらのせなかに白い かげがえんえんと生えている むろん海だけじゃ 生きていけないから あたたかなほうようをおこなうのは 水平線でのことだ 空とだ うそだ 私とだ じかんが止まっている いや、 止まっているのは、夢か でも弾き飛ばされた すなはまでひとり膝をかかえて 笑いながらななつのうみを 呑み込んで苦しくて泣いたりする 笑いながら泣くなんて 誰かさんみたいなんだね? ---------------------------- [短歌]漆黒流星群/秋葉竹[2019年5月3日1時37分] うっすらと 黄昏ふりくる流星群 みえない心で死んでゆく星 好きなあの人と夢で手を繋ぎ あてどなき地の サファリを駆けたい 恋なんて安心できたら恋じゃない 殺すか死ぬかの アイスピックだ 酔い醒まし 昨夜のお酒の罪重く 夕焼け空に三日月ゆらゆら ふられたの 冷たい雨が肌を打つ こんなの恋ではないって言ったね 濡れている この唇はあの海で あなたにキスしてもらった夜から 枯れたはず 花や香りはまぼろしで 死んでゆく恋 ただ舞う想い出 春が来る 空の彼方にツバメ舞い 新しい恋、風になりたい 夜よりも やさしい人のふりをして すがって抱きしめる、だからちゃんとみて 夜の街 振り切るように 走るのは あたしの真心 断ち切るためです 涙でしょ? あたし夕日の中で泣く こわいくらいの純愛だったよ 世界には その愛を散らすヤツがいる 白い翼を羽ばたく天使さ ああだから、あたしは殺すの 漆黒の あなたを憎むあたしの心 ---------------------------- [自由詩]黎明、その静かな死を。/秋葉竹[2019年6月4日21時37分] 雷が静かな死を私に受け取れと鳴く。 あっちを向いて吐き出す息は熱いが。 涼しく風を感じたり、透き通る夜更けを見たり。 青空は四角い。雲の切れ間にはつまらない透明。 聞こえ出したエンジン音は濁声でしか怒らない。 おめでとうを言われていたたまれなくて疲れた。 正気は色ちがいとは思わないから。世界の海の水。 色は何色よりも恥ずかしい蒸気になるけどいい。 熱々の棘へのあらがいのなかに、静かな死が。 そこにだけあった。集まっていた。蒼ざめていた。 ---------------------------- [短歌]あいたい、海に/秋葉竹[2019年6月8日16時52分]   変わらない 梅雨明け空と海の青 鳥類魚類は気ままに生きます 風の谷 潮の香りの風が吹く 死出の旅路のやきばの煙 海の旅 竹の筒には酒入れて 勘弁してよね、酔って、乱れそう 切り裂くの 空気も凍る北の海 忘れられないあの想い出を きっとまた 今日もしずかに本が死ぬ 抱きしめられてた、あたし、いい本に すこしだけ 生きる誓いが大切な 寂しがり屋のつらい微笑み 海は青 あたし胸はり旅に出る だれも恋など知らない青空 遠ざかる 抱きしめたいのに 遠ざかる 波間に漂う白色の死だ 舞踏会 君の孤独な笑みをみる 手も届かない悲しみの絵に かなしい影 遠ざかる影 抱きしめて 殺したいのに 遠ざかる影 海のやつ 置き去るあたしに餞別の 波間に人魚の歌を流した 月光に 焼かれた双眸 滲み出た 冷たい血の味、?つたい舐め 鉄さびの匂いと涙の月光で あたしをかなしい 影にする気か ---------------------------- [自由詩]静かな世界/秋葉竹[2019年8月31日21時06分] イオンタウンはいつでも涼しい 冷えた野菜の匂い 乾いた人混みの匂い 駐車場には警備員さんが 汗流し車両整理に精を出している まるで神さまみたい むかし、ふたりで 買い物してた あたりまえだけど ふたり買うもの同じだったりして いつも私が返していたね しばらくいると汗も引く ちょっと寒いくらいだわ 笑いも絶えない ただお金を落とすだけの場所なのに イオンタウン 無人レジで戸惑い けど笑い話にできるそんな 幸せ噛み締めてた むかしのあなたと過ごした 永遠みたいな青い空の下 イオンタウン いまは少し寒すぎるかな ---------------------------- [短歌]春の風/秋葉竹[2020年5月5日7時25分] 星、滲む つまり空には愛があり あたたかい風、吹いてしあわせ 爪を切る 切って尖らせその?を 血の滲むまで愛してみたい 夢をみた 天使のような顔をして わたしを孤独と指さすあなたの 恋をした 忘れられない高三の 人にはいえない禁断のやつ まよなかに メロンソーダを飲んでみた 甘すぎ注意と一応いっとく 凍らせない グラスにそそぐ白妙の 酒のするどい冷たさ辛さを 春の風。 脳をたちまちふにゃふにゃに して恋だけが至上と刷り込む あおあおと いまだ蕾の白い花、 咲くまえが、ホラ、硬いから、好きッ ---------------------------- (ファイルの終わり)