石村のるるりらさんおすすめリスト 2018年8月30日14時17分から2020年9月19日9時54分まで ---------------------------- [自由詩]ラ・ラ・ラ族/るるりら[2018年8月30日14時17分] お義母さま あきの こごえです 朝風に 精霊バッタの羽音が そっと 雫を 天に すくいあげています 何が終わったのでしょう もう はじまりはじめの空 むかしむかしの反対のはじまりのはじまり めちゃくちゃダンスを夢中で踊る子供らの真似をしたがる 私のからだは重いです けれど 私と共に たふたふと生き物のように動くものがあります 天女の羽衣が 頬を そっと かすめました 透けて見えたのは しろいレースのアンブレラをさした少女のような貴女 素足が 五ミリは 浮いています あなたの お父さまがいらっしゃいます どこへも 逝かず 六歳のままのあなたのそばに ずっといらっしゃったのです ゲンバクのことを人々が忘れると だれかが言っています わすれられるものなら忘れたら いい 口にしたくなければ 口にしなければ いい とてつもないひかり ただただ臭かった廣島の町 着ていた服どころか皮膚までも 剥ぎ取られて 食べるものもなく 彷徨う人々 毎日毎日 煎餅布団と寝た貴女は しつこいくらいに いつも わたしのふとんが ふかふかであるように心配してくれた 高窓から さしこむ光に 綿毛が舞い上がるように 浮いて かろやかに歌うのは 少女のままの貴女 うつくしい裸族としての朝 わたしも空をとぶ ---------------------------- [自由詩]東の国の眠らない夜/るるりら[2018年10月21日21時25分] ひんがしのくにのね 群らない夜は だれもか大勢の中で たったひとり 回遊魚のように 周回する深夜バス 満員なのに みんな たったひとりきり だれもが どろりととけた目をして 混雑した車内の中で ひとりきり ねてもさめても 大勢のひとがいて いつまでも眠らない夜を走るバスは ふたつのライトを真っ赤にして 海の底をおよいでいるのに誰もきがつかず 朝をめざしてはいるけれど だれもが時間を捨てました ****** 即興ゴルコンダ(仮)参加作品です。題名は、社町迅さんです。 http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5933773#12638548 ---------------------------- [自由詩]よしっ/るるりら[2018年12月1日8時40分] 走れ! ---------------------------- [自由詩]よしっ。いや、ちょっと マテ。 /るるりら[2018年12月1日8時49分] めざめると同時に 自由の女神になっていた すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し 頭の中に声が響いていた「走れ!」 いや、ちょっと待て 忘れられないぢぁないか あの家の事を わたしは おそるおそる鍵穴に鍵を入れた ぢぁりと鈍い音がして穴は開けられることを拒んでいる じぁあ家に入るのを止めようかと 後をふりかえると 今来た門柱までの距離には 私が なぎたおしたヨモギがうなだれて 悲しそうだ なにもせずに帰る気か  深呼吸し  ドアを開けることにした  扉の ぢぁりが、がちゃと開くまで力を入れた  が  扉は おもいのほか軽い  孤独死寸前で近所の人に報告された家の主は 今頃、病院だ  なぜ 食べるものも食べず衰弱したのか  詮索したいのは やまやまだが  痴呆なのか銀行印や保険証などのありかさえ覚えがないらしい  鍵を借りて、この家の主の貴重品をさがしに来た  かみ かみ 紙 カミ 段ボール カミ  ふんわりと かるく 紙でできた箱と箱  天井まで積み上げられている無数の箱を指でつつくと、ゆうらり  幽霊のように動く埃の館  この家の家主を証明するものを探さねば  彼女は、保証されるのに値するのだ  引き出しを開けると 引き出しの中が直ぐには見えない  衣類文具や生活雑貨 全部のひきだしの中身の上に  広告紙がおかれて 中身は遮断されている  すべてのものが繭ごもっている 冷蔵庫の食品のすべても個包装され  なにがなんだか分からないが昭和の日付のメモも有るから すべて捨てる   ワカラナイ   うごかない時間が                  ユックリ揺レテイル   カワラナイ   保存された時間が死んだまま   シッカリ動イテイル     なにやら光った!保険証通帳印鑑の発見だ!これで 家主を証明できる!  彼女は れっきとした 私の叔母様だと証明できた  おばさまは、わかったようなわかってないかのような透けたような微笑で  ありがとうと 言った  そのようにしてやっと安心し  ねむった   誰かであるかと保証がされている あなたとわたし                             そして、たった今 めざめると同時に  すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し 頭の中に声が響く「走れ!」 坂道を駆け上がれ 山の間から朝日がでた  ひさしく走ったことのない重く冷たい両足が足元から照られ血が通う 自分の体重を両足に感じつつ「走れ!」 ---------------------------- [自由詩]みつまたカノン/るるりら[2019年3月18日17時28分] A 光とパッションで あい わず ぼおおん おもわず ぼんぼぼん 三叉路のような枝先に 咲いているのは紙様の花 花の名は みつまたで なぜだか知らぬが いにしえの人は紙を梳いた 枝が三つに分かれているから みつまた 紙に神がやどりますようにと 咲いている B はる一番の すっぱだかさで あい わず ぼおおん おもわず ぽんぽん ボールのように咲いてます 三つの枝の先で みつまた咲いてます 春は三叉路分かれ道 思考は みつあみ なぜだか知らぬが いにしえの人は紙に書いた 現在を過去を未来で書いて 花笑う わかれても また別の形で会いましよう C 仄見える あなたのビジョンに たまゆら ゆれて 風光る 雲足の速さのままに髪を梳かし 結んでは開いて手を打って また開き ひろがっていく こころ映えは 春霞 もう悩むのはやめ歌い始めました  AからBへの歌を歌い  BはCの歌を聴いています CかAと重なってきたらカノンです ほら耳を澄ましてみて                    はるが おんがくのように ながれている ---------------------------- [自由詩]ほね/るるりら[2019年3月22日9時28分] もしも 三人が しゃれこうべになったら 三人は親子だと すぐにわかる  なぜなら 同じ頭の形してる。 と、言われ ハチマキ姿のタコの絵のような 立派な おでこを 三つ つきあわせて 婆さんと母さんと娘が、声をたてて笑った あかんぼうの髪の毛は ゆでたてのトウモロコシのヒゲのように やわらかく 繊細に おつむを守っている 新米の母親と お婆さんとが 交互に おつむをくりくり なでるほどに  ずいぶんと違う性質の三人なのに ほねは とても似ているのが おかしい 皮膚のようなものを除いてみるスケルトンな眼識を与えられ 本質的に同じものをもっているというだけの ほねたちの わかちがたい ふくよかな笑い ******* http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5978980#12741981 即興で詩を書き合う 即興ゴルコンダ(仮)参加作品。今回の題名は、こうだたけみさんの出題です。 ---------------------------- [自由詩]かわるもの、かわりゆくもの/るるりら[2019年4月1日15時15分] むかしむかしあるところに大正という村で育った少女がいた 彼女は いつしか百歳を超えて 「敬老会に行っても 最近は若いモノばかりで つまらん」と言い 八十を超えている若い衆が ぐっと笑いをこらえた むかしむかしあるところに昭和という町で そだった少女がいた 「最近の若いもんは 車ばなれしてて つまらん」と いいながら どこかしらない美しい世界に いつまでも少女のように憧れていた むかしむかしあるところに平成という街に そだった少女がいた 彼女は 万葉集におさめられているという梅の話を いにしえの言葉のまま覚えようとしていた そして いまも すべての少女たちの すこし赤らめた頬が 春霞の向こう側に かすかに見えている ********** 即興ゴルコンダ 参加作品。お題は こはらあきさんです。 http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5982233#12750585 ---------------------------- [自由詩]ある春の日  (二編「ぽつんとしてる」「Anemone coronaria」)/るるりら[2019年4月13日17時56分] 【 ぽつんとしてる 】 石垣に咲いた たんぽぽ ぽつんとしている 杉木立の山道で 電柱 つん、と 立つ ガードレールの下に大きくなれないままの大根の花が  それでも りっぱに 両手を広げて咲いている んぅぅぅぅん ひろがる春の陽気に のびをする おてんとさんさんありがとさん おてんとうさんが ぽつんとしたものを そっと つんつんと つついてる ん。ひざしの感触が全身をつつんでいる 雲が流れ 風がよそぎ ぽつんと ぽにょんをくりかえし しずかな こころで あるきだす  【Anemone coronaria】 脈を打つような 真っ赤な色彩の 一輪のアネモネ 石と石の隙間の 細い茎の先に蕾 炎のようにゆらぎ やわらかな花弁を 覗いてみるけれど 花の中までは  みえません 小指の爪より ちいさな花はブラックホール 見えているということの奇跡 はてのない波動を ただただ 発しているのか それとも あかるさの奥で すべてを終えようとしているのか *********************** 即興ゴルコンダ(仮)参加作品http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5985582#12759940 【 ぽつんとしてる 】は、るるりらが題を出しました・ 【Anemone coronaria】は、 みうらのばでぃすきー さんの出題です。みなさんもぜひ参加しましよう      ---------------------------- [自由詩]それとはなしに/るるりら[2019年4月20日0時39分] さいごの さくらが さよふけて まんげつ まんまん みちている ほおづきのような ともしびを つなげて うたを うたいましよう 去ってしまいそうな 桜のいろを きえてしまいそうな かおりの時間を 若葉も きっと もっている やがて 落ち葉となったとしても 桜の気配は することでしよう さくらは さいごのさいごまで さくらのまま その葉は大地に かさなりかさなり 朽ちて葉脈だけとなった冬の日は レース編みのような繊細さで いとけない生きもののために やみから悪意を濾すのでありましよう さくらは さいごまで すなおなままに たとえ枝を もぎとられ炎に焼かれたとしても えもいわれぬ恍惚の燻製となって たましいに そっと かたりかけるのでありましよう それはそれは それとなく 天にものぼる やさしさで http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5987074#12763924 即興ゴルコンダ(仮)投稿作品 ---------------------------- [自由詩]くだる/るるりら[2019年5月8日10時08分] 【さかくだり】       あの懐かしい橋を渡れば 蛙のひしめく道がある いきものを ころさないように 体が傾むく川下にむかって 足をゆっくりと あるく  あの懐かしい橋を見下ろせば 大雨の日に流れていた大木が見える 身を乗り出して声を立てて笑いながら 激しい濁流を眺めてみると大人は怒る あの懐かしい橋のむこうで こどもたちは 喧嘩して仲直りもせず こどものままで いまも 住んでいる きょうもあの子は言う 「おまえんちの家の前の空き地は むかし なまくびがならべとったんど じゃけえ おまえんち のろわれとるんじゃ けけけ」 妖怪のような いたずらを 風のように じようずに うけ流すこともしないで こどもたちは いまも あの橋のむこうに 手を取り合うこともなく 住んでいる 【さらに くだり】 花のようでありたくて 親指と親指とをあわせて 小指と小指とをあわせて あわせた手のひらをひらいて花をかたちづくる 無骨な十本の指を 天にむけて ひらけば 指が エナジーを放つ 縄文土器のように 焔立つ 平成 という時代は  ほかのどの時代とも違って 時系列に古い順番に並べるのが 今の私には まだ難しい たとえば 平成土器は このような土器ですよと見せることはできない だが、小渕さんが たからかと掲げた あの 平成 の ボードを 逆さにしてみる。と  まるで縄文土器のようぢゃあないか 無骨な十本の指を 天にむけて ひらき 平成も知っているこの指が まるで縄文土器のように無骨なエナジーを放つ 平成の文字は まだまだなまなましいエナジーを放っている わたしは無骨な指で土器のような形をおもいながら わたしは しずかに花になる こどもたちは いまも あの橋のむこうだ 手を取り合うことがなくても 花のように 住んでいる ---------------------------- [自由詩]十三夜月のくるぶし /即興ゴルコンダ(仮)に提出したものを改編/るるりら[2019年5月21日10時22分] 即興で詩を楽しむサイト 即興ゴルコンダに 題をwillさんが だされたものです。時間ぎりぎりまで ねばったのですが、時間内に書けたものは私としては不完全燃焼だったのです。すこしは自分に満足したくて、結構な改編を行いました。元の拙詩は ↓こちらです。 http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5995518#12788721 *********************************************************** 十三夜月のくるぶし るるりら きみの間違えた瞬間を忘れない 間違え方が愛おしい なのにどうして正してしまうのだろう 正すことで 間違えた時空間を自分だけのものに きみの ブルーを じぶんだけの ヘブンブルーに ここは つきぎめ駐車場だからね つきごくぢぁあないから なにかをカッコよく きわめた場所ぢぁあないからね 満月になると決めポーズ? 縁石の上を平均台のように歩く 月の高さ しらんぷりのプリエ くるぶしの位置を きゅっと あげる 猫がとおる くるぶしの位置が さりげに すごく高い 真似をするとポケットの コインを落としてしまった 十三夜なのにツキのない十三歳                                    なめています                                    肉球で                  おでかけです                       ---------------------------- [自由詩]きっと はなせる/るるりら[2019年6月3日1時19分] 目が覚めて一番に 口にした言葉は くちなし 薫り ゆたかな色彩の白 しずくを 湛えた光沢の葉 無垢を 口にするときの ふるえる くちびる くちなし きょういちにち なにを はなすことだろう なにを 話す  なにを 放す 町が動きはじめる いらっしゃい いらっしゃい 店は 品を自慢し テレビがスマホが 自信たっぷりに 優れた人や物を教えようとし そこかしこに昨日をコピーしたかのような言葉が あふれようとし 昨日のままに すべてを押し流そうとする すこし くちなしになったら きっと 花せる しばらくは なにもいわず 耳を かたむけ 昨日とは すこし違う口調で はなせる きのうとは ちがっている友に 昨日の蕾が そっと ひらくかのように はなす きのうとは ちがう季節の風に 身をゆだねながら おもいを はなす  ---------------------------- [自由詩]猫族の村会議/るるりら[2019年6月24日18時09分] そらみれど どぅん そらみれど どぅん 猫耳の人々が東屋で会議をしている かれらは起きている時より 眠っているときのほうが会話が弾む ニャアぢゃなく尻尾で話をしているのだ 音階の高低を描く微妙な尻尾のうごきだと思うと どぅん と、みな同時に尻尾が すっかり垂れるのだ 今年もまた またたびの葉が白いですな どぅん そらみれど 山を覆う またたびの白い葉 どぅんむ 白い葉が翻ると黒鍵と白鍵のようですな どぅんむ 祭り日には きっと またたびは豊作ですぞ 必ず盛り上げましようぞ どぅん どぅん ほら 合議が交わされた ※ツイッターで毎日、題名にそって書いてみましょうという試みです。 ♯ドレミ詩 ---------------------------- [自由詩]病葉堆積/るるりら[2019年6月25日9時05分] 遊びをせんとや生れけむ けむけむ遷都のものがたり たりたりたりぬかたりてるか あまいみずを きよめたもう こどもたちが むかしから伝わる唄でお手玉遊びをしている。 おとなたちは 同じ歌を労働歌として歌っている。 かれらは、誇り高きインシュリン族の民である。 かれらはランゲルハンス島で生まれてこのかた 常に降る蜜のような雨が止むのをみたことがない。 甘露なる川は 土壌を肥やしもするが腐らせもする。 川が清さを保っているのは インシュリンの民が 雨を生成し世界を清めているからなのだ。 かれらの力で、いつもは 清く流れる河が いちど 氾濫すると、土壌に病をもたらしながら  激しく蛇行し荒れ狂い すべてを破壊し  美しい自然体系はすっかり機能しなくなるのだ。 川が氾濫したあと 水位が下がると おもいがけない歴史を垣間見ることがある。地層だ。 かつて海を悠々と泳いだ古代魚が 地層の中で生きている 恒星と通信していた植物の物語が 活きている すべての歴史の上に 甘い雨は降り続け、浸食する。 そして甘露の雨がすべてを育んでいる。 インシュリンの民は 今日も甘すぎる雨を清め 今日も すべての生きとし生けるものの住処たるこの地を 神のように統治する都人のことを想うのであった ※ 冒頭の一行は、梁塵秘抄です。 ※ 即興で詩を楽しむサイト 即興ゴルコンダに 題は「わくらばたいせき」と読むのだそうです。こうだたけみさんが出題されました。 http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=6005917#12814622 ---------------------------- [自由詩]本と雨のはなし/るるりら[2019年7月2日12時54分] いかがおすごしでしたか ほんと おひさしぶりですね あなたのことを 得体のしれないエネルギーだという人の話を ほんと何度もききましたよ 人々はあなたに出会うと ほんらいの姿を取り戻すだの心洗われるようだの わすれていたものを ほんきでみつめることができただのと称賛して居ますわ とうめいにんげんのわたしが 本だのに掲載されるきっかけは 雨の日しかないと思うのですわ私の本体が水にあたることで輪郭が現れますもの 写真でも映像でもだめよあなたが本手を得ているのですスケルトンの私を描いて メジャーにおなりなさいな 本でしか私が人に知られる術はない じゃあじゃあと滝のような雨 本性があらわれるのは驟雨のときのみですわ 今は全身に雨の律動バチバチ 翻弄されてはなりません 刹那をのがしてはなりません 翻訳するのです素直に無と向き合うのです 忙しいひとが涙をながす時を失ってしまいそうです 翻意を促すのです だめ 傘をわたしに かざしてはだめ わたしに触れようとしてはだめ ほら 雨がないと みえなくなったでしょ でも あたたかいわ あなたって ********************************* http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=6007805#12819892 ※ 即興で詩を楽しむサイト 即興ゴルコンダ(仮)参加作品です。 ※題名は かんなさんが お出しになりました。 ※現在 この題名でやってます。そこのあなたも ぜひ参加しましょう! ---------------------------- [自由詩]たいふう/るるりら[2019年11月30日23時54分] 私のメールボックスに詩編をくださった方がいらっしゃいます。今年は災害の多い年でしたが、いつも通っておられる教会も被害をうけておしまいになった方から、一遍の詩が私のメールボックスにとどきました。 たいふう        白鳥美紀 わたしのいっている かみさまのおうち おおきなまほうのいたずらで たいせつななかまたちがみんなたおされてしまった きおくのなくなった ほん ないている つくえといす きれいなこえの ピアノが こえがでなくなって かなしくてかなしくて うえをみたら 十字架が ぴかりとひかった ************** この詩を頂戴して わたしは どのような声かけをさせていただくべきかわかりませんでした。ですが、この詩をいただいた翌朝 わたしは海の夢を見て 朝を迎えました。 穏やかな海でした。 ※これから書くのは、そのときにおもいついたことです※ ************** たいふうのあと       真清水 るる その十字架のそばを 船がゆれています よく見渡すと 十字に光っているのは 海の上の太陽でした 朝日が海にうつりこみ その光は わたしの足元までまっすぐにのびています ひかりは しだいに さらにあかるくなってきます 流木が 立派な机におもえてきました ポケットにあった 貴重な紙もあります  うしなうことのない かがやきが わたしをつつみこんでいます               ---------------------------- [自由詩]あたかも 森が海を恋しがるかのように/るるりら[2020年9月19日9時54分] トイレに 貼られた関門海峡の写真 そのくせ 見る事のできない生まれ故郷 「もし そこにいるのなら返事して」母は言う 補聴器をしなければ何も きこえず わずかに光だけを感知する あなたの手は まるで森の木々が とおい海を恋しがっているかのよう 煩悶しかない日常 けれど、あなたは むかし おさない私を 極端な怒りの人や悲しみの人から あなたは まもってくれたのかもしれないね 怒った顔の人のことを、あなたは 十時十分だと言い かなしみの人のことを、あなたは 八時二十分だと言った 喜怒哀楽を記号化して へっちゃらにしようと してくれたのかも しれないね もはや 時計をみることも 音を聞くことも難しくなった 暗闇で とうさんを呼ぶあなたは まるで 森が海を恋しがっているかのよう 私の顔が十時十分だか八時二十分だか  あなたには 知る方法がない たとえ一メールの距離に居ても 解らない そして どなってしまうのです 「ごはんができたよ」とか そんな些細なお知らせを どなってしまうのです 煮える喉 からみつく私の思いに  鏡にうつった 苦味ばしった苦痛の顔に 教えてあげよう 「わたしの感情なんて ただの記号です。」 エモーションよ 風に なれ 海に なれ *********************** 即興ゴルコンダ(仮)という即興詩のサイト参加作品です。 このサイトは同じ題名で 詩を提出しあいます。今回のお題は、わたくし るるりらが出させていただきました。ふるってご参加くださいませ http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=6137556#13156123 ---------------------------- (ファイルの終わり)