ひだかたけしのこたきひろしさんおすすめリスト 2020年1月18日23時56分から2020年3月29日0時33分まで ---------------------------- [自由詩]昨日今日明日/こたきひろし[2020年1月18日23時56分] 過ぎて去ってしまったから過去。 未だ来ていないから未来。 過去へと下る河は人の記憶の中を流れ 未来へと上る河は人の夢の中へと流れ込む 懐かしさに帆を孕ませて 舟は下り わくわくに胸を弾ませて 舟は上る ああ 今ここに私は至り 浸水する不安を抱え船底に怯えている 原因のつみかさねに結果は招かれ 消えかかる炎に日々は揺れる もう未だなの いつになったら 幸せに逢えるのさ ---------------------------- [自由詩]世界はすでに終わってる/こたきひろし[2020年1月19日8時16分] 女子の 体だけならお金で買える 体だけでいい 心はいらない 男子の 体だって買えない事はない 体だけでいい 心はいらない 結婚と言う契約には経済が重要な役目を果たしている 結婚と言う契約も基本的に売買の取引なのだよ 買い物と 売り物に 失敗と嘆きはついて回るさ 男は出来るだけの遺伝子をばらまきたいのだ 本能的に 女は選びたいのだ 優秀な遺伝子を 本能的に 性の快楽は生殖の為に神が与えてくれたのだ が、快楽に溺れて貪ってしまうかは個体しだいかも知れない? 以上は 一冊の教科書に記載されていた と思ってくれてかまわない 世界はすでに終わってる が 果たして世界とは何を指しているのかは不明瞭だ もし この世のあらゆる男と女が生殖能力を失ったら 生命は消滅するのかな そうなる以前に 文明が極度に発展し キカイが生殖能力を持つだろう キカイが生殖能力を持ったなら 男と女の性差は意味をなさなくなるだろうな 何を考えてるのあんた。止めてよ。他の事考えながら あたしとえっちスルノ。集中して、集中してよ。 愛してなんて言わないから。 ---------------------------- [自由詩]時間が足らない/こたきひろし[2020年1月20日6時33分] 時間は止まらない 止めてから 後に戻せない だから 後悔が生まれるんだ 時間はなくならない 人それぞれに与えられた時間が 日々目減りしてはいくけれど 足らない 足らない 足らない 足らない 何度繰り返しても 足らないと思える時間が 我が身を刻々と削ぎ落としていく 足らない 足らない 足らない 足らない 時間って 時と時の 間を過ぎ去るものだから ---------------------------- [自由詩]平成にカムバックしたい/こたきひろし[2020年1月24日7時25分] 近所の薬局の前の自動販売機。 明らかに避妊具を売っていた その前を通るのはいつも深夜だったから街は寝静まっていて 暗闇の中にぼんやりとしか見えなかったのに。 ある日自宅アパートに帰宅すると彼女に言われた。 「あたし赤ちゃん出来たみたい。検査薬で調べたら陽性だったの」 薬局の前の自動販売機の中身とは何の因果関係もないのは 明らかだった。 その時彼の頭に思い浮かんだのは遊園地の大観覧車だった。彼は観覧車から向日葵の花を連想してしまう癖が治らなかった。向日葵の種子も一緒に。 平成にカムバックしたい。 彼は切に思う事がある。 彼女の恋愛ウィルスに感染して 潜伏期を経て発症したあの時代に。 レイワなんて年号。 何だか消費者金融みたいで嫌だな。 平成にジャンプしたかったアイドルグループは 踏み台を外されたようで可哀想だし。 「それで君はどうしたいの?」 彼はいたって冷静に訊いた。 すると彼女は「直ぐに病院で確かめたい。妊娠が確定したら産みたい。貴方と二人で育てたい、に決まってるじゃないの」 と言い切った後で「貴方嬉しそうじゃないわね。どうして?」 と聞き返してきた。 微妙な空気が流れた。 そこには男と女の間の決定的な温度差があったからだ。 彼は頭の隅で考えてしまった。 近所の薬局の前の自動販売機の事を。 ---------------------------- [自由詩]無明と暗黒の差って/こたきひろし[2020年1月25日9時23分] 光のもたらす恵みは計り知れないのに 空気より空気感ないよな 太陽光がなくなったら きっとパニクるぜ ムーンライトがなかったら 暗黒の夜になっちまう その昔 俳人松尾芭蕉は旅の途中で道ばたに捨てられた 生後間もない赤ん坊と遭遇したらしい なのにそのまま通り過ぎたらしい 哭いてる赤ん坊に「汝が運命のつたなさに哭けって」 捨てゼリフ残してさ 自分が生きるのが精一杯だったんだろうな 時代が時代だから 自分を犠牲にしてまで救ってやるという選択肢は なかったんだろうな 俳人の心に光がささなくてまっ暗闇だった訳さ 光のもたらす恵みは計り知れないだろ わかって貰えたかな 解ったら 挙手してください 「ちょっと本質からずれてるんじゃないの?」 なんて疑いはなしで御願いしますね ---------------------------- [俳句]邪推の/こたきひろし[2020年1月25日10時36分] 唇を重ねていたら冬の揺れ 喪を忘れ投函したの?叱られる 隙間から寒気も入る倦怠期 いさかいの後に沈黙息凍る 店先に売れ残ってる寒椿 地下にある喫茶の店へ冬籠る 寒くても短めがいいスカートは ムラムラの目線の先に冬おんな バス停に弓を持ってる冬おんな 橋の上高速見下ろす冬おんな 透けている下着のLINE冬おんな 股間には股間の意志が冬おんな イケメンに饒舌なのね冬おんな 冬おんな体の線を見せたがり 冬おんな俳句のネタに欠かせない ---------------------------- [自由詩]何となく呟いている/こたきひろし[2020年2月1日7時36分] ずっと気になって仕方ない女性がいた 齢六十過ぎても 三十年連れ添った妻がいても 三十路近い娘がいても 他にずっと気になって仕方ない女性がいた 相手の女性もきっと結婚しているに違いないと思う だけどもずっと気になって仕方ないのだ 男でも女でも 誰にでもそれはおこる感情だと思う ずっと気になって仕方ない 何とかしたいなんて 思う事はあっても行動には移せない 言葉をかけるきっかけさえ掴めないでいる お互い同じ職場だから おはようございますとか、お疲れ様ですとかは言えるけれど 何とかしたいという思いには 唇を重ねたいとか 抱きたいとかが含まれているのは文字にするまでもない 齢六十を過ぎている が まだ枯れてはいない なのに 夫婦生活は卒業していた 寂しさは募る その反動で 気になる女性があらわれたに違いない 寂しさは募る 齢六十を過ぎても 卑猥の花は枯れない ---------------------------- [自由詩]メモリーボックス/こたきひろし[2020年2月1日8時17分] 結婚式の披露宴なら違和感ないけど いくら自宅葬とは言え葬儀の模様をビデオ撮影するなんて、常識から外れた行為だ 確かに母親の最期を映像に残して後に鑑賞しながら故人の思い出に浸りたい気持ちは理解できなくもない だからといってそれを現実におこなったら 死者の尊厳を損なうだろう 私の姉の長男は つまり甥は喪服の姿で何の躊躇も見せる気配もなくビデオカメラを回していた 果たしてそれが私の姉である母親の言い付けなのか それとも彼個人の意思なのか わからなかったが 周囲は不思議と誰も咎めなかった メモリーボックス 私の記憶に或いは精神に破綻の兆しがなければ あれは間違いなく現実にあった事だ そのビデオ映像を再生鑑賞した記憶は皆無だが ---------------------------- [自由詩]産まれた時から生まれた日から/こたきひろし[2020年2月2日7時52分] 産まれた時から生まれた日から 人より多くが欠けていたから きっと私は充たされていたんだろう 何だか辻褄が合わないな 産まれた時から生まれた日から 人から見下されたりはしないかもしれない けれど 産んだ女と 産ませた男に欠けるものが多ければ その時すでに 人から見下され虐げられる 荒んだ社会はけして否定されない そのせいで 運命には皮肉が込められてしまうんだろう 冷酷で残酷なんだろう 産まれた時から生まれた日から 人より多くが欠けていたから きっと私は充たされていたんだろう そう解るまでに かかった歳月 舐めた辛酸 いかなる言葉でもいいあらわせない たどり着いた境地 それは諦念の導きかも知れない 或いは老境の幻かも解らない それとも 言い訳か 負け惜しみか 産まれた時から生まれた日から 人より多くを欠いていたから 充たされていたんだろうという想念 そこにたどり着けた安らぎ ---------------------------- [自由詩]無題に/こたきひろし[2020年2月2日19時51分] 誰だって気が触れる可能性を持っている たとえば目の前で我が子が轢き殺されたり たとえば 愛する女が たとえば 愛する男が他の誰かに奪われたりしたら 誰だって冷静じゃいられなくなるだろう もし、そんな場合においても 平静な心理状態でいられたら その人の人間性を周囲が疑わかざる得ない 人格が破綻していると 勿論 周囲の眼を怖れて 本来の人格は隠し、演技する人もいるに違いない 人間の内面は複雑で迷路の様にいりくんでいるのが 普通だと思うからだ 誰だって気が触れる可能性を秘めている 正気でいられなく状況に至れば それが自然だ 人としてあるべき生態だ だけど 人間の内面は複雑で迷路の様にいりくんでいる のも事実だし けして一つには括れない 括ってはいけない 多様性を孕んでいることも事実だ ---------------------------- [自由詩]正と負の重さと軽さ/こたきひろし[2020年2月8日6時30分] ありきたりだけど 俳句は松尾芭蕉がいい ありきたりじゃないかもしれないけれど 歌人は山崎方代が好きかな 詩人は誰も思いあたらない 小説は太宰治なんて言わない 芥川龍之介が好き 「芋粥」を読んで感動した それに五木寛之がいい 「朱鷺の墓」に切なく興奮させられた 私は文学少年から 文学青年になり 文学中年をへて 今はただの文学好きな老人に なってしまった 今日の私は 晩年のうちの一日に違いない だからといって 縁側で日向ぼっこなんてしていられないよ 負が付きまとって離れてくれないから 産道から抜け出て その体から羊水を洗われた日 の事は何も覚えてないのは明らかだ なのに 産湯ではどうしても洗い落とせなかった 負の数字には気づかされていた 負を僅かずつ減らしながら 零へと向かっている 今も途中だ なんてね 何となく解ってきたんだよ 負の重さ そして正の重みのなさ 俳人は松尾芭蕉がいい 歌人は山崎方代が好き 二人に共通しているのは放浪癖 私の存在も根無し草 ---------------------------- [自由詩]雨上がりの空に/こたきひろし[2020年2月9日7時17分] 雨上がりの空から雲が一掃されて 青空があらわれて お日様が顔を出しても 美しい七色の虹が橋のようにかかるなんて 事はなくなってしまったな 子供の頃は頻繁に虹を見たような記憶があるのに 雨上がって空が晴れ渡って 太陽が顔をあらわしても少しも暖かくならない 二月 真冬の寒気は冷たい風になってこの身を容赦なく責め立てる 屋外の作業はそこにいるだけで尋常じゃなく辛い じっと立っていたらそのまま氷の柱になってしまいそうだ 何でもかまわない体を動かしていないといられないのだ 最低賃金を少し上回る時給 それでも六十五歳になってしまった私には働かせて貰えるだけでありがたい 定年制のない仕事だから このまま死んでも働いていたい そうでもしないと生計が立ち行かない 若い頃はそれなりに稼げたが、今はその頃の半分にもならない 若い頃は休みが嬉しくて待ち遠しかったが、今は体を回し続けていないと、壊れてしまいそうな気がしてならない 休日が凶日になりかねないのだ 人間の体も車と一緒で古くなると部品が劣化してくる 十年十万キロ走行したら壊れるようにできてる らしい 六十五年落ちの人間なんだから とっくに働ける寿命は過ぎてるだろう だからといって スクラップにされてたまるか スクラップになるわけにはいかない 年金だけでは足らないんだよ 貯金なんてないんだからさ 死んでも働いていないと やってけないんだよ あはん なんて書いても 評価はされないけどな 何だよこれ? 年寄の泣きごとなんか聞きたくないんだよ って思われるのが関の山さ そんな奴等に言ってやりたい その内に磨り減ってボロクソになるぜ 人身も人心だって ---------------------------- [自由詩]好きな人はいません/こたきひろし[2020年2月9日23時57分] 好きな人はいません その分 嫌いな人はいません 誰からも愛されてなどいません その分 誰も愛してません 他人に関心ありません その分 無視されてます 人の前では笑いません その分 人の前ではけして泣きません 適度に心を病んでいるかもしれません その分 見た目は健康かもしれません 安楽死など望みません その分 しっかりと生きてません 以上 2020年2月9日 書いてみました 何となくですが 自虐的に ---------------------------- [自由詩]泥濘が何処までも続く/こたきひろし[2020年2月12日5時33分] 蟻みたいに地道に生きてきた筈なのに キリギリスみたいに何も蓄えられなかった 冬が訪れてきて 寒さがしみじみと身にも心にもこたえる 冬の先に春は待ち構えてない 季節は断崖に続いているだけ そこにたどりついたら もう落ちるしかない 運命だから だけどその内に足下の雪は溶け出すかもしれない 運よく雪が溶けたら 途は泥濘に変わるだろう そんなときに 過ぎた歳月を懐かしんで 立ち止まり振り返っても 泥濘に足が沈むだけ 行く手に待ち構える断崖は変わらない 蟻みたいに地道に生きてきた筈なのに 結果は キリギリスみたいに何も蓄えられなかった 人生 1冊の童話程の値打ちもない ---------------------------- [自由詩]どうせ死ぬんだからさ/こたきひろし[2020年2月14日23時59分] どうせ死ぬんだからさ 生きている間は楽しまなくちゃね そんなの誰だって思うことだけどさ 現実は この世の中楽しめる事より 楽しめない事の方が断然多くてさ たとえば セックスなんて気持ちいい事を沢山したくても それがいつでも誰とでも簡単に出来る奴とさ 下手したら一生出来ないで仏様になっちゃう可哀想な奴もいるのが この世の中なんだよ 万事が恵まれた奴と 万事が恵まれない奴の 差っていったい誰が決めてるんだよ あれれれ 詩には相応しくない表現しちゃったかも て言うか 詩に相応しい表現って俺にはムズいよ 詩を創るって けっこう頭使うし 心磨り減らすし 健康を害するかも知れないないけど 俺みたいな脳みその比重が軽い奴と 重い奴との差は歴然としていて 結果的に作品の出来が違うんだよな 評価もそれなりで 俺のなんか鼻くその値打ちもないんだわ 学歴とか教養とか 持ってないんだから無理もないけどさ 自尊心なんて欠片持ってないんだから 誰から何を言われようとへっちゃらですわ 基本 好きだから書いてる訳で 好きだから書いてきた訳で これからも好きだから書きたい訳で 一切実益のともなわない 趣味だから 好き勝手に書いてる訳で もしかしたら 明日野垂れ死にするかも知れない命だから ひたすらおのれをいとおしんで 書いてる訳で どうせ死ぬんだから 生きている間は書いていたい訳で 誰かの為じゃない 自分の為に書いてる訳で ---------------------------- [自由詩]遥か遠くに/こたきひろし[2020年2月16日8時11分] 性格の明るい人と 性格の暗い人が何で存在するのか理解出来ません それがもし生まれつきの個性だったら それを 不公平の極みとしか判断できない私は もしかしたら心の浅い人間かもしれません 明るい性格と 暗い性格を ありきたりな大人として 正と負で捉えてしまう傾向に充ちてしまうからです 性格の明るい人は 人から好かれやすく 反対に暗い人は 嫌われやすいと 単純に 型に嵌めて判断してしまうのです さて 自分はどうかというと ひとことで言ってしまうと 暗いです 過去を振り返っても 子供の頃から人見知りが激しく 簡単に他者と打ち解ける能力を欠いていました それは家族間の中にいても抜け出せない 子供でした おそろしい事に 血の繋がりのある関係においても 親になつかない子供と よくなつく子供は 親の愛情の温度に差が生まれるんですよね そうやって育って大人になった私は 当然の結果として 暗がりばかりを歩いてきました 陰鬱な性格 華奢な体つき いつも何を考えているのかわからない存在として 疎外され 無視され ひたすら自己防衛の手段と選ぶしかなかった 自分の殻に閉じ籠る 気色悪い存在 貴方の貴女の回りにも一人や二人はきっといたでしょうね そのうちの一人が私でした 自分で自分を嫌いになってました 鏡のなかを覗くの嫌いでした なのに 自分は奇跡に恵まれました 私を救ってくれる女と出会いました そうじゃありません 彼女も私によって救われたのです お互いがお互いを救いあったのです 籍を入れました 夫婦になりました 子供が産まれました 家を買いました 私の家族の完成です それは嘘です 簡単に家族は完成しません 大変な努力と思いやりと忍耐を重ねなくてはなりません その道草に こうやって 志しを低くして 詩なんて書いてる私は どうなんでしょうね 自分でもよくわからない 理解出来ないです でも生来の性格の暗さに 明るい兆しが見えているのは たしかです 最後は この人生に万歳したいな 昭和生まれの 昭和育ち 遥か遠くに夜が明けて 朝陽が昇る姿 を見るような気分です 人生 過程は多種多様でも 行き着くところはみんないっしょ 公平じゃないですか いっしょなんですよね その事に気がつかなかったわ ずっとずっと 他人と自分を比較して 嫉妬したり 悩んだり苦しんだり 今もそれは変わらない 相も変わらない生活苦に神経は磨り減るし でもねでもね 前向きに生きていられりゃ 行けそうな気がするからさ このデコボコの道も デコボコを乗り越えて ---------------------------- [自由詩]学校の教科書には/こたきひろし[2020年2月16日9時19分] 学校の教科書には書いてなかった事が この社会にはふんだんに転がしてあって それを意図的に転がしているのは 先に社会を歩いている大人たちでした 自分が足を躓かされたからという理由で 後から来るやつらにも同じ目に会わせてやろうという浅はかな魂胆が永遠に繰り返されているからです 人間なんてちっぽけな存在なんですよ そして意地が悪い 私ばかりじゃない 人間嫌いが増えてしまうのは無理もないですね カラスが鳴いているのか 哭いているのか どうでもいいけれど 朝から気味悪いな せっかく私の頭の中に詩がふってわいているというのに 邪魔しないで欲しいな カラス お前は見かける度にいつも貪欲で その真っ黒な羽の色は好きになれないな たまに道端に猫の轢死体を見つけると お前はそのはらわたをくちばしでつついてたりするが 旨いのか 俺の父親は戦争に召集されて 戦場で餓死寸前にまで追いつめられて 死んだ戦友の屍の肉と血を 自分の生存本能に逆らえず ありがたく頂戴したと聞かされた事がある お陰で俺は生まれて来れたんだ ありがたく命を頂戴したわけさ それが命の連鎖なんだろ カラスよ お前も生存の本能に従って 猫の死んで残した肉をありがたく頂戴してたんだな 食物の連鎖ってやつか 猫を可哀想と思う気持ちといっしょに 自然界の過酷な現実がごった煮なった気分だったよ 教科書には書かれていない事が ふんだんに転がしあるんだよな 学校に通っていた頃 俺はいつも不思議に思っていたよ 教科書なんて一時間もあれば読み終えてしまうのに 何で一年もかけてそれをするんだって ---------------------------- [自由詩]彼岸/こたきひろし[2020年2月25日23時51分] 涅槃にはいけない ただの凡人だから 命は尽きるのであって けして 滅びるんじゃないと思ってる どんなに崇拝しても 神の側にはいけない でも 死んだら 誰だって 仏にはなれるさ 三途の川の向こう岸には 舟で渡るらしい その為には 金がいるらしい なんだか馬鹿馬鹿しい 金のない奴等は 歩いて渡るらしい 首まで水に浸かって 泳いで渡ろうとすると 岸の目前で 押し流されてしまうらしい そんな 残酷な企みがあるらしい それを眺めて楽しむ冷酷非道な 存在いるらしい 死んだら誰だって仏になれるって 真っ赤な嘘らしい 生きている間のまやかしらしい そんなのに信じてすがったら いくいくは 酷い目に会うって事らしい 涅槃にはいけない ただの凡人だから ---------------------------- [自由詩]目が覚めたら/こたきひろし[2020年2月29日8時56分] ある朝 目が覚めたら 周囲の環境はがらんとしていた それで まばたきした 耳をすませた 火がついたように泣き出してみた その時布団の上に寝ていた私は 明らかに幼い子供だった たとえるなら 赤ん坊に毛が生えたくらいかな 家の中は誰もいない 人の気配が感じられなかった 赤ん坊にはえた毛が きっと物心だったに違いない 私はその時がくるまで 自分が何者で 何処からきて どこにいるなんて 何も意識していなかった 無我無意識の生き物だだったのだ それがある瞬間 意識に目覚めた 目覚める事がゆるされた その事に 私以外何者もまだ気づいてない 気づかせてあげなくなくてはならない 私は声をいっぱいに張り上げて泣いた するとどこからか女が一人あらわれた その女はいとおしむ眼で私に近づくと 抱き上げた その体臭から 私は母なる人の存在に気づかされた 本能的に そこから私の旅は 本格的にスタートしたのだ ろう? ---------------------------- [自由詩]私は何者此処は何処/こたきひろし[2020年3月4日0時35分] 私は何者此処は何処 私の存在理由 私の正体 それを聞きたい 確かめたいのは此方だ 何てったって 誰も招待していない かってに来るな 迷惑この上ない さっさとあっちに行け あっちってどっちだよ 決まってるじゃないか こっちじゃないところだよ 疫病神め! 全世界の嫌われ者め! お前たちを生かしておいたら 下手したら こっちが滅びかねない そんな事言うなよ 先住者 その内に退散するよ それまでは暴れるけどさ せいぜい 命乞いしてな その内に退散するよ いや違う いったんは退散するが また来年 今の時期にお邪魔するよ 来年は新型と言う 冠外すかもな 先住者よ 俺たちは俺たちで生存の権利があるんだよ それを主張するぜ 繁殖するぜ 邪魔するなよな どこまでも見えない存在のままに どこまでも どこまでも 不安の風を煽り立ててやるよ ---------------------------- [自由詩]ノイズ/こたきひろし[2020年3月7日8時56分] 人生の負け犬も 人生の勝ち犬も 最期は一緒だよ ダスターシュートに落とされて 焼却炉まで運ばれて 燃やされるのさ 果たして俺はどっちだよ 負け犬か 勝ち犬か 人生の負け犬がコンビニで菓子パン賈って飲み物賈って 寒空の下。コンビニの駐車場の隅に座り込んで食べてたら寒気するな。 人生の勝ち犬がコンビニでサラダチキンとカフェオレ賈って 同じ寒空の下。同じコンビニの駐車場。高級な外車の運転席で食べてたら、それも寒気するな たとえ助手席にとびきりの美女を乗せていたとしても。 俺は世の中の底辺ばかりを這いつくばって生きてきたのさ だからと言って 宿無しの野良の犬になった事はねぇよ なりかけた事は何度もあったけどさ。 腹を空かしてクウクウ哭いて 吠える力もなくなって それでも這いつくばって 何とかここまでたどり着いて来たのさ。 心に穴が空いちまった 隙間から入る風を冷却して 世の中に吐き出している。 嫌われ者さ この社会に掃いて捨てるくらいいるうちの 一人だ。 夜中にラジオを聞くのが好きだ 演歌を聞くのが好きだ 詞がいいよ まさに職人芸だな 聞き惚れて 涙がこぼれるんだ。 でもよ 安物のラジオだから ノイズが入るのよ。 それがまたいいんだな それがまたいいんだよ。 ---------------------------- [自由詩]踏み切りの前で/こたきひろし[2020年3月14日7時37分] 生きている道 生きていく道 途中踏み切りにぶつかる事は何度もあった 無情に遮断機がおりているときは じりじりと待たなければならず 運よく遮断機が上がっていても 慎重に渡る必要があった 夏 踏み切りの線路の上は陽炎が揺れていた 冬 人身事故の為に 踏み切りの線路の上には千切れた肉片がこびりつき 血液がまとわりついていた 春 踏み切りは満開の桜の森に埋もれてしまった 秋 何も起こりそうになかったが 金木犀の香りで気が狂いそうになった 生きている道 生きていく道 途中何度も踏み切りにぶつかった ある日 遮断機がおりたまま開かなくなってしまった そこを通るのを諦めて他の道を選ばなくては ならないのか 踏み切りは閉まっているだけで 電車は来る気配はない 迷った末に 踏み切りを無視して 線路内に浸入しようとした 何もかも嫌になって 何もかも 絶望して はいけない 踏み切りの前で踏みとどまった 生きている道 生きていく道 生きなければ ならない道だから ---------------------------- [自由詩]私の存在理由なんて/こたきひろし[2020年3月15日0時39分] 鏡の中に写る顔は好きになれない 他人の眼に写る顔は 怖くて覗き込めない どうしても 自分に尋ねたい事がある あんたの 存在理由って何だと思ってる ねぇ何してるの また詩なんて書いてるの 詩なんて書いて何になるの つまらない 悲しくて 寂しくて 空しくて つまらない 街では 暴動が起きてる 商店が略奪されてる 治安が乱れに乱れてる 暴力が無差別に 殺戮が無差別に 権力が無力に 妄想に脳内が破壊されてしまいそうだ ねぇ何書いてるの また詩なんて書いてるの 詩なんて書いて何になるの もういい加減にしなよ 支離滅裂な思考回路じゃないか あんたの 頭の中の脳ミソが得体のしれない虫に食われてるんじゃないのか ねぇ何してるの また詩なんて書いてるの それ以外 することないの もしかして それがあんたの存在理由だなんて 思ってる 思ってるの ---------------------------- [自由詩]悲劇 喜劇 寸劇/こたきひろし[2020年3月19日0時03分] 人 それぞれが所有している 体と心 時に 体は疲れたと悲鳴を上げる 時に 心は疲れて悲鳴をあげる体に 慰めと労りの言葉をかける 心という無限の宇宙 体という骨に支えられた肉の塊 余りにも質と量に隔たりがある 関係 なのに お互いが干渉しあっている 生きている けど 果たして活きているかは? 人生はステージ 人生は演技 言いふるされたたとえ 何者かに書かれた台本に よって 何者かの演出にそって 舞台にあがる たった一幕の物語 なんだよな ---------------------------- [自由詩]鎖国/こたきひろし[2020年3月20日6時29分] 冷たい眼と 温かい眼の温度差ってどのくらい それを計る温度計があるとしたら 見る人と見られる人の 見えないところに隠されている筈だから 体温計みたいにピピって鳴って 引き抜いて確かめられるものじゃない 題名の鎖国って何だよ 何の脈絡もないじゃないか ごめん 今朝テレビをつけたらニュースでやってた 感染症を防ぐ為に 大国が外国との渡航を禁止するって これって鎖国だよな この先世界はどうなってしまうんだよ 冷たい眼には冷たい涙が 温かい眼には温かい涙が 流れ出して来そうな 情報じゃないかな え〜と ちゃんと理解して貰えたかな 後は読んで頂いてくれた皆さんが 脈絡を探し出して 言葉を紡ぎ出して みて欲しいな それでいいかな ---------------------------- [自由詩]氾濫と反乱/こたきひろし[2020年3月21日8時34分] 現実だったのかそれとも非現実だったのか その思い出は曖昧でした 曖昧でぼんやりしていながら 自分の知らない内に いつの間に記憶の紙面に刷り込まれていました 私はまだ小学校に通っていました 五年生か六年だったような気がしています 家の近くには川が流れていました 歩いて数分もかからない所でした 実家は山間の辺鄙な場所にありました 旧くて粗末な農家には七人が棲んでいました 両親と兄が一人姉が三人 そして私でした 川が近くに流れていたのでいつも絶えず水の音が聞こえている筈でしたが すっかり耳が慣れてしまい無意識になっていました 普段は水深も浅くて川幅も狭い小さな川も 毎年の九月か十月辺りの台風シーズンには水嵩は増して川幅も広がりました 水色は濁り、上流から塵や芥を押し流して来ました 酷い時は 途中、岸辺の山肌や田んぼを削りとりました 巨大な蛇へと変貌してとぐろを巻くように激しく流れました 周辺の住民をその度に自然の怒りに茫然とさせられました その日 台風が過ぎ去った後ですっかり天気は回復していました 私は川の様子を見たくなってしまいました それは両親からきつく止められていましたが 怖いもの見たさを抑えきれなくなってしまいました 私は友だちのいない子供でした 友だちの出来ない子供でした 友だちを作れない子供でした だからいつも一人で遊んでいました そんな私は 家族の中でも浮いた存在になっていました 家族同士の団欒や会話にも入れなくて 内気で無口な子供になっていました 私は家をそっと抜け出しました 嵐が過ぎ去った後の空気は新鮮で実に真っ青な空でした 家の前の細い道は直ぐに両側を田んぼに挟まれました 田んぼと田んぼの間の叢の間はかろうじて道になっていました その方へ草を踏み分けながら入っていきました 間もなく田んぼ沿いに土手が続いてその向こう側が川でした 土手には篠竹が鬱蒼と生い茂り、他にもわけのわからない雑草が入り雑じって 視界は妨げられました 川を眺める為にはそれらと闘い制しなければなりませんでした その時近くに子供の声が聞こえてきました 思わぬ先客がいました 複数の様子でした 二人か三人だと感じました 幸い私の存在に気づいてはいませんでした 知らない子供のようでした 聞き覚えのない声ばかりでした 歓声をあげてました 川を覗いて驚きの声をさせているに違いありませんでした ただ鬱蒼と生い茂る篠竹と雑草に隠れて何処にいるのかわかりません 私も早く川を見たくなりました でも他の子供らに気付かれさとられなくはありませんでした 音をたてないようにして篠竹や雑草を掻き分けてたら 突然眼下に激流が見えました 驚いた事に激流は土手の高さのギリギリを流れていました 私は足がすくみました 一歩先で足を踏み外したら落ちて流されてしまうに違いありませんでした その瞬間に悲鳴があがりました 見ると 子供が一人落ちて必死に助かろうともがきながら激流に流されてしまい、その姿は直ぐに見えなくなってしまいました 私は恐怖に打ちのめされてしまいました 私は直ぐにもこの場所から立ち去るべきだと本能的に感じました なぜ、どういう状況でそうなったかなどどうでもよいと思いました 現実が全てでした 目の当たりにした恐ろしい光景を視界から振り払い 逃げ出すしか思い付きませんでした そして私の子供心はそれを一刻も早く誰か大人に報告するべきか それとも何もなかった事にして口をつむいでしまうかの どちらかの選択を迫られてしまいました 報告するとしたら父親以外あり得ませんでした 頑固一徹で厳格な父親に 私は大慌てで家に帰りました 血相を変えて息も荒げていた私の顔を見て 父親が聞いてきました どうしたひろし? 私はその時何も言いませんでした 相も変わらない父親の存在の前に 言葉をなくしてしまいました その日から何日かして 下流にあるダムの辺りで子供の水死体が釣り人に発見されました 水ぶくれになった遺体は至るところ損傷があって 酷い有り様だったようでした 地方紙の三面の片隅に載ったみたいですが 私は読んでも見てもいません 私の遥か遠くの記憶の中に 黒い染みになって残っていますけど 可能なら拭き取って消してしまいたいです 消してしまいたいのですが それが果たして現実だったか非現実だったのかの区別が つかなくなってしまっていて もしかしたら私は大きな思い違いをしているのかもわかりません あの日 あの時 激流に落ちて飲み込まれたのは他の子供ではなく 私自身で いまだにその現実を受け入れられずに 霊魂のままにさ迷っている存在なのかもしれないからです それは夢と現の間を襤褸みたいに ---------------------------- [自由詩]差別と無差別/こたきひろし[2020年3月22日7時44分] 産まれる寸前に切符を渡されました 渡されたと言うか 無理矢理握らされました それから強く背中をおされたみたいで その勢いで 改札口通り抜けました そしてそのまま押されながら 駅舎の階段を昇り 通路を渡り 渡りきるとホームへと階段を降りました すると 丁度列車が滑り込んできました 停車するといっせいにドアが開きました その時 ホームの上が溢れていたか空いていたか 車内が溢れていたか空いていたか 今となってはどうでもいいです その時 車両とホームの間に 運悪く 左の足を挟まれたのかもわかりません 何とか自力で足は引き抜いたので 忘れる事が出来たのかもわかりません 車内に乗り込むことが出来ました やがて列車は走りだし やがて列車は止まりました その時 ホームの上が溢れていたか 空いていたか 思い出す必要はありませんでした ホームへと降りて待っていました すると女に見つけ出され 駆け寄ってきた女の 胸に抱き上げられました 乳臭い匂いを嗅ぎながら 産声をあげました そしていつの間にか ベビーベッドの上ですやすやと眠ってしまいました 深夜に目を覚ましてしまいました 直ぐに救急車のサイレンみたいに泣き出してしまい 女が自分の寝床から起き出して抱き上げられました 抱き上げられながら 揺りかごみたいにされてしまいました 早く寝かしつけたかったんでしょう 女の思い通りになれずに 泣き続けていたら 男が目を覚ましてしまいました 男は苛立ちを露にして声に出しました 「俺は仕事で明日が早いんだ!早く泣き止ませろ!」 すると女も苛立って言い返しました 「あんたの都合なんて赤ちゃん聞いてくれないわ!」 すると男は声をいっそう荒げました 「それを何とかするのが女の役目だろ!」 育児に疲れていた女は 「ふざけないでよ!あたしは産んだけど、産ませたのはあんたなんだから、これくらい覚悟の上でしょ!」 止めてやめてやめて欲しい と思ったのは私でした 私の為にケンカするのはヤメテ欲しいと思いました わかったから 私泣くのやめるからと 素直に泣き止みました 何もかも私のせいなんだよね 私が生まれてきたせいなんだよね そうやって二人がケンカばかりするように なったのは 私はベビーベッドの上で即座に立ち上がり すくすくと育ちました そして歩き始めたら 異変に気付きました 左の足に不具合があったのです 右足に付いていけず 引きずっていました 私はそれが原因で有形無形の被害を 被りました 時には心が歪んだり捻れました 人間が嫌いになりました 人間である自分が嫌いになりました ---------------------------- [自由詩]感謝しない心/こたきひろし[2020年3月22日8時42分] 十三歳 中学生でした 担任の男性教師は怖い先生でした 柔道部の顧問をしていて有段者でした 先生の口癖は 人間は感情の生き物だ でした その言葉が出ると クラスの中の誰かが頬を平手で打たれました さすがにそれは男子生徒に限られてましたが ビンタする前に先生は必ず言いました 直立不動になれ 歯を食いしばれ と 可能なら両手で耳を塞げ とも 反抗心剥き出しの生徒は 先生を睨みつけました さすがに暴力による抵抗はしませんでした 先生は猛者で 柔道の有段者でしたから 叩かれると生徒の体はよろめきました 反抗心剥き出しの生徒は それでも姿勢を元に戻して 先生を睨みつけました もう一発が反対側に見舞われるからです クラスには悪いのが何人かいました 正義感剥き出しの先生は そいつらを許しませんでした 先生がいる限り 教室内は平和でした 平和とは力によって制圧される結果でした そんな先生は 弱い者にはやさしい人でした 私は弱者でした 弱者であるがゆえに 先生の鉄拳制裁から逃れる事が出来ました だけど 私はいつも先生から見下されているような 思いを拭いされませんでした 弱い者が強い者の 庇護を受ける構図を呪っていました 私は大崎君に憧れてました 彼は悪ぶっているだけで 本当はやさしいクラスメートでした 私は大崎君の家庭の事情も知ってました なのに情け容赦なく 大崎君はよく先生から 往復ビンタされてました その光景を目前にさせられる 弱者の心に 果たして先生の眼は向けられていたとは思えません 何が正しくて 何が間違っているかなんて 受け止める側の 主観でしかないのに ---------------------------- [自由詩]看板と岩盤/こたきひろし[2020年3月25日6時33分] 誰にも殺されたくはありませんからね 勿論 誰も殺したくはないです 普通に 人間やってきましたから これから先も 普通に人間やっていきたいですから 誰かに殺されたり 誰かを殺したりは 普通じゃない でしょ だけど もしかしたら 見えない形で 法に触れない形で 誰かに殺されたり 誰かを殺してしまったりは 誰にでも 起こりうる事なんだよな 確かに法には問われない犯罪を 誰だって 一つや二つ犯した 記憶あるでしょ 胸に手をあてなくても 思い当たる節はあるんじゃないかな それ普通でしょ 普通に動いて 普通に呼吸していたら それはいいとして 普通って どこからどこまでの範囲にあるのかな? 普通にわからないけれど 大丈夫かな 普通に思われたくて 「私は普通です」 の看板を胸にぶら下げてしまったら たちまち普通に見られなくなるからさ 普通に思い悩むよ それって 普通じゃないかな ---------------------------- [自由詩]不安な音楽/こたきひろし[2020年3月29日0時33分] 先天的に強い虫と 先天的に弱い虫がいる 先天的に強いヒトと 先天的に弱いヒトもいる 先天的に強いオオカミと 先天的に弱いオオカミもいた 先天的強い羊と 先天的に弱い羊もいるかもしれない 想像を遥かに超えた所で 音楽を聴いていた 想像を遥かに超えた所で 絵画を見つめていたい 想像を遥かに超えてしまえば 素敵な快感しかないかもしれない 貴方はいったい何が言いたいんだ 私は何も言いたくはない 貴女はいったい誰なんだ それは あたしにもわからない 快楽に溺れたい と 同様に 苦痛も味わいたい 生きている実感がわいてこない 本当の意味で 安らぎに浸りたい 明日の方角が解らない 昨日の自分は何処へ行った おカネが欲しい おカネ以外に何を欲しがるべきか 解らない 人が信じられないのに 人を愛したい 誰も愛してないから 誰も愛せない 蟷螂の雌は 蟷螂の雄と 交尾した後に 雄を食べて殺してしまうらしい 先天的に強い虫と 先天的に弱い虫がいる 私の頭の中には 蛆虫がわいている ---------------------------- (ファイルの終わり)