森川美咲の梅昆布茶さんおすすめリスト 2014年1月30日0時50分から2014年5月9日3時39分まで ---------------------------- [自由詩]新しいノート/梅昆布茶[2014年1月30日0時50分] 新しい言葉を綴ることは 新しい土地を開墾するように そこへ種を蒔くように描いてゆくこと 自由を描くことは難しい だれも自由の光をみたことがないから それでも描こうとする 愛を定義することは難しい 愛はどこにも陳列されてはいないから それでも愛する 幸福を語ることは難しい 私の幸福はあなたの幸福と 交換できないから それでも言葉は試みてゆく それが唯一の機能だとでも言うように   新しいノートはいつも最初の一言で失われてゆく 新しいノートは積み上げられいつか崩れて均されて そこに次のノートが重なり堆積して 言葉は拡散し失望する そして回復し再生する 新しい言葉を捜すことは どこかへ通じる穴をあけること そこからわたしたちは 新しい海へ流れてゆく流体なのだ 新しいノートをひらく またあらたに種を蒔くために ---------------------------- [自由詩]猫でした/梅昆布茶[2014年5月9日3時39分] 猫でした まちがいなくねこだったと思うのですが 定かではありません 幸せだったかもしれませんし そうじゃあなかったかもしれません 宿無しだったのはたしかです いまでもたいして変わりはしませんが 濡れそぼる夜はなくなったようです また猫に戻りたいかときかれれば まああれはあれで良かったかなと思うだけです よく遠くのそらをながめていました 腹も減るものですが別の何かもさがしていたものです からっぽの街で風の行方を追いかけては 光のあふれる季節をみつけようと彷徨いました そう猫でした いまでもその記憶が残っているのです ---------------------------- (ファイルの終わり)