虹村 凌 2006年12月25日22時58分から2007年1月24日11時54分まで ---------------------------- [自由詩]ギャル/虹村 凌[2006年12月25日22時58分] 助けてくれ!と声にならない視線を投げかける ギャルの狭間で 押しつぶされて 膨張して 今にも弾けそうな俺が叫ぶ 狭くなる肩幅 滲む脂汗 導火線を走る火花 笑う膝 綺麗なお姉さんの微笑みに 安心と更なる恐怖を得る 助けてくれ! 投げかけた視線の先にはギャル客が あっ ---------------------------- [自由詩]買い物/虹村 凌[2006年12月25日23時02分] 街を行くカップルを蹴り飛ばしたかった高校生の頃 今は幸せそうな彼らを祝福してやろうと思う でも条件がある その条件を守ったら 模造刀で刺し殺したりしない お前等 2日に買い物来るんじゃねぇぞ ---------------------------- [自由詩]怒濤新宿大往生/虹村 凌[2006年12月25日23時15分] 信じる奴しか救わない神様なんてクソ喰らえだ! と叫びたい衝動をどうにか抑えつつ煙草を吸う 信じなきゃ地獄行きって脅迫じゃねぇか! と叫びたい衝動をどうにか抑えつつ珈琲を飲む 貧弱な軽自動車を街宣車がぶっ飛ばす妄想に浸りながら 皇居に向かって敬礼を繰り返す妄想にも浸る 妄想浸りでグショグショの背中 張り付くワイシャツを隠すロングコート 内側には勿論模造の日本刀が輝くのだ お前等覚悟しやがれよ 一人残らず仏滅の日の恐ろしさを噛みしめろ と煙草を投げ捨て踏み消す一歩 捕まれる肩に驚き振り返る 紺色の制服と無線から響く声 袈裟懸けのタスキに輝く「路上喫煙禁止」の文字 喫煙所から3mでの悲劇 力が込められた手の平 動かせないこの肩 ゆっくりとしゃがみ込む 微笑む国家権力 投げつける吸い殻 逃げるラバーソール 情けなく息切れ 体力不足と脂肪増加の哀しいお知らせ 更に追い打ち切ないお知らせ 本日は営業を終了しました だってする事ないんだもんと店員 わかってるって 早かったり下手くそだったり そら仕事中に電話しちゃうよね 後ろから投げキッスの後に中央の指を立てて微笑む ヤの字に睨まれてまたも逃走 敗走退却是我人生 嘘だって 何でもいいけど 幸せなお前等に倖アレ! ---------------------------- [自由詩]紫色クレーター/虹村 凌[2006年12月28日22時38分] 馬鹿と呼ばれ アホ扱いされ ガキだと笑われた 助走をつけてラバーソールでドロップキック 突き抜けた先には俺の葬列 紫色のグラデーションの上から飛び立って クレーターの上に着地する 俺は俺の葬列で泣く奴を許さない と宣言する故人宣誓で始まる葬式 叩き付ける脳天に突き刺さるセブンスター 飛び散るジッポの着火石 火を点ける意志 積み上げる梅干し 崩れる 紫色のグラデーションの上から飛び立って クレーターの上に着地する 偶然すら利用しながら 嘘で嘘を固めて作り上げた偶像は俺 踏み外したら真っ逆さま ヨモギみたいに転がり続けて 辿り着いた水場で溺れる 紫色のグラデーションに包まれて クレーターを飛び越える ---------------------------- [自由詩]落ち着かないチキンラーメン/虹村 凌[2006年12月28日23時10分] チキンラーメンの鍋で茹でた チキンラーメンを半分こして 食べた ちゅるるるる ちゅるるるる 髪の毛が土鍋に入ってるのに 僕の食べ方が汚いと気にする それはディスタンスの問題だよ 俺と君より土鍋と君の距離が近いんだもの ほら 僕等はウィスパーできない距離で チキンラーメンを半分こしてるの ちゅるるるる ちゅるるるる 彼らはウィスパーの中で泳いでるのに 白い破片がラーメンの中で泳いでるのに 僕の目は君の身体のラインの上を泳いでいるのに こっちを向いてよハニィ なのにちゅるるるる なのにちゅるるるる すべり込むチキンラーメン 君の口の中へ 吸い寄せられるように土鍋に近づく ゆっくり ゆっくり 振り向く君 飛び退く俺 「食べる?」 「…うん」 ちゅるるるる こんな落ち着かないチキンラーメンは初めてだ 咳き込んで鼻から麺が出たのを君は知らない ---------------------------- [自由詩]はくち/虹村 凌[2006年12月30日22時10分] きすしてほしい きみのきらいな こんにゃくも しらたきも なまたまごも なまざかなも はんじゅくたまごも ぜんぶたべてあげるから ぼくのくちびるとしたをかんで やさしくゆっくり やさしくゆっくり きみのすきなおんがくのなかで ゆっくりとかんで ぜんぶたべて ---------------------------- [自由詩]伊勢丹で朝食を/虹村 凌[2006年12月30日23時11分] 本当なら君といたい一緒に  煎餅布団の中で 君の背中の後ろ 勝手に約束してる  今度生まれた時の事を みんなが知ってるつもりの ほんとうのこと 強がってた俺が泣いてる  みんなが帰った後 お煮染めの匂いの中 君と歩くは祭りか修行か  手も掴めずに先を歩く 袖を一瞬だけ引っ張るその手を 掴み返せずに 思う 座椅子になりたい 座椅子になりたい 一秒だけでも長生きする 君よりも必ず一秒以上 そうしてすぐに追いかける 訪れる朝に 何の前触れも無く昇る朝日に アウトオブロマンチカ 何も覚えていない君と 覚えてばかりいる僕の 遠い遠いカサブランカ 夢を追っても孤独は恐い だから新宿ハイキック 俺の目が 俺の耳が キャッチしたオブジェクト 文字に化けていく 君の目が 君の耳が キャッチしたオブジェクト キャンパスに染み込んでいく だから新宿ハイキック 君がキャンパス塗りつぶしてる時 俺のラブソング どんどん溶けてく 空に 君の知らない恋文 俺の知らない日本画 煙草をくわえて歩きながら 俺は半分夢の中 気がつけば新宿はもう冬だった 俺は半分夢の中 もうまっぴらだ 遠くまで行く もうまっぴらだ もう行かないでくれないか これ以上遠くには 俺は半分夢の中 新宿ハイキック 嘘ばっかり 渋谷でウトウト 祐天寺でゲロ吐いて それでも半分夢の中 嘘ばっかり 新宿ハイキック イイ事ばかりは続かない 置き引きにあった次の日に ネームプレートも無くしちまった メェルの返事も来ないまま 金が欲しくて働いて眠るだけ 開き直ってヘラヘラしてても メェルは来ないし会えもしない 電話するようなガラでもない 昔に比べりゃ近づいて ちったぁ幸せに見えるのかな 涙ぐんでも始まらない 最終電車で帰る 丸い背中 何も変わらない事に気づいて 坂道の途中で泣き崩れる 脚を止めた 遂に 自販機の横で座り込んで 朝焼けまでおやすみなさい 雲隠れ 空白 退屈な仕事の合間に 君からの電子手紙 遠くから 我が侭なお前にイカれてた 遠くからのレタァ レタァ お前の匂いのレタァ 読めない滲んで 涙 悪い予感が夜空に輝く 本当さ 確かに見えたんだ 星なんかじゃない 悪い予感が降ってくる前に 親戚を殺して香典を集めよう その金で遊ぼう 昭和81年のボニー&クライド 苦労なんてないさ 旅に出よう 明日は無くても 苦労なんてないさ 歌を歌うから 歌うのはいつも下らないラブソング 安っぽいラブソング 何処かで聞いたような そんなラブソング そう君が好き それ以外の言葉は知らないし それ以外の言葉は言えない ブルーな時にお前の名前を呟く どうなる訳でも無い それでも呟く 涙ぐむだけ 何時までたっても上手く言えない こんな調子 そんなラブソング 何時までたってもこんな調子 何も言わないでいたら窒息シちまう させられるよちはマシだけど 馬鹿のフリして道化て歌舞いて 生き延びる 新宿ハイキック 伊勢丹で一緒に朝食を ---------------------------- [自由詩]天国のドアにて/虹村 凌[2006年12月31日22時19分] 人を蹴落としてまで天国に縋り付いた奴等が 今度はヘラヘラ笑いながら 「こっちに来いよ」 何て言いやがる しんがり ケツ持ち 誰がやるってんだ 背中を見せたら終わりだぜ 人に手を預けたら終わりだぜ 人を蹴落としてまで天国に辿り着いた奴等が 今度はヘラヘラ笑いながら 「あがってこいよ」 何て言いやがる 差し伸べた左手 背中に回してる右手を見せてみろよ ---------------------------- [自由詩]フェイント/虹村 凌[2007年1月1日17時23分] 「寒い」 と言って俺の袖を引っ張る君の手を握り返す 「あ、別にそういう意味じゃないの」 振り解かれる手 お前は平気でそう言う事を言う奴なのだ ---------------------------- [自由詩]バイバイ八分の四拍子/虹村 凌[2007年1月2日21時42分] 終わらない八分の四拍子 午後の珈琲 立ち竦む十字路の真ん中 冬の匂いの真ん中でバイバイ 春の匂いを嗅ぐ前にバイバイ 季節の匂いに笑う 終わらない八分の四拍子 午後の珈琲 立ち竦む三叉路の真ん中 夏の匂いを嗅ぎたいけどバイバイ 秋の匂いも嗅げないよねバイバイ 屋上で笑う赤いギター 終わらない八分の四拍子 午後の珈琲 立ち竦む十字路の真ん中 夜の匂いの真ん中でバイバイ 朝の匂いを嗅ぎながらバイバイ 喋りすぎた男 終わらない八分の四拍子 午後の珈琲 立ち竦む三叉路の真ん中 狂わない夜明けの光 染み込ませて弾ける 狂わない朝の光の匂いの真ん中で笑うバイバイ ---------------------------- [自由詩]ガールクライドガール/虹村 凌[2007年1月3日21時41分] 俺はちょっとした基地外ってヤツで 知ってるだろ 時々オカシクなっちゃうのさ ガール ガールガール 俺の世界を知ってるだろ ピーナツバタージャムチキンツナサンドイッチ 山葵醤油辛子生魚 ガールガールガール 触ってよこの身体に ねぇボーイ いやつまりガール まるでティーンだった頃の僕等の様に ガールガール 誇れる男になりたい ジュウシマツが鳴く頃に 世界を混乱に導くよ ガールガール じぃちゃんのロングコート 込み上げてくる笑い 乾いてる ピースアウト ピースインは「クソ喰らえ」 ガール だからピースアウト ハイファイブでノーサイド 遠く 遠く ガール 革靴 厚い底はゴム ガール 掻き込むだけの昼飯 吸い殻 転がる ガール 微笑む 償い きれず 涙でキス 夢の中 ガール 気がつけば家にいる ガール 揺れる ガール 大丈夫じゃない夜に 一晩中でも一緒にいたいと思ってくれるなら ガール ジュウシマツを買っておくれ 世界が混乱したその隙に ガール ガールガール 乾いた時間を飛び越えて 会える筈だから ガールガール ガール 父さんも母さんも大丈夫だから ガール 心配しないで ガール ガール 俺はいないけど 机の上にご飯はきっとあるから 気にしないで ガール クライドは蜂の巣 ---------------------------- [自由詩]小さな卓上電熱器の上の湯豆腐を囲む、君と。/虹村 凌[2007年1月4日21時19分] フィード ミィ 箸でフォークでスプーンで指で口で 口でフィード ミィ 天国に飢えている 天国に餓えている だからフィード ミィ 口で クリープを一緒に フィード ミィ クリープ クリープ 何時も不思議なクリープ 何時も不明瞭なクリープ 眼鏡ガールと眼鏡スーツみたいに クリープ ネガティブクリープ 一日中目の当たりにするドラマの数々に 耐えきれなくなる クリープ 何の前触れも無く朝は訪れ 何の予兆も無く夜が訪れる 十代だった僕等の目にだけ見えた筈の物は既に遠い 細めても届かない届かない届かない クリープ ポジティブクリープ 立っている場所が此の世の中心 脚本演出監督主演 いつかのラインを越えて立っている 煙草のけむりはいつも青いままで 夕暮れ時は何時もドキドキする 何かの予感 途方もない 緊張と解放の飽和した感覚の真ん中で 何かの予感 幼かった頃と変わらない 夕方五時のチャイム 鳴り響く クリープな音色 青と橙のグラデーションの中から 響くチャイム 紫のグラデーションへ クリープクリープ 鳴り響く クリープ フィード ミィ クリープ フィード ミィ 眼鏡ガール フィード ミィ ---------------------------- [自由詩]あの朝ホームを離れる電車に乗ったお前が俺を探す様な顔つきをした一瞬が引き起こした微熱について。/虹村 凌[2007年1月4日21時28分] 離れ行く電車に乗ったお前と滑り込んだ電車に乗ろうとする俺 数メートルも無い二人の間の幾多もの障害物 二人の視線 遮るように重なる 交わらない視線虚しく空を切り萎れていく 残された微熱今なお引かず指先震えて キリが無い お前の知らない部分お前が知らない部分 全てをさらけ出して求め合う愚かさだけを知っている二人 包まれている交わした微かな温もり 手軽な物語を探せない苦しさ 忘れない 忘れない 忘れない お前が残した微熱が引かないままで 逆方向に遠ざかる電車の中 風の無い季節 誰もが貪る様に物語を求める中 忘れない お前が残した微熱 期待外れでしょうきっと その微熱 懺悔の後で溶けていく微熱 悔やまない心が欲しい お前が残した微熱が引かないままで 今日も電車に乗っている ---------------------------- [自由詩]脳天にギター/虹村 凌[2007年1月6日22時18分] 生まれる時代を間違えた二人は 少しでも生まれたかった時代に近づきたいと 結婚前夜にビニ本を買った 結婚前夜にAVを買った そして二人で眺めた *** 退屈な世界を壊す為とか 世の中の不条理を崩す為とか そういうのじゃなくて 俺の脳天をカチ割る為に ベースギターを呉れよ そこまで言って 結局は同じなんだと気づいた 音が脳味噌を蝕む *** 俺にしかわからない勝利が よくわからない距離で揺らめく 光ったり暗くなったり 光る度にいつも俺を落ち込ませる セブンスタァは何時も同じ味だ ---------------------------- [自由詩]痰壺/虹村 凌[2007年1月6日23時01分] 何本目かのセブンスターに火をつけてから やっちまったなァって事に気付いた 全身がギャル達の肉片でまみれている どうしたものか そう言えば昔 俺が生まれて間もない頃の話になるが その頃の友人に珍しいヤツがいて 機嫌が良い時には痰壺を一気飲みするのだ 口の周りを他人の痰だらけにして 嬉しそうに微笑む其奴を見て 俺は幼いながらも感動したものだ 其奴が今の俺を見てどう思うかは知らないが 俺に割り切れる数字の金を寄越したあの女の客が悪いのだ もう一円足せば割り切れない関係になれたのに ---------------------------- [自由詩]PigPiggerPiggest/虹村 凌[2007年1月7日23時40分] スクラップにはなりたくなかった けれど 気付いた時にはスクラップになった後だった 人ゴミの中で突然に、 「この欲望にまみれた豚どもがァーッ!」 と叫びたくなるなるのは、 「俺は違う!」「俺は醜くない!」と思いたいから。 本当は醜いのにね ---------------------------- [自由詩]句読点ガンダーラ/虹村 凌[2007年1月9日12時03分] 天国のドアなんて、とっくの昔に出ちまったんだ。 忘れてた。 戻りようにも、戻れやしない。 だから、そろそろ他のドアを探さなきゃいけない。 そう思う。 *** キティGUYランドコミュニケーション。 恋に破れ、関係を崩し、そんな話を切り売りして、 一晩中、昔の女と女の裸で盛り上がってた俺等も、 学年もバラバラで、道もバラバラで。 それでもいいじゃねぇか。 祭囃子は聞こえているか? 御輿を担ぐ準備は出来ているか? 祭囃子は聞こえているか? 空廻って独り相撲。 恥ずかしいけど笑い飛ばせ。 誰かが部屋のドアをノックする前に、 家に帰ろう。 *** 宝石箱をひっくり返した事が無い。 *** 超スピード・ダンディ。 音速の壁を突き破るダンディ、ダダダダンディ。 歌舞けや歌舞け麗乱堕天使。 踊れや踊れ狂死牒。 走れや威堕天、極獅天。 タイタニック型ガンダーラ式テンション落下を阻止するのだ。 イエス、俺達は間違って無い。 ---------------------------- [自由詩]自閉モードB突堤/虹村 凌[2007年1月11日16時09分] 朝一番の煙草に火を灯すジッポライター 120円で買える温もりの缶珈琲 耳垢だらけのイヤホンから流れるロック 44口径 独りうずくまる女性専用車両の中 誰も知らないナタリーの物語 ドラマティックビート 顔も知らない坂上さんのバッヂを握りしめる ポケットの中 広がるベースギターの超暴力 眠れない 空から降る目薬に禿げ上がる 遅延証明書が笑い出して 一斉に自己正当化を始める 暖炉の中に記憶の一部をくべて 微笑む様に 俺は寂しそうな顔で笑っていたのか ハハ 参ったね 何かに憧れる硬派は軟派か はたまたオリーブ少年か 夜少年の歩いた夜道 振り返れば笑い話 傷だらけの地図 表裏一体 堤防の先で殴り合い ---------------------------- [自由詩]High魔羅Revolution/虹村 凌[2007年1月15日8時23分] *** ピチピチのジャケットを着て行った。 安全ピンがついたやつだ。300円で下北で買った。 ペロペロの生地で防寒性は全く無い。 パンクな気分で歩けば、真っ直ぐに歩く事なんて出来ない。 あー、下らないなァ。 でも、下らなかったあの頃に戻りたいか、 と聞かれれば、二度と戻りたいとは思わない。 あー。 あの頃に戻るくらいなら死んだ方がマシだ。 *** B’zの稲葉氏の歌詞がいちいち脳天に突き刺さる。 困るんだ、こういうのは。 あー。 部屋で香を焚いた。 一人で横たわるには大きすぎる。 何、ルーミーの分のベッドもくっつけたんだ。 キングサイズ並のベッドだぜ、一人で。 馬鹿みたいだ。 あー、お前等、この部屋に来いよ。 話をしようぜ、色んな話を。 煙草だって吸えるし、音楽だって聞こえる。 窓は開かないけど。 あー。 広すぎるベッドで何をしろって言うんだ。 職場だったあそこで川瀬さんが笑ってる。 坂上を殺せ。坂上って誰だ。 Vive le ReVolition。 誰が革命を起こすって言うんだ。 そんなアツい奴は流行りじゃないぜ。 青臭いカスが置いていかれる。 お前に比べりゃ、俺は世間なんて全然知らない。 何時になりゃお前に追いつける。 お前って誰だ。 不特定多数のお前等だ。 氏ね、と自分の米神におもちゃの銃を突きつける。 かちん 何も飛び出てきやしない。 もしも俺が拳銃を持っていたら、100回は死んでる。 100人は殺してる。 何んだそりゃ。 誰も殺せないよ、俺には。 殺せないよ、誰も。 *** 読み返して思ったけど、 飯喰う前と喰った後で、テンション違うな(笑 *** お前が遠くに行くのが怖いといいながら、 勝手に遠くに行ったのは俺だった。 *** だからお前って誰だ。 *** クラッシュオンヤ。 ヨダレ垂らして笑ってりゃ、水瓶座の匂いがするよ。 *** 煙草の先から蜃気楼。 金曜日の夜、友達と終わった。 何故なら、友達だからだ。 *** いやFRIENDって言う冗談なんだけどね。 半分くらい冗談じゃないかも知れない。 誰だよ。 *** 映画見よう。適当に、どうでもいいのを。 ---------------------------- [自由詩]告げる雨/虹村 凌[2007年1月15日10時03分] 外は春を告げる雨が降り出したので 虫屋さんで雨宿りをした 煙草の煙はたちまちに水の向こうへ消えてった 虫屋さんは黙って雨粒を数えていた 外は夏を告げる雨が降り出したので どの部のかわからないロッカールームで過ごした 少し微笑んだ後に座り込んで 今まで何人傷付けたか数えた 外は秋を告げる雨が降り出したので 薄暗い喫茶店で雨宿りをした 煙草は天上を黄色く染めて散っていった マスターは黙って珈琲豆を挽いていた 外は冬を告げる雨が降り出したので 家の中に引き返して雨が止むのを待った 音を消したテレビが何かのニュースを伝えている 女の子の髪にキスをするのが好きだ 外は季節を告げる雨が降って いつも部屋で一人ぼっちだった 誰かが泣いて雨がふって 会う日は何時も雨だった ---------------------------- [自由詩]ヘルタースケルター/虹村 凌[2007年1月17日15時33分] 準備なんてしないでいいよ きっと突然に現れるから 準備なんてする暇も無いさ きっと突然に現れるから 44口径も要らない もっともっと小さな鉄砲で たった一人のヘルタースケルター 白黒つけちゃおうぜ まるで滑り台を転がるように 真っ逆さまに墜落させてやるから 44口径も要らない もっともっと小さな銃で 二人だけのヘルタースケルター 誰かが誰かを裁くなんて馬鹿げてるけど ちょっと我慢がならなくなっっちゃってさ どうにも赦しがたい気分になっちゃってさ だからごめんね 別に深い意味は無いんだけど 懺悔の言葉を聴きたいのさ 泣いて喚いて悔やめばいい その顔が恐怖に歪めばいいんだ 這いつくばってブーツにキスすればいい そうすればヘルタースケルターは終わるんだ 白黒ついちゃえばそれで終わり だから始めようよ 二人のヘルタースケルター 舞台も照明もいらないよ 台詞も何も無いんだ 準備なんてしなくていいよ 突然に現れて 真っ逆さまに堕ちていけばいいんだ ヘルタースケルター たった二人のヘルタースケルター 滑り台を転げ落ちていくんだ そう ヘルタースケルター ぐるぐると後悔しながら ---------------------------- [自由詩]ピエロ、気狂い、勝手にしやがれ/虹村 凌[2007年1月17日15時45分] 勝手にしやがれ 気狂いピエロ 煙草も珈琲も菓子も嫌いなら 勝手にしやがれ気狂いピエロ 手淫も性交も愛撫も嫌いなら 勝手にしやがれ気狂いピエロ 食事も性交も睡眠も嫌いなら 勝手にしやがれ気狂いピエロ 気狂いピエロ Kの葬列は非常に美しく出来上がったかも知れない でもピエロ 俺の葬列は一体どうなると言うのだろう 俺か築き上げた壁は 色んな処に穴が空いていて 誰かが指を突っ込んだり その穴を広げたりしないように 中でナイフを持って構えている 優しく侵食する指は許容して 興味本位だけで侵しにくる指は突っつく なるべく誰も来ないように 大きな声で叫んだりもする ねぇピエロ そうこうしてる内に 結局は一人になっているんだ 隣の家の芝生が青くみえても もう羨んだりしなくなった あぁ誰か僕と煙草を吸いましょう ピエロ 煙草を吸うかい? ところで 生きる事が素晴らしいなら死ぬ事はどうなんだろうねぇ 生きていると言う事は格好悪いかも知れない 死んでしまうと言う事は惨めな事かも知れない 真島昌利も甲本ヒロトも本気で言ったのだろうか そんな事 ピエロ 君にはわからないよね 俺にもよくわかんない よくわかんないけどそんな気がする どうだいピエロ 春 朝 生誕 冬 夜 逝去 繰り返す 夏 昼 成長 秋 夕暮れ 衰弱 繰り返す 春夏秋冬 朝昼夕晩 馬鹿らしい 一回で十分だ 一回しかないけどね 笑うなよピエロ 生まれ変わっても人間になりたいと思わない 回遊魚も鳥も御免だけどさ 生まれ変わっても ピエロ 君はピエロになりたいかい? 眼を輝かせて 「生まれ変わったら」 なんて事を言いたいとも思わないよ 詩の中じゃ 何度でも 「今度産まれた時の事」を 約束しようとするけどね 笑うなよピエロ どうでもいいんだよね そんな事 何だよピエロ もう一本吸うかい? 勝手にしやがれ ---------------------------- [自由詩]ね、夜少年/虹村 凌[2007年1月18日13時20分] お前の髪の匂い 覚えたよ お前の髪の匂い 覚えたんだ 他の女とは違う わかるんだぜ そんなお前に 死んだら何をあげようか 指輪かジッポか それともこの骨か 何をあげようかね いらないんだったら捨てていいさ わがままなお前 いらないものを いつまでも取っておくような やさしい女じゃない *** キちがい扱いもされなかった頃に 覚えたての煙草をふかして 喫茶店の奥のほう 影に怯えて震えてた 闇を待ってでかける 夜少年 影が薄く長くのびていって はじめてでかける夜少年 甘い缶コーヒーを飲み干して はじめて家に帰る夜少年 腐りかけの頃に 一番やさしかった頃に 貰った石鹸が今も 机の引き出しに眠ってる 一回もすり減らないままで 一番やさしかった頃 一番腐りかけてた頃 キちがい扱いされなかった頃 *** 何をあげようかね いつか 何かをあげようね いらないなら捨てていいから とりあえずでいい 受け取ってくれんか 手紙も書いておこうね 別に読まないでもいいよ 封を切らずにおいてもいい 放っておいてもいいよ 死んだらお前に何をあげようか ね ---------------------------- [自由詩]きのうきょうあした/虹村 凌[2007年1月19日12時51分] いつからか煙草を吸い始めてさ 大人ぶった品の無い遊びも覚えてさ 賭けごともするようになったんよ 俗人が嫌いだったんは いったいぜんたい いつの話だったろうねぇ どんな言葉を言いたかったのか もう忘れちまったい それでもね 覚えてたときに戻りたいなんて ちっとも思わないんよ 思い出ひとつで泣くような そんなひとじゃないでしょう さきおととい おととい きのう きょう あした あさって やのあさって そんな感じで どんどん忘れていくんよ 何を言ってるんだろうね さぁ もう寝なくちゃ ---------------------------- [自由詩]ランチボックス/虹村 凌[2007年1月19日13時23分] スターバックスに踏み込むジョージコックス 立ち尽くすラバーソウルの放心ラヴ&ソウル 喰らう 5Bucks LunchBox 喋るサタデーナイトスペシャル チョークの粉でチョークする 何故ならブッシュは黒人が嫌いだから 何故ならブッシュは貧乏が嫌いだから カニエウエストの太いウエストの上の蟹 フライデイミッドナイトハイ サンドイッチアーティスト賛同一致 飲み干すプレジャージュース 先輩の前で残すのはプレッシャーDEATH 馬鹿らしい ---------------------------- [自由詩]夜明け前に布団にもぐった/虹村 凌[2007年1月19日13時32分] 夢を見るのって いいじゃない 醒めれば喉はカラカラに乾いていて 煙草の煙も上手く通らない むせ返って出てくる痰も飲み込めない カルキ臭い水道水が染み渡る不思議さ 絵コンテみたいに毎日を切り取って 一等輝いてる瞬間だけ残しておくのは ちょっと卑怯過ぎやしないかい? と喉まででかかった言葉を仕舞う 挙句の果てに堂々と吐く 真夜中育ちの少年少女が 夜明け前に布団にもぐった だって絵コンテみたいに綺麗にいかない 昼間の光は強すぎて 目が焼け爛れちゃうんだもの その間だけでも 夢を見たっていいじゃない 手も食器も洋服も洗わないで テレビもステレオも蛍光灯も消さないで カウチにダイブしたまま眠る 誰からメールが来る訳でも電話がかかる訳でもないから 沈むように眠る 目薬が効きすぎて眠れない夜でも 夢が見たいと思うんさ ---------------------------- [自由詩]禮禍四十四口径皆殺賛歌/虹村 凌[2007年1月21日13時51分] ポエムを殺す為に僕等は生まれて来たのだ 街は平和なふりをしているけれど 見捨てられた裏通りから ギラギラした眼つきで見張ってるんだ 言葉はいつだって駄目なものだけど それをもっと駄目にするポエムを ずっと見張ってるんだギラギラした眼で 真夜中の道を街灯を頼りに歩くのは詩で ボクがキミをダイスキなのはポエムだ 余計な物の海で溺れているのなら手を貸そう 溺れている事に気付かないのなら撃ち殺してやる 瞬きする間に消える鳴らし損ねた鐘を思うのが詩で 自分だけに都合のいい自由世界を羨むのがポエムだ 流れ落ち行く涙を拭わずに 陽だまりで煙草を吸うのなら手を貸そう 何時でも誰かに優しくされていたいだけなら 四十四口径を突きつけて引き金を引くよ 真夏の真夜中のど真ん中で突っ立って 平和なふりをしている街を握り締めて 他人の足元をすくう事に必死な奴等に叩きつける 忘れられた裏通りから ギラギラ眼をした奴等が這い出てきて 一斉にポエムを撃ち殺す 全てのポエムを撃ち殺す 禮禍四十四口径皆殺賛歌 ポエムを殺す為に僕等は生まれて来たのだ ---------------------------- [自由詩]幸せな奴が手を叩いたのを見た事が無い/虹村 凌[2007年1月22日14時41分] 死ぬか?と雪男君は行った 地球防衛軍には入れなかった 皆と一緒に卒業式にも出られなかった この冬に二冊の同じ漫画を買った 真っ青な 春 1、2、3、4 退屈だよね 5、6、7、8 苛々するぜ何処にいても 9、10、11、12 冗談みたいな世の中が頭にくる 13 幸せな奴が手を叩いたのを見た事が無い 一蹴される「一緒に死んでくれないか?」と言う願い お前達は お前達の為に涙を流す事さえ嫌がるだろう お前達は 俺がキレちゃたりして 俺に銃口を突きつけられても 冷静に其れを否定するだろう それはお前等が冷たいんじゃなくて 「正しい優しさ」を持ってるって事なんだと 思う 笑えよ こんな事を言う俺を おい 俺は寂しそうな顔をしているか? 煙草が美味いぜ こっちに来いよ 蝶の羽を奪う必要なんか無いぜ 煙草もあるし珈琲もある 火だって貸してやるさ 足りないなら わずかだが金を持っていけよ どうでもいいさそんなモン 幸せな奴が手を叩いたのを見た事が無い ---------------------------- [自由詩]創書日和「雪」/虹村 凌[2007年1月22日15時14分] 死にたい奴から勝手に死ねばいい と受話器に書き込んだ朝は 乾いた雪が派手に舞い上がっていた ちっとも積もりやしねぇ 誰かこの世界を面白くしてくれよ そんな事を言う輩は死んだ方がいい と受話器に付け足した 人生最終目標は世界制服 と受話器に書き込んだ夜は 乾いた雪が地味に降りてきていた 駐車場の屋上だけに薄っすらと積もる 誰かこの世界を面白くしてくれよ 雪道は滑るけどラバーソールは必須 と受話器に付け足した 今週は雪が降り続けるそうだけど 喫茶店で見た生クリームやアイスクリーム バケツの中の吸殻や痰カス ティッシュや肌の上の精子みたいにはいかないみたいだ 業と汚い表現をする奴は死ね と受話器の向こうから誰かに言われた ---------------------------- [自由詩]三千世界のA(C)/虹村 凌[2007年1月24日11時54分] 「ブルーハーツの”ひとにやさしく”って曲いいぜ!」 とロックを聴かない友達の耳にイヤホンを突っ込んで 無理矢理聞かせてみたら 「この歌はいいけどお前は全然ひとにやさしくない」 と言われた あーそう言えばそうだ この前も濡れたラバーソールを電子レンジに突っ込んで ネコみたいに爆発させて駄目にしちゃったんだった 金銀泥絵の三千世界で ポントー持ってジョジョ立つ俺はA(C) 聞いた事の無いAC/DCが カウレィディオの向こうで喚いてる 真夜中のカーボーイ 流し込むドクターペッパー くすぶるセブンスター 歌を歌わされ続けた尾崎ん家の豊君は 結局アメリカで駄目になっちゃったね ---------------------------- (ファイルの終わり)