虹村 凌 2006年9月20日12時32分から2006年11月12日11時52分まで ---------------------------- [自由詩]夢で会えたから素敵なんだよ/虹村 凌[2006年9月20日12時32分] 今朝、夢であったお前はやたら無口で可愛らしくて、 パジャマのような上下の服と、 だぶだぶのセーターを着ていたね。 珍しく可愛いめがね姿を見たよ。 カゴを持たずに、腕に牛乳やパスタ弁当を抱えて、 嬉しそうにレジに並んでいたね。 長めの袖は白い手を飲み込んで、 細長い指だけが覗いていた。 何も言わない。何も言わないで接吻を二度繰り返す。 めがねには俺が二人映っていた。 ---------------------------- [自由詩]火、つけてやるから/虹村 凌[2006年9月22日13時55分] 二年前にお前が泣きながら 眼を真っ赤にしながら 瞼を腫れさせながら 喉を枯らせながら スクリーンを滲ませて キーボードを叩いていたのを 今でも覚えている 彼氏に振られたばかりのお前は 酷く傷ついていた 冷蔵庫は彼氏だった男の好きなもので溢れ返っていて 喉を潤すものを取り出す事さえ躊躇わせた 優しくすればする程素直になっていくお前は 彼氏だった男を今でも大好きなんだと 何度も何度も繰り返す いいって もういいよ 眼、真っ赤なんだろ? 目薬あんのか? 瞼冷やせよ 腫れあがってブスになんぜ? 何だったら俺の胸で泣いてもいんだぜ って遠すぎるんだったな こんなときに嘘つかなくていいって 側にいたら本当にそうしてるなんて いいから瞼冷やせよ 目薬させよ うがいでもしてこいって 窓あけて新しい空気入れろよ 冷蔵庫の中のモンなんか まとめて捨てちまえよ いつまでだって話聞いてやるから いつだって話聞いてやるから 今日だってお前と話せて もう本当に嬉しかったんだぜ ブスになったその瞼 一生懸命冷やしておけよ そしたら 煙草に火 つけてやるから ---------------------------- [自由詩]キャディラック/虹村 凌[2006年9月29日12時55分] 国道66号を通って 東から西へ抜けるんだ 日付変更線を通って 君を迎えに行くんだ 誰かの悪夢の様な まっきいろのキャディラック・カブリオレ 豹柄のシート ステレオからはエイティロック 眼が覚めて 乗っていたのは知らない女だった ---------------------------- [自由詩]カップうどん/虹村 凌[2006年10月5日12時45分] 赤い印がついてる方の蛇口を捻り カップうどんに注ぎ込む 空腹と絶望の果てにある期待を掴んで フタを開いたと言うのに 湯気が出てこなかった 怒りで震える拳を伝わり 机がガタガタと泣き出す ふわり と落ちた一枚の伝票 ガスは止まっていた ---------------------------- [自由詩]カップうどんカップうどん/虹村 凌[2006年10月5日13時03分] カレーうどんが食べたいと思い立って 冷蔵庫の中にある芽の出かけた玉葱をぐわしと掴み 冷凍庫の中にある霜の降りた牛肉をがおんと掴み 小さくし過ぎないように家宝のエクスカリバー つまり手刀で切る斬る伐る しゃおーーーーーぅ レトルトカレー 生で食べられる事を知っているから 部屋の片隅に積み上げられている まるで防壁 それは威圧感を放つ攻性防壁 俺はカレーの王子様 笛吹きケトルを腹から外し カップに注ぎ込む 準備は万端だ 照り返す頭で 肉と野菜を炒めるのだって忘れない さぁもうすぐ もうすぐでカレーうどん わくわくとフタをとり そこに泳いでいた麺が らーめんだった時の絶望感 君は知っているだろうか? ---------------------------- [自由詩]ラバーソールは砕けない/虹村 凌[2006年10月5日13時08分] 毎日が誰かの命日で 毎日が誰かの誕生日 毎日誰かが射精して 毎日誰かが受精する 同じ月を眺め 同じ太陽を眺める 半日遅れの月を眺め 半日遅れの太陽を眺める いくつものサーバーや いくつもの電波塔を通して 接吻を繰り返す新しい世代 デジタルな子供たち 手に持ったナイフも どうしていいかわからない だから踏み潰す 頑張った人間を 同じ土俵に戻す為に そんな奴等を踏み潰す為のラバーソール ---------------------------- [自由詩]ビルの谷間に置いてきた/虹村 凌[2006年10月12日4時37分] うそつきが夜を歩くよ 煙草の煙とても白くて 思わず笑った 思わず泣いた それは嘘 泣いてなんかない 泣いてなんかない 嘘吐きが夜を歩くよ 街の明かりが 河に優しく突き刺さる ゆるりゆるゆる 河に優しく突き刺さる 遠く遠くの向こう岸 夢見る嘘吐き夜を行く 煙草の煙とても白くて ---------------------------- [自由詩]創書日和「流」/虹村 凌[2006年10月12日6時08分] 大都会 夜を歩くよ 根無し草 ふわりふわふわ 漂うように 煙草の煙は真っ青で 空の彼方に消えてった 大都会 川辺を歩くよ 根無し草 ゆるりゆるゆる 漂うように 街の明かりはゆっくりと 水面に優しく沈んでる 重ね塗るのはあなたの姿 ひゅるりひゅるひゅる 煙草を投げた 大都会 人を殺める 根無し草 さらりさらさら 漂うように 溢れる台詞はきっちりと 袈裟に切って鞘の中 どしゃりどばどば 涙を眺めた あいつはただの嘘吐きですよ ---------------------------- [自由詩]ケツ毛/虹村 凌[2006年10月13日8時47分] みんなが 「ケツ毛バーガー!」 と口を開けて喜んでいるうちに 人が死んだり生まれたり した ---------------------------- [自由詩]バジャイナ/虹村 凌[2006年10月13日8時58分] 人間の7割は水分で構成されている バファリンの半分は優しさで構成されている ジョジョの6割分は奇妙なポーズで構成されている バキの9割は死刑囚で構成されている マフィアの8割は地元意識で構成されている 極道の9割は仁義で構成されている 巨人軍の8割は金で構成されている セックスの1割はコンドーム装着時間で構成されている 日本経済の9割7分5厘3糸はアニメで構成されている ごめん言い過ぎた ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]孤独な逃走劇/虹村 凌[2006年10月14日8時45分] また、中学生が自殺した。 俺は以前、「死にたい奴は死ね」といい続けてきた。 イジメや生活苦以外で、死にたがる人間はそうすればいい。 ただ死にたいなら、さっさと死ねばいい。 でも、理由があるのなら話しは別だ そんな俺がこれから言うことは、無責任なのかも知れない。 でも、言わせておくれ。 何故、死んでしまうのか? 逃げる事は出来なかったのか? 苛められても、学校に通う根性は凄いと思う。 でも、最後に死んでしまったら何にもならないよ。 俺だったら逃げる。徹底的に逃げるさ。 親に相談したくないのはわかる。 しなくたっていいさ。 学校サボっちまえよ。 バレて親に怒られたって、サボりゃいいじゃん。 学業が心配なら、転校すりゃいいじゃん。 そうだろう? 難しい事じゃない。 親愛なる友人が言っていたよ。 「自殺する人間は、理想に描いた世界と現実の世界のギャップに耐え切れずに、 生きる事に絶望してしまう人種なんじゃないだろうか」と。 社会学で、10代の子供の自殺についてやった時に、 日本人の学生の自殺が多いこと、 原因が苛めや学業・将来への不安、 親からのプレッシャーである事を言った。 驚かれた。 アメリカじゃ、それが自殺の原因になる事は少ないからね。 精神的におかしくなったり、 思想的に辿り着いた先がそれであったりしても、 アメリカの学生が、日本の学生の様な理由で、 自らの命を絶つ事は少ないようだ。 学歴社会じゃないからね。 アメリカの場合、音楽やサブカルチャーの影響が強い。 それで、パンクスやメタス、デスメタルが槍玉にあがる。 オジー・オズボーンなんて格好の的だ。 逆回転のフレディーの歌声は、 「MY SWEET SATAN」だ。 某詩サイト掲示板で見た。(ここね) 「ロックは、デブで不細工で友達のいない様な、どうしようも無い奴の為にある」と。 そういう奴が、救われるんだ。 ロックに。 ロックは人を救う力があるんだ。 …と、話がそれた。 イジメはなくなりはしない。 決してなくなりはしない。 だから、イジメられっ子よ、逃げるんだ。 逃げる事は恥ずかしい事じゃない。 逃げる事は負ける事じゃない。 死ぬ事が、負ける事なのだ。 イジメで自殺したって、 イジメた奴等は直ぐに忘れる。 逃げろ。逃げろ。逃げろ。 若しくは、叩きのめせ。 集団対一人で勝て、って言うんじゃない。 角材でも何でも、武器を手に取れ。 一人一人、背後から殺さない程度に叩きのめせ。 病院送り程度にはしていい。 逃げるか、殺るか、どっちかだ。 黙って耐える事は、勝利には繋がらない。 最悪の場合、標的を他にさせるんだ。 俺はそうやって切り抜けた。 酷いイジメになる場合だからな。 そして気配に敏感になれ。 気配を感じたら逃げるんだ。 人間は動物だ。 気配を感じる能力は備わっている。 平和ボケして鈍ってるだけだ。 敏感になるんだ。動物になれ。 勝てないと思ったら逃げろ。 ひたすら逃げろ。 無様でもいい。逃げるんだ。 イジメられてるお前を見て、嘲笑う奴等からも逃げるんだ。 死ぬんじゃない。 遺書を残して死ぬ事は、勝利には繋がらない。 相手を社会的に貶める事も出来ない。 逃げろ。逃げろ。逃げろ。 イジメからは逃げていい。 逃げるんだ。 生きろ。 でも思った。 自殺を選ぶ人間は、誇高いのかもな。 誰も信じられない。 守ってくれる筈の教師さえ信じられない。 他人を信じられないのは辛い事。 教師なんてアテにならない。 (きょうし、で変換したら狂死と出たので驚いた) だったら、逃げるしかないんだ。 逃げる事は恥だと思える事は、、 誇りの高さを示している気がするんだよね。 誰も信じられないのは悲しい事。 教師の無力を叩く親こそが、教師を無力にしているのだ。 悲しい矛盾だ。 俺は、こういう言葉を発信し続けなきゃいけない。 死んでしまった学生達には間に合わなかったけれど、 もしかしたら、他の誰かが死ぬ前に間に合うかもしれない。 今、死のうと思っている人間に思いとどまらせる事が出来るかも知れない。 だから、発信し続ける事に意味があるんだと思う。 イジメられても学校に行き続ける、 その心の誇り高さは認める。俺には出来ない事だ。 でも、「明日になれば変わるかもしれない」と言う、 希望的観測は何ももたらさない。 だから、逃げる事をわからなきゃいけない。 そう、イジメから逃げる事は恥じゃないと、 負ける事じゃないと、教えなきゃいけない。 抗えないなら逃げるしかないんだ。 ---------------------------- [自由詩]食べる詩(オリエンタルフレーバー)/虹村 凌[2006年10月14日9時33分] 食堂へと続く階段で 未開封のカップラーメンを拾った 飯を喰って戻ってきてもあったら 詩だよなぁ と 思った 降りる階段の踊り場に カップラーメンは佇んでいたので 持って帰って美味しく食べた オリエンタルフレーバー ---------------------------- [自由詩]よよよよよよよよよよよよ/虹村 凌[2006年10月18日8時51分] 空飛ぶ駱駝に乗って行くよ 紅茶の味がわからないよ 髪の毛が伸びてゆくよ 空の星が見えないよ 鼻が詰まってるよ 膣へ帰りたいよ 頭が膨らむよ 眼が萎むよ 今行くよ 嘘だよ 兎よ よ ---------------------------- [自由詩]冷やし中華初めてました/虹村 凌[2006年10月18日8時52分] 中華まんニ割引って、一瞬読み違えるよね。 わざとだけど。 「ぶっかけフェア」も凄まじくイヤラシイ言葉に見えるよね。 これは素だったけど。 ---------------------------- [自由詩]おばあちゃんのおみおつけ/虹村 凌[2006年10月19日9時10分] おみおつけ と言う言葉を 何人の若者が使うのだろう ふえる乾燥わかめを使いこなせない おばあちゃんのおみおつけは 何時も真っ黒いわかめ汁だった ニンニクたっぷり 牛骨粉たっぷりと思われる牛肉 大きく切られた野菜 黒いおみおつけ それをみつめて二人で囲む食卓は 詩 それ以外の何ものでもなかった ---------------------------- [自由詩]ナヲン/虹村 凌[2006年10月19日9時37分] 今君は何をしてるの? 同じ月も見られない 半日遅れで太陽を眺めて キミの事を思ってはうつむく DOKIDOKIが止まらナイ! AH!YEAH!OH!YEAH! キミが好きだよMY HONEY! いい加減に気付いておくれよ MY SWEET HEART! しゃがんだひょうしに膝頭にウンコがついた ---------------------------- [自由詩]かつおぶし/虹村 凌[2006年10月19日13時23分] 野外でパンツを脱いだり おしっこをしたり おっぱいを出したりする様な 女の子が好きになった 精液が膣から溢れ出した 彼女は石女だったから 精液は何度でも溢れ出た そんな女が好きになった そんな事を言っている間にも 何処かで誰かが泣かされて 何処かで誰かが犯されて 何処かで誰かが殺されて いる 敵がいればみんな安心して生きていける 敵がいなけりゃ怖くて生きていけない 手が 震える 敵がいる事で得られる安心感 心が震える程の高揚感 暴力暴力暴力 血液血液血液 流れ出たら別世界 口を開けて横断歩道を渡って よだれを垂らして射精して 笑っている ---------------------------- [自由詩]真夜中の虹/虹村 凌[2006年10月21日10時22分] それはまるで真夜中の虹のようで *** 真夜中に意味も無く外を歩き回って 意味も無く兄弟が増えて行く 煙草は見る間に減って行き 気付けば財布も空になって 真っ暗な部屋の中から あのに橋がかかっているのが見えたんだ そいつはまるで真夜中の虹のようで *** 真っ暗な部屋の中でずっとうずくまって 今日一日の事を後悔するんだ 今日も殺してしまいました 懺悔しては明日も殺すんだぜ お前があの女だったら いますぐに抱きしめてしまいたいのに 今この目の前にいる女を抱きしめる事はしない そして真夜中の虹のように微笑む *** 真っ暗い部屋の中に差し込む光は極彩色 それはまるで真夜中の虹のように キラキラと光ってはすぐに消える *** 川辺に辿り着いて それでもずっと夢を見ている 真夜中の虹にみえはそいつは やっぱりただの橋でしかなくて うなだれて帰ってきたのを覚えている 振り返ればそこには綺麗な橋 そいつはやっぱり 真っ暗な闇の中で光る真夜中の虹だった ---------------------------- [自由詩]テトラポット/虹村 凌[2006年10月26日10時52分] 床に教科書が転がっている 硬くなった茶色い吸殻が転がっている トイレットペーパーが丸ごと転がっている 巨大なキャットフードみたいな テトラポットが好きだった のを 思い出したんだよ 20世紀の終わり頃に始まったばかりだ と言う歌を聴いた テトラポットが好きだから そんな歌を聴いたんだ ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ナイフを買ったよ、白い柄のナイフを買ったんだ。/虹村 凌[2006年10月28日12時45分] ナイフを買った。昔から刃物が好きだった。 初めて持ったナイフは、オレンジ色の果物ナイフだった。 オレンジ色が嫌いで、テーピングテープを巻いて持ち歩いていた。 そいつは、誰も居ない剣道場の部室のドアに、 何度も何度も叩き付けられて、壊れてしまった。 剃刀は、今も実家の机の中で眠っているかも知れない。 ナイフを買ったのは、ただ単純に刃物が好きだからだ。 手首を切りたいとか、刺せば心臓に届く長さだとか、 そういう不純な動機じゃない、筈だ。うん。 何かを刺したい訳じゃない。 まぁ、治安が悪いので、護身用って意味も含めるのだけど。 誰も助けてくれないのだ。 今の世の中、誰も助けてくれないのだ。 特に、最近の日本ではそうなんじゃないだろうか? 誰もが他人に無関心で、都会の真ん中で誰が死のうと関係ない。 そりゃあそうだ、関係無いもの。 だから、自分の身は自分で守るしか無い。 黙ってちゃ、誰も助けてくれないのさ。 前にイジメについて書いたけれど、今は先生だって助けてくれない。 友達だって、助けてくれない。自分が矛先にされるのは誰だって嫌だ。 イジメがなくならない理由のひとつとして、 「被害者で無い限り、イジメは楽しい」のである。 加害者である方は勿論、見て笑う奴等がいるからだ。 誰も笑わなければ、イジメは消え去る事でしょう。 みんなが笑うから、イジメる方も調子に乗るのだ。 誰も助けてくれない。 少し気の利く友人がいたら、逃げるようにとか、アドバイスを呉れるかも知れない。 でもそれも慎重にやらなければ、今度はその友人までもが巻き添えを喰う。 場所は選んだ方がいい。 俺は気に喰わない奴を殺す事を、何度も夢見た。 初めてのキスは、思ったよりあっけなかった。 初めてのセックスは、思ったよりあっけなかった。 世界は変わらなかった。配色もそのままだった。 俺達がキスしたり、セックスしてる間に、 地球の裏側では戦争をしていて、血が流れたり涙が流れたりしていた。 俺の顔はアトピーの為に、酷く醜く崩れ落ちていった。 崩れ落ちていく俺は、そう、酷く醜かった。 苦しさも痛さも、共感出来ない事を知った。 共感など在りえないのだと知った。 人間は孤独なのだと知った。 俺の友人である恋人を裏切る君は、とても美しく見えたが、 それは嘘だった。…勿論、要因は俺にもあるけれど。 アトピーが酷かった頃、毎朝を迎える事が何より苦痛だった頃、 俺は、俺の心は誰よりも醜く、誰よりも純粋だった。 全ての人間を憎み、たった一人だけを愛する事が出来た。 その愛は狂信に近かった。 恋と愛の違いを知った。 初めて、そいつの為に死ねないと思った。 そして矢張り、そんな愛は、長続きしなかった。 でも、感謝の気持ちを捨てる事は無かった。 忘れかけていたけれど、感謝することを思い出した。 そして、俺より不幸せな人間が、まだまだいるだろう事を思い出した。 俺はその時(当時18〜9歳)まで、キチンと育ててもらった。 虐待も受けず、飯を食わせてもらって、学校にも通わせてもらった。 治療もさせてくれた。醜い言動を繰り返す俺を、黙って我慢してくれてた。 友達もみんな、優しくしてくれた。 一部のクソ野郎が、俺の顔を見て笑っても、生きてこられた理由が、そこにあった。 俺よりも酷いアトピー持ちの人間はもっといる。 俺みたいに、幸せに育てて貰えなかった人間も沢山いる。 それは虐待であったり、殺されてしまった人間を含めて、 俺が考える幸せを掴む事が出来なかった人間が、 この世には、俺の他にもっといるのだと思った。 俺は、この世で一番不幸な人間なんかじゃない。 俺は乗り越えるべき壁を、どうにかこうにか乗り越えた、 ただの幸せものでしかない。 俺は、幸せなんだ。 俺は愛されている。 もし誰も俺を愛していなかったら、周りには誰もいないだろう。 そりゃ時々、自分自身がそこにいていいのか、必要な人間なのか、 邪魔じゃないのか、憎まれているんじゃないのか、嫌われているんじゃないか、 と不安になる事は年中あるけれど、 もしそれが真実なら、今の俺の周りには誰もいない筈だ。 同情で傍に居て呉れる程、人間は暇じゃない。 同情は金になるけれど、友情にはならない。 勿論、世の中全ての人間と友達になれる訳じゃない。 愛してくれる人もいるのと同じ人数だけ、忌み嫌う人間もいるのだ。 それは仕方の無い事だ。 俺だって、誰かに悪口を言われ、陰口を叩かれている。 2回連続でクシャミが出るのはその所為だろう。 生きている事は、不安を解消し続ける作業が多い。 お金を稼いだり、外見に気を使ったり(人は見た目で9割方を判断されるからだ)、 友達を作ったり、恋愛したりするのも、全て安心を得る為だ。 漫画家某氏も言っていた。 安心したいから、そうするのだ。 しかし、安心する為に得たものは、新たな不安を生み続ける。 そして其れを解消していく。解消の先には、また新たな不安がある。 不安は一生消えない。それは解消し続けるのだ。 自分が解消した不安が多ければ多い人ほど、笑って死ねる確立が高い。 少なくとも、俺はそう思う。 不安の解消は、幸せに繋がる。幸せは笑顔をもたらす。 生きる事は、死と言う結果に向かって進むと言う事。 いかに多くの不安を解消するか、多くの幸せを掴めるか、に寄る。 幸せの定義は人それぞれ、不安の定義も人それぞれ。 それを解消し続けて、生きていくのだ。 でもその幸せは、誰かの不幸せの上に成り立っている。 顔を背けてもいいと思うし、向き合ってもいいと思う。 金を得る事は、誰かの金を奪う事。 そもそも、生きていく事は、誰かを殺していく事に他ならない。 毎食毎に、どれだけの生物を殺すのか。 人生で、いったい何匹の牛や豚を、鳥を魚を殺すのか。 今の学校では教えてくれない事を、もっと学校は教えるべきだと思う。 生きる事は奪い、犯し、殺す事なんだと。 そして逃げる事も、背を向ける事も、生きる上では必要なんだと。 人間は孤独だと言う事を、誰も助けてくれないと言う事を。 それでも求めなきゃ、何も得る事なんて出来ない。 振らないバットに球は当たらない。 振らないサイコロに目は出ない。 まかない種に目は出ない。 最初は闇雲でもいいじゃんか。 あーもう電話でいいたい事言っちゃったよ。 ---------------------------- [自由詩]ヴァカかとアフォかと自分で思った/虹村 凌[2006年10月30日5時57分] 小林君が97個のハンバーガーを10分で食べたのは知ってるけれど 僕は君を一時間食べても食べ飽きない自信があるよ ---------------------------- [自由詩]聞いてくれていいんだ/虹村 凌[2006年11月1日14時09分] どのくらい愛してるの? その質問にも答えられる準備があるから ---------------------------- [自由詩]仕様なんです/虹村 凌[2006年11月1日14時15分] 少しだけ言わせて欲しいのだけれど まぁ笑い飛ばしてくれていいんだが 俺は君が好きだからそっちに行くんであって 出来れば仲良くしたいし 出来れば手なんか繋いじゃったりしたいり 腰に手をグッと回しちゃったりなんかしたりして 抱き合っちゃったりキスとかしちゃったり 一緒にベッドで眠ったりしたいのさ俺は あぁわかってるってキモイよな もうイモだよね でもごめんねこれがデフォルトなんです そしてこの気持ちも仕様なんです ---------------------------- [自由詩]私信が一通届いています/虹村 凌[2006年11月5日14時31分] どんなときだって それだけで元気になれるんだ ---------------------------- [自由詩]とっておき/虹村 凌[2006年11月5日14時34分] 「バイバイ」の言葉を見送って オンライン表示がオフライン表示になってから 取っておきの言葉を投げかける それは間も無く壁に当たって返ってくるんだ ---------------------------- [自由詩]パンプキン・ハニーバニー/虹村 凌[2006年11月9日11時03分] 僕はパンプキン 君はハニーバニー 二人で旅をしよう 車に乗せられるだけの荷物と 僕等二人だけを乗せて キャディラック ビートル シトロエン ワーゲンのバンだっていい 何だっていいから 車に乗って旅をしよう 君は絵を描いて 僕は詩を読んで 細々と生きていこう お金を中心に廻る世界を笑いながら 山に登ったり海で泳いだり 谷に下りたり沢を渡ったり 春には桜の木の近くで眠ろう 夏には車の屋根の上で眠ろう 秋には紅葉の木の近くで眠ろう 冬には富士の見える丘で眠ろう 僕はセブンスターパンプキン 君はマルボロライトハニーバニー 煙草の煙が一緒になって それに笑ってまた旅をしよう そんな話を朝までしようよ ---------------------------- [自由詩]サルバドールの髭/虹村 凌[2006年11月9日15時11分] ちょいちょいと摘んで引っ張ったり 蝶結びにしてお洒落にしてみたり もやい結びをして解けなくしてみたり そんな事を考えているんだ ---------------------------- [自由詩]バルバルバル/虹村 凌[2006年11月9日15時22分] 金色のマルボロもあるし セブンスターだってあるよ 暖かい珈琲も エクレアだってあるよ 緑茶も和菓子も揃っているんだ ドアにはいつも鍵をかけずにおいてあるよ パソコンは高速回線で苛々しない様にしてあるよ 窓の大きい部屋を選んだから見晴らしだって悪くない 大きくて新しいステレオだってちゃんとあるよ だから夜通しワグナーを聞いたっていいんだ バルバルバル 空ぶかし バルバルバル 空ぶかし バルバルバル バルバルバル バルバルバルバル 半クラッチ ロードスター ハイウェイスター 和式のスター駆けてゆく 駐車場に向かって 和式のスターが駆けてゆく バルバルバル バルバルバル 空飛ぶオランダ人を追い抜いて バルバルバル バルバルバル アクセルを踏み込むよ バルバルバル バルバルバル バルバルバル バルバルバル ここに来る途中で 何人か轢き殺しちゃったんだ ---------------------------- [自由詩]鼻/虹村 凌[2006年11月12日9時31分] お前に会う為に帰ってきたんだぜ 等と月並みな事を言っても君は喜ばないでしょう 新宿の歌舞伎町にあるお店で 適当なご飯や酒をいじりまわしながら そんな事を言っても君は喜ばないでしょう 煙草を何本も吸ったあとで お前にキスする為に帰ってきたんだぜ と言えば君は喜ぶでしょうか 薄暗いカラオケボックスの中で 友人がトイレに立ち去った好きに 何も言わずにきなりキスをしたら 君はきっと驚くでしょう 仄暗い街の閑散とした 夜明けの交差点の真ん中で 何も言わずにいきなりキスをしたら 君はきっと驚くでしょう 鼻はきっと邪魔にならないでしょう 僕等の為だけに鐘は鳴るでしょう ---------------------------- [自由詩]60億人分の湿った脳細胞の囁き/虹村 凌[2006年11月12日11時52分] 十代の頃に大事にしていた気持ちが 今となってはどうでもよくなってる 走査線の向こう側に記憶を切り売りして 煙草の煙に笑ってる 目の前で誰かがこの手で殺されていく みんな見てみぬ気にしてるフリのフリ こうやってガン細胞は増殖してくの そんな事を言う君には その代わりにスペシャルデリヴァリィを 抱擁と接吻は正常位を スペシャルデリヴァリィをあげるよ 君のスタイルには価値がありそうだから 僕のスペシャルデリヴァリィをあげるよ この孤独な道を少しでも楽しくさせようよ 僕が嫌いだというなら僕を保証してよ 僕が好きだと言うのなら 君のスペシャルデリヴァリィをおくれよ 抱擁を接吻を騎上位を 僕が殺した人々 僕が傷つけた人々 否定されたまま変わろうとする人々 もう手遅れだと気付かない人々 心なんかとっくに売っ払っちゃった もう嘘の行間だって見えやしない 点数がつけられるよ 走査線の向こうから点数が言い渡されるよ 評価しようともしないのなら 過剰補給だけしてればいいのに (あぁ…いつかちゃんと言うから。君の目を見つめて言うから。) (それは…あぁ、それは次に会う日じゃないかも知れないけれど。) 僕の言うことをこうやって見ているだけで 共感なんてちっとも出来やしないだろう? 誰にも没収できないたったひとつのナイフだよ どんどん早くなっていくのに ブレーキが無いのに ナイフだけは手放さない 環境の産物である僕達は 常に文句ばかり吐いているゲロ以下の匂い 純愛は相手を滅茶苦茶にしてやりたくなる気持ちだと 淫売の突き出したケツの穴の様な口から 一日一回言わなきゃ気がすまない 真実とイカサマ 警察と悪党 先生とママ 鮫肌男と桃尻女 僕と君が手を組んで 光り輝くコクピットで笑う 飛び切りでかい声で嘲笑う 世界を壊してセックスしよう (初めてのキスを初めてのセックスを綺麗なものだと信じる奴を 見つけ次第撃ち殺す見つけ次第切り殺す) 幻想は幻想のままで 現実が現実のままで 僕は君にスペシャルデリヴァリィをあげるよ ---------------------------- (ファイルの終わり)