虹村 凌 2005年7月3日22時12分から2005年7月24日20時11分まで ---------------------------- [未詩・独白]Sound Of Shout(Shout Of Spice Girl)/虹村 凌[2005年7月3日22時12分] はみ出したくないのにはみ出してしまった 街に弾かれてビルに突き飛ばされた 信号機が笑った 声を立てて笑った 誰も背中を押してやれない 俺も背中を押してやれない その色白で細い背中を どうしたって押してやれない 一緒に煙草を吸ってやる事しか出来ない その話を聞いてやる事しか出来ない SOS SOS サイレンが鳴り響く 夜中に聞こえる遠くのサイレンみたいに 小さいのに胸に突き刺さる SOS SOS 小さなトゲみたいな サイレン サイレン 誰も手を貸してやれない 俺も手を貸してやれない その色白で細い腕を 掴んで引っ張ってやれない 一緒に煙草の煙を見てる事しか出来ない 意見を言ってやる事しか出来ない SOS SOS SOS SOS SOS SOS 頼むから 今は側にいてくれよ SOS SOS SOS SOS SOS SOS・・・ ---------------------------- [自由詩]わーわー(雨の日の)/虹村 凌[2005年7月4日21時53分] わーわーわーわー! (わぁわぁわぁわぁ!) わーわーわーわー! (わぁわぁわぁわぁ!) ロックンロールは死んじゃったらしい 死んで生き返ったら強くなるのかな ロックンロールは死んじゃったらしい 僕が生まれるずっとずっと前に タンクローリーが回り続けて 世界が360°変わり続けて CDなんかとっくに1080°くらい 馬鹿みてぇに同じ思考回路で 雨の日は相変わらずウザってぇし 何だって雨の日なんかに仕事してんだ 金が欲しくて働いて眠るだけ 起きたって隣に誰もいないけど 去年よりは金も入るけし 少しは幸せなんだな とっくの昔に死んじゃったロックを聴いて すっかり慣れちゃった煙草吸って 金がどんどん無くなってくよ 雨が降ってる日はあの娘と会ってた そんな事を思い出す 思い出は何時の日だって雨だった 笑い話にもなんねぇよなぁ そん時からも変わらず 寝たって覚めたって誰もいない あの娘との体液は調和しないで 爆発に向かっての不協和音でもって 雨を歓迎してやがったんだぜ ロックンロールが生きてたら もう少しは違う事が出来たんだろうか んな事ぁ無いだろうな ロックンロールは死んじゃったんだ 悶々悶々 (モンモンモンモン) 悶々悶々 (モンモンモンモン) 夜にあの娘を抱いて眠って 朝にあの娘の髪に口づけて そんな雨の日ならいいのにな ---------------------------- [自由詩]聖☆SHIT/虹村 凌[2005年7月4日22時23分] ホーリーシット 魔法の呪文さ ホーリーシット ご機嫌なのさ ピースオブシット ピースオブシット もう駄目だって諦めてさぁ ひょろっちぃ身体でヘラヘラ歩いて 年金と健康保険の違いもわかんねぇって 情けなくて煙草を落としちまったよ シャラララ ホーリーシット 魔法の呪文なのさ シャラララ ホーリーシット ご機嫌な呪文なのさ 憧れたって何もしないんじゃ 結局の処何も変わらないって事も コンビニに行けば何だってあるって 思わずマッチで火傷しそうになったよ シャラララ ホーリーシット シャラララ ダミット 金かかっちゃったけど それだけの金を稼いだじゃんかよ 無駄に使われちゃったけど それだけの金を稼いだじゃんかよ シャラララ ダミット シャラララ ダミット やってらんねぇって気持ちわかるけど やってねぇんじゃ何も変わらない やるか逃げるかどうすんの? シャラララ ダミット シャラララ ダミット 行かないのならその権利をくれよ 行かないのならその権利をくれよ どうにかなるかもって どうにかなんねぇかなって そう思うから行くんじゃねぇか シャラララ ダミット またやっちまった シャラララ ダミット 相変わらずな俺だな シャラララ シャラララ ウォゥウォウ! シャラララ フゥ〜 シャラララ シャラララ ---------------------------- [自由詩]ナマ乳女突撃部隊(SexyBoob troopers)/虹村 凌[2005年7月5日19時59分] 僕の歌を聴いてくれよぅ! 出来れば歌詞のわからない洋楽を聴きながらさぁ! 僕の歌を聴いてくれよぅ! 夢の中で知らない女とベッドで寝ていた その女の向こうに同級生がいた 真っ青なベッドで女は全裸だった 後ろから抱きしめた 小さくて少し硬い胸だった 僕はその胸に顔をうずめて眠った 小さくて可愛い乳首だった そうしたら目が覚めたよ 雨の降る日の、朝でしたよ 南風が吹いて俺を吹き飛ばして 南の島まで飛んでいったら 金髪のお姉さんと幸せになれるのか 黒い髪のお姉さんと幸せになれないのか 目がだんだんと尖っていくよ 目がだんだんと閉じていくよ 誰も僕に私信をくれない 誰も僕にメェルをくれない 誰も僕にロン牌をくれない 誰も僕にポイントをくれない 誰も僕を誘ってくれない ごめん嘘です 言い過ぎまいした 謝るから 僕の歌を聴いてください バーカ! ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」/虹村 凌[2005年7月7日22時19分] まえがき これは実際にあった話であり、自分自身のエッセイである。 記憶に頼る部分が大きい為、話が大きく前後したりするだろうが、ご容赦願いたい。 登場人物の名前は本名を使う事を避けた。団体名なども変更している。 地名はそのままで使う。特に意味は無い。 ただ、この登場人物とは、あまり良い関係とは言えない為、本名を使う事を避ける。 彼らは俺の作品をいくつか読んでいるようだ。 と言う事は、これも読む事になるであろう。知っているであろう。 彼らから苦情が来たりした場合、一切を打ちきって、削除する予定だ。 この記憶小説は、単なるいちエッセイであり、話でしかない。 ただ、「その時」に、何時か俺がこの話しを書く…と言った事を思い出し、 いま、こうして書いているに過ぎない。 Y、A。もし不満があるなら教えてくれ。 Pack-of-damn@ezweb.ne.jp 「第一ニューロン:真夏の三鷹」 みんみんみんみんみんみんみんみん  油蝉が、全ての声に濁音を付けて鳴いているように聞こえる。 クソ暑い真夏の日に、俺は友人の個展に出かけた。 三鷹のアートスペースでやっていると言い、招待状を貰ったのだ。 招待状と言っても、手製の絵を乗せた葉書なのだが…。 裏に記載された地図を見ながら、木陰の下を意識して歩く。 それでも汗が噴き出る。袖で汗を拭いながら、煙草に火をつけた。 バニラの香りが広がる。ブラックストーンを一口ふかす。 「何処だ…」  俺は迷っていた。地図を見てもわからない。 三鷹駅と河合塾を2往復したが、何処かわからない。 俺がどの地点にいるかわからない。 2往復半して、三鷹駅に向かった時、友人の姿を見つけた。  ひょろひょろとした体型、このクソ暑いのに長袖、長い髪。 見間違える筈が無い。池上 庵だ。俺は走って庵に近づいた。  彼のスペースは冷房が効いていて、とても涼しかった。 既に絵の展示はされていて、あとは装飾をするだけだ、と庵は言った。 包帯と絆創膏を、壁に貼ったり引っかけたり。素敵な空間だった。 庵は、背が高い癖に、少し異常なまでに細いヤツで、 毎年春の健康診断で、「栄養失調気味」と言われて傷ついているヤツだ。 別段、喰わない訳じゃない。飯は人並みに喰うし、甘いモノも好きだ。 きっと、庵が生きるために使うエネルギーが多い所為だろう…と俺は思う。  二人で少し喋っていると、嘉人が来た。 俺と庵の同級生だが、庵の方が付き合いが長い。俺はここ数ヶ月の付き合いでしかない。  しかし、趣味は合うようで、学校の授業中に年中喋っている仲間だ。 そんな訳で、3人でしばらくキャッキャ言って戯れていたところ、 誰が言い出したのか、吉祥寺で茶でも飲もうと言う事になった。 丁度、嘉人の彼女が来ると言う事で、俺たち三人も出かけたのである。  外は、相変わらずクソ暑い。 ---------------------------- [自由詩]蛇崩でGOGO〜または2005年夏のビューティー計画〜/虹村 凌[2005年7月7日22時41分] ビッチ シット ファック アスホール ダム マザーファッカー ファザーファッカー ブラザーファッカー シスターファッカー アンクルファッカー とどまる事を知らない 僕はもうキスの仕方も覚えていない ゴーゴーの踊り方も覚えていない スクリューだって覚えてないし ましてやオクラホマミキサーなんて幼稚園以来である 僕が幼稚園の頃 弱虫で泣き虫で虐められっこだった僕に いつも優しくしてくれる女の子がいた いつもハンケチで涙を拭ってくれて いつも側にいてくれた 今は何処で何をしているんでしょう 僕は大人になって 年中怒るようになって英語みたいなので 色々悪口を言うようになって意地悪くなって 虐めもしないけど虐められもしない人になって 泣かなくなって涙も出にくくなって 誰もハンケチを僕の為に使ってくれません 落としたシガレットケースを拾ってくれますか? ねぇ お話をしませんか? ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌[2005年7月8日11時23分] 第二ニューロン「吉祥天」  庵のアートスペースを出て、時間つぶしの為に、三鷹駅前のドトールに入った。 たった100mも歩かないうちに、俺は汗だくになっていたのだが、 庵は汗を一滴もかいていない。嘉人は鼻ッ先に汗をかいていた。 冷たいアイスコーヒーを一気に流し込み、ブラックストーンに火を点けた。  適当に茶を飲むと、店を出て吉祥寺に向かう。 嘉人の彼女は、まだ時間がかかるらしい。俺たちはゲーセンで時間を潰していた。 どうでもいい話だが、俺はゲームが下手だ。下手だが好きだ。下手の横好き。 嘉人は上手い。ゲーム大会で優勝する程じゃないが、仲間内じゃ強い方だ。 大きな画面で、銭形のとっつぁんが叫んでいた。  嘉人の彼女を初めてみた。以前、彼が似顔絵を描いた事があるが…似てなかった。 別に嘉人の絵が下手なんじゃない、美化し過ぎていただけだ。 嘉人は漫画書きで、年中色んな漫画を書いている。いるよなこういうヤツ、何処にでも。 彼女の名前は、明村 舞子と言う。舞子、と言う名をこの時初めて知る事になる。 正確には、本名を知ったと言う事になると思う。愛称だけは聞いていた。 彼女が来た途端、嘉人は舞子にべったりで、俺は庵と並んで歩いてるしかない。  喫茶店の二階席で、4人して茶を飲む事になった。 舞子の対面に嘉人、その隣に庵、庵の対面は俺、と言う座り方になった。 つまり、舞子が俺の隣にいるって事になる。何故かドキドキしていた。  無理も無いだろう、中学からの男子校暮らしで、5年もまともに女の子を知らない。 妹がいるが4歳も年下で、同い年の女の子を知らない。 俺にはむしろ、異星人の様に思えた。その存在自体が意味不明だ。  話がそれた。 俺は今でも、うっすらと舞子のその日の格好を覚えている。 色んな国旗のプリントが入った眺めのスカート、緑色のニットチョッキ。 その瞬間から、俺は舞子を意識していた。笑かしてやろうと思った。 彼女の家庭に、なんらかの問題があるらしい事も知った。 俺に、何が出来るだろう。この瞬間だけでも、楽しめりゃいいと思い、 ずっと笑かしてやろうと必死だった。その為には、嘉人がどうなろうと構わなかった。  庵が言った。 「うん。でも、気をつけてね」 俺が「舞子って、可愛いな」と言った事に対してである。 彼はいち早く見抜き、俺に忠告してくれた。 しかし、俺がこの言葉の意味をしるのは、全てが終わってからだった。 情けない。情けない。情けない。 第三ニューロン「BAD TRIP」  その頃俺は、憂治 想人と言う名前で活動していた。 ノート何冊かに詩を書いては、嘉人や庵に見せていのだ。 ある日、俺は意を決して、嘉人に言った。 「舞子にも、読んで貰えないかな」 嘉人は笑ってOKしてくれた。この時、俺は心から笑っていたのだろうか。 嘉人、俺の笑顔に曇りはあったのだろうか?  彼女は、俺のノートに立派な感想文を書いてよこしてくれた。 それから幾度か、嘉人を通して、俺と彼女の間をノートが行き来する日が始まった。 舞子の言っていた事を本当だと信じるかはともかく、 舞子は俺に興味があったようだ。皮膚炎で泣き叫ぶ俺に、である。 俺の散文詩に対して執拗に調べ回り、俺が忘れかけていた事さえ、 彼女は調べ上げ、感想に書いて寄越したのだ。  仲介者である嘉人は、文には疎い面がある事を舞子は知っていた。 彼女は、嘉人にはわからないように、それでも俺にはわかるように書いた。 結果、俺は加速度的に彼女に惹かれて行く事になった。 思春期に初めて知り合った女は、俺に限りなく優しかった。  鐘が鳴り、授業の終了を迎える。世界史の教師は最後まで説明を諦めない。 俺は、嘉人と他一人の3人で、ずっと筆談をしていた。 …端から見たら、女の子みたいな事してたと思うよ。実際、女脳なんだ。 嘉人は突然にこちらを向き、こう言った。 「お前に、アイツ(舞子)のアドレスと携帯番号教えるよ」 「はぁ?」 よくわかんねぇ展開だ。だって、そうだろ、まだ一回しか会ってない。 だが、これはいい。俺が舞子に惚れてる事も知らなかったんだろうか。  未だに、ここら辺の真相は俺には理解出来ていない。 嘉人曰く、俺以外に、舞子を預けられるような人物がいなかった… との事だが、それは俺でも同じだと思う。そもそも、何を予期していたのか。 嘉人は、何らかの持病を持っているらしく、年中血を吐いている… と言う話を聞いていたが、実際に見た事は無い。 保健室にいる姿は年中見ていたが…ね。  俺はよくわからないまま、彼女の番号とアドレスを入手した。 その日、俺は名前を変える事を思いついた。理由なんてモノは無い。 ただ、友人の彼女に惚れると言う、倫理的に見て良くない事をしている俺に、 言葉によって「戒め」を与えるべく、憂治 誡とした。 彼女は、これを聞いて、笑っていたらしい。「そりゃそうだ」と。  真夏を過ぎても、いまだ暑い日は続く。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌[2005年7月8日21時03分] 第3ニューロン 「勝手にしやがれ」  惚れてしまったものはどうしようもない。しかし、問題がある。 友達の女だ、って事である。これもどうしようもない。 どうにかなるもんじゃない。どうにかするもんでもない。 しかし、このまま悶々としていても仕方がない。 にっちもさっちも行かなくなって、ブルドッグ顔で詩を書いた。 正直に、お前の女に惚れてるって言った。 そしたら、どうだよ!笑って許してくれたよ! 「お前にはやらねぇ。でもいい女だろ?」 って。  自分の中で、どうも時間感覚が麻痺していて、 これを言ったのが先だったか、電話番号などを聞いたのが先だったか定かでない。 もしも、俺が真面目に、これを小説にしようと思ったら、確かめてみようと思う。 …いや、電話番号を聞いたのが先だったと思う。そのはずだ。  それから数日たったある日、俺は彼女と喋る機会を得た。 嘉人に用があって、彼の携帯に電話したのたが、出ないので、 舞子の携帯に電話したのだ。ドキドキものだった。凄く緊張した。 激しい緊張と共に、激しい喜びを感じていた。手が震えていたのを覚えている。 久しぶりに聞く彼女の声はやはり、とても可愛くて、可愛かった。  嘉人はいた。舞子とイチャついてて、電話に出なかったそうだ。 電話口で軽口を叩きながら、俺は用件を彼に伝えて、電話を切った。 たったそれだけの会話で幸せになれちゃう人間だった。人間だった。 俺の制作速度は加速度的に増した。阿呆みたいに、腐ったラブソングばっか書いた。 書いても書いても枯れない。ノートが積み重なる。まとめて友達に渡す。 そして舞子がそれを読み、返事を書いて俺に寄越す。文通気分だ。 嘉人は何も言わなかった。彼もまた、返事を寄越した。             I fucked them up  俺がいなけりゃ、あいつ等は幸せにいただろう。 全ては俺の所為であり、俺の責任である。俺がその幸せを破壊したんである。 それも、俺がもっとも愛した手段、文字によって、致命傷を与えるにいたったのだ。  俺は舞子と頻繁に連絡を取るようになった。以前のように緊張しなくなった。 馬鹿みたいに彼女にのめり込み、彼女の詩を書き続ける日が続いた。 誰もが避けて通る顔の俺に、彼女は優しかったから、惹かれた。 俺は家族以外の誰かに、甘えたかった。精神的に辛かった。死にたかった。 俺の顔は日々崩れ続け、朝起きる事さえ苦痛だった。 ただその中で、誰かを愛する事を知って、死ぬ事は止めようと思った。 恥ずかしい話だと思う。横恋慕でもって、生きようと思った。 人間として、俺自身が最も蔑む行為である。  若さって何だ?振り向かない事なのか?省みない事なのか? 愛って何だ?躊躇わない事なのか? チクショウ。チクショウ。チクショウ。  幾度か、嘉人を交えて舞子に会った。そして俺は、彼女だけと会うまでになった。 まだ暑さの残る季節だったと思う。俺は、俺は、俺は。 ---------------------------- [自由詩]怒濤のジュベルヴァーヌ大往生/虹村 凌[2005年7月8日21時43分] シェロリーナの吐息が溢れるNYはとても汚い街で 煙草なんて高くて買えやしない街だったのを覚えているか? ゲロもハッパも空き缶も新宿と変わらない程に溢れていて 衝撃的な光景を見て飲みかけの珈琲が鼻から出た そんな詩を書いて行こうと思う ---------------------------- [自由詩]歩こう、歩こう。/虹村 凌[2005年7月10日23時10分] 重い防具担いで 朝早くから歩いた道を今 二人揃って手ぶらで歩いてる たった数年前の事を話して 涙目になったりする もうあの頃には戻れないんだなぁ などと言いながら 6年間飽きもせずに 毎日同じメンツで喋くって歩って いた事も思い出す でも相変わらずな俺たちは 汗をかきながら笑っていやがる 変わった事は煙草くらいで 汗くさいのは変わらない あの頃には戻れないけれど 昔の事だけ輝いてるなんて事も無い 歩こう、歩こう。 そんな昔とはサラバだぜ。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]短編小咄「常連客」/虹村 凌[2005年7月11日21時36分] カミサマって野郎がいるんだとしたら、其奴はとんでもなくイヤな野郎だな。 人間ってのが後悔するのを見て、楽しんでやがるんだ。 何故かって?後悔してるんだよ、人間なんつーモンを創っちまった事をよ! 笑えよ、カミサマ。俺らぁてめぇの手の平で踊り続けるぜ。 くそったれが。 ********* からん と音を立てて、グラスの氷が音を立てる。 既にグラスは水滴で濡れており、机にも数滴の滴が横たわっている。 窓の外には、静かな風景が広がっている。 対照的に、侑子(20歳・仮名)の心の中は、荒れ狂う海のような状態だった。 侑子の反対側の席には、一口も手を付けられていない珈琲カップが置いてある。 冷え切った珈琲は、冷たく鈍い光を放っている。 そして、その椅子には、もう誰も腰掛けていない。 「もう終わりにしよう」 その一言を口にすると、洋一(21歳・仮名)は煙草をもみ消した。 侑子は、黙って外を眺めたままだった。 その様子を見ていた洋一が席を立とうとした瞬間、侑子は言った。 「あなたの子供が…」 「いい加減にしろよ!」 洋一はたまらずに怒鳴った。 「もう何度目だよ!もう聞き飽きた!冗談じゃねぇよ!  だからイヤなんだ、お前はとは別れる!これでおしまいだ!  今まで何回そう言った?!全部嘘だったろ?!この腐れマ×コが!」 言うだけ言うと、洋一は大股で店を出ていった。 侑子は、そんな洋一をチラリとも見ずに、微笑みを浮かべるだけだった。 「うふふ…嘘だからイケナイのね?本当だったらいいのよね?うふふふ…」 侑子はコンビニに向かうと、妊娠検査棒を購入した。 「本当だったらいいのよね…本当だったらいいのよね…」 そう呟く侑子を、店員は訝しげに見たが、侑子は気にもしていない。 「今日こそ…今日こそは…」 爪は伸びきり、先には黒い垢が溜まっている。 髪はゴワゴワ、臭う体臭、服はヨレヨレで汚れきり、ズボンは黄色く変色している。 その癖、目は嫌に強烈な光を放っていて、ブツブツと何かを呟いている。 侑子が店を出た後、店員は店長に向かって聞いた。 「何なんですか?あのバァサン。臭いし、汚いし。 ズボンのケツんトコなんか、何か茶色いのベッタリくっついてたし。 そんな格好で検査棒買うって何に使うっつーんでしょうね。」 すると店長は、静かにこう言った。 「あの人はね、あーやって、毎週あれを買いに来るんだよ。 君は、まだ入って三日だから知らないだろうけれどね。 もう、この店が出来てから20年も経つのに、毎週、毎週、何年も、何年も、 月曜日になると、決まってあれを買いに来るんだよ。」 「へぇ…そうなんですか。っつかそれって、絶対にアタマおかしいじゃないスか。」 「そうだね。でも、ウチにとっては、大事なお客さんに変わりは無いんだよ。」 「臭いし、他の客の迷惑じゃないですか。」 「いいんだよ。たった一分足らずの事じゃないか。我慢出来ない程じゃないだろう。」 「はぁ…まぁそうですけど…」 「けど、何だ?」 「いや…俺が客だったら、嫌ですけどね。」 その瞬間、店長の目がギラリと光った。 「君は、彼女があぁなった理由を知らないからそう言えるんだよ。」 からん 店員の手から、小銭が滑り落ちた。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌[2005年7月11日22時34分] 第四ニューロン 「新宿」  朝早くから、家族に嘘を付いて家を出た俺は、待ち合わせ時刻の30分前には、 新宿駅南口改札の前に突っ立っていた。せわしなく煙草を吸い散らかす。  どうでもいい話だが、今の俺は、常に携帯灰皿を持っている。 携帯してこその、携帯灰皿だ。家にあっても意味は無い。 スモーキンクリーン。煙草を吸う者の義務だ。 歩き煙草はするけどな。子供には気をつける。 ただ、化学物質過敏症の人の事を考えると、歩き煙草も止めようかとも思う。  携帯を何度も開いては、時間が過ぎていくのを確認する。 初デートだと言うのに、家族に嘘を言った俺は、適当な格好をしている。 俺はそわそわしながら待っていた。端から見ても、すぐにバレるだろう。 記憶が正しければ、彼女は遅刻してきたと思う。 その前に、嘉人を交えて会った時は、嘉人が遅刻して来たのも覚えている。 俺が待ち合わせに遅刻すると言うのは、結構珍しい事だ。 そして遅刻する時は、かなり激しい遅刻になる。  またも話が逸れた。日曜の朝の新宿は、いつもと違ってやや閑散としている。 それにしたって、沢山の人が歩き、車が走っている。 舞子は、ジーンズ生地のロングスカートを穿いてやってきたのを覚えている。 彼女はその頃、既に俺に興味があると告げていた…と言っておくべきだった。 メールの遣り取りが頻繁になり、距離は近づいた。 しかし、以前、友達の彼女って言う存在なんである。(俺は惚れていたが。 しばらく歩いて、確かエクセシオールだったと思う。カフェーに入った。 舞子の話だと、嘉人は今日、新しい携帯を買いに新宿に来るらしい。 そして、俺と舞子が会う事を知っているらしい。勿論、舞子から聞いたのだろう。  俺は嘉人なんて恐くなかった。喧嘩になっても負ける気は微塵も無い。 俺と舞子は、隣に座ってた客が逃げ出すような、痴話話、下世話な話をした。 俺は舞子に犯されたかった。舞子は俺に犯されたかったらしい。 しかし、それは許されない。まだ、関係は友達でしかない。  本当かどうかわからないが、彼女は俺に興味があったと言う。 どれくらいかと言えば、嘉人との行為の最中に、俺の詩をソラで頭の中で思い出せる… くらいだそうだ。嘉人にしてみれば、随分な話だと思う。 だが、俺にしてみれば、彼氏よりも俺の詩を選んだと言う事は、 俺は勝利の片鱗を掴んだ事を意味する。 愛の表現のひとつである、セックスの最中において、他人の愛の言葉を思い出す。 嘉人の、敗北だ。  しばらくして、俺たちは飯を喰いに言った。 舞子の予定上、時間は限られている。なるべく無駄な時間は過ごさないのが得策だ。 半地下のスパゲッティ屋は、俺が美術学校の予備校に通ってた頃に行った店で、 昼間はソフトドリンクが飲み放題なのだ。これが嬉しくて通っていた。 偶然だが、一番奥の席に通されて、ちょっといい気分だったのを覚えている。 それぞれメニューを注文して、談笑する。 流石に、飯屋で先ほどのような話は出来ない。 真面目に、俺は彼女の話を聞いていた。 舞子は、俺に興味がある。訳のわからん詩を書く俺に、興味がある。 後々重要になるが、彼女が興味を持っているのは、 「詩を書く、憂治 誡」なのであり、「嘉人の友達」じゃない。 なんにせよ、彼女は嘉人と「誡」の間で板挟みになっている…と言った状態だ。 舞子は聞いた。 「こんな私を、あなたはどう見ているの?」 俺の答え、今でも覚えている。 「崩れ落ちていく君は、とても綺麗だよ。」 …気持ち悪い。背筋が凍る。歯が浮く。 だが、まともな女性経験の無い俺は、これが精一杯なんである。 一年前に女の子に告白を失敗して以来、やや女性恐怖症気味だ。 何にせよ、彼女は微笑み、こういった。 「今、あなたに髪をさわられただけで、イっちゃいそうなの。」 撫でる、と言う行為にすら及ばない、触れただけで、と言う。 俺が?この、俺が?このツラの、俺が。 その時の俺は、満面の笑みで彼女を見つめていただろう。  途中、嘉人からメールが来た。 「楽しんでいるかい?」 そんなメールだったと思う。新しい携帯、買えたのかどうかは覚えていない。 どんな風に返したかも覚えていないが、喧嘩腰で返した記憶がある。 そんな嘉人を、二人で笑ってた記憶が、微かにある。非道だな、俺。  飯屋を出た彼女は、階段で何度か躓き、信号で大きく躓いた。 彼女曰く 「感じている」 んだそうだ。男の俺には、よくわからないが、そういう事らしい。 手ゴメにするなら今だぜ…と彼女に暗に言われているのに、俺は手を出せない。 女性恐怖症である。凄い恐怖症である。何よりも恐怖なんである。 未知の生物に触れるようなモノだと思ってくれればいい。 駅前での別れ際、よっぽどキスしたい衝動に駆られたが、押さえた。 友人の女に、そこまで手は出せない…と言う謎の俺的道徳観だ。 「ヤられてぇ」 と思ってる時点で不徳だと思うのだが、まだ行動には移さない。 何をしたか忘れた。髪を撫でのか、抱きしめたのか。 …髪を撫でたのだろう。彼女が崩れるようにしゃがんだと言う、微かな記憶がある。 イっちまったらしい。実際は知らない。演技だったかも知れない。 気色悪い顔をした俺は、気色悪いであろう笑みを浮かべて新宿を去った。 心の中には、嘉人に対する勝利の拳を掲げていたと思う。 ---------------------------- [自由詩]教えておくれよ、そこの詩人さん/虹村 凌[2005年7月13日21時38分] ビョーキ 薬 アイデンテテェ 狂気 喜び エデン 楽園 地獄 個別 ツナガリ 孤独 精神的恋愛 肉体的恋愛 アキラメ 希望 絶望 暇 空白 白濁 煙草 珈琲 憧れ 好き 嫌い 愛してる 死んでしまえ 眠り 死にたい 死にたくない ガンジャ コールドターキー ラヂオが殺したポエムスター さて 俺は何を書けばいいんだ 頭が悪いからよくわかんねぇよ 少しは面白い事を書きたいと思ってたんだが どうもこれらの事が流行みてぇでよ やれやれ、だぜ ---------------------------- [未詩・独白]一発Geyな独白/虹村 凌[2005年7月13日22時11分] 「っしゃー!今からやります!」 そう言うと 駅の痰壺を持ち上げ口にあてがい 飲み干す男が親父の知り合いにいたそうだ。 凄まじい。おぞましい。 っつーかその度胸と気合いがすげぇ。 酔ったらやる一発芸とは言え、よく酔いが醒めないもんだ。 つーか、よくそんな事を考えつくもんだ。 まったく、敬服しちまう。 え?敬服なんかすんなって? そりゃ難しいよ。だって、一発芸ってなかなか出来ない。 人を飽きさせず、笑わせる。 しかも、なかなか他の人に出来ない事をやって。 …何が出来るんだろう。よく困る事だ。 例えば、アメリカーナの野郎共と喋ってて、思う。 何か、一瞬で披露出来る、簡単な一発芸あれば…と思う。 まったく、自分の考えの浅はかさには呆れる。 例えば、実際にいるのだけれど、ヨーヨー。 あまり馴染みが無いけれど、存在は誰もが知っている。 でも、特にやろうとは思わない。 実際に目の前でみると、結構凄い。 いい一発芸だ。 …俺なんか、部屋の中で木刀を振り回す訳にもいかないし、 木刀振り回す為に外に行くのも阿呆くさい。 だからって、昔取った杵柄「空手」を披露して、 腕に「鰯」って入れ墨したマッチョ野郎に、 「おい、ちょっくら闘ってみようぜ」なんて言われた日には、 もう俺は泣いちゃうと思う。 ラッパーでも無いし、英語でフリースタイルなんて出来っこねぇ。 喋るだけで精一杯だ。げふんげふん。 むしろ、酒の席では起きてる事で精一杯だ。げほんげほん。 何だか、友人曰く、「縄跳びでスターになれる」らしい。 二重飛び、交差飛び、側振交差、隼、早側振交差、など。 こんなのを披露するだけで、かなりのヒーローらしい。 すげぇ。これなら俺にでも出来る…が、これってやっぱり外でやるんだよな。 うぅん。 ちなみに、ウチの高校(中学も)は、3学期は縄跳びの授業があった。 体育の一環なのだが、3学期、毎週一回、必ず、50分間、 あのかったるい縄跳びを延々とやるんである、阿呆だ。 体育手帳などを見ると、とんでもないワザが乗っていたりする。 早側振前後交差前交差後交差 順(前跳びって意味 とか、もはや漢字を追いかけるのが精一杯だったりする。 俺でさえ、どんなワザかわかんねぇ。 面白い事を言うにしたって、下ネタは言えても。 ホモっぽいギャグは通じなかったりする。微妙なラインだ。 ラインと言えばコカインだが、コカインはやった事が無い。 あ、まぁマリファナもだけど。 しかし、俺もマリファナ吸ってラリって、 他人の吐いたゲロを啜ったりしたくないなぁ。 痰壺よりも嫌だな。 そんんだけ。 ---------------------------- [自由詩]黒い靴/虹村 凌[2005年7月13日22時50分] 明日もし君が壊れたら俺は君を殺して逃げて最期には野垂れ死ぬでしょうよ カカトの削れたラバーソールを履いて足を引きずって 顔中の穴と言う穴から体液を垂れ流して泣きながら君の名前を呟くでしょう そう言うと彼は笑って背を向けて 煙草に火を点けるような動作をした後 ゆっくりと去っていった 彼が履いていた靴は草履だった事に気づいたのは 僕が家に帰ってきてシャワーを浴びている時だった 何故かと言えば 僕はパンツは脱いだのに 何故かラバーソールを履いていたのだから ****** 探し物があったのだが忘れてしまった 鞄の中も机の中も探した気がするが 実際の処はどうか忘れてしまった 踊ろうよLADYと呟いてみるが 窓の外で鳩が後尾しているのを見て空しくなった 夢の中なんてロクなもんじゃねぇと思うよ 特にエロい夢なんざ見た日にゃ 空しくて一日中仕事なんかしてらんねぇ気分だよ んな事を言ってるウチに 探してた燐寸が出てきたりする ****** 真っ黒いラバーソールの上に 灰皿からぶち撒けられた茶色い液体 きらり きらり と光を放ち 何故か僕は泣いてしまった ---------------------------- [自由詩]あぁへっぽこ色の珍人生!略してポコチン/虹村 凌[2005年7月14日0時03分] 愛してるだのなんだのかんだのと言ったところで 結局はどれもこれも同じような事でしかない と言う事には随分昔から気づいていて 仕方無いので、10ページくらいにわたって ずっと「好き」とだけ書いて寄越したノートもある 要するに 好きになったヤツの為に死ねるのが愛で 死ねなくなったら愛しちゃってるって事で まぁそんくらいで止めておこうと思う よくわかんねぇもん ゴロがいいとか語感がいいとか 見てくれがいいとか聞こえがいいとかで詩をかいてる時もあるし 適当にぽこちん掻きながら掻いたり 真面目に清書したりして詩を書いてる まぁこれで飯が食える訳でもないのだが そんな死に方もありだと思う あ 言っちゃったよ自分で 死ぬとか死ねとか死にたいとかも聞き飽きた 孤独とか寂しいとかも聞き飽きた 俺はただ単に甘えたいだけであって 別に寂しいんじゃない つまんないのであるよ君 死にたきゃ死ね どうでもいいけれど 死にたくなったら俺んトコ来いよ 殺してやるよ 俺がお前を愛してたらの話しだけどな ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌[2005年7月14日19時53分] 第五ニューロン 「史上最悪のクソったれ」  どうも、時間の感覚が思い出せない。 いつ頃、何が、どの順番で発生したのか。 それらひとつひとつは思い出せても、全体の順番がわからない。 言い換えれば、俺ってヤツは、そのひとつひとつに必死だった訳で、 全体を見通せていなかったから、今生きてるんだし、 その愛っつーのは破れた訳だ。納得。  ともかく、俺は内心、嘉人に勝利した気でいた。 相変わらず、俺は学校で嘉人と軽口叩きながらじゃれている。 懐には、ナイフのようなモノをちらつかせる事も無く、それは無邪気に。    舞子の話になった時、俺はこんな事を言った。 「てめぇ、あんなイイ女を手放すんじゃねぇぞ。手放したらブっ飛ばす」 後から見たら、これほど馬鹿げた発言は無いだろう。 その火種を自ら作り、自ら煽って、大火事にしてしまったのだから。 俺はしばらくこんな事を言っていた。 舞子に愛を囁いた舌で、俺は嘉人に「手放すな」と言う。 何を考えていたのだろう。 俺の僅かな良心が、その友人の女に手を出す…と言う行為を否定したのだろうか? 違うだろう。 俺は嘉人を嘲笑っていたんだろう。 セックスの最中に、お前の女は俺の事を考えているんだぜ?って。  俺と舞子の仲が急発展したのは、俺達が高校を卒業してからだったと思う。 その頃の俺は、すっかり舞子を狂信していて、誰の言う事も聞いてなかった。 舞子さえ良ければ、俺は世界なんてどうでもよかった。 どの国が滅びようと、どの惑星が破滅しようと、誰が死のうと、苦しもうと。 俺には誰の言葉も、忠告も届かなかった。俺は壊れていた。 舞子の為になら人だって殺せたと思う。実際に、嘉人の母親を殺そうとした事がある。  兎に角、俺は壊れていた。そして壊れたまま卒業した。 何からの卒業か、何からの解放か、俺にはわからない。 もはや学校など、どうと言う存在じゃない。灰色の箱でも何でも無い。 俺は、真っ暗い闇の中に射した光のみを信じた。 それ以外は何も信じてなかった。 俺の、6年間連れ添った友でさえも。  奇しくも、俺はこの時期に、10年間つるんだダチに裏切られた。 俺を売って、俺をネタにして、影で俺をコケにしやがった。 陰口言われるのは慣れている。嘲笑われるのも慣れている。 だが、10年以上もこうされていたかと思うと、腹が立つ。 真偽か定かじゃない、ってのは確かだ。 中島って野郎から又聞きしただけだからな。 ただ、俺は確実にそのクソ野郎を信じてなかったし、クソ以下だと思ってた。 そいつの創る作品など、20年間たまりに溜まったチンカス以下だと思ってる。  ファッキンアスホール。でも俺も変わらないな。 俺は嘉人を裏切った。俺を信じてくれてたのにね。 嘉人が舞子を俺に預けた真意はわからない。 ただ、彼の周りには適任者が俺しかいなかっただけだ。 彼もそう言っている。確かに誠実だったかも知れない。  こうこうを卒業してしばらくたった。 俺が舞子と会うのは何回目か、正確な数は知らない。 確か昼過ぎだったか、待ち合わせをした。 うっすらと冬の寒さが残る空を、春の太陽が照らしているような、時期だった。 駅前の商店街を散々散歩して、たこ焼き喰ったりして、遊んでた。 俺はその日、舞子を俺の部屋に連れ込むつもりでいた。 だが、祖母と俺が住んでいたその部屋に、たまたま母と妹が来ていたのだ。 母は祖母と出かけたが、妹はまだ家にいる。 妹自身も何か用事があるようだったが、時間があるようで、俺は妹を急かした。 …その結果、俺は舞子を連れて歩いている処に、妹と遭遇した。 はぁ…。  どうにかこうにか舞子を部屋に連れ込む。 しかし、以前彼女は嘉人の女だ。犯す訳にはいかない。 だからと言って、俺は俺の欲望を抑えられる程大人じゃない。 最初は、軽いSMごっこで遊んでいた。…オモチャの手錠を使って。 ちなみにその手錠、現在舞子に貸したまま返ってこず終いだ。 彼らが使っているのだろうか?はっはっは。  最初は俺が手錠をされて、遊んでいた。流石Mなだけあって、俺はノリノリだ。 耳を噛まれたり命令されたりまさぐられたりして、最高に「ハイ」なひとときを過ごす。 ちなみに、息子はいじられてない。この時点では。 さぁ、舞子が手錠をされる番だ。 俺は彼女を後ろ手に手錠で縛り、目隠しをする。 今でも鮮明に覚えている、その瞬間の記憶。 俺は彼女を脱がして、制止も聞かずにブラジャーを外した。 背中に口づけて、首筋に向かってキスを繰り返して、前に回り込んで、 肩、鎖骨、首筋、耳、頬、鼻。 この瞬間、俺の中で何かが切れる。大切な何かが切れたんである。 舞子の唇を貪るように奪った。3文エロ小説さながらだ。 びっくりした事に、先に舌を入れて来たのは彼女の方だ。 俺も懸命に応戦する。舌先の攻防戦。俺は無我夢中だった。  何処までいったのか。乳繰りあってたのか定かじゃない。 記憶が飛んでる。ただ、JACK−OFFはしなかったようだ。 そこまでした記憶は無い。彼女の柔らかい乳房に抱かれて眠った記憶はある。 とても安らかな一瞬だった。一瞬だったけど。  俺の「初めてのキスだ」との告白に、舞子は驚いていた。 「嘘でしょう?」 「そんなしょーもねぇ嘘つくかよ。」 上手かったらしい。正確に言えば、唇が柔らかかった為、余計にそう思ったそうだ。  俺の中の倫理なんてクソ以下だ。 欲しいモンは欲しい。奪うか盗むか。 俺が、自分の部屋のベッドで、欲望に負けて負けて、 友達のオンナに口づけていた丁度同じ頃、 地球の裏側は、涙さえ枯れている、戦場の空。  俺には世界がどうなろうと知った事じゃない。 戦争だってやりゃいいし、死にたいヤツは死ねばいい。 俺には何処かの核爆弾より、目の前の舞子の方が大問題だった。 誰かの歌詞にあったな。 世界なんて、平和なんて、人類なんて、戦争なんて、 裏切りなんて、日常なんて、全て、全て。 無くなったって構わない。 俺には舞子さえいればよかった。 俺は俺の倫理すら守れずに、誰を守る気だったのか。  俺の部屋を出て、彼女を駅まで送る時、手を繋ごうとして言われた。 「駄目。手だけは駄目。手を許しちゃったら、全部許しちゃいそうだから。」 確か、こんな事を言われた記憶がある。 俺にはよくわからなかった。これが女心なんだろうか。わからねぇ。  空はまだ、青い時間だった。 俺は、彼女に、狂っていた。 ---------------------------- [自由詩]ろくでなしROCK〜クソったれに金は無し〜/虹村 凌[2005年7月15日22時07分] 朝一番の水を飲んだらさぁ 燐寸を擦って煙草に火をつけてよ そして右足でブルースを蹴飛ばそう? ブルージーになんかなってられないよ 今日もクソったれた一日が始まったんだ ブルージーになんかなってられないよ ツギハギだらけの顔で笑う道路に 親近感を感じるって事に最近になって気がついたよ でもヤツは負けないから俺も頑張ろうと思う どんな日だって道路はブルージーにならないし どんな時だって道路はブルースなんて歌わない だから俺もブルージーにならないし ブルースなんか歌わない 大体さぁ 俺がブルース歌うなんて100年早ぇよな そんな経験してねぇし物事知らねぇし 根暗だし友達少ないし… ってオイ!ブルー入ってんじゃねぇか! 蹴飛ばせ!蹴飛ばせ! 靴が脱げるまで蹴り続けて ほら、どうよ! 結構スカっと爽やかな気分だろ?! ろくでなし ろくでなし 今日も貧乏な ろくでなし ---------------------------- [自由詩]BosZHeAd/虹村 凌[2005年7月17日2時40分] 天上天下唯我独尊! 麗乱堕天使唯今光臨! *** ギンガムチェックのパンツを七分までまくしあげ 薄いTシャツを着てネクタイとプカシェルを装着 衝動買いした細身のジャケットを着込んで出かける ネットカフェで煙草だけ買ってすぐに店を出る 缶コーヒーを飲んでも気持ち悪くて半分残した *** 高速道路にだって歩道橋にだって 天使は降りてこなかった 俺は何処で待てばいいのかわからないし そもそもその存在さえ確認していない 誰にでも優しく接して 望めば一晩中だって頭を撫でてくれると言う 望めば一晩中だって歌を歌ってくれると言う 天使は何処にいる? 天使は何処にいる? *** 富士山が爆発して 月が降ってくる夜に 土星の輪っかが消えてなくなって 天使が迷子になっちゃったって事を 悪魔に聞いて小便チビった もう俺は助からない もう俺は助からない *** 煙草の灰がフィルターに届いたら 天使が降りてくるって信じてた 灰皿には山のような吸殻 血管に油が溜まって 俺はもう助からない 今すぐに *** 灰皿がキレイになった ---------------------------- [自由詩]ハーモニカ/虹村 凌[2005年7月17日22時28分] パパが怒って 僕のハーモニカを曲げてしまった 銀色と水色のハーモニカは 真ん中あたりで ぐにゃり と曲がっていた 幼稚園生の僕は 今度 新しくハーモニカを買おうと思う 曲げさせやしねぇよ な 親父 ---------------------------- [自由詩]末期少女/虹村 凌[2005年7月18日19時46分] 彼女は素敵な牙を見せて微笑む その笑顔はとても素敵な笑顔で 事務的に働く僕の軌道修正をしてくれる 細い腕で大きな袋を持って 肩胛骨が遠ざかって行く様を 僕はうっとりと眺めていた いけない 不整脈だ 僕の心臓が止まってしまう あ ---------------------------- [自由詩]逆襲の巨大ミジンコ/虹村 凌[2005年7月21日19時18分] もう仕事なんてしたくねぇよ こんなかったりぃ仕事やってられっかよ 俺はババァの愚痴を聞く為にいる店員じゃねぇ なんで煙草すってりゃ金になるような仕事が無いんだ 沢山のバニーちゃん達に囲まれて 煙草吸ってチョコレート喰ってるだけで金になるような そんな仕事があればいいと思う くそったれだ さんとわまみー くそったれてるぜ BOSS へぃそこの牙のお嬢さん 僕と仕事をサボって昼寝をしよう その時 僕の右手を 逆襲の巨大ミジンコがさらっていったんだ さんとわまみー・THE・ミゼラブル ---------------------------- [自由詩]ドゥー・ザ・ブランドニュー・スィング/虹村 凌[2005年7月21日19時43分] 煙草が無い退廃なんてありえねぇと思っている でも酒が無い退廃はあると言い切る 俺がそれを体現するんだぜクソヤロウ ドラッグもハッパもアンパンも要らねぇ んな事に頼るヤツはただの屑でしかねぇよ 退廃でもなんでもねぇぜハナクソォ 世界にはワナビーが必要だってか? てめぇらにゃNGOが必要だってか? よォ 見てみろよ 日本にゃアホもDQNも溢れてる ばかみてぇだ いや ばかなんだけどね ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌[2005年7月21日21時51分] 第六ニューロン「小田急線」    散々前戯だけして、本番もしねぇで言うのもなんだが、 舞子に口づけた俺に、恐いモノは殆ど無い。 俺と舞子は新宿に向かう。その間、俺の手はずっと舞子の髪に触れていた。 別れ際に、頬だか額にキスをした記憶がある。 馬鹿みたいに単純に、気が大きくなるモノだと思う。 その後、何喰わぬ顔をして、俺は剣道部の飲み会に参加していたのである。 汚れた舌だな。俺は愛を囁いた舌で、友達に馬鹿を叫ぶんだぜ。  これと前後して、俺は舞子のホームページにも出入りする。 そこで、とある女子中学生とメール交換をするようになる。 名前を大竹 侑子と言う。岐阜に住んでいる女の子だった。 最初は、ただ単にメル友で済む筈だったのに、 お互いに訳のわからぬ幻想を抱いてしまった…と言う状態になる。  俺は、舞子がある程度俺に興味を持っているのを知っている。 気を惹きたい。だから、俺は舞子の前では、侑子が好きだと言った。 侑子にも好きだって言った。その口で、俺は舞子に愛を囁く。 最低だね。俺は舞子さえ手に入れば、侑子なんて…と思っていた。  俺が美大受験に失敗したと侑子に報告した時、 いきなり彼女から電話があったのを覚えている。優しかったね。 ありがとう。ありがとう。ありがとう。  侑子は、ただ優しかった。 そして恋に恋して、俺がそこにいただけだった。 俺じゃなくてもよかったんだろうけど、俺がそこにいただけだよ。 わかってるって。ありがとう。  そんなこんなで俺は板挟みだった。阿呆だな。 ただ嫉妬して欲しかった。舞子に嫉妬して欲しかった。 俺は何度か舞子とデートをする。 セックスもしない、ただ二人して町を歩いては何か喰ったり何か飲んだり。 たまに俺が煙草吸ったり、キスしたり。 祖師谷大蔵のたこ焼屋、マンションの隙間の公園、家の近くにあった公園、 キスを繰り返す。キスを繰り返す。 何時か舞子が俺に言った事がある。 「キス上手いのね。何で?」 俺は言った。 「わからないよ」 舞子は微笑んで言う。 「うそ。知ってるでしょ?」 俺は答えた。 「親父がキス魔だったらしいけど。遺伝かな」  ある日、もう梅雨だったろうか。 俺達はいつものように、成城学園駅前で待ち合わせていた。 (もしかしたら、祖師谷大蔵かもしれない) そこから仙川に向かって歩いて、仙川から多摩川を目指す。 よく歩く散歩コース。 今日は、多摩川まで。 春にここに来た時には、彼女の膣に触れている。 確かに、、アップルパイに指を突っ込んだような感触だった。 ぬるぬるしてて、気持ちよかった。 それも雨の日だった。夜桜がキレイだった。  ともかく、俺達は雨の中を多摩川まで歩く事にした。 往路は何事も無く過ごしていたよ。 彼女が、キャラメルポップコーンを作って持ってきてくれた。 煙草を吸った。二人で雨に濡れてた。キス…したっけ。 覚えてない。したと思う。 雨の中を、2ちゃんねるとか色んな話をしながら、多摩川へ向かう。 雨の日の多摩川は灰色で、橋の下で寄り添った。 キスをした。 帰らなきゃ。 昼と夜で向きが変わる大仏を通って、成城に向かう。 二人で過ごす時間は限られている。残念だよね。  彼女の手が、俺の後頭部に伸びて、髪を撫でていた。 雨に濡れた髪を、彼女の手が優しく、何度も、何度も上下する。  ぷつん  と何かが切れた。俺の中で、またも理性と言うモノが決壊する。 俺が傘を投げ捨て、舞子を抱き寄せた。チカラ強く。 (まるで映画のワンシーンだった。遠くから街頭が俺たちを照らす。) 首に、耳に、鎖骨に、口づけて。 彼女がガクガクと揺れる。震えるんじゃない、ガクガクと揺れていた。 何度も囁く。 「愛してる。舞子、愛してるよ。」  その時、俺の携帯が鳴る。 俺の時間はもう終わりだ。帰らなきゃ。 でも、舞子を放したくない。放したくない。放さない。 俺の欲望が立ち上がる。恥ずかしくなって、腰を引いたら、 舞子がクスクス笑って、耳元で囁いた。 「可愛い」 恥ずかしくなって、俺はもっと強く彼女を抱きしめた。 キスしたのか覚えていない。したんだと思う。 しなかったはずが無い。 何もかもが消えていいと思ってた。  その後、俺には記憶が無い。 どうやって家に帰ったのか、家にかえってどうしたのか。 別れ際に、いきなりキスしたのを覚えてる気がする。 記憶が欠落している部分が多い。 次の日には、俺は実家にいたのを覚えている。 卒業してからと言うモノ、俺が東京にいる理由は少ない。 だから、病院に行く都合を合わせて、彼女と会う時間を作っていた。 ---------------------------- [自由詩]Q/虹村 凌[2005年7月22日18時30分] クソったれ と叫ぶのにも飽きた きりが無いもん 渋谷でラオウとケンシロウ 二人が闘ったら きっと明日はいい日になると思う スクランブル交差点を 僕の詩で埋め尽くせたら 次の日はきっと暑くなる じょーだんじゃねぇよ クソったれって言えなきゃ 何て言ってりゃいいんだ 教えておくれ もう辛抱できない セックスしようって言いながら歩いていいの? 抱いてくださいって言いながら歩いていいの? クィーン ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]寂しいので書き散らかす腐れ文章/虹村 凌[2005年7月22日20時34分] はっきり言って、他人が書くこう言った文章は嫌いだ。 勝手にやってろ、と思う。 だから、勝手に書かせて貰う。 寂しい。 今、非常に寂しい。 いちゃいちゃしたい。 にゃんにゃんしたい。 セックスは別にどうでもいい。 ただ、ゆるゆると、脱力しながらイチャイチャしたい。 膝枕とかしてもらいたい。 乳房に埋まって眠りたい。 手繋いでカウチしたい。 ほっぺにキスしたい。 抱きしめるから抱きしめてよ。 ねぇ。お願い。 *** 夜の街は底なしに冷たい 誰にも関わらないで じっと朝を待っている 重さ512MBの煙草の煙 全身に纏った週末の香り 寄りかかる自動販売機の後光に 耐えきれなくなる 決して孤独な人生なんかじゃない 昼間には仕事に行っているし たまに友人と会ったりするし 家に帰れば家族がいる パンクもロックも死んじゃった今 何処に優しさを求めればいいのか 愛も平和も 嗚呼!天上天下唯我独尊 俺は俺が大好きなんだ (詩・512MB習作) *** 寂しい。 いちゃいちゃしたい。 可愛いね、君ってヤツは。 ---------------------------- [自由詩]殺害予告腹筋編/虹村 凌[2005年7月22日23時14分] 今日も渋谷には沢山の人がいます 同じような格好をした馬鹿男や 似たような格好をした馬鹿アマ 奇抜な格好をしたつもりのあんぽんたん とにかく色々な人がいる訳で とりあえず全員ぶっ殺そうと思います そうしたら渋谷はキレイな街になると思うんです 如何でしょうか? 病院には病人が沢山集まっています 自分もそのウチの一人ですが 待ち時間が嫌なので とりあえず大爆発させちゃっていいと思うんです どかーんって でっかい爆弾で吹き飛ばして 看護婦のオネーちゃんを引っ張って ウチまで帰ろうと思うんです 如何でしょうか? 世界の首根っこを押さえて シャープペンシルを突き立ててやるぜ 手のひらサイズのシャープペンシルと 完全に暗譜した俺の言葉で 世界の首根っこに突き立てる それがてめぇらの墓標だぜ 線香代わりの煙草を燃やせ ---------------------------- [自由詩]セックスフレンドよ永遠に/虹村 凌[2005年7月23日20時01分] くそったれBLUES 地震の最中にも仕事をしてるぜ 給料が全員下がるらしいけど しけてるなBOSS 金が欲しくて働いて寝るだけだよ 仕事したくなくて煙草すって 冷たさを失った缶珈琲飲んでたいだけだよ それなのに しけてるぜBOSS 俺は何も高望みをしてる訳じゃない 俺のチンチンより小さいシャーペンひとつで 世界征服出来るなんて夢も見ない セックスする夢を今朝みたきり 燐寸が切れて煙草が吸えなかった今朝 どっかで誰かが死んで行く事を知る事も無い 傘が無い事 煙草が切れそうな事 誰かを好きな事 そんな言葉を並べて満足してりゃ 世界は平和だったんだろうよ 自分の書いた詩も満足に覚えられずに JACK・OFF・MACHINGUNS マリリン・マンソンよりも惨めなハッタリ 世界を逆転させる前に 自分の精液で溺れてしまうだろうよ I HATE YOU 今だけはロックもパンクも聞きたくない 世界より先に 日本って国の息の根を止めてやろうぜ さぁ 手に手にシャーペンを持て そしてJACK・OFFしようぜ ---------------------------- [自由詩]512MBの個人的憂鬱/虹村 凌[2005年7月23日20時08分] 夜の街は底なしに冷たい 誰にも関わらないで じっと朝を待っている 重さ512MBの煙草の煙 全身に纏った週末の香り 寄りかかる自動販売機の後光に 耐えきれなくなる そして想像力だけが自殺する 夜明けは安心感を与えて 颯爽と視界の隅へと 決して孤独な人生なんかじゃない 昼間には仕事に行っているし たまに友人と会ったりするし 家に帰れば家族がいる パンクもロックも死んじゃった今 何処に優しさを求めればいいのか 愛も平和も 嗚呼!天上天下唯我独尊 俺は俺が大好きなんだ 文句あんのか? セックスしようぜ Jack Offしたいんだ 文句 あんのか? ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]庵魔璃打!この配牌!(詩の話)/虹村 凌[2005年7月24日20時11分] 気分でこんな題名にしたが、わかりにくいのでカッコつけてみた。 東京ポエトリーマーケットに行って来た。 はるばる両国まで、別段遠くもない。 残金900円程度と言う状況でしたので、 母親に来月分のお小遣いを前借りして行って参りましたよ。 えぇと、黒いラバーソウルに青いジーンズ、 ピンクのシャツに緑のネクタイ、カーキ色の斜め掛け鞄、 怒髪天をついてた髪の毛の小僧は、俺です。 江戸東京博物館の一階、会議室で行われたこのポエケット。 思ったより、小さいハコだった。(まぁ、会議室だしな。 開場時間の30分前に到着、外で煙草を吸いまくる。 そこでchoriと遭遇したのは内緒だぜ。 先ずは、期待の本「1980s」を購入。 ついでにE/WのCDを購入。 ふらふらしつつ、会場を回る。 購入したモノを挙げる気はあんまり無いので、思う事をつらつらと。 どうも会場の空気が気持ち悪い。 空気が悪いのか、狭い場所に大勢の人間が居る所為か。 もしくはその人間達の所為なのか。 そもそも、こんな場所っつったら悪いけど、場所が場所だ。 んでイベントがイベントだ。自然と集まる人間も集まる人間になる。 なんか、「とらのあな」にでも来たような気になった。 オタッキーな空気だと思う。酔いそうになって、何度も煙草を吸いに行ったよ。 詩を書くってのはオナニーだ。それ以上でもそれ以下でも無いと思っている。 愛をにせよ、殺意にせよ、欲望にせよ、衝動にせよ、 己のみで書き上げる以上はオナニーなんである。 それを悪いと思わないから、俺はこうして詩みたいな文章を書いているんである。 そのオナニーが、世に認められるとオナニーを脱する。 オナニーがオナニーじゃなくなる。 ファック。悔しいよね。じゃあビッグになりゃいいじゃん。話は簡単だ。 そのオナニスト達がよってたかって、狭い会議室にいるのだ。 会場が精液臭くなっても仕方無いだろうよ。 詩について回るイメェヂ、個人的には「退廃」だ。 「退廃」した状態から「希望」が欲しくて書いている。 そしてその言葉は、ただの文字として、そこに置かれる。 音楽と合わせれば歌となり、リズムに合わせればラップになる。 ただ、言葉のみとして置かれた場合、状況は厳しいと思う。 まず、五感に対する揺さぶりが小さい。興味を引きにくい。 そして「詩」と言う陰湿なイメェヂを、なかなか脱しない。 朗読として出した場合、音楽と同等程度の効果を得る事が出来るだろうが、 それ以上には成り得ないと思う。決して歌じゃないのだから。 ステージで詩を朗読する時、自分の作品を見ながら…と言うのは非常に間抜けだ。 それこそ公開オナニーもいいトコだ。馬鹿だと思うし、未来も見えなくなる。 自分で書いた詩を、ステージで読む場合に、それを全て覚えるのは当然だ。 客として見ている場合、読み手の動きが無いと言うのは見ていて退屈だ。 動きが無い。ただ、マイクの前で詩を読むだけ。退屈だろ? ステージの上で、飛ぶ、叫ぶ、腕を振り回す、客席に寄る、走り回る。 身体を使って表現して、客を自分の世界に引き込む。興味を持たせる。 それをしない以上、ただのオナニーだと思う。 詩と言う存在は、元々、パンピーから敬遠されがちな存在だ。 理由が知りたければ、適当に人を捕まえて聞いてみると言い。 ちなみに、女の子と喋って居て、 「高校の頃、スポーツ何やってたの?」の質問に対して、 「ん?俺、中高6年間ずっと剣道」と応えると、 「ふーん」で会話が終わってしまう。マジで。 「え?じゃあ誰に憧れてたりするの?栄華さんとか?」 なんて言う女の子がいたら、俺はたちまち結婚を申し込むだろう。 朗読と言う段階で、やっと歌やラップと言った、 言葉が絡む他の形に追いつく事が出来ると思っている。 あまりにも無惨だ。惨めだ。情けない。 嘆いた処で状況は良くならない。 悪口だけ言ってるんじゃ、俺の嫌いな政治家と一緒だ。 キムタクが、ドラマ中でバタフライナイフを使って、 一時期バタフライナイフが流行った事はまだ記憶にある。(決して新しくない じゃーキムタクに「俺、詩を書いてます」って言わせたら、 若い中高生の間で詩が流行ったりするんじゃなかろうか。 え?馬鹿にしてんのかって? 俺は大真面目だぜ。 今日、友人某が言っていたが、「金持ちは貧乏人の敵」になる。 「ふざけんな金持ち、ボンボン死ね」って訳だ。 まぁ、貧乏は嫌だよね。金なんて、無いより有った方がいいに決まってる。 でも無いからしょーがない。うっぷんは金持ちにぶつける。 んな気力あったら、クソ議員の一人でも襲って(以下自粛 彼曰く、「金持ちが嫌いならみんな金持ちになればいい」と言う。 そらそうだ。当たり前だ。思わず納得の爽やかな笑みがこぼれる。 まぁ、金持ちになるには並大抵の努力じゃ済まない。 それを出来ないから、金持ちを妬んで悪口を言うんである。 かっかっか☆ 詩人がパンピーから気持ち悪い目で見られているのなら、 パンピーが詩人になればいい。全員詩人だったら、問題は無い。と思う。 どうだろ。 そもそも詩人って身構えるから、パンピーと壁を創ってしまうんだろう。 詩だとか、なんか堅苦しいブンガク的表現がどうのこうの… と言うから、パンピーが警戒する。面倒臭がる。俺もそうだ。 だったらみんな詩人になりゃいいじゃん。 俺が思うに、モノを書く場合、作文より詩の方が簡単だと思う。 だって、ただ思いついた事を書けばいいんじゃない。 作文書かせると、つまんない事しか書かないヤツがあまりにも多い。 クラスの三分の一のヤツは、 「今、提出日になりました。〜時間後に提出するモノです」 とかなんだとか、 嫌々書いてますみたいな事を穴って言う穴から滴らせて書いている。 馬鹿みたいだし、読んでムカつく。嫌なら書くな。 書くんだったら、少しは気の利いた事を言え。 それに比べて、詩は簡単だ。難しく構える必要は無い。 読書課題も、国語科の先生が選んだ、堅苦しい本だから嫌なのだ。 冬休みの読書課題を読んで、死ぬほど沈鬱な正月を過ごした事だある。 それくらいだったら、読書課題も詩集にすればいい。 堅苦しい本よりも、面白いと思うし、受ける印象も違うと思う。 それこそ、数学科の先生とかが推薦する詩集を読ませればいいと思う。 国民総詩人化計画。 そうすれば、詩人が敬遠される事もあるまい。 ポエケだって、会議室でやる事も無くなるだろう。 もっとデッカイ場所でやれるだろう。 それこそ、会場と同時に、地響きをさせて雪崩れ込む詩人達と、 売りさばく詩人、大人買いして、遅れたモノからふんだくる詩人… なんて楽しいんだ! そんな事を、根暗な俺は延々と考えていた。 そんなポエケットだった。 麻雀したい。立川ZOOで。麻雀しようぜ! ---------------------------- (ファイルの終わり)