虹村 凌 2011年3月31日13時57分から2018年1月31日1時32分まで ---------------------------- [自由詩]みんな大好きマイナーコード/虹村 凌[2011年3月31日13時57分] 真っ青に疾走する感じがみんな大好きなんですよね (多分そんな事は無いだろうけど) その感じが何かピアノジャックを好きになりきれない原因な気がする まぁそれって言うのは「日本一つになろうぜ」的な 何だかよくわかんねぇ青灰色の不明瞭で強引な似非一体感を嫌悪するのに似ている 協力出来る事は協力するけれど俺には俺が送りたい日常があって 何だか満面の笑みでそんなものを暴力的に押し付けられても困ってしまう 自粛とか謹慎と言う名の思考停止して被災者とシンクロを計ってるのか (そんな事しなくたって思考停止してる奴は大勢いるだろうに) 手の平に収まっているモノリスは単なる暇潰しの道具でしかないみたいだし 別にそれが罪悪だとか言いたい訳じゃないけれど つまんねぇ人生送ってんのかなぁ等と下らない事を考えてしまう 中学生棺桶(ググれ)みたいに馬鹿っぽく尖れるのかな なんであの子は乳出してベース弾いてんだろ意味わかんねぇ まぁ物事の意味を理解した事なんて無いんじゃないかって思うんです 馬鹿がバレるのは嫌で無口だったり饒舌だったりする訳で 当然ながら自分の方法論なんか絶対に露呈させない 喋っているのは自分が見せても良いと判断している部分だけだしね だから何人の女の子とヤろうが付き合おうが(その反対も然り) ちゃんとした関係性を築けた事なんかあまり無いし まぁそう言う意味で彼女を「処女をこじらせた女」と言っているんだ それでもわからない馬鹿の為にわかりやすく言うと 「何人もの男をとっかえ引っ替えして付き合っても  まともに話をするような向き合い方をする関係性が築けていない」 だから処女だと言っている 無論それは童貞だって同じだ だから何だって話だけど ちなみに僕はオールナイトニッポンを聞いた事が無い中高生でした (こういう破綻した感じが好きな奴も入れば嫌いな奴もいるんだよね) あぁだから僕の知り合いにもそういうのが居るんだろうし (殆ど連絡取ってない奴に多いんだろうな、僕はそういう馬鹿が嫌いだから) 予想通りの関係性修築の仕方であまりにもガッカリする まぁ別に予想してたから良いんだけどね的な自嘲も含むけれどさ なんつーの? 格好よくてオシャレなアングラとかサブカルほど うすら寒くて笑えるもんは無いんだけど でもそう言う世界ってやっぱり気持ち悪くて見てらんないし っつーかそれで正しいんだと思うんだけど そういうのを愛好する感じも何か気持ち悪く無い? 「俺はお前等とは違うんだぜ」的なナルシズムがそもそもダサい 何か洋楽聞き始めた中学生みたいな感じ まぁヴィレヴァンくらいが丁度いいんじゃねーの?みたいな気分 ヴィレヴァンも何か違うと思うんだけどアレはまぁアレで テキトーにやりゃいいんじゃねぇの?たまに使うし 別にヴィレヴァンの便所で首釣って死ぬ事はねーよ 俺が自粛してんだからお前も自粛しろよ みたいな意味不明で不毛なやり取りが続く馬鹿馬鹿しさってあるじゃん そーゆー後ろ向きで押し付けがましい一体感ってあるよね日本人 気持ちはわかるけどあまりにも無意味じゃない?とか言うと怒られますか 根暗だよね無意味で非生産的 そういうのばっかりじゃないと思うしそれも理解してるけど 今日も煙草と缶コーヒーが美味しいです 昨日の夜にここまで書いて色々あってので放り投げます ---------------------------- [自由詩]ピザカス〜ピザでも喰ってろカス〜/虹村 凌[2011年3月31日18時18分] 東の街に雨が降る(それがどうした) 西の街にも雨が降る(だからどうした) 北の海にも雨が降る(今日も東京に雨が降った) 南の島にも雨が降る(明日は何処で雨が降る) チェルノブイリに行きたく無かった奴等は(敢えて名前は出さないけれど) 今度は福島に行きたく無くなるのか(笑えない冗談だ) 何処の電気で飯喰って何処の電気でギター弾いてんだか知らないけど(そうだろ?) 親父の実家のあの部屋はいまも震災後のままなんだろうし 祖父母が生まれ故郷に戻るのは何時になるかもわかんねぇ そんな事とは関係なしに俺の日常が続いて行く訳で 公園にある小屋で飯を喰ってた時の彼女の話が本当なのか 朝にあった小さな余震で怯える彼女が本当なのかも 結局のところはどうでもいい事なのだろうと思う 別に一人で生きてるつもりは無いけど 結局のところはどうしようもなく独りだから仕方が無い 個人主義が過ぎると言われても「我が闘争」並みに「我が個人主義」を思うし そんな事は世間が赦さないと言う個人が沢山いるから世間が赦してくれない みたいな馬鹿馬鹿しい世界をその個人主義で泳ぎ切らなきゃならない 好き勝手やってる奴を好き勝手やれない奴が赦さないと言う馬鹿馬鹿しさ 後ろ向きな説教を垂れ流す暇で好き勝手やりゃあいいのに出来ない臆病者達が 日本経済を支えてんだと偉そうにネクタイを緩める だから俺は結局独りなのだと思う、馬鹿馬鹿しい限りだけど 好き勝手やれって俺みたいなチャラチャラしたフリしてる奴が言うと 本当に馬鹿っぽく聞こえるんだろうし信用無いから仕方無いけど パトカー燃やすとかクズを殺すとか勿論そういう事が言いたいんじゃない (そういう事を想像する奴こそ本当にそういう事を望んでいる訳だしね) 社会から赦されたい訳でもないし自分がしてる事を当たり前にしたい訳でもない どうせ出来っこないし保守的な阿呆共には理解不能だろうから (みたいに尖っておく必要がある気がするけど本当の所はどうかわからない) ただ自分の人生を邪魔されたくないし鼻で笑う様な奴等を嫌いなだけで なにもこうやって冗長に言う必要も無いんだよね 大体こういう事を考えながら 単車の事とか脚本の事とかその舞台で俺が何枚チケット捌けるか 前のバイト先と次のバイト先で合計20枚くらい捌きたいとか まぁ言ってみればどれもどうでもいい事なんだけど 雨が止んだらピザでも喰いたい気分だ ---------------------------- [自由詩]モンキーマジック/虹村 凌[2011年4月2日0時13分] 不謹慎だと叫ぶ100万人の絶叫生真面目野郎達が間違っているはずがないねと 俺はニヤけた笑みを汚ェ面に張り付けて賞味期限の切れたセブンスターズを吸う だってお前等が叫ぶ「不謹慎」の中身が見えない 空っぽじゃないか まぁ今この世界の色んな物が空っぽなんだけど 俺は間違っても外人になんか憧れないぜと言うこの叫びも空っぽだしさ あー勘違いしないでおくれよ 俺は別にニュークリアーに賛成してる訳じゃないんだ ただ単純にブーイング出来ないってだけで 俺だってリトルボーイもファットマンも嫌いさ 50個以上の太陽がこのクソ狭い列島に転がってるのも気分が良い訳がない わかるだろ? だけど産業用でも「うつくしま福島」に大麻が咲き乱れる事を想像すると 少しだけ笑えるよな それはハイになれるからじゃないんだ わかるかな ねぇ いつになったら帰ってくるんだい? ---------------------------- [自由詩]エフェドリンが無いから/虹村 凌[2011年4月6日0時25分] どうでもいいけれど 長年の下らないシキタリみたいなのに抗ったのは 中学3年で参加した部の合宿の時だったかも知れない 反逆みたいなよくわかんない高揚感と快感は素敵だった だから何だかよくわかんねぇけどユニオンジャックが気に喰わない 星条旗もトリコロールも気に喰わない でも日章旗をブラ下げて歩く気にもなんないのは何でだろう 何もわかっちゃいないし別に何かに抗ってるつもりじゃないけど 14ホールのDr.マーチンを誰かが神聖だとホザくから折り曲げて履いています 相変わらずラバーソールのカカトは擦り減ったままです パンクとか言われても良くわかんねぇよ でも俺がパンクバンド組むんだったら ピストルズが好きなメンバーは3秒でクビだろうな 大人になりたい人達とか格好付けたい人達は相変わらず残念な程に子供のままで その子供達に裏切られた青年達が大人になって行くんだと思った 驚く程に残念な子供達を尻目に老けて行く精神を持て余す 何時でも誰かに優しくされてないと嫌になる俺はそんな贅沢モンだったか? 何時だって退く準備は出来ているつもりなのに 一度手に入れたものを捨てるのは矢張り難しいな等と わかりきった事を口の中で溶かしながら缶コーヒーを飲む アセスルファムKの味しかしない 一昨日は間違えてコーラゼロフリーを買ってしまいました カフェインの味とかわかんないけど美味しく無いと思った エフェドリンが無いからエスタロンモカを買った 睡魔に抗うのが格好いいとかじゃなくて 眠くて仕事になんないから買っただけ 睡魔をビタミン臭いションベンに溶かして便器に流す エヴィアンで食器を洗うくらい無駄かも知れないと思いながら 明日を平行に考えながら薄い布団の中に横たわる ---------------------------- [自由詩]日々、壁に書き込んでいく様な気持ちで/虹村 凌[2011年4月8日1時41分] ジンセーがどうでもよくて最近は元気がありません 何か悩んだ挙げ句にピュークとかヴォミット つまりゲロ吐けるくらいの気合いがあればいいんだけどそんな気合いは無い 世の中を憂いて流す涙もジンセーに嫌気が刺して吐くゲロも無い あんま良く無い傾向だよなーっつー程度の自覚はあるけど それがどうしたみたいな斜に構えた感じで全部受け流していいですか? 例えば福島原発の周囲に産業用のハッパが植えられたとしよう それを想像するのは楽しいけれど実際に植えられてしまったら興味は無くなる 人生ってそういうもんじゃねーっすか みたいな醒めた意見を冷静に切り捨てながら自分がそうなっていくのかね よくわかんねーんだけど それがどうしたみたいな斜に構えた感じで全部鼻で笑っていいですか? 後はどうやって死に方を無様に綺麗に演出するかくらいしか考えてない時がある 夢半ばで朽ち果てていった哀れさも要らないし 苦悩の挙げ句に死んで行った悲しさも要らない 乾燥しきった下らない死に方じゃなきゃどうしようもなく惨めだ 自殺だか事故死だかわかんねー感じにしとけばどうにかなんじゃねーの? 残った奴等が勝手に決めてくれんだろ、これ読んだ奴も含めて みたいな適当な計算 多分死なないし死にたくねーけど死ぬしかねーんじゃねーの? って思う瞬間は間違いなくあるので予め言っておく それがどうしたみたいな斜に構えた感じで受け流してくれていいので 俺は俺でしかないとか本当の俺とかあまりにもどうでも良くて 他人に影響される奴の意味がわかんなくなってく 本当の自分みたいなイリュージョンで笑える意味もわかんない 何時でも何処にでも行ける準備くらいしてなきゃ生きていけませんよね そんなもん信じてたら今頃100回は死んでます 俺が信じた世界と目の前に転がってる世界の差異を飲み込めているから まぁどうにかこうにかなってる訳で 賭けるモノが無いんです人生でいいですかとか言えたら 多分俺はちょっと楽になる気がするんだけど 何で賭けられないのかもわかってないから駄目なまんまです 考えないのは怠惰なので考えてみるけど 答えはわかりきっているし恥ずかしくて言えない それがどうしたみたいな斜に構えた感じで逃げていいですか もう十年以上もこうやって言葉いじり続けて出した答えが現時点でコレ 馬鹿馬鹿しいんだか天才的なんだが何もわかんねーよ 今この瞬間の人生がつまんねーのは俺の所為だけど 今この瞬間にお前等が何言ってんだかわかんねーのは誰の所為だろう 逃げるとか逃げないとか何かそういうのも馬鹿馬鹿しいと思いません? 確かに残念な人は多いけれどまぁ自分もそうなんじゃねーの? くらいの逃げ道残しながら足を踏み外さないように生きています 下を見たら大きな穴が開いてるんですよ 何か真っ暗で良く見えねーんだけど まぁ落ちたら落ちたで死ぬしかねーよな それがどうしたみたいな斜に構えた感じで生きていていいですか ---------------------------- [自由詩]斜に構えた隙間から/虹村 凌[2011年4月9日0時23分] 生きる事、それが日々を告白する事ならば 僕は日々を生きている そう考えていいのですか、先生 あなたの言葉が思い出せないのです あなたの言葉がわからないのです 先生 あなたは裏切られた青年なのですか 先生 あなたは裏切られた青年達の代弁者なのですか なんて言ってみるテストってやつで 半分は本当で半分は嘘なんだよって言って安心を与えるフリ 大人に褒められるような馬鹿にはなりたくなかったけれど 褒められなきゃお金が貰えないので馬鹿になります テレビや新聞は僕らを不安にするだけだと思っていたけれど 僕もそういう所で働くようになりました だからもうテレビの事を悪く言うのは止そうと思います でも受信料は払いたくありません、とか言っていいですか だって給料を還元してるみたいで馬鹿馬鹿しいじゃないですか 常時二万人が詰まった箱の中で笑いをこらえています 何だか皆が嫌がる原発の周りに 緑のハッパッパを植えて土を浄化すると言うピース は既にその緑のハッパッパの名前のバンドがずっと前に出していた二本の指で 誰もわかっちゃいないし成長しちゃいないんだね みたいに適当にまとめて話を切り上げるいつもの癖 変わって無いねと知ったような顔で言う 裏切られた青年とは世間に裏切られたのでは無く まして残念な子供達に裏切られたのでもない 自分に裏切られただけだって事はとっくの昔に気付いている 裏切ったのは他ならない自分である事にも気付いている 誰もが裏切られた青年の代弁者だから 誰が何を言ってるかわからないけれどきっと言ってる事は全部同じで その記号が少し違うってだけなんだろう 原子力発電所は安全じゃなかったけれど それが聞こえて来るステレオはどの電力で動いてるんだろうか みたいな下らない事を考えて今日も太陽は沈んで行きました 明日は裏切られた青年になりたくないです 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絶え間無く揺れ続けるアース、ウィンド、アンド、ニュークリアー そろそろ東京も危ないと言いながら 社員食堂で全員がボソボソした飯を飲み込む 揺れる事が当たり前になって 画面に出続ける放射性物質の濃度が当たり前になる そういう日常 日本の右半分が揺れて電車が止まって 電車で帰れなくなったみんなが歩いて帰る中を ドンキホーテで自転車を買って帰ればいい くらいの気持ちで最後の一口を飲み込む 質の悪い冗談みたいな詩的表現の昼食 そういう日常 眠くなる様な早さで回る世界をボタンを押して記録する もう一度ボタンを押すとそいつは消えて行く 馬鹿馬鹿しいくらいにデジタルな感覚が染み付いている 会社の廊下は節電の為に落とされている そういう日常 家の玄関の電球とトイレの電球は昨日切れたままで 面倒だから廊下の電気だけで足らせている 米びつは三日前から洗ってないままで ひからびた米が張り付いている そういう日常 未来に焦がした胸と 劣等感や焦燥感で煤けた背中に不安材料をぶら下げて クソガキ共のゴミ箱みたいなセンター街を歩いて出勤する そういう日常 早朝にホスト達に見送られて電車で帰るフリをして 地下道をぐるっと回って外に出てからタクシーで帰る女の真意はわからない バカみたいなテンションで盛り上がっていた癖に その上一人で急速に冷めていった癖に 人をナメ腐って遊んでやがるどっかのクソ野郎の真意もわからない そういう日常 自分の事もなにひとつわかりゃしねぇ そういう日常 ---------------------------- [自由詩]そんな夢を見たんだ/虹村 凌[2011年5月4日3時08分] ウサマビンラーディンが死んだ朝に ローンバリバリのW400に乗って あの格好悪い映画みたいに 純白のウェディングドレスを着た君をさらいに行く途中で事故って死ぬ様な 平成初期のドラマよりヌルくてダサい夢を見たよ ドレスの君とは最初からナシがついてたから ドレスの君は迎えに来ない誰かを不安げな面持ちで待ち続けるのだろうね あの格好悪い映画みたいに 笑いながら幸せそうに逃げた後で不安に襲われて真顔に戻るのは それがバスじゃなくてローンバリバリのW400でも同じだろうね 不安なのはガス切れでも返却するべきドレスでもないぜ 少ない祝福や恨まれる事でもない わかってるだろ? だからフルフェイスのヘルメットの中で声を上げて泣くんだきっと 知らない2000人が死んだ次の日の朝に どうしようもなく安いドラマ以下の死に方をする夢を見たよ きっと本当は緩やかにカーブを曲がって行くんだろうけれど 頭の中ではアクセルを全開にしたまま手を離したいって叫んでる 死んだ後にドレスの君が本当に幸せになると言うのならって叫んでいる 足の踏み場も無い頭の中で叫んでいる 死んだ後の君を祝福出来たら格好がつくのか心底ダサいのかもわかんない それでも真新しいクラッチを握りながら グレッチでドレスの君の頭を叩き割りたいと思った事もある事実を思い出すよ 誰も死んだりしないように願った日の朝に みんなが祝福しないような死に方をする夢を見たよ 積み上げてきたから散らかってるんだ だからそんな夢を見たんだ 誰も死んだりしないように願う事が君の幸福を邪魔するとしても それでもそんな夢を見たんだ こんな話をしたらアイツはこの先5年は口を利いてくれないだろうけど やっぱりそんな夢を見たんだ 俺は嫌な奴だから君が願う幸福に辿り着く頃に アイツが生臭坊主の次の男と眠っているだろう事を考えながら 何が悲しいのかもわからないで声を上げて泣く夢を見たんだ W400もフルフェイスも無いから歩くし泣かないけれど そんな夢を見たんだ 許しを乞うのもおかしな話かも知れないけど そんな夢を見たんだ ---------------------------- [自由詩]死ねばいいのに/虹村 凌[2011年5月9日23時31分] 牛込神楽の夜に帰りたいと思いました 新宿西口から練馬に向かうバスの中でそう思いました 氷屋がアイシーンと言う煙草を吸っていると言う 笑えない冗談を目の当たりにする下らない日常が 右斜線を通過していくのを見ながら 牛込神楽の夜に帰りたいと思いました 女子プロレスを見に行きたいしストリップ劇場にも行ってみたい ソープランドにも行ってみたいし君のパンツを被ってオナニーもしてみたい とか言っておけばどうにかなるかなと考えていました 結局君とは伊勢丹で朝食を共にする事は無く 僕は煙草を吸ってばかりいます バイクの名前が決まらないからバイクを買っていません 月収15万で何年ローン組んだら良いのかな そんな事を考えていました バイクを買ったら月収5万の君を迎えに行くよ タンデムには乗ってくれないだろうけど そんな事を考えていました 一人暮らしの倉庫みたいな部屋には ギリースーツを置いたりスロットの実機を置いたりしたいです マンガとCDとDVDを沢山置いて倉庫にしてしまいたいです 君が全裸で歩き回っても良い様に最上階にしようかな そんな事を考えていました きっと君はこう言うでしょう 死ねばいいのにと ---------------------------- [自由詩]別にまぁそんな事どうでもいいんだろうけど/虹村 凌[2011年5月15日1時00分] 世界中で170万人が死んで行く日々に寝たり起きたり仕事したりする 170万人が死んでいるから生きているのかとかそういう自覚は無く かと言って140人ずつ増えて行く人間を育てる気も無いまま 眠たい脳味噌のまま起きて電車に乗って仕事場に向かう 別に褒められたり評価されたい訳でも無いんだけど もうちょっと給料増えないかなって そしたらローン組んでも結構平気なんだけどって 別にまぁそんな事どうでもいいか 憧れてた単車の免許を取ったけど単車を買う金が無いって話でさ 何時までたっても金なんか貯まらないんだからローン組んで買っちゃえよ 単車とかカメラをローン組んで買ったら一生懸命生きてる気になるかな さすがに一気に二つやったら生活苦しくなるかな 煙草も食費に含まれてるって事は飯喰う回数減るんじゃないの でもまぁ酒飲まないし結構大丈夫かなって 別にまぁそんな事どうでもいいか って言うか何時まで生きてみたら気が済むのかな 死ぬまで気が済まない事ってあんのかな 単車に乗って単独事故で死にたい気分なんだけどどうしたら良いかな 嘘みたいだろ?死んでるんだぜ、それで。的でも良いしそうじゃなくてもいい 内蔵なんざ全てくれてやるよってカードを持ち歩いてるんだ 俺の薄汚ねぇ内蔵で誰かが生き長らえるんならそれは良い事だろう 俺が世界を見てた目ん玉が誰かの光りになるって凄い事じゃない? どう写るのか興味があるけどどうやったって知れないんだよなぁ って、話が違ってきているな 別にまぁそんな事どうでもいいか どうでもよくない事なんてあるのかわかんないけど どうにもならない事はどうにでもなっていい事だったよな じゃあどうでもよくない事ってどうにかなる事なんだろうな 大丈夫落ち着けって どうにかなるって言ったって打率2割もあれば十分凄いじゃんか 残り8割は大抵ミスるんだって 3割成功したら人生勝ち組って奴だろ それでも7割失敗するんだし そう思ってないと駄目になりそうって事でもないけど 別にまぁそんな事どうでもいいか あ、そうそう苺みるく復活だってよ nao.が同い年ってのと同じくらい驚いたよ 伊東怜と及川奈央は年上なんだよな 何度も世話になったよ って前にも言ったっけ って言うか俺が言ってる事って大して変化無いよな 何度も聞いて飽きたって言われても仕方ないくらいだよな 別にまぁそんな事どうでもいいか あぁ同窓会の手紙とかって来てる?俺来てないんだよねー 何でって住所がわかんないらしいんだわ 確かに高校の時の住所から引っ越してるし友達少ないからね まぁ手紙来たって行く気になんないけどね どの面下げて行けばいいんだかわかんないし 行ったって話す相手もいなけりゃ話す事も無いしさ 金払ってつまんねー会話して不味い飯喰うくらいなら 松屋で黙って牛丼喰ってる方がマシなんじゃねぇの? 互いの近況なんて会わなくたって知る事は出来るし 近況を知りたい相手なんかそもそも少ないし 人と比べなきゃ自分のポジションがわかんないって 実に下らないよなぁそういうのって そういう事だけじゃないんだろうけどよくわかんないや 別にまぁそんな事どうでもいいか あぁそうだW400買ったらどんな名前つけようかな 竜二とか銀次とか男の名前にしようかな シャロンとかシェリーとかロイドでもいいな アケミとかヨウコとか昭和っぽい女の名前も素敵だよな 買う前から言うけど俺は運転下手クソだから きっと酷い乗り方もするし嫌な感じにもなるだろうけど勘弁な 大型の免許取ったら別れちまうかも知れないけど勘弁な それでもきっと長く愛しちゃうから許してくれよな 別にまぁそんな事どうでもいいか 有象無象の一つとか別にまぁそんな事どうでもいいか 言ってる事が変わらないって別にまぁそんな事どうでもいいか じゃあとりあえずバイク買ったら旅に出る準備でもしようか って別にまぁそんな事どうでもいいか あぶく銭に埋もれて一生男やるような人間になりたくないし 男と女とか面倒臭いけど別にまぁそんな事どうでもいいか それだったら俺が俺であると言うだけで俺を愛してくれる女と一週間過ごして 目が覚める前に一人で事故って死んだ方がまだマシなんじゃないかな 生きているだけで色々と終わっていくけど 実際は何も始まってすらいない気もする 始まっているのなら終わるだけだし 始まってないなら始まるだけだ それを待つのか始めるのかよくわかんないけど 別にまぁそんな事どうでもいいか 大丈夫 俺の事なんか誰も見ちゃいないし 最初っから格好良くなんかないし 格好ついてもいない 外したってスベったって別に怪我なんかしねぇよ とりあえずで始めたって良い訳だろ? 思考回路がショートして焼け付いて 歯車がオイルを切らせて悲鳴を上げて それでも死ねない自分が尚悲しい様なナルシズムと心中するのも 基本的に格好良くないって言うかむしろダサいんだけど 大丈夫 最初っから格好良くないから って別にまぁそんな事どうでもいいか ありもしない未来について語ったのはどの夜だったかな ありもしない世界について語ったのはどの夜だったかな いてくれてありがとうって言ってくれたのはどの夜だったかな またそういう夜があったら良いね って別にまぁそんな事どうでもいいか 賭けるものも無いし失うものも無ければ失ったものも無い 取り戻すものも払い戻すものもない 掴んだ物も手に入れたものも特に無い 帰る場所なんて最初から無かったのかも知れないし 行く先なんてある気がしてただけなのかも知れない 別にまぁそんな事どうでもいいか こんだけ喋ってどうでもいいかって そんな結論あるかよって思うだろうけど 実際問題どうでもいいだろ? 構って欲しい訳じゃないんだけどわかってくれてるかな わかってくれてても わかっててくれてなくても 別にまぁそんな事はどうでもいいんだ そういう事が言いたいんだけど 別にまぁそんな事どうでもいいんだ だからって訳じゃないけど いつか一緒に幸せな気分で眠れると良いね ---------------------------- [自由詩]そういう人だなって思うだけです/虹村 凌[2012年1月10日11時48分] 朝6時、渋谷NHKに向かう井の頭線 1番端の席に腰を下ろす 耳に差し込むオーディオテクニカ 動き出すステンレスの車両 窓の外で点滅する世界 恥ずかしい位に満月が輝く夜明け前 笑って目を閉じる 神泉で目を明ける 巨大なビジョンで見るニュース 北の大根役者達を笑える筈もなく 赤く汚れた星条旗模様の何色だかわかんねぇ日の丸を睨みながら 適当に軽くギラギラした色の薄っぺらい街を通り抜ける 乱反射する恍惚の色とか仮初めの色とかで陰影が凄い街を 煙草を吸いながら繰り返す質問 俺たちって世界を変えられるのかな コーラを飲み干しながら繰り返す質問 俺たちって愛しあえちゃったりするのかな だってパンプキンハニーバニーみたいなありもしない未来を喋ったり 産まれる時代を間違えただなんて言いながら笑って そういうのって別にカッコ良く無いけど楽しかったよね まぁ別にそれがどうって訳じゃないけど あぁ愛とか恋とかわかんないけど あれって間違いなくそういうのの一種だったかもって言ったら笑うか まぁもう別に今さらそれが何であるかはどうでもいいんだけど でも世界が変わったら煙草の一本でも付き合ってくれよ 俺が知らないお前の世界を その口から注ぎ込んで卒倒させてよ お前が知らない俺の世界を 口移しに愛を 注ぎ込んで卒倒させてやるから そしたら二人で宇宙船でも見に行こうぜ コンビニに行くくらいの感覚で 宇宙船でも見に行こうぜ 夜が群青で青空を塗り潰したら 何言ってるかわかんねぇ奴が全員眠りについたら 月が見える丘公園に宇宙船でも見に行こうぜ 夜が太陽を吐き出すまでそうしていようぜ 俺達が見てるのは ---------------------------- [自由詩]そんな風に生きていけたら良いね/虹村 凌[2012年1月10日11時52分] ジューネンくらい前の詩とかが書いてあるノートを引っ張り出す そう言えば君はこの「とか」の用法のレポートを書くと言っていたね そのウチの何冊かはよくわかんない奴に捨てられたらしい よくわかんないって言っても穴兄弟システムで言う長兄だけどね 多分一番笑えるノートだったんだ だって一面に「愛してる」とか4Bくらいの鉛筆で書きまくってた 狂気っぽい気持ち悪い演出であると理解した上で敢えてやるその気持ち悪さ みたいなのを読み返して笑いたいんだけど きっと今頃夢の島あたりですね まぁ夢の島なら響きとしては大して悪くねぇからいいか 同じくらいの勢いで書いてる詩とかポエムも ネット上にあるからいつ消えてなくなるかわかんないけど まぁずっと調子が良ければいいね 元気にやってるかい?メールも届かないし電話する気にゃならんけど 君の調子も良ければいいね あの青春が僕たちの全てだったけれど まぁ今後もずっと調子が良ければいいね とか言いながら相変わらずセブンスターを吸っているよ 俺の人生もそれなりに調子がよければいいね ハローハロー聞こえているかいもうちょっと話を続けてもいいかな みんなが昼間に働いてるのは夜中も夜明けも恥ずかしいからって本当かな あぁそうだねそんな事はどうでもいいよね そこら辺のビルヂングが乱反射するヒカリとかを浴びて歩く毎日ですし ズボンに染み込んだ汗とかコーヒーとか毎日の疲れを 休憩室で煙草の煙にして置いて来る感じですしね 昨日を考えるのも10年前の夜を考えるのも 明日や10年先の朝を考えるのも多分同じような事ですし まぁ死ぬまでに間に合うかどうかわかんないけど マッパになった時に吐き出せる真価くらい持ってたいですね そしたらあの馬鹿みたいな映画みたいに世界を焼き尽くしながら それを朝日でお迎えしつつビルヂングの上から眺めてたいね 日当りの良い俺の部屋でモデルガン片手にエア拳銃自殺しまくったり 君の部屋の小さいテレビの中で喋るニュースキャスターを撃ったりしたいね そんな風に生きていけたら良いね 隙だらけですよねごめんなさい でも調子がよければいいね 俺のジンセーも君のジンセーも ジュンプーマンパンとかじゃなくていいんだけど そんな風に生きていけたら良いね ---------------------------- [自由詩]もう、しませんから/虹村 凌[2012年1月10日11時54分] とか言って繰り返す日常が様々を希釈しているから 色々な感覚がゆっくりと麻痺していくんだけど 眠くなる様なスピードだからわかんないよね 俺も世界が何を言っているのか本格的にわからないし 好きな女のラインナップを見てみると人生終わってる気がするし 今でも時々だけど死ぬタイミングについて考えたりしてるよ だってすげー似てるんだもん言ってる事とか 歴史は繰り返すのねとか言って笑っちゃうくらい だから何か死にたくなりますでも もう、しませんから あんま関係無いけど 多分最近は「お前等が何言ってるか全然わかんない」しか言ってない わかりたいのかわかりたくないのか俺もよくわかんないけど 一緒の言葉で喋れていないのが寂しいのかも知れないし 思想とか哲学が気に喰わないだけかもしれない 100点とか一回でいいから取ってみたいけど 取ったら意味がないからずっと取れない事くらいわかってる まぁ100点とかよくわかんねーんだけど 自分以外に自分を許せる奴とか褒められる奴とかいねーし 自分以外に誰も自分の味方とか出来ねーじゃん 誰の言葉にも存在にも期待してねーし信用してねーから なんて言うと君は寂しそうに笑うんだろうし そうすると俺は優しく微笑むんだろうけど 上手く誤摩化せてないのなんか100も承知だけど ベイビーそんな俺だけど愛してくれるかい? ってベンジーが言ってたって一々言わなきゃだめですよね まぁ何でもいいけど 俺がもう一回壊れるまでそれはずっと変わらないよ多分 でもごめんなさい最後まで壊れないで立ってる自信しかないです ---------------------------- [自由詩]グリーンカレー/虹村 凌[2012年1月24日21時22分] 誰一人バスケなんかしてねぇバスケットストリートとか言う街を 太極旗と星条旗に汚れた日の丸を煙草の煙りで燻しながら歩く 昔やったゲームみたいなロボットが歩く世界がどれくらい子供達に夢を与えて 自分が信じた世界が実は全く違った事がどれだけ俺を無気力にさせて って責任転嫁したって仕方無いんだけどさ 「シカタネェヨ」って今日もまた空き缶に煙草を突っ込んで薄く笑う 例えば仕事してる時とかセックスしてる時とかに知ってる誰かが死ぬかも知れない 殺されちゃったり自分で死んじゃったりするかも知れない そんな事を毎秒考えながら生きていく事は出来ないんだけど 時々はそうやって考えたりしながら やっぱり俺が助かる事を考えている 俺だけが助かったって仕方無いんだけどね 誰も死んだりしない様になんて都合が良い事は叶えられないし 結局は俺が先に死ぬか否かってだけで 「ドウシヨウモネェヨ」って今日もまた煙草の空き箱を握り潰して薄く笑う 第二次世界大戦はまだ終わっちゃいないとか真顔で言って引かれて 去年の流行語はシーベルトとベクレルだって言って引かれて 「誰がマトモか」なんて言う雑談にどうにか滑り込んでやり過ごす日々を 戦争に負けるってこういう事なのかとか思いながら 俺と似た様な無気力な人間達と背中を丸めて電車に転がり込む ヒトトシテどうなんだろうこういう毎日 24時間4交替シフトで働いてるから出退勤がバラバラの時間で 早朝とか深夜にコーヒーのシミがついた薄汚れたラバーソールで歩く俺を 昼間が正義だと勘違いして止まない世間の目が遠慮なく舐めて行く 誰が茶の間にホットなニュースをお届けしてるんだか知る訳も無いだろう 民放をタダで見てると勘違いしてたりしてるんだろうし 日本放送協会の受信料が意味わかんないとか言ってるんだろう 1つ何かを挟んだりハイパーギリギリモザイクをかけただけで誤摩化されて 納得しちゃう感じで生きていけるなら世界は実に単純で簡単で インスタントでジャンクで魅力的なんだけどそうじゃないじゃん とか真顔で言って「面倒くせぇ」とか「理屈っぽい」とか言われるカンジ 「アー、ソーッスカー」とか良いながらハナクソほじって薄く笑う 「みんなが何言ってるかわかりません」って言ってる俺が言ってる事って つまりまぁ世間と違う言語なんだろうって事はみんなも俺が言ってる事が 別にまぁそんな事はどうでもいいか 自分の中にすんげー空洞があるとかそう言うんじゃないんだけど 自分が自分をよくわかってねーんでどうしようもねぇ 死ぬタイミング考えてみたりする訳なんだけど別に死にたい訳じゃない 経験的に死んでみたいけど とか言いながらグリーンカレー作ったりしてる ---------------------------- [自由詩]パトカーと星条旗と太極旗と他にも色々燃やしてから眠る/虹村 凌[2012年2月8日19時31分] 365日幸せに笑って過ごせたら良いねと歌う男がいた 渋谷の緑色の電車の前でそう歌う男がいた そんな世界があったら意地でも叩き潰してやると心の中で呟いた後に 半蔵門線に乗って九段下で降りて靖國神社で日章旗を3000円で買った これがメイドインチャイナだったら死んじゃうかも知れないよ俺 と笑いながら鳥居をくぐり抜けた休憩所で煙草を吸った 前日の飲み会の時に気分で買ったアメリカンスピリットだった 死のうかと思ったのは半分冗談で半分本気 月給15万です時給です 貯金70万弱です悪い事して稼ぎました 4月から正社員ですがその為に社員を一人殺しました ホショーされないシャカイホショーに加入しない会社ですので辞められません 半分冗談で半分本当です 嘘の中に本当を混ぜたり本当の中に嘘を混ぜたりして生きてます そうでもしないと生きていけない感じなくらいに脆弱な精神です チャラチャラしたフリして真面目な人間だってバレてます 恥とかルールで嘯いて死にたがったり逃げたがったりします でもそれも半分本当で半分は嘘ですからもう何がなんだか自分でもわかりません そうやってシャカイとかの歯車から半分くらいズレてしまうと もうどうにでもなってしまえと思うのです 歯車が上手く噛み合ず機能していない感覚が気持ち悪い 半分程のズレが気持ち悪い 何が駄目で何が良いのか見極めにくいから気持ち悪い 「100点じゃないなら死んでいいじゃん」とか思い始めるので危険です あぁ基本的には完璧主義者なのです 100点なんか取った事無いけし自分に100点をあげた事もない 物事が完璧に出来たら死んでいいと思ってるし 100点とか完璧を為し得たらそいつは用済みだと思う それが例え自分自身であっても 救われたいのかも知れない 救われる事が何を指すのかわからんが救われたいのかも知れない 力みまくった俺のカタルシスを寄越せ 俺を救え 認めたくは無いが肩は凝っている 肩が凝る人生なんざ真っ平だと笑いながらも力まなきゃ生きてけないので 肩が凝っているのだと思うが凝っていると言う状態がどういう状態かわかんない そんな力みまくった俺の開放と言うカタルシスを寄越せ そして俺を救え 俺を救うのは誰だ?俺だ 誰かに何かを求めるのが間違いなのだ 俺だ 俺が俺を支配するんだ 落ち着け 素数を数えろ 俺と同様に孤独な数字を 因みに素数は1と自身でしか割り切れぬ数字の事を言い 1より大きい整数である必要がある為に1は含まれない もしかしたら一番孤独なのは1かも知れん パトカーと星条旗と太極旗と他にも色々燃やしてから眠る ---------------------------- [自由詩]名前も知らないところから/虹村 凌[2013年5月12日20時53分] 回転寿司屋の板前のブルースとか 山手線の運転手のブルースとか 今でもそんな事ばかり考えているんだ この前の事なんだけど 風呂場の鏡に捨てられた犬みたいなのが写ってたんだ 誰だって聞いたら 俺だって答えたんで笑っちまったよ そんな話を後輩にもう3回はしてるって呆れられちまった そう言えば俺はそろそろ引っ越すんだけど 結局この街でお前に会う事もすれ違う事も無かったな ロフトからお前の服を下着を放り投げる事も無かったな そもそももうこの街にはいないんだろうし きっと上野の美術館にでも行った帰りに 鴬谷あたりのラブホで茶髪と眠ってるんだろう もうそんな歳でも無いか 青梅街道も山手通りも井の頭通りもすっかり夏で 時々牛込神楽の夜を思い出すんだけど もうお前は思い出したりしないんだろうな お前がそんな奴だったらきっと俺はノスタルジックに 時々は思い出してもらえるんだろう 俺ももう言い飽きたよ 結構どうでも良くて 死んだって噂も聞かないから生きてんだろうし 縁がありゃまた茶でもセックスでもするんだろう アカマンボウを切ってマグロの赤みと言うブルースや G線上を回り続ける点Pを操るブルース 回り続ける地球とか宇宙 ケミカル そんな話を六本木のバーでしようか ナッツかチーズでもつまもうと思って入ったバーで 名前も知らないところから始めて 和音と名乗ってくれよ 会ってセックスして眠って仕事へ行く 何回か繰り返した時に 「俺たちはもう別れた方がいい。その方が君の為だ」 真顔でそう呟くから吹き出してくれ 何なら台本だって書くから お前の中のシミは残っているか 俺はもうお前の顔も声もどんどん忘れていくけれど まだ残ってるぜ小さなシミが お前の中のシミが消え去って 名前も知らないところからまた ---------------------------- [自由詩]月が綺麗ですねって日本語で何て言うの?/虹村 凌[2013年5月15日1時27分] 赤いコンバースで踊ってくれ 赤いタンバリンを叩きながら 赤いルージュでくちびるを飾って 真っ青なスキニージーンズに汗が浮き出るまで踊ってくれ にんじゃりばんばんって言ってくれ そうしたら蔑んだ目で見てくれ クソアパートの畳の上の 無造作に置かれたセミダブルのマットレスの上で 気怠い西日に灼かれながらセックスをしよう 汗まみれになってそのまま眠ろう そうして風邪をひこう 会社を休んでまたセックスしよう 何度も眠ろう 月が綺麗ですね 夏の匂いがしています 名前を知らないあの木の モロモロとした匂いが好きじゃないんですけど あの匂いがすると夏が来たなぁと思うのです むかし住んでいた家の近所にあった日体大学生寮の庭に 大きなその名前を知らない木が生えていて 勝手にあすなろと呼んでいました 大きな桧に明日なろうって そんな事を思っていました 第三野球部の一巻しか読んでいませんが 大きな桧に明日なろうって どうでもいいですね 月が綺麗なので どうでもいいですね 甲州街道は青梅街道は山手通りは目黒通りは246はもう 環状七号線も環状八号線も井の頭通りも中野通りはもう あなたが書いた新しい詩はまるで手癖で書いた詩で 血も匂いも慟哭も孤独も絶望も希望も無い 村上春樹の小説の方がまだマシだわ 彼は明確に書ききらないで読者に想像させると言う手法を確立したもの それが宇宙でもケミカルでも構わないわ あなたのそれは粗悪な混じり物みたいなドラッグみたい セブンスターの香りでトリップなんて出来ない 貧乏なあなたはグレッチも買えない あなたの部屋には赤いタンバリンもないし ボブディランのレコードもドアーズのレコードも CDだって無いしファーイーストラジオも聞こえない 煙草の煙に汚れた旭日旗が笑っているわ 私はあなたの為にパンタロンを履くわ 外は雨が降っているわ まるで揚げ物の様な音が聞こえる 遠くの工事現場で回る刃の音が蝉の鳴き声にも聞こえる 月が綺麗ですね 夏の服を下さい キャバクラにも行かないのでキャバ嬢と心中する心配もありません 恥の多い人生ですが恥を上塗りしながら生きていこうと思います 赤いコンバースで真っ青なジーンズに汗が浮き出るまで 赤いタンバリンを腰と肘とハートで軽やかに打ち振るって 赤いルージュで飾ったくちびるでキスをして下さい 月な綺麗な夜だけでも良いので 月が綺麗な夜に 玉川上水で会いましょう 月の爆撃機で金閣寺を焼き払いに 手がかりになるのは10年前から電話ボックスです 嘘ばっかりですね それでも月は綺麗ですね あんたがそんな女じゃないのは知ってるんだけどね ---------------------------- [自由詩]青梅街道の事はよくわからない/虹村 凌[2013年5月26日2時23分] 仕事を終えて青梅街道を転がっているときに ふと鯛で釣られた海老みたいな女の事を思い出した あの女はガリガリのジロリアンとならラーメン屋デートでも怒らない女だった 思い出すと腹が立ってきて シメンドーにあるラーメン屋でゴテゴテのラーメンを喰ったんだ 別に満足なんかしちゃいねぇよ 腹が減ってた訳でもねぇのに詰め込んでゲボ吐きそうになって 月が綺麗ですね あの 今でも公衆電話の光が手がかりなんです 月の爆撃機に乗って世界を 灼き尽くす夢を今でも その 公衆電話の受話器の匂いが好きでした 公衆電話の受話器の手触りが好きでした 公衆電話の受話器のくぐもった音が好きでした あの あなたの声をあの受話器を通して聞きたいから いまでも青梅街道を あれお前いま何処に住んでるんだっけ もうお前は青梅街道を転がっていないんだろう 苔が生える前にこの街を出て どこかで いやきっといま会ったら 仕事を終えて知らない男の車で青梅街道を転がるお前を 俺は青梅街道のどこかで見ていたのだろうか 俺は青梅街道の公衆電話をてがかりに転がり 苔が生える様に朽ちていく夢も見ず いや目を開けたままで夢を見続けているのか それともずっと眠っていたのか お前とセックスすれば目が覚めるのだろう ずっとわかっているんだ お前とセックス出来たら俺はもう二度とお前の夢を見る事は無いんだ 細い色白の女に怯える必要も無いんだ それはファントム? いや、ファントムの事はわからない それは宇宙? いや、宇宙の事はわからない 私の体はレーゾンデートル? いや、レーゾンデートルの事はよくわからない それは、青梅街道? いや、青梅街道の事はよくわからない 赤羽のボロアパートであのまま バランス風呂でお前と溶けて流れてしまいたかったんだよ そうでなければ青梅街道を転がって カーブでハンドルから手を離して いままでの子守唄を八つ裂きにして排水溝に流して 淡白で投げやりなセックスになるだろう 射精できるのか勃起するのかも怪しいセックスで流して 浅い眠りから目が覚めたら もう二度と青梅街道は走らないと決めよう もう二度と会わない約束をしよう 溺れ死ぬ前に 苔が生える前に 同じ太陽も同じ月も見ずに それは、愛? いや、愛の事はよくわからない それは、恋? いや、恋の事はよくわからない それは、セックス? いや、セックスの事はよくわからない それは、童貞? いや、童貞の事はよくわからない それは、処女? いや、処女の事はよくわからない それは、呪い? いや、呪いの事はよくわからない それは、青梅街道? いや。青梅街道の事はよくわからない それは、私? いや、君の事はよくわからない もう顔も声もよくわからない ---------------------------- [自由詩]この街はケツの座りが悪いと言う/虹村 凌[2013年10月13日1時09分] 誰も死なない 何も爆発しない 青い空と適度な仕事 学校にいた頃の延長の様な平和な日々 麻痺したまま食べられて行く ずっと この街はケツの座りが悪いと言う 惜しまれながら死んで行く英雄に憧れる若者は やがて惜しまれながら死んで行く英雄に憧れる中年になる 老いぼれバンドマンのセレナーデ 弱きものを守る正義のヒーローになりたかった少年 世界を救う勇者になりたかった少年は もう誰も救えず誰も守れず 些細な苛立ちすら隠せずに八つ当たり 街に弾かれて憤りの安酒を垂らす この街はケツの座りが悪いと言う 田舎者たちが夢を具現化した街は 打率四割のバッターみたいに 他の田舎モンを返り討ちにする 返り討ちにされた奴らが悪態をついて離れて行く 田舎モンが作ったでかい田舎で育ち 故郷を持たぬままに生きると言う事は それだけで薄ら寒い孤独に苛む事では無いのだと 薄い乳房の中で泣きたい日もあるのだけど もう顔も思い出せないから この街はケツの座りが悪いと言う SNSは魂の安売りだと言う 今はその気持ちが理解出来るよ 全てを切り売りして安売りして磨り減らして 産まれたこの街をケツの座りが悪いと言いながら 中途半端な高さのテトラポットの上で気取る高みの見物は まさしく他人の同窓会とか 人より一回多い学園祭気分で 腰掛けたガードレールが冷たいままコカコーラを飲み干して眠り 見る夢はテトラポットの上に立っていた気紛れな恋人で もうあの頃の薬は効かなくなってる 速度や重さがどんどん不足していく ---------------------------- [自由詩]君のいんもう/虹村 凌[2013年11月22日19時50分] まぁそんな顔するなって 行くなら行けよ、俺はここで待ってるから まぁあれだ土産もって 帰って来いよ、俺はここで待ってるから 目を覚ましても 夢すら見られなかった別の人生が通り過ぎて行く 君とセックスをしたり僧になったりピザ屋になったりグレッチで殴ったり どうあがいても全部絶望でしかない 目を閉じても 顔すら思い出せないお前の人生が遠ざかって行く 俺とセックスをしなかったり絵を書いたり旅をしたりガソリンで燃えたり どうあがいても全部夢物語ですらない あーそっちじゃねぇ 目を開けたまま夢を見たいんじゃねぇ 寝言を聞きたいんじゃねぇ 下克上したい訳でもねぇし劣等生で十分だ 両手いっぱいに抱えたゴーグル 網膜剥離した目に映る 眼鏡 胸躍る サングラス 目を開ける 手を伸ばす まぶた 口唇 くちびるに歌 閉じた肩にかかる くちびるから歌 肩にかける 目を開ける 足で引く 悲劇をひっくり返させない人生を自ら選んで行く こんなに悲しい思いをするなら いっそ草や花に いや君の陰毛に いや永久歯に産まれたかった ---------------------------- [自由詩]富嶽/虹村 凌[2017年4月25日1時52分] もしも僕が蝉だったとして、あなたは八日目の歌声を聴いてくれますか? もしもあなたが十六夜の桜なら僕は見向きもしないでしょう 明けない夜は無い 止まない雨は無い でも来年は無いかも知れない気分で何かをする人たちが好きになれません 一瞬の中に永遠が無いのなら永遠の中に一瞬はありませんか 明日なんて来なければいい 雨なんて止まなければいい それでも陽は昇り落ち折り返し自転は止まらず 俺が死んでも誰も困らず いや、それは悲しいね と愛想笑う 助けて下さいと言えたなら少しは違ってきたでしょうか 「月が綺麗ですね」とか「恥の多い人生」とか 「吉祥寺ドンキは焼かねばならぬ」とか言い出すんです その方が辛いと言うのに繰り返すんです 助けてくださいと言えたのなら 美しいあなたが 名前も身分も失ってたった一人 誰かの為に動かすその肉体が美しい事を 確かめたくて僕は呼吸をするのかも知れません それは僕を救う美しさでしょうか 美しさに屈服する姿はとても醜く 便所から見える富士山に泣いたあなたの気持ちが少しわかりました あの山が恥ずかしくて泣いたあなたの気持ちが少しわかりました ---------------------------- [自由詩]綺麗に片方だけ/虹村 凌[2017年4月26日2時47分] 湯船の脇にある布団の上で換気扇から聞こえる雨音を数えて眠る 眠たい色の空が笑う イソジンの後に飲み込むサイダーみたいな色の空だろう アライグマが桶で手を回す 換気扇の向こうの雨音と解け合っていく粘度の高い水の音 溶けて行く 本棚の足下にあるベッドの上で網戸の向こうから聞こえる雨音を数える くたびれた色の空が笑う ラーメンの後に飲み干す冷水みたいな色の空を待っている 痩せた君が唐揚げを作る キッチンの揚げ物と解け合って行く乾いた水と油の境界線 混ざって行く その唐揚げは誰の為にあげたんだろうか 風呂場で燃えていく下着達はくるくると換気扇に吸い込まれて 畳まれたタオルの様な色の空に吸い込まれていくのでしょうか 煙は雨粒にぶつかって それでも上を目指すのでしょうか 煙は傷だらけになってそれでも からあげの匂いがする服を着て部屋を出た時に 薄ら笑いを浮かべる太陽と目があったので ゆっくりと老けていくのを感じた ---------------------------- [自由詩]桜はいつが綺麗ですか/虹村 凌[2017年4月27日1時01分] 初任給を握りしめて走る背広達の 少し浮ついた雰囲気を足下に絡ませて 引きずる様にして帰るけれど ドアを開けた所で何も無いんだ 冷蔵庫の中も ---------------------------- [自由詩]くらげ/虹村 凌[2017年4月27日2時24分] 缶コーヒーの色を確かめて飲んだ事が無いから それが透き通っているかと聞かれると自信は無い 匂いはまるで麦茶の様で そいつがどんな味かもろくに覚えていない 寝る前に見た景色がどんなだったか 写真も撮ってないし絵にも書いてないから 天使達が歌わない時に北から流れ星が降って 僕たちは綺麗な水を探しに行くのかな きっとなにがどこにあったかも覚えていない ドッグフードみたいな匂いがする魚の煮付けが 換気扇から泳いで空に昇っていく 鯉たちが大きなくちをあけて飲み込んで 怒ったような色の中に消えていく 桜の花びらたちはまるで 稚魚のように群れて転がって 春を告げる冬の雨の中 目覚めにも似た曖昧な色の中を 転がって 水族館みたいな街を出て ねぇどこにいくの 背骨の無い言葉たちが漂って 電線に引っかかって 誰も手を伸ばさないから疲れてしまって 声をかけても答えない ---------------------------- [自由詩]あしあと/虹村 凌[2017年4月27日22時38分] 実は二十七歳とか三十前とかに死ぬんだと思ってたんだ 別に悪魔と契約した訳でも無いけれど 気付けばおめおめと生き延びてる事に気付いたんだ 別にそれが恥の多い生涯でも無いけど さっさと和了って死にたいと言う人たちを横目に 寄り道をしながら流れ星でも待とうと思うよ それは射精にも似た甘美な匂いでした 真夏の夕方に飲んだラムネ越し覗いた空の様な もしくは飲み過ぎてしこたま吐いた後の様な 二日ぶりに倒れ込んだよく乾いた布団の様な 薄く黄色く青白い匂いを 音を立てずに肺にしまい込む それは何の匂いかわからないけれど もしかしたら煙草をやめて良かったのかも知れない 壊れかけた鼻腔の奥にある細胞たちが 少しずつ色を取り戻し始める それでもその匂いの先は想像ができない 来年の桜はどんな色でしょうか 再来年の台風はどれほど強いでしょうか 五年後の夕立はどんな匂いでしょうか 十年後の秋はどんな音でしょうか 季節を越えるとはどんな意味でしょうか 二人で湯船に消えていけるでしょうか 今日も交差点で悪魔を探していますが 煙草をやめてしまったので 上げる狼煙がない事に気付きました あなたは見つけてくれますか あなたの匂いを辿って そちらまで ---------------------------- [自由詩]出勤/虹村 凌[2017年4月28日9時32分] 花のベタつく黄色い匂い 近くを通る園児達の嬌声 若々しい陽光が薄い瞼を焼く もう間に合わないかも知れない いや完全に間に合わないだろうし 慌てたとことで汗で背中に張り付くシーツと ハナクソに笑われる目くそで重い瞼は開かず 勢いの無いヌルいシャワーでションベンごと洗い流す 俺は何をしているんだろうと考える事も排水口へ流れていく 生きていると言うか仕事に行くのが面倒で君の痴態でもって頭を埋め尽くす 厭じゃないんだけど何だってこんな晴れた日に太陽の当たらない部屋で働かねばならんのだ こう自転車をゆるりとこいで唐輪だとか海辺だとか山の温泉宿にでも出向いてゴロンと寝転がり 空の雲でも数えながら素数の度にキャッキャと笑ってそのまま眠っては起きてを繰り返しているだけでいいのに 電話が鳴ったよ 出るの厭だな ---------------------------- [自由詩]メッキ/虹村 凌[2017年4月29日0時10分] 車輪の下ほど甘美でも無いが 歯車の間ほど滑稽でも無い それを中途半端だと自嘲もするが どこかで信じている 未来は俺らの手の中だと いや それもどうか分からない 握った限りの砂なのか いやその上に立つ城なのか 俺の目を覗き込んであなたは言う 未来がどこにも見えない いなす様に笑う メッキ加工の人生 ジルコニア スワロフスキー 恋と性欲の曖昧な境界 愛と未練の明確な輪郭 後ろ向きに歩くから 今までの景色がよく見えるけど 後ろ向きに歩くから 背中は振り返ってもよく見えない ---------------------------- [自由詩]逸話/虹村 凌[2017年5月11日23時56分] 老いぼれた犬たちや 枯れた枝たちが 誰もが待ち望んでいるのだと かつて見た夢を ずるずる引きずって歩き回る 違うとも言えずに 階段を歩き続ける 老犬や枯枝たちの夢は生乾きのままだ 外に見える景色の輪郭は曖昧なままだ 形を持たないぼんやりとしたふねを 実感の無いまま何となく暇つぶしに動かし続ける 青い日々が終わり赤い日々が始まろうとしている 入り口 波打ち際 緑色のもろもろとした匂いを 焦げ臭い雨が押し返して行く 僕たちは穏やかな波に身を投げて ゆっくりとただよえば良いのかも知れない あぶらの様に浮かんで ぼんやりとした鈍い光をかえしながら ずっと空をながめている そういうことなんだろう ---------------------------- [自由詩]中古の朝を宿す/虹村 凌[2018年1月31日1時32分] 銀色の腸に詰め込まれていく 銀色のソーセージが回る 押しつぶされた細胞はノンアイロンじゃないから戻らないし 形の崩れた細胞たちは空の色を忘れてしまった ガラスのようなビルディングに映る空と空は境界線が曖昧だ 大きな行灯のように光の絶えないビルディングは空を飲み込んでいるのだ だから境界線がわからないの 影がビルディングに短く伸びていく 寒い肉を詰め込まれて 白い絵の具で夕焼け空が 新しい空に塗られていくので それを宿したまままた 中古の朝を迎えに行く 見覚えのある朝 中古の朝 繰り返し鉄の腸に詰められて 回る よじれた細胞は新しい空を歪ませて行く 白い絵の具で書かれた空が夕焼けになっていく それは幾度となく見た中古の夕焼け 誰でも知っている夕焼け 何度も白い絵の具が夕焼けに溶けていくけれど 何度かいてもそれは中古の夕焼けにしかならない 曖昧な境界線の空を切り裂いて欲しいのに白い絵の具はなにも書かない 白色の腸、白色のソーセージ 形の崩れた中古の朝 境界の曖昧な絵の具 銀色の絵の具 よじれた夕焼け 誰もが知っている を宿したまま回る銀色の朝 くりかえし ---------------------------- (ファイルの終わり)