虹村 凌 2010年10月15日0時42分から2011年3月31日13時55分まで ---------------------------- [自由詩]馬鹿が見る/虹村 凌[2010年10月15日0時42分] 愛こそ全てだとか何だとか よくわかりもしねー情報を耳から流し込んできたけれど 結局は世の中で一番強いのは現金じゃん みたいな話をして 親を泣かせるのは親不孝なんだろうか 綺麗事で飯喰えるなら きっと腹が減る事なんかありゃしねぇのに 違うか 綺麗事が言えないから ずっと腹減ってんだろう 今も みたいな話をしたらマジな顔で引かれたり 何て言っていいのかわかりませんって顔に書いてあって 自分の生きてる価値を心底疑いながら 死にたい気持ちで煙草を吸う訳だ 煙草吸ってるだけで死ねって目で見られるし まともな恋愛してねーだけで後ろ指さされて笑われる 別に反吐も出ねぇし笑えもしねぇ 期待なんざしちゃいねぇからな 世の中全ての俺をイラつかせる出来事に喧嘩売ってたら 多分まともに日常生活送れねーくらい色々と苛々する それくらい暇な日常送ってる自覚程度は持ち合わせている ギリギリで卑屈になり過ぎないバランスを保ちながら 何時になったら全てが終わって 何時になったら全てが報われるんだろう 東京で季節を何回か超えて 風が吹いてる丘の上で煙草吸って 夢みたいな家を這い出て 愛はずっと前にひっくり返ったまま ひっくり返した人と過ごす てめーの物差しで俺を計るんじゃねぇと叫んだところで 金も仕事も無いようなクズを計る物差しなんざありゃしねぇ あと100回くらい生まれ直したらもう少しマシになれるのかな 人を騙したり物を盗んだりしないで 世界とか言っちゃわない感じの よくわかんねぇけどそういう感じの人間になれるのかな 別になりたいと思ってるからあと500回生まれ直しても無理か 愛情だとか友情だとか人情だとか言うけれど どれもこれもよくわかりゃしねぇ 何となく口にすりゃ気恥ずかしいだとか格好いいだとか どれもこれもよくわかりゃしねぇ 誰かを安心させる為に瞬間的に俺みたいなのが必要なら 俺みたいなのを安心させる為に俺は誰を欲すればいいんだろ 豚の安心はいらないの狼の不安も背負いたく無いの 人間の不安を背負ってるから人間の安心が欲しいの みたいな話をしても真顔で納得されちゃったりして 頼むからもう300回死んできてくれ 頼むから俺を苛つかせないでくれ 頼むから俺を闇討ちして一気に殺しておくれよ 面倒くせぇじゃんかもう 勝ちたきゃ勝たせてやるよ何だって 俺より上だと思いたいならそれでいい 面倒くせぇから 相手が誰だってそう思うよ ろくに技術も磨かないし推敲もしないで 十年以上も言葉をいじくり続けて 本来は云々 元々はかんぬん 難しい横文字とよくわかんねー日本語で色々戦ってるみたいな感じで 何言ってっかサッパリわかんねーんで読む気にもなれねぇし 特に言いたいこともねーから黙ってる訳だ たまに余計な事言って睨まれてビビって黙るのがオチ 今日で全てが終わって 今日で全てが報われないかな タイムマシーンみたいなのに乗って あの日あの時あの場所で あの子とヤってりゃ世界は変わったのか何て考えながら 今日で全てがみたいな話とか 世界とか言っちゃわない人になりたいなーって思うんだけど 興味持てねーから煙草吸いながら人生ロムってる感じなんだわ今 ---------------------------- [自由詩]真冬の夜行列車に乗って/虹村 凌[2010年10月17日0時54分] 人を脅したり騙したり物を盗んだりして ゼロハリバートンのアタッシュケースに現ナマを詰め込んで 北に向かう夜行列車に乗るイメージを抱いている 関東を抜けて東北を越えてもっと遠くへ トンネルを抜ける前からずっと雪景色が続くくらいの北へ 北へ 北へ 北へ その夜行列車が東京から出るのか上野から出るのかも知らない 北には知り合いもいないし帰る場所もない ただ闇雲に北へ行きたくて たまらないんだ 平等も平和も信じていないのに 平等と平和を望んでいる 誰が上で誰が下で 誰が凄くて誰が凄く無くて 誰が強くて誰が弱くて 誰が偉くて誰が偉く無くて そんなのがとっくの昔に面倒になっちゃって もうどうでもいいんだって繰り返し言ってるけど そういう訳にもいかないんだよって 大人みたいな顔して笑っちゃうんだ 何もわかってないのに わかったふりして頷いちゃうんだ 全部バレてんだぜって 誰かが言ってる 顔に書いてある 目がそう告げている 苦し紛れに 一箱300円のままの煙草を吸う たった2週間以上前の事なのに もう歴史だとかの匂いすらするから 何だかもうどうでもよくなるんだ そう思わないか? 俺は大嘘つきでデタラメな詩人だぜって笑うと 許してくれるんじゃないかって思いながら 嘘と本当を撹拌しながらキリモミする ジョナサンよりも早く遠く 現実から逃げるように現実に向かって 現実を見ないように現実を斜めに見ながら 誰だってそうなのかも知れないけど そう考えたら みんなを許してしまえる気がする 気が弱いだけなのに 風が吹いて桶屋が儲かったり 俺が生きて誰かが死んだりするって考えると もうたまらないくらい嫌になるけど どうでもいいくらい楽しい事も考える アダルトチルドレンとか現実逃避とか 何か色々訳わかんねぇけど クラゲになっちまったのかな どうなんだろう 舌を噛み切れもしない意気地なしだから 馬鹿にされたって嘲笑われたって怒らずに笑ってられるさ そうやって生きるのが楽だったから そうでもしないと生きてられなかった 居場所がなかった なんて 暗い話はやめようか 誰だってきっと大差無いから 逃れようとする俺と フラフラと歩く俺が 憎み合いながら腹の底でひっくりかえったり 頭蓋の中の二匹の虫と シミったれた負け犬が頭蓋の中で遠吠えて 気弱に笑うんだ 子供の頃に夢見たような 立派な大人になれやしなかった でも今だって 当たり前の男になれたらいいねなんて まるで手遅れみたいな顔で笑う シェリーがいないから 俺は上手く笑えているかわからないけど 劣等感を晒す事には馴れちまったな って笑うのは秘密主義者の卑怯者 ゼロハリバートンのアタッシュケースが 本当は古着屋でかった1000円の旅行鞄で 財布の中には小銭しかなくて 無計画に北に向かう度胸も無くて それでも 助けて欲しいと言えないのだ だから北へ 北へ 北へ 北へ行って雪をみたらきっとどうにかなると 自分が見える様な気がして また笑って煙草を揉み消すんだ 誰かを失望させたりする事を ずっと考えながら ずっと怯えながら 無難が一番だと笑いながら 当たり前の男になったんだ ---------------------------- [自由詩]マザーファッキンポエムフェノメノン/虹村 凌[2010年10月19日10時36分] この部屋はパラダイスで この部屋は不夜城で この部屋は孤独とか生活とか落ち葉に埋もれた空き箱で 軋む床の上の布団に丸くなって収まったまま 浅い眠りとか深い眠りに落ちていく いってしまえば僕は色々な物を寄せ集めた紛い物で 僕をバラバラにしたら全部コンビニで買えるかも知れない 隠したり取り繕ったり誤摩化したりしながら 「本当はこんな奴じゃないんです」って笑うけど 実際はそういう奴でその程度なんだ わかってるからそんな目で見ないでくれよ 逃げる様にして色々な事から逃げ続ける 常に確保しておくべきは退路だって事を学んだのは何時だったろう 何年経ったって風船とか紙飛行機とかそういう言葉を使って 比喩表現のひとつも出来ないまま 漫画や映画の見過ぎで無様に膨張したボンクラな知識だけが増えて 下らないウィットに富んだ気になって 色々を笑って誤摩化して 一人になってまた苦しくなって愚痴をこぼす つま先から頭のてっぺんまで よくわからないマーブル模様で埋め尽くされていく 指に絡まった愛液とか口の周りの唾液とか コンドームの中の精液とかセックスとか どれだけ自分について考えて喋って訊いたって これぽっちも自分の事なんかわかりゃしない 僕が好きだとか僕がいなくなると辛いって女が言ったって 誰かの代用品でしか無い気さえする 誰かを信じるとかってのはよくわかんないし だから何が嘘かってのもよくわかんない あからさまに疲れた顔していたり へこんだ顔してたり そんな奴等を気にかけて構うのは疲れたはずなのに それでも一応は声かけてみたりして 面倒くせぇ反応にやっぱりがっかりして 声なんざかけなきゃよかったって思う訳だ そんな生活スタイルで疲れないかと訊かれるけど もう うんざりだな なんて シケたツラして煙草を吸う俺に なんてツラしてんだよって また誰かに気を使わせる 生きていてごめん生まれてきてごめん って笑いながら言えば全部 冗談にして丸めてゴミ箱に捨てられる 誰かが僕について喋る その殆どの言葉の意味がわからない ---------------------------- [自由詩]人間だもの(笑)/虹村 凌[2010年11月1日12時59分] 知覚操作してくれパイセン、ビリー、リリィ、サルティンバンコ、アレグリア、 絹糸の太陽、絹糸の向日葵、食い散らかされた鶏肉 脳味噌を綺麗に溶かして… 何処に溶かす? カルキ臭い水道水? お湯?世界、夢、時間 しなびた感覚、 塗りつぶしていく色 色は何? 終わらない連想 鎖よりも長く遠く 海岸に転がる海草の列 元旦の百貨店よりも長い誰かの葬列 終了、開始 始発の電車から見る夜明け フロムダスクティルドーン 飛び回る虫と鳥 忘れられない悲しみは窓から逃がせず 世界に中途半端に溢れた光が 色濃い影を落とす 口から出任せ 嘘と本当の行間がわからない パブリックエネミーが欲しい 手が震える 脳味噌が溶けていく エンドレス ワルツ、ロンド、タンゴ 甘苦いタンゴ 鳴り止まぬ風と雨 雨上がりの冷気が笑う夜空 どんな夜も孤独がつきまとう 涙と孤独を相棒に 気違ったメロドラマを泳ぐ 人間じゃあるまい 人間だもの(笑) ---------------------------- [自由詩]トカレフ、マカロフ、ラスコーリニコフ/虹村 凌[2010年11月2日18時48分] 安全装置を外したら さぁぶっ放そうぜ 四面楚歌 六道詰んで 八方塞がり 壁、壁、壁 コンプレックスだらけで眠れないくらいに 生きてる事って辛く無いか? そんな事無いか 煙草が美味しかったり 缶コーヒーはいつも通り不味かったり セックスは気持ちよかったり 死にたくなったり 生きていたかったり 全部面倒だったり するよな 見えない自由が欲しくて 見えない銃を撃ちまくって エアー拳銃自殺繰り返して 何回も暴発して 穴だらけだよな そんな事無いか 見えない銃に 安全装置なんて無いもんな だから今日も 俺が俺に殺されちゃう夢見たりして 真夜中に目が醒めるし つけっ放しの蛍光灯に安心したりする 怒りだか何だかよくわかんないんだけど 声にならない言葉を叫んだら 白と黒の車が来るかな 赤いランプを消して 白と黒の車が来るかな 事件になりそうだって顔しながら 新聞屋さん達はがっかりするだろうな 俺には精神科に通った経歴が無いから でも脳神経科に通ってたって書くかもな 入院してて退院したてだって書くかもな みんな違いがわかるかな わかんないだろうな そんな事無いか でも何も叫ばない みんなが平和でいて欲しいからね なんて思うのは俺だけかな そんな事無いか あれ 安全装置ってどこにあるんだっけ そもそも安全装置って何だっけ そんなもの最初から無い感じ? そんな事無いだろ 多分だけど だってほら 良心の呵責とかあるじゃん一応 ひとにやさしくとか思うじゃん一応 狂犬じゃねぇんだからさ そんな事 ---------------------------- [自由詩]リヴォルヴァー/虹村 凌[2010年11月8日10時14分] 生きてます 何て言わなくたってわかるよな ミクシー最終ログイン何分前とか出るもんな あぁ生きてるさ 腹が減りゃあ飯も喰うし 夜になりゃあ眠くもなる どんな日だってそうさ なぁ時々思うんだ 毎日がロシアンルーレットみたいなもんでさ 幾つかある選択肢の中からひとつ選ぶだろ? 間違えりゃ死んじまう でもなかなか間違えないもんだ 何回も何回も頭に拳銃つきつけて 何回も何回も引き金引いて あぁ助かったって安心しながら生きてる 今日は間違えなかった 今日も間違えなかった そんな事を続けてりゃ いつかは間違える日が来るよな 幾つかある選択肢の中から 間違えて選んだ答えの一つが 馬鹿みたいな状況を作って その状況が弾丸みたいになって 頭蓋骨を粉砕して脳味噌を撹拌しながら 反対側に突き抜けて行く そんな日だってあるよな ゲロ吐いてスッキリしてから死にたいと思っても でも指突っ込んだって胃の中が空っぽで 何も出てこねぇんだよ 愛する自分が吹き飛んじゃって 後悔と後悔と後悔でやっぱり吐きそうで 元気が出る薬くれよ 緑の葉っぱ吸いたい気分だぜ 匂いだけで気持ち悪くなる癖に死ねよ シャブ打ったら元気になっかな 甘い匂いさせて馬鹿じゃねぇの?死ねばいい コカイン吸えばどうにかなっかな 気分だけどうにかしたってどうしようもねぇ死ねよ 根性焼きやりゃ気合い入っかな 気合い入れたって状況は変わんねぇ死ねよ ナイフで手首切りゃ少しは収まるかな 吐き気だけ抑えたってしょうがねぇ死ねよ 今日は好きな人がこの世で一番好きな人の告別式です なぁ 俺はクソ野郎である事以外に何をしてきた? 少しだけ冗談めかして笑って聞いたら 大丈夫だよって答えやがった トンチンカンな事言いやがって 100回死んで来い 付いたケチは取り消せないんだよ あぁ 一回くらい100点取りたいな 黙ってりゃどうにかなっかな 家から一歩も出なけりゃどうにかなっかな そう言う話じゃねぇんだよ 面倒くせぇ どうせなら 全部一気に弾丸になって飛び出して来て 俺を蜂の巣にしてくれりゃいいのに 何てな 今日も元気に エア拳銃自殺 昨日は好きな人がこの世で一番好きな事故死した人の告別式でした 酒で大量の薬飲んで寝てそのまま事故死だってよ 今は目の前のこの人も撃ち殺したい気分になったりします なぁ 俺はクソ野郎である事以外に一体何をした? 大丈夫って言ったら殺す 真面目に答えてくれ ---------------------------- [自由詩]月曜日が嫌いなだけ/虹村 凌[2010年11月8日21時59分] 俺がムシケラだった頃 その状況から抜け出すには どうしたらいいか考えてた 今まで信じて来た事を 学んだ事を習った事を 全部嘘だと叫んで 全て作り話だと叫んで 捨てればいいのかね どっかの洋楽の歌詞みたいに 捨てられる訳ねぇだろ? 四半世紀は生き延びた あと5年ちょっとは パラノイアは具体的な姿を見せない 確実に訪れる恐怖を待つ間こそが 本当に恐怖する瞬間で 確実性の無い幸福を待つ時間が 幸福に感じられない 何も考えずに眠ればいいのか ずっと夢を見ていたら 安心出来るだろうか ずっと夢を見ていたら 幸せだっただろうか ずっと夢を見ていた 今も見ているのだろうか ずっと夢を 先生 あなたの言葉が思い出せない 人に強制されたり 期待されたりすると 何も出来なくなる 他人の事は少しくらい見えるけど 自分の事はまるで見えちゃいない 否定されたくないんじゃない 見透かされてる感じが堪らなく嫌なんだ ベイビーそんな俺だけど 愛してくれるかい? 愛してくれたら 裸でオクラホマミキサーを踊るよ 眠くなる様な早さで 手の間から何かが溢れて行く 失う事を畏れて祈る ずっと夢を見ていたかった 月曜日が嫌いなだけ ---------------------------- [自由詩]スタークウェザーは報われない/虹村 凌[2010年12月11日23時02分] 一年間で114万人 一日で3234人 一時間で120人 が死んじゃう 一年で3万3千人 一日で90人 一時間で3人 が自分で自分を殺しちゃう だから今日も今日と言う日を大切に 生きてる事の素晴らしさを噛み締めて 生きましょう 生きているって素晴らしい クソみたいな人生を続けるより 俺が俺であると言うだけで俺を愛してくれる女と一週間いた方がマシだ そう言ったスタークウェザーがあまりにも報われなかったのは その女がまだガキだったからだろう だから彼に明日は無かった ボニーとクライドにも パンプキンとハニーバニーにも明日はあったのに コカコーラを飲み干して 爆発して四散しながら 柔らかく降り積もるんだ ---------------------------- [自由詩]日の出まで(そう、日の出まで)/虹村 凌[2010年12月16日10時03分] 苦し紛れの着地点がどんどん正しい方向に流れて行く みたいな感じで毎日を乗り切って 一ヶ月に一回くらいは中くらいの事故にあう それが正しい事故か間違った事故かは知らない そこから再び苦し紛れに飛ぶだけだから 別にラリってる訳でもないのに 1+1は2になった試しが無いんだけど それが3とか4ならまだしも 見た事も無い記号になっちゃったりして 面倒くさくなって笑って誤摩化しておしまい いつかモノリスって呼ばれたい みたいな話をしても多分みんなわかんないよね 何ていいながら煙草を吸っているんだけど 実はみんなわかってたみたいな恥ずかしい事故はよくある話で 1:4:9の比率を言えないのは自分だけだったみたいな そういう感じ だからティッシュでバンジージャンプしなきゃいけない気がする 清水の舞台でもいいしスカイツリーでも何でもいいや 苦し紛れの事故を起こせば何とかなっちゃう気がするんだ みたいな話をしてもよくわかんねぇよなきっと 日の出まで待てばこの薄暗いシミったれた気分もどうにかなるかね いつもつまんねぇ話ばっかで悪いと思うんだ 面白いなんて思ったら重症だよ君も わかってると思うけど でもまぁとりあえず 日の出を待とうじゃないか そう、日の出まで ---------------------------- [自由詩]新宿にあるあの店のコーヒーを飲みに行こう/虹村 凌[2010年12月17日22時33分] コーヒーを飲んだら 窓の無いラブホテルに行って セックスをしてから 朝を迎えよう 何て言えば 笑うかな 吉祥寺の街に突っ立って あの頃の日々を過ごしていた時は その暗い海を死ぬまで泳ぎ続ける気だったのに 気付いたら早々に陸に突っ立っていた あぶく銭に埋もれて一生 男なんざやりたかねぇ そう言って粋がったところで 結局は男が出来ないだけだし つまりは男になれないだけ あぶく銭も掴めないだけ よくある下らない話で 酒の飲めない俺でも 西新宿の親父の店になら行ってもいいかな それとも新聞配達のバイクの音を聞きながら 湿気ったポテトチップスをかじるしか無いかな 生きていていいのかな 机の上に転がった真新しい十円玉を放り投げて ついてねぇやと 指を頭に突きつけて 引き金を引いて死んだフリ そのまま眠って 街がオレンジジュースに溶けた頃に目をさます すっかりクラゲになっちまった 未だに未練たらたら どこかに引っ掛けたままの 破れぬ夢を引きずって 吉祥寺の街に突っ立って いつかあの日々の自分に 今の自分が殺されるかも知れないと怯えながら それでもあの日々の自分に背を向けて 裏切られた青年の姿で 吉祥寺の街に突っ立っている そんなよくある下らない話で その陳腐さに笑ってから 声を殺して泣く 舌を噛みきる度胸も無く 惨めさをぬるい缶コーヒーで流し込む 僕達の日々にあいつがいないと言う悲しい事より 知らない影の形の無い息苦しさより 笑うしかない寂しさをまだぶら下げて 辛い煙草に火をつける 洗濯物が風にあおられてバタバタと泣いてる 明け方の静まり返った街に 新聞配達のバイクの音がバタバタとこだまする 乾いてこびりついたコーヒーがマグカップの中で笑う 故郷も無ければ 帰りたい街も 帰りたくない街も無くて 限界も知らないし 精一杯も知らないまま 吉祥寺の街に突っ立って 笑う 今度の休みに 伊達と酔狂だとうそぶいて 僕達の為の指輪を買ったら 市役所に行って婚姻届を出そう 紙切れ一枚に笑って 紙切れ一枚に泣こう 絵本を開いたような幸せに笑って 絵本を開いたような幸せに泣こう ---------------------------- [自由詩]1:4:9/虹村 凌[2010年12月25日2時30分] 君は間違いなく命の恩人であるし あの頃の僕のモノリスであったし 制作面や生活面におけるスペックとして僕が望んでいる人だし 君の処女性や乙女性 それら全てのバランスにおいて 今までの女性で群を抜いて良い女だよ だから好きだし 大事にしたいんだ そして大事にされている自覚もある 脆弱なる僕に 昔から絶望や希望や勇気といったものを僕に与えてくれたのは その殆どが君だったからね *** 仕事を終えて寒ざらしの夜道を歩きながら ろくなクリスマスを過ごした事がないと僕が言うと 君はコンビニでケーキを買おうと言った それなら今日は特別にたのしく過ごせばいいよって笑いながら コンビニで買ったおでんとケーキを小さなテーブルの上に並べる 大きさの違う木のお椀を黄色い蛍光灯が照らし出す あたたかい湯気のでるおでんを二人でわけて食べる 安い味がするケーキをプラスチックのスプーンでくずす まるで絵本をひらいたような そんなきれいで単純な幸せに くすぐったくなって 目をそらして笑う 本当ならばいまごろ 泡だらけのバスタブの中でむかいあって いろいろな話をしていたかも知れない こんど生まれた時のことは約束できないし 死んだあとのことも約束できないから いま生きているこの時間のなかで いろいろな話を ---------------------------- [自由詩]馬鹿は死ななきゃ治らない/虹村 凌[2010年12月30日9時50分] そんなに長く無いよなきっと なんて笑いながら まだまだ続くであろう長く横たわる俺のこの先の人生みたいなのについて考える 結婚とか老後とか何だかそんな事を言いながら貯金をする同級生を横目に 素敵な学歴をぶら下げた俺は未だに時給900円と言う過去7年間から抜け出せず 惰性で8年目に突入しようとしている 周囲は既に社会人数年目で もはや俺は人より一回多い学園祭気分どころじゃない モノリスになりたいと嗤いながら 煙草の火で何かを焼き切る 何を焼き切ったのか 仕切り直せた事なんか無い うやむやにしていただけだ そんな事にはとっくに気付いている。 気付いていたってどうしようも出来ない 頭が悪いとかそういう事じゃなく 何がどう何時からうやむやになったのかも わからないだけだ ひとつずつ順を追えばきっと大丈夫 だから安心しきって眠る ひとつずつ順を追えばきっと大丈夫 だから明け方までにはケリがつく そう思って何度夜をやり過ごそうとしただろうか 朝がくれば何とかなる 日の出まで待てば何とかなる そう言いながら 突っ張り通せなかった分 物わかりの良い小利口のフリをして逃げ延びた そんな奴じゃなかった筈だったけどそんな奴になった 最初からそんな奴だった気もする 卑怯と呼ぶのか作戦と呼ぶのか 耳は何時までたっても日曜日にはならないフリ 月明かりに濡れた操車場も人気の無い工事現場の駐車場にも行かなかった 夜の金網も越えずハックルベリーにも会わなかった 明日を垂直に考える事も無く 何度も眠るのだ 朝まで待てば何とかなると ケリがつくだろうと そう期待して眠る 殺したくなるような夕暮れの色みたいな日々 あの頃に夢見た立派な大人にはなれなかった それでもあの頃に輝いて見えた七色の未来の一つのうちのどれかなのだろう 信じるとか信じないとか勝ち負けとか そういうものからかけ離れていまここにいる 上に離れているのか下に離れているのか 横に離れているのか その真ん中なのかもわからない 何かに追いつめられて行く感覚 逃げたい 遠くに逃げたあいつのようにしがらみが嫌でつるむ事を避けてどこか遠くへ 生きるとか愛とか全然わからないし 戦うとか優しさとか全然わからない 何も答えが出ていない事に対する焦燥感 10年前を若かったと笑える感覚と笑えない感覚 たった25年 じりじりと焼けただれた卑怯さを身にまとい どうにかこうにか笑う 俺は上手く笑えているのか 馬鹿になりてぇ 馬鹿になりたくねぇ 中途半端に疲れっちまったけど 俺は俺を信じてやれねぇよ もう抵抗も出来ない 緩やかに迎合する一方だ どんどん格好悪くなる どんどん丸くなっていく こうやってだらしないギャグをぶら下げて 俺みたいな顔した奴が嗤っていやがる ---------------------------- [自由詩]無差別/虹村 凌[2011年1月11日11時05分] 人生って基本的に無差別級じゃないですか ボクシング並みに階級を分けてくれとは言わないけど せめて柔道くらいには分けて欲しいなぁと思うんです 人生の60kg超級とかそういう感じで そうしたらきっとある程度は戦えるんです 俺まだ本気出して無ぇし 俺の実力こんなもんじゃ無ぇし 本当の俺はこんな奴じゃねぇし ガードレールに座りながらコカコーラを飲み干して そんな事を言ってみるが それが基本的に全部嘘なのはわかっている 人生が無差別級ってのだけは事実で 人生が無差別級だから こうやってのうのうと生きてられるんですよねって 笑いながら煙草を吸うけれど 誰も笑ってくれない 下らなく だらしない冗談 誰かの分厚い人間の面の皮に 昔から閉じ込め続けてきたであろう自分の面影みたいなのを見る 出会った数とさよならを言う数のどちらが多かったのか 柔らかい乳房に抱かれて遠のく意識の中 羊を数えるみたいに数えてみたりする 途中で訳がわかんなくなって こうなったらもうガンガン金稼いで札束でビンタしてから もっと美味しいカレー作ってやる とか言って眠りに落ちる 冷たいフローリングに膝を何度もぶつけて何度も目を覚ます 黒い影の背中はこちらに向けられたままで その背中に殺したくなる様な夕日の赤を塗りたくってから 無差別級の人生について考えながら 豆腐にぶつかって死ぬ夢をみる為に再び目を閉じる 「刃渡り20世紀」とか言って喜んでいる奴等と 言っている事は大差無いから 豆腐にぶつかって死ぬ夢をみる為に再び目を閉じる ---------------------------- [自由詩]エビアン/虹村 凌[2011年1月15日0時38分] 適当な恰好で深夜一時のコンビニに入る 無差別級な人生について考えながら 適当に食べるものを物色する 変革の時に雪が降ると言う事について考えながら 適当に飲むものを物色する 今日はロクに仕事をしない白人が喋っている動画を むかし流行ったゲームに似た名前をしたソフトで 編集していた 明日は全国の生徒達の為に受けた事も無いセンター試験の仕事をする 天賦の才能を弱者代表が打ち負かして格差解消 何て出来る訳が無いのでみんな就職する 就職出来なかった僕はバイトをする ウサギと走った亀より無策でうかつな人生を送る 誰かのミスを待ち続けて 君の帰りを待ち続けて あの子の告白を待ち続けている でもずっとそうしている訳にも行かないので 誰かがミスるまでに 君が帰ってくるまでに あの子が僕を好きと言うまでに 精々となりの家の人のよりも美味しいカレーを作る くらいの事しか出来ないけれど 隣の家の人のカレーなんて喰った事無い そんな戯れ言は 吉祥寺駅前の狭い喫煙所で酔っ払いが言っていた みんなフリーザになるしかないんだ でも結局はサイヤ人が来るから ナッパになるしかない みたいな事と大差が無いので 吉祥寺駅前の狭い喫煙所でそれをメモろうとした俺は 行き詰まってシャブとかコークとかガンジャに手を出す 自称アーティストとあんまり変わらない 隣の家の人はどんなカレーを作るのだろう 200円のカップ麺も2000円のステーキも20000円の寿司も 口からゲロになって出るかケツから糞になって出るか その程度の違いしか無いじゃん 味の違いもわかんないで喰ったり飲んだりする毎日 まるで便所をエビアンで流すくらいの無駄っぷりを披露して パラノイア?何それ楽しいの? みたいな適当な感じで笑う こんな事を言うのにも飽きた 君が帰ってきたら あの子も一緒に 並んで眠ろう カレーが食べたい ---------------------------- [自由詩]鉄パイプ/虹村 凌[2011年1月16日23時13分] ブックオフの前の客引きのしましまのスーツとか 角海老ソープの前の客引きのジャージとか よくわかんねぇけどそこらへんの人にきけば どうやったらチンピラになれるのか答えてくれるかな 泣いて泣いて泣いてそうなったのかな 舌を噛み切って絞り出す 時給千円分の営業用の笑顔 ごめんね 何も買ってあげられないよ 家賃も払えない 君にあげられる花束のひとつも無い がっかりさせたくない 幻滅させたくない だから百点を取り続けなきゃいけない そんな強迫観念に駆られて 眠る 幸福を感じる 今夜は君を抱けないからくちづけるだけにする 天井を向いて眠ろうとする 幸福を感じる 今夜は君を抱けないからくちづけるだけにする 天井を向いて眠ろうとする 幸福を感じる 今夜は君を抱けないからくちづけるだけにする 天井を向いて眠ろうとする 幸福を感じる 馬鹿になったみたいだと笑う そして眠る 泣いて泣いて泣いて あぶく銭に埋もれて一生男なんてやりたくねぇ 青空に憧れて舞い散る桜みたいに どうにかなりたいんだ 爆弾を抱えたジェット機が危ない角度で飛んで行くみたいに どうにかなりたいんだ 去年の自分を殺したり一昨日の自分に殺されたりするみたいに どうにかなりたいんだ だから知覚操作してくれ 学校のトイレの鉄パイプに映る姿が好きだった ---------------------------- [自由詩]ジャックオフベイビー/虹村 凌[2011年1月26日9時45分] いつか働くと思っていたあの日の少年は 絵描きや物書きに憧れたりしていた フリーターなんて言葉は知らなかったし 世間と云うものから見下される職業がある事も知らなかった だってどの本にもそんな事は書いてなかった 人生黒帯の奴等が笑ってやがる 名誉白人と呼ばれて喜んでた奴等と大差無ぇような 人生黒帯の奴等が嘲笑ってやがる ニヤついたその飾りが載った首に この白帯を巻き付けて 交通整理人員を見下した奴を片っ端から殺してやる アイウォンチューベイビー こんな俺だけど愛してくれるかい? チョー好きなんだぜ どうでも良い時があるくらいに愛してるんだ 何て云うと アセスルファムKの「ソーカイカンのある甘味」 みたいな表現並みに馬鹿されていると きっと怒るだろうけど アイウォンチューベイビー 業務用の顔で笑って 業務用の声で喋るのは止してくれ アイウォンチューベイビー 年金も貰えず生涯年収が一億を越える事も無い それどころか時給1000円にも満たない僕だけど 愛してくれるかい? ロクな人生設計もしていないけど 愛してくれるかい? 朝ご飯も晩ご飯もラー油ご飯だけど 愛してくれるかい? こんなご時世にバイクに乗りたいんだけど 愛してくれるかい? あの日の少年が撒いた種は立派な花にはなりませんでした 名前も無ぇ形も無ぇよくわかんねぇ雑草だけど まだ枯れていない らしいんだ あー 外は雨だよ 春を告げる雨だよ 本当さ もうすぐ僕は部屋でひとりぼっち 夏を告げる雨が降る頃に 僕は部屋でひとりぼっち ベイビー恥ずかしいから ふざけていうよ アイウォンチューベイビー 愛してるぜ だから雑草が光合成するみたいに いっぱいセックスをしようよベイビー そんな事 あの日の少年は考えもしなかっただろうけど ---------------------------- [自由詩]中央線/虹村 凌[2011年2月5日19時54分] 商店街の真ん中にあるラブホテルだった アンドレと言う名前のプロレスラーがいる事を思い出した 自主制作の映画の主人公も同じ名前だった そんな事を考えながら 「アンドレ」 と俺が呟いた瞬間に 女は笑いながら 「ここ狭いよ」 と言った 腹が立った 俺が知らない所で彼女が楽しくセックスをしていた事が腹立たしかった 思い切り殴り飛ばそうかと思ったが 下北沢の商店街だったので止めておいた 俺が高校生だった頃に やはり同じ女が一生懸命に語っていた男の名前が思い出せない まるで電車の中で誰かが電話しているのを聞いているようだ 片方からの情報しか入ってこない 苛々する この女に関わった男を片っ端から殺してやりたい気分だった アウディーで高速を飛ばしていた男も 起業した男も誰もかも殺してやりたかった 殺してどうにかなる訳じゃない事は理解していた そして馳星周の読み過ぎだと自嘲して今日も終わる 今日も終わるのか 今日ここでその女を問い詰めればいい それこそ馳星周の小説の様に首を締め上げて 教育欲は無いのかと女が俺に聞いた 言う事を確実に守るのであれば何かを言うが 守れないのであれば言う気にはなれない そもそも俺の希望など通る筈も無いと思っている そういう意味で 「別に教育欲は無い」と言ったが通じていないだろう 痩せさせて毛を剃らせて綺麗な下着を履かせて何になる? 俺が五月蝿く言って女が確実に従うのなら俺は幾らでも五月蝿く言おう 全ての人間を誰かに似ていると言うのは止せと そんな幻影にうんざりしているんだと そんな女が俺が知る限り一番俺を理解している事を思えば 笑うしかない だから俺は笑った 実に寒い夜だった 中央線の通り過ぎる音がした 新聞配達の原付の音がした 俺がわからないと言って女は ベッドで口を開けて眠っている ---------------------------- [自由詩]おやすみベイビー/虹村 凌[2011年2月7日23時15分] 10年前に比べりゃちったぁマシになったかと思うが 別に強くなった訳でもねぇし 弱くなくなった訳でもねぇ セコくなってズルくなっただけ 常に逃げを打ちながら ヘラヘラ笑いながら 命からがら逃げ回るのが 前より少し上手くなっただけ だからこうやって 俺の周りを飛び交う知らない誰かの話にうんざりしながら いつでも煙幕張ってトンズラする準備は出来てるから 一緒にその夢に沈む気は無いと笑って スーツケースを引いて出て行く そう 逃げるんだよォッ! 喧嘩?殺し合い?話し合い?殴り合い? 面倒臭ェ そうカリカリすんなよ たかが人生じゃねぇか 面倒臭ェなら俺ァ逃げるよ バイバイベイビー だって謝りゃ済むと思ってんだろう? 別に否定はしないけど俺にはよくわかんねぇよ だからバイバイベイビー そう恐い顔をするなよ たかが人生じゃねぇか 死にゃあしねぇ逃げるだけだ生きる為に 男は恰好つけられなくなったら終わりだろ? 別にいまさら恰好もつかねぇだろうし 恰好ついた試しなんざ無ェけど 豚の安心を買うくらいなら負け犬の不安を抱いて眠るさ 無様で惨めで哀れまれても構いやしねぇさ 君が何を考えているのかなんてベイビー 知った所で何にもなりゃしねぇ だからベイビー 俺は俺に向けられた否定と断定を押し返すだけで精一杯で ベイビー ベイビー もううんざりなんだ 知らない誰かが少しずつ だけど歪に出来上がっていく事に 少しイライラするよベイビー 電車の中で知らない誰かが更に知らない誰かと電話をしているみたいに 片方だけの情報で構成されていく不明確な知らない誰か ベイビー だからいつでも逃げ出せる準備はしているんだ生きる為に こうやって逃げを打ちながら だけどベイビー 余裕がある時はその知らない誰かの話も笑いながら聞いてあげるよ だからベイビー 俺の知らない男達の話をしてくれ そうしたらベイビー 俺はそいつらを一人残らず殺しに行くよ だからベイビー 君を最後から二番目に殺してやっと僕の番だ ハローマイフレンド 楽しい人生だったかも知れない 今までありがとう グッドバイマイフレンド また会おういつかどこかで そうカリカリすんなよ たかが人生じゃねぇか あぁ あまり友達多く無いんだった忘れてた そうガッカリすんなよ たかが人生じゃねぇか 安心しろよ 別に嫌いになった訳でも無いし 本当の自分とか言うだらしない冗談を言うつもりもねぇ だからそうカリカリすんなよベイビー バイバイベイビー これで10年前よりマシだなんて 笑えない冗談だよなベイビー あぁ全くだ おやすみ ベイビー ---------------------------- [自由詩]吉祥寺レジデンス101/虹村 凌[2011年2月8日22時50分] 絶世の美男美女が言うフリーセックスと まぁ十人並みの男女が言うフリーセックスでは 一体何が違うんだろう? 鬱屈した少年と根暗詩人と貧乏フリーターをこじらせて 彼女でもないのに一緒に住んでいる彼氏持ちの女と だらしないセックスを繰り返しては思う その生活の気持ち悪さも理解出来ない訳じゃない 煙草なんか良くねぇよと薄ら笑いを浮かべて 短くなった煙草を吸いながら言うスモーカー 酒なんか美味くねぇよと不貞腐れた笑顔で ぬるくなった酒を飲みながら言う酔っ払い 詩なんか難しく無いよとニヤニヤしながら 何言ってんだかよくわかんねぇ言葉を並べる詩人 セックスも気持ちいい事ばっかりじゃねぇよと もうゴムもつけないあの日の俺みたいな元童貞のクソ野郎 会社員もロクなもんじゃねぇと フリーターの前で疲れたツラをぶら下げて飯をおごるクソ会社員 B級だアングラだと徒党を組んで初めてはしゃぐ 普通にすらなれなかった落ちこぼれ達 薄っぺらい正義感と連帯感で結ばれて行く その気持ち悪さに 世界中で もし世界中で誰の涙もこぼれずに 涙の代わりに笑顔が溢れる そんな素敵な一日があるとしたら 気持ち悪くなって死んでしまうよ それでもまぁそんな日があるのも悪くねぇなと 大人になったフリしてやぶにらみする明け方の吉祥寺 もう若くねぇやと笑いながら 煙草で十代の頃に持った企みを揉み消す老いぼれた25歳達の醜い笑顔 虚勢された卑屈な目つきで…とか言ってしまう自己憐憫と責任転嫁の気持ち悪さに 不貞腐れて、眠る 浅いんだか深いんだか眠れないけれど 目の裏でアイツは寝てない自慢 お前は連勤自慢と残業自慢 疲れた眠い仕事辞めたいと安いコーヒーを垂らしながら言う その手に持ったゲーム画面に何が映っているのかわからないけれど じゃあ辞めちまえと笑い飛ばす そんな簡単に辞められやしねぇ フリーターのお前にゃわからねぇだろうと シューショクしたキギョーの為にタタカウカッコイーオマエは小さく鼻で笑う そんなクソみてぇな自慢の何が楽しいのかな シューショクしたらわかるのかな 冗談 わかりたくもねぇよ 彼女はもう半年以上 彼氏とセックスしていないと言う 俺が嫌がるからだ 俺達もきっと相当な気持ち悪さなのだろう だからアイツも帰る気にならないんだろうね そんな事を薄く柔らかい乳房の中で考えていたんだ ---------------------------- [自由詩]徒手空拳だけど不倶戴天/虹村 凌[2011年2月24日22時14分] 世界を呪う事には飽いたし人生を逆恨みするのにも飽いた 全力出すまでの段階踏むのが面倒過ぎて 多分今まで全力なんか出した事が無い つまりスロースターター 大器晩成とは違う わかってる事を言われるのは苛つく 十代だったあンたの香りも今は覚えちゃいねぇ 思い出したいけど思い出せないし再現も出来ない 知らねぇ奴等が通ったあンたの肌の上を滑り落ちてみたい 知らねぇ奴等が残した匂いと温度は知りたくもねぇし考えたくもねぇ それらが今のあンたを構成してるとわかっていても だからわかってる事を言われるのは嫌なんだ あぁ 最初の男にさせてくれ(=処女に戻っておくれ) 誰も知らないその匂いを誰も知らないその温度を与えてくれ そうしてから 最後の男にさせてくれ(=俺の知らない事を言ってくれ) 小さな叫びがあたまン中で残響になって坂を転げ落ちていくように再び世界を呪う だらしがない ---------------------------- [自由詩]スタークウェザーと一緒/虹村 凌[2011年2月27日10時03分] テレビや雑誌を眺めていると この世の誰もが自分より偉い奴に思えて来る お前の事を考えていると 俺の知ってる全ての男がお前を抱いている様に思えて来る だったら全員殺してしまおうかなんて このご時世じゃ冗談にもなりゃしねぇよな 言っただろう 誰かの匂いにはうんざりなんだ 酒の飲めない俺は煙草のフィルターに噛み付き 新聞配達の原付の音をやり過ごす いまさらお前と彼氏彼女やったって仕方が無いのだが 一回くらいやってみても良いんじゃなかって そう思う事はないか? 今までの男がどんなだったな知らないし知りたくもねぇ 俺はそいつらみたいにお前を扱う事は出来ないだろうけど 俺はそいつらが出来ない扱いを俺はしてやれるぜ でも あんた残酷だよな 夢は見せてくれたって希望は持たせちゃくれなかった 甘ったれるなって? この先何十年もズルズルと生きて何になるんだって思ってたよ それだったら俺が俺であると言う理由だけで俺を愛してくれる女と一週間した方がマシだと思ったんだ それが誰かは知らないけど お前だったら良いって思ったのは事実だよ 相変わらず月曜日は嫌いか? 明日は月曜日だってよ ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]【批評祭参加作品】アセスルファムKは消化吸収されないからカロリー0の甘味料なんだ【虹村 凌】/虹村 凌[2011年3月4日0時37分]  今年も無責任に逃げを打ちながら好き勝手言う。適当に誰かを捕まえてあーだこーだ言う事はしないけどね。まぁ、今から言う事なんざ、みーんなわかりきっている事だと思うし、目新しい事でも何でも無いんだろうけど、俺は言った事が無いので言うだけに過ぎない…と、さっそく逃走経路を作っておく。俺は、逃げ道の無いヨロコビに浸るにはまだまだケツが青過ぎる。防御力も攻撃力も足りん。いや、逃げないで戦わなきゃそんなもんは養われないんだろうけど(笑)。 ***  毎日毎日、そりゃあもう膨大な量の詩がここに投稿される訳です。勿論、全部読む時間も余裕も無いし、そんな気にはならない。気分が良い時で、時間に余裕がある場合に限って、タイトルの上にカーソル合わせ、小さい窓でチラ見して、面白そうなら読むスタイルは変わらない。  人の作品のレヴェルを問える程、己の作品の出来が良いかと言われればそこまでだが、それでも面白くも何ともない作品はある。「ゴミ」「クソ」と呼ばれるものだ。ゴミもクソも、人間や人間の身体が不要と判断して捨てたり排出したりするものである。詩に当てはめれば、単純に「要らない」って訳だ。  じゃあなんで要らないと判断されるのか。そういう話をしようじゃないか。 ***  小説にせよ詩にせよ何にせよ、そこには物語がある。物語は危機を迎えて、初めて原動力を得る。そうしてやっと転がり始める。その原動力となる危機は様々である。個人レヴェルから世界レヴェルまで様々だ。映画何かじゃ、企業、国家、世界レヴェルの危機が乱発する。詩だとそんな事は滅多にないけどね。何でかと言えば、リアリティに欠けるからだろうなぁ。それだけか?まぁ俺が世界を救う物語を書くなら、詩じゃなくて脚本か小説にするけどな。だってその方が濃厚な危機を描けるじゃないか。  まぁそういう危機よりも、個人レヴェルの危機の方が描き易い。現実味を帯びさせ易いからだよね。時給900円生活なのにインフルで一週間欠勤で収入がヤバいのも危機だし、湯水を湯水の様に使えないのも危機だ。愛しい人の気持ちがわからないのも危機だし、会いたくて会いたいのに会えないのも危機だろう。そういう危機を原動力として、詩にして書く訳だ。  まぁ平たく言えば、「自分が思う様に世界が回らない」と言う現実に対する、ただそれだけの下らない不平不満に他ならないんだが、それでも危機は危機だ。今、目の前にある人生に対する絶望(大袈裟な言い方だけどね)と、思い描いている人生に対する切望。いやぁ、楽しいね。その落差たるや!    俺だって、ガキの頃に思い描いていたような立派な大人にはなれなかった。社会人になってバリバリ働いて、綺麗な彼女と楽しく生活して、みたいな感じを想像してたけど、実際は就職出来なくてバイトして入院して手術して退院してバイト決まらなくて親と折り合いが悪くなって家出て知人女性宅でヒモみたいな事やって、やっとバイト決まって更にその女性に仕事紹介してもらって…みたいな生活だ。最近は何だか物事が好転しつつあるが、それにしたって自分が想像してた人生とは全く違う人生を歩んでいる。  ただまぁ、それでも「何でも出来る」ような気がする瞬間はあるし、「何も出来ないクソ」みたいな気分になる瞬間もある。成功への憧憬と、失敗への恐怖。その中で人間は生きているんだが、たまーに「自分がこの世界になくてはならない存在」みたいな気がする瞬間がある。人間を超越出来ちゃうかも知れないと夢想する瞬間は存在する。…俺だけかも知れないけど。  そんなもんは勿論、誤解でしかない。逆に、外を歩いている誰もが自分より偉い奴に思える瞬間もあるが、それも誤解だ。凄いやつでもなければ、一番の劣等人間でもない。何の変哲も無い、ただの人間だ。  そんでそんな生活の中に、ポンっと危機は訪れる。さっき言ったような事だな。その時、自分が反応出来る危機とそうじゃない危機がある。  例えば、童貞は「中出ししちゃった」危機を理解する事は出来ない。漠然とは理解出来ても、その恐怖と言うか危機と言うか焦りをキチンと理解する事は出来ない。テストで90点以下と取った事が無い奴は「赤点ギリギリで留年寸前」の男の危機を理解出来ない。  理解出来ないそれらは「要らない」と判断される。だって手元にあったって邪魔じゃんか。屁の役にも立たんし、腹も膨れねぇし、話も広げられない。そしてゴミやクソと判断されて捨てられる。それだけの事だ。  これは俺が体験主義者だからかも知れないなぁ。単なる想像力の欠如かも知れない。そこを突かれるとちょっと痛いなぁ。  まぁいいや。話を進めよう。要するに、同じ言葉で喋れてねーから互いの危機が理解出来ない。よってゴミが増える。クソが増える。この同じ言葉で喋る、と言うのが難しいんだな。似た様な経験、思考回路じゃないと、なかなか同じ言葉で喋れない。いちから説明しなきゃならないとなると、馬鹿馬鹿しくなってしまう。そんな時間も余裕も無い。会話やコミュニケーションってのはそういうもんだ。生ものだからな、すぐに腐ってしまう。  その解決法は昨今のJ-popが証明している。「何となく」と言う記号を寄せ集めると、「何となく」理解出来る。まぁそれでいいんじゃない?それで金を儲けて飯喰って何が悪い。悔しければやってみろ、と言うだけの話だろう。面白いとも何とも思わんが、俺もそうやって飯が喰えるなら喰ってみたい。働きたくねーもん。  どうでもいいけど、「働けど働けど」の人の働いてないのにそういう事言えちゃう詩人的天才性って凄いよね。死んで生き返った宗教的天才性に通ずるものがある。ちなみに俺は、マイケルは生き返るんじゃねーかと思ってた。キングオブポップからゴッドオブポップになる計画かと思っていたのだった。漫画や映画の見過ぎである。反省しようと思う。  話を戻そう。  同じ言語で喋れない。説明してる余裕もない。クソとゴミは増える一方。どうすりゃいい?どうもしなくていいと思う。クソもゴミも、基本的には放っておけば土になる。誰かがリサイクルするかも知れない。それでいいじゃねぇかと。別に淘汰されて良いものが残るとは思っていない。人間が生きてる限り、ガン細胞並みにクソとゴミは増え続けるだろうし、循環し続けるだろう。仕方の無い事だ。  だが、個人的に思う事は、僕らの世代にしか出来ない事がある。詩に限らず、過渡期を生きる僕らにしか出来ない事がある。アナログとデジタルの真ん中で生まれ育った僕らに何が出来るか?正直、バブルの残り香は微かに覚えているけれど、それを「信念を経済に売り渡した」とか言われてもピンと来ない。同じ言語で喋れないからだ。  そんな僕らに何が出来るか。二層式洗濯機の素晴らしさや、16ビットゲーム機の単純な面白さを広める事じゃない、他の何かが出来る筈だ。そう、それらしか知らない上の世代と、それを知らない下の世代を繋ぐ重要な役割を担っている筈だ。  それは何も、古き良き日本を継承していく事じゃない。古き良き日本なんて、現代の速度について行けない負け犬のクソ共が言う事だ。そんなものは幻想だし、妄想でしかない。継承されない文化は廃れて然るべきだ。何故なら、それは不要なシステムだからであって、元々人間が備えていたものじゃないからだ。  合理化のみが素晴らしいとは思わないが、無理して残す事に意味も意義もあるまい。ただの遊びでしかない。それでも良いなら残せばいい。  この世代に生まれた僕らにしか出来ない事がある筈だ。「そんなの関係ねぇよ」と生きるのも善し。俺はそのつもりだしね。でも、それを探り当ててどうにかしようとするのも良い。格好良いし、素敵な事だと思う。  僕らにしか出来ない事がある。踏み台になるんじゃなくて、出来る事。それが何なのかは知らんよ。バランスの良い僕らにしか出来ない事がある。そう思う。  詩だっていずれそうなるかも知れない。それでも、その詩と言う廃れ切らない分かの中で、何か出来る事があるんじゃねーかなー、と思う訳だ。詩の危機ってやつか。そうなったら、詩人達は同じ言語で喋れるかもな、ひょっとしたら。 ***  どうでもいいけど、人生を間違えた気がする瞬間ってあるじゃん。俺なんか間違えてると思うんだけどさ。まぁいいや。そんでさ、精子からやり直せばどうにかなるかと思ったんだけどさ、今、一億の精子レースやったら勝てる気しないんだよね。それ考えたら、そもそも俺が、一億の精子レースの覇者なんであってさ、君もお前もアナタも一億の精子レースの覇者なんだよね。すげぇ。みんなすげぇな!だってさぁ、要するに今の日本の人口で考えて、日本覇者レヴェルだよ?凄い事だ。  でもまぁ、だから人生が素晴らしいとか生きてるって素晴らしいとか言うんじゃなくて、まぁ無駄死にとかツマンネー事はしたくねぇなってだけなんだよね(笑) ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]【批評祭参加作品】泣いて啼いて哭いて、弱虫(チンピラ)をやめてぇ【ニジムラ、いい加減にしなさい】/虹村 凌[2011年3月5日2時18分]  それが本気かどうかはともかくとして、だ。強者になれるのならなりたいね。俺が言う強者とは、圧倒的強者であって、多少強いくらいじゃ一般人と大差ないもの。まぁ、俺は自分を脆弱脆弱と言うが、それは俺が属する人種の中ではかなり脆弱、と言う事であって、何も考えた事の無いような痴れ者と一緒にされては困る。それぞれの孤立した人間は、それぞれの孤立した段階にいる。それだけの事だ。 ***  そして、俺は常に半身で、逃走経路を確保しながら生きる。それが狡いとも思わないし、卑怯だとも思わない。むしろ、逃げないで戦う意味がわかんない。  俺は、真っ正面から逃げないで戦う事が美しいとは思わないし、それが格好いいとも思わない。強打者相手にストレート投げるなんてのは、馬鹿がやる事だとしか思わない。そんなのは童貞の憧れる男性像でしか無い。  最後まで立ってた奴が勝ちなのだ。逃げようが、無様な姿を晒そうが、それが幾ら惨めだろうが、最後まで立ってた奴が勝ちだ。誰が「お前の負けだ」と叫ぼうと、後ろ指をさして嘲笑おうと、最後まで立っていれば良いだけだ。その為だったら、幾らでも逃げる。何故なら、俺には正面から打ち合って殴り勝てる程の腕力(色んな意味での腕力な)も無いし、華麗に捌いて打ち返す技術(色んな意味での技術な)も無いし、隙を見つけてカウンターを叩き込む冷静さも無い。出来る事は限られている。26年も生きてりゃ、自分の力がどの程度かなんてのは大体わかんだろ?だったらやれる事も見えてくんじゃねぇか。成長方向も、死滅方向も、両方とも見えてくんだろ?  だったら死滅しないように、逃げて生き延びればいい。何度負けようとも、最後に引っくり返せば勝ちだ。勝てるまでやるんだ。最初から負ける事を考える馬鹿がいるかって?俺に言わせりゃ、負けた時の事を考えない奴の方が馬鹿だ。  逃げろ。逃げ回れ。ほぼ確実に勝てる喧嘩以外は全て回避しろ。もしかしたら勝てる、上手く行けば勝てる、そんな甘い夢は見るな。もしかしないよ、勝てない。上手く行かないよ、勝てない。負けそうなプロレス的演出を出来るくらいの余裕があって初めて喧嘩すればいい。出来ないなら逃げろ。逃げるのは恥ずかしいか?格好悪いか?だったら負けて死ね。 ***  って思うんだけど、まぁそう簡単に勝負じゃ死なない世の中、なかなか受け入れて貰えんよなぁ。俺は元剣道部員で、密かに負ける事は死ぬ事だと思っていたので、結構平気で汚い手段に出る奴だった。それでも勝てない劣等部員だったがな(笑)だから、かも知れない。勝ちにいくより、負けない剣道になって、6年間レギュラーは愚か、補欠にになった事も無いクソだった。  ただ、死にたく無いだけなんだけどなぁ。 ***  と言う話をした上で、詩だろうが何だろうが、好きにやればいいと思ってるの。昔の詩人がどうだか知らないが、技巧だなんだと、小難しい面倒な事は、そういうのが好きな奴にならせておきゃあ良い。そういうのを継承したい奴等がすれば良いだけの話じゃないか。俺は興味ねーし、やりたくもねぇ。  伝統とか、そういうのから逃げてるのかも知れない。そういう堅苦しいのが嫌いで逃げ回っている、のも事実だろうな。その分の重み、がある。そんなのは御免だ。だから、逃げる。逃げるんだよ。やりたくねー事から。面倒な事から。  やれる事だけやってりゃあいい。気分が良けりゃ、逃げた事もやってみりゃあいい。とにかく死なない事だけ考えて、やってりゃーいい。別に、生きる事が素晴らしいだとか、人生の有り難味みてぇなクソ話をしたいんじゃない。つまんえんぇ思いして死ぬよかマシだって思うだけだ。 ---------------------------- [自由詩]腰抜け共、怒りの愛を剥き出せ/虹村 凌[2011年3月6日2時10分] 何回ひとを好きになって何回キスをして何回セックスをして何回くり返せば そんな事を言っているから精神的童貞性を卒業出来ずにいる あンたを視ながら脳内で脱がせて愛し合っちゃってみるけど ちっとも幸せな様子が想像出来なくなって 便所でため息つきながらビタミン臭ぇまっ黄色のションベンで流す そんな事を言っているから ヒモだバイトだと危機は減っていっている 収入が減るのにそれが安定していく 安心しそうな自分に腹が立つ 危機が減っていく 牙が丸くなっていく この日常に埋没したくなっていく あとはアイツさえいればなぁと気弱に笑いながら 生ぬるい日常に まるっきり童貞って訳でもねぇのに 恋人って言うのがどういうものかわかんねぇ 俺と以外 一緒にラーメン喰ったりカレー喰ったり 煙草吸ったりコーラ飲んだり セックスしたりセックスしないで寝たり 結婚しようと思ったり死のうと思ったり しないでくれっていう契約なのか それが面白いんだかつまんねぇんだかもわかんねぇ そんな事を言ってるからいつまでも精神的童貞性を卒業出来ずに そんな事を言うけれど いまさら貧乏詩人と貧乏画家のロードムービーなんてやる気になんねぇし そんな夢を見せておいて希望は与えてくれなかったあンたは残酷だ なんてのはただの逆恨みとか因縁の類いで いつか薄いシミになって消えていく その前にこの愛を剥き出して突き付けてやらなきゃ 気持ち悪い ---------------------------- [自由詩]サヴァイヴ/虹村 凌[2011年3月10日1時33分] あの日の俺やお前みたいな童貞達がくり返している以前の光景と あの日の君や彼女みたいな処女達がくり返している以前の光景が 面倒臭そうなカーブを描いて駅前で渦巻いている そんな目で見るなよ 俺が何を言ってるかわかんねーんだろ? 俺もお前達が何を言ってるかちっともわかんねぇよ ひとつ聞き逃したら後はもう全部わかんないような言葉で喋るから 本当に何を言ってるんだか見当もつかねぇ そこから見たら俺は 馬鹿っぽい喋り方でわかりやすく言っているつもりなんだけど きっとみんなもそうなんだろうな だからさ 面倒だから旅に出ようぜ そう 逃げるんだ 俺、頑張って単車の免許取るからさ お前は頑張って軽自動車でも買えよ 狭い車内にいたら俺もお前も絶対窒息しちまうから 寝る時以外は別々でいいじゃんか そうじゃなけりゃユダヤ人乗せるみたいに 助手席とリアシートと灰皿に5000人のお前を乗せて行くからさ 前から言ってんじゃんか 俺は甘やかすけど甘えは赦さないって それでも愛のままに我が侭に俺はお前だけを甘やかすんだよ お前だけってのは嘘だけど 正直言えば俺の周囲以外の人間がどうなろうと知った事じゃねぇ そのくらいの傲慢さは持ち合わせているし その傲慢さを否定するような奴とは友達になれない だからお前もその仮面をかなぐり捨てろよ あぁ 今日も見えない自由が欲しくて見えない銃を打ちまくるよ 20年前のセンスを引きずって生きる時代遅れだよ 見えない44口径もリアルなイメージが出来ないよ ニューナンブすらリアルにイメージ出来ないよ モデルガンも持ってないからね お前の発言が照れ隠しか本当なのかすら見分けがつきません これが馬鹿馬鹿しい とか言う奴は俺と友達やるの止めてしまえ 俺の現実味の欠如した幸せな生活の妄想はティッシュの中に染み込んでいくんだ わかるか 何度お前とセックスする事を妄想しても現実味が欠如しまくってる 馬鹿馬鹿しくてAVを繰り返し再生するんだ わかるか そんなんでスッキリした自分が嫌になってまた見えない44口径を咥えて眠る 見えない引き金を引いて繰り返すエア拳銃自殺な毎日だ わかるか エアと言うポップさで陰鬱さを誤摩化して卑屈な笑いに変換するんだ わかるか 倒れ込んだベッドの上で音が消えているテレビを眺める イギリス野郎にしか似合わないスーツを来たニュースキャスターが 神妙な顔でカンニングについて喋っている事を字幕で知るんだ 馬鹿馬鹿しいだろ 世界にはもっと重大なニュースがあるとか言う事も馬鹿馬鹿しいよ わかるか 引き金を引く ザッピング 薄っぺらな知らない顔の奴等が好き勝手何かを喋っている 引き金を引く ザッピング 飽いて眠る 現実味の欠如 いつまでたっても人生迷子だ わかるか それでも何だか知らないけど毎日生きてんだよ しかも結構元気に生きてんだよ わかるか 随分と良くしてもらったバイト先の上司に頭下げて二ヶ月で辞めて 更に収入擦り減らしてそれでも単車免許取ろうとしたり一人暮らししようとしたり 本当に馬鹿みたいだけどそれでも何だか生きてるんだ それが素晴らしいとか言う奴はとっとと消えろ 糞ガキみてぇな葛藤を抱えっ放しで毎日生きてんだよ 下見ればお前はマシとか言うクズは死ね 精子からやり直す必要すら感じねぇ そんな馬鹿ばっかりになっちまった 去勢されてるとか言う奴もすべからく死ね お前だけはそんな事言ってくれるなよ だからこんな面倒臭い世界からとっとと逃げようぜ いつまでもしがみついてる方が馬鹿馬鹿しいじゃねぇか この先何十年もクソ達と共存してなにになる? それならお前がお前であるだけでお前を愛してる俺と一週間生きた方がマシだろ? 気付いたらさっさと逃げようぜ サヴァイブするんだこの世界を トチ狂ってもいねぇこの世界を 腐ってすらいねぇこの世界を 笑えてくるじゃねぇか 俺もお前も童貞と処女をこじらせ過ぎたんだよ 何回セックスしようが童貞は童貞だし処女は処女だ そういう意味じゃマリア様も処女だったのかもな そしたら俺とお前、神様の親じゃん!すげー! 楽しそうだと思ったろ? だったらさっさと行こうぜ そんで飽きたら帰ってこよう 大丈夫だって 俺には見えてるからそのラインが 安全装置の外し方知ってるって有名なんだぜ? 一部でだけど お前がぶっ壊れる前に引き返す事くらいいつでも出来るさ 俺は卑怯者だからな ほら あの日の俺みたいな童貞達がくり返してる以前の後悔と あの日のお前みたいな処女達がくり返してる以前の後悔が混ざって よくわかんねぇ事になってきたじゃねぇか 馬鹿っぽさとポップさで全部覆い隠してるって言うと 馬鹿が必死になって裏の意味を読み取ろうとするけど もう片方の馬鹿は鼻で笑って済ませるだけなんだから もうどうたっていいじゃん だから行こうぜ ほら 焦燥感でケツの穴がムズムズするぜ お前の愛で俺の内蔵を埋め尽くしてくれよ エア拳銃自殺で全身風穴だらけだからよ ほら早く あぁ お前は俺が言ってる事絶対にわかってくれるよな ---------------------------- [自由詩]僕らの日常(=非日常)/虹村 凌[2011年3月18日22時25分] サンロードの安い中華飯屋で「かけラーメン」と言う素ラーメンを見た (奥田民生の「ラーメン食べたい」を思い出した) 斬新だけど別に食べたいと思わない そんな事より寿司を食べたい 回っててもいいしスーパーで半額処分のでもいい 寿司を食べたい 生魚食べたい あのお店で食べた唇で切れるくらい柔らかいトロを そんな事を考えている間に言えなくなってしまった (=不謹慎だと言う人の相手をするのが面倒になってしまった) ブラウン管とかモニターとかスクリーンとかの向うで 数時間後だか明日だかわかんない「ぼくらの運命」が マイクロシーベルトを名乗っている そんなもんで俺達の運命見てたってどうにもなりゃしねぇよ 俺達の未来はそれがあろうがなかろうが 綺麗か醜悪かなんてわかりゃしねぇんだ 良い方向に好き勝手生きりゃいいのに (俺みたいな愚図が好き勝手やれって言うとクソみたいな連想を喚起するらしい) オイルショックみてぇにトイレットペーパー買う馬鹿ばっかりで 1000円札でケツ拭こうかと思ったくらいだ (切れ痔になるからやんねぇけどな) なんて冗談も目ン玉ひん剥いて怒る奴がいるんだろうな くだらねぇ 日常になってしまった非日常をチャラチャラとやり過ごす 犯罪者や芸術家や天才を自分と切って離してみるように生きればいいのに 一瞬の同一感に陶酔しながら目に涙を浮かべて手を合わせる馬鹿馬鹿しさ 日常になった非日常がもたらす「ハイ」はいつまで続くのか 僕たちは元々がクソッたれたジャンキーで 平和を求めたフリをしながら何時だって残虐非道な事件を待っている 悲しそうに(=嬉しそうに)喋りながらお互いの安全性を確認する 気違いだからやったんだとか何だとか 兎に角自分が当てはまらない理由を必死になって探しながら 自分は違うんだと証明したくて仕方が無い そんな事は誰だってわかっている そう思ってたけど別にそうじゃないらしい事に気付いたのは最近の話です ---------------------------- [自由詩]洗ってない詩人の臭いがするんだよ/虹村 凌[2011年3月19日0時32分] 俺のジーンズとあんたのスカートがベッドの下で絡まる事は無い それはロフトに敷いた布団であっても同じだ ロフトの下の冷たい床の上で僕らの服は絡まったりしない でも最後に絡まった俺のセブンスターズとあんたの金色のマルボロの煙は 何年前の事だったか覚えていないけど 下北沢の薄暗い喫茶店だったのは こっちを向けよ 外が晴れていようが雨だろうが 暖かい日差しの太くて柔らかい匂いも 雨に濡れたアスファルトの細長い匂いも邪魔だ 俺とあんたの匂いに泳いで溺れて沈んでから浮かんでいきたい だからあんたが見せてくれた夢の片鱗くらい楽しませてくれよ ほら外は世界だぜ あんたは可愛いんだぜ 手を握ってもいいかい キスをしてもいいかい セックスしてもいいかい 何だって?ごめん、匂いがうるさくて何も聞こえないんだ それとその微弱な重力を持つあんたの鈍い目に押し潰されそうなんだ あぁ 日当りの良い二階の部屋に住みたい 壁にはパチーノのポスターを張って 脱ぎ散らかしたラバーソール 日に焼けたベッドマットの上で眠るのさ ベッドマットに残っちゃったシミとか キャンバスに跳ねちゃったシミとか どうでもいいけど残れば良いと思う あんたも俺が何を言ってるかわかんねぇのか ---------------------------- [自由詩]青梅街道ブルースドライブ/虹村 凌[2011年3月19日21時01分] 津波がさらっていった親父の夢の事を考える 太平洋に浮かんでいる親父の夢の事を考える 親父は彼のブルースをドライブ出来るだろうか 僕は僕のブルースをドライブ出来ない 屈辱と憤怒と恐怖と焦燥と劣等とありふれた青春のブルースをドライブ出来ない お前の細い身体と白く小さい乳房と桃色の乳首を思う でたらめに脈打つ心臓を笑う 縮み上がった根性と怒張した薄汚い春情を笑う お前のラヴアンドピースに埋もれる中指を笑う 不明瞭なインと不鮮明なアウトの境界線で行方不明になる 屈辱と恐怖に目を覚ます 乾燥して割れかけた唇を舐める 童貞を拗らせている三秒前の自分を殺したくなる様な色をした夕日に目を細める 誰かがオレンジジュースとミルクを混ぜている事を想像する 身体中の血液が冷えていく 膝が笑い出す 部屋中に反響する笑い声が聞こえる ぬるいコカコーラで飲み込む ここの世界はいつもこうだ 部屋を飛び出る 電気も暖房もつけたままで飛び出る 近くの街道をセンスの無いAT二輪車が走って行く いつかお前を単車でさらいに行くよと呟く すれ違う大学生が笑う 気の所為だと言い聞かせる 名前も知らない車の助手席にお前を見つける事をくり返す 気の所為だと言い聞かせる 煙草を不味く感じる 気の所為だと言い聞かせる 青梅街道を僕のブルースが走って行く 僕はまるでドライブ出来ずにグシャグシャになって眠る そういう下らない話をもう一回聞いてくれ そういう下らない話をもう一回聞かせてくれ ---------------------------- [自由詩]外は冬の雨が降って/虹村 凌[2011年3月22日12時08分] ガールと言う言葉に閉じ込められた処女性に処女では無い君を放り込む その君はいずれそう遠く無い未来にオンナになる (まぁ君は処女では無いのに処女をこじらせている自覚は無いだろうけど) と言うニールダイヤモンドの歌詞に沈んで行くマイワールド どれくらい好きかなんて馬鹿馬鹿しくて言ってらんない 過去に並べた言葉を掘り起こす気にもなんない でもまぁ言えるのはそれまでの野郎はお前にゃ向いてねぇよって事くらいで 別に俺が向いてるって言いたい訳でも無いけど みたいに引きずるニールヤングの言葉をいじって煙草をふかす 全く並列して37個の太陽が同時に輝く事をイメージする そんな世界で生き残れる筈も無いのだろうけど 崩壊していく世界を眺めながら二人でいられたらそれは快感だろうか (きっと君は映画の見過ぎだと言うだろう、ファイトクラブじゃないのだと) そう世界のボンクラ映画監督達はこぞって理想の女を描く 僕たちはそれに諸手を挙げて賛同する まぁそんな感覚に嫌気がさす事もあるけど そうでもしないとボンクラの世界に住める女なんかいないのさ 君がまだガールならわからないと言うだけだろうけど 君がオンナになったらきっと笑うんだろうねそれを聞いて まるで疾走するマイナーコードみたいな妄想 延々と続く公開オナニーはまるで公開処刑 後悔の連続の人生は後悔しない選択の結果でしかないから笑っているしかない (笑っていると気楽そうで良いな等と言う人が多いよね) 言いたい事が沢山あり過ぎてまるで中学一年生の鞄みたいに膨らんでいる 死んで欲しく無いし死なれたら悲しいけれど それでも死にたかったりどうでも良いのなら好きに死ねばいいと思う みたいな誰もが思っている事を何回だって言いたくなる 外は冬の雨が降っているよ 春を告げる雨だ ---------------------------- [自由詩]スカジャン午前二時/虹村 凌[2011年3月31日13時55分] 夜中の2時までスーツ着てネクタイ締めてるなんて仕事はしたくねぇなと スカジャン背負って煙草ふかしたままそう考えた(中2病の歌詞みてぇだ) あぁガキの頃はスーツ着てネクタイ締めて仕事する事って夢見てたっけ? いやぁ中坊くらいでそんな仕事はしたくねぇと思ってたはずだ どんな「大人=裏切られた青年(笑)」になるかなんてわかりゃしねぇが ガキの頃に夢見てた立派な大人にゃなれてねぇ気がする スリーピースのスーツ着てカフスボタン付けてるような大人に憧れない訳じゃない 今でもそういうのは格好いいと思う でも毎日それってのはそれもまたつまんねぇ気がするから 何となくで抗っているような事を言ってみる 良かれ悪かれ言いたい事を全部言う それに伴う責任とか色々あるだろうけど 何か言いたい事あるなら話を聞くよ 別に生きる意味なんざ無ぇってのはわかってんだけど ただ単に死にたく無いし まぁ何だ 色々やりたい事あるから生きてるってだけで 種の保存と繁栄とかに加担する気はあんまりないんだけど それでも子供とか生まれたらきっと嬉しいし楽しいのかも知れない (結婚も出産も育児もそんなに簡単じゃないだろうって事はわかる) そうなったら夜中の二時までスーツ着てネクタイ締めたりすんのかな いやきっとスカジャン着て時給で働いてんだろう 不倶戴天とか徒手空拳とか言ってみるけど実際はそんな事なくて 空っぽの恨み辛みがどんどん弾けて飛んで消えて行く 美味い飯喰えて煙草吸えて好きな事やって生きてけてんだからそれでいいと 自分で背骨を抜いて牙を丸くしていく様な感覚 思い出したように叫ぶ不倶戴天と徒手空拳はどうしようもなく惨めで ジリジリと迎合していく自分に焦りを覚える 尖ってなきゃいけない気がする 抵抗し続けなきゃいけない気がする それがどういう事かとか何の意味があるとか関係無しに 抵抗をやめて迎合しきったら終わっちゃう気がする 何が終わるのかもわからないんだけど (始まってるとか何だとかもう面倒臭くって仕方無い) どうでも良い人生と言う事に気付く瞬間があって あとはどうやって綺麗に演出するかくらいしか考える事がない つまり好き勝手やりたいってだけで 夜中の二時までスーツ着てネクタイ締めた奴が 「人生そんなに甘くねぇよ」と鼻で笑う その世界を回って見てきたようなツラが気に喰わないから僕は帰る (何処に帰るかもわからないし、帰る場所なんて最初っから無いんだけど) 人生ナメてますが何か? 数年前に飛び降り自殺したSMの女王様も言ってたぜ もうちょっと人生ナメて生きなきゃ楽しく無いし損するよって そん時は何言ってんだから理解出来なかったけど今は何となくわかる それでも夜中の二時までスーツ着てる男が俺の人生を鼻で笑うなら もうちょっと色々と考えなきゃいけないのかも知れない ---------------------------- (ファイルの終わり)