虹村 凌 2007年4月11日13時45分から2007年6月24日1時23分まで ---------------------------- [自由詩]4月の風が血管を通り越して背中から抜けてゆく/虹村 凌[2007年4月11日13時45分] 煙草で焦がした風穴が空いたまま ベランダに出て五分前の太陽の光を浴びている 昨日のメッキはもう 半分以上も剥れていて ロウキーライティングで誤魔化すばかり 夜空を眺めながら物語をねだるから 幾千億年前の光が人の世の定めを告げるのさ と口付けながら言う 占い師は宝くじを買わない ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]サンダーバード5号に住みたい/虹村 凌[2007年4月11日13時57分] 煙草で焦がした風穴を塞がないまま ベランダで5分前の太陽の光を浴びている 昨日のメッキはもう半分以上剥れていて ロウキーライティングで誤魔化すので精一杯 二足歩行のまま夜空を眺めながら 物語をねだられたから 「幾千億年前の光が人の世の定めを告げるのさ」 と口付けながら言う 占い師は宝くじを買わない 影が出来る 上から覗き込まれた 動揺したスキにキスをされる 5分前に割れた太陽が今飛び散って 迷う事なく舌を巻き込んだ ハイキーライティングなその目で 残ったメッキを剥がしてしまってくれよ このロウキーライティングな目で そのメッキも剥がしてしまうから 割れた太陽の破片を拾い集めて 何処かに隠して仕舞っておこう 世界の終わりが終わるまで 窓の無いラヴホテルでじっと隠れていよう ヒッチコックが作ったブラインドが揺れる頃に メッキが剥れたままの姿で そっと太陽を取り出す 冷蔵庫から 五分後に心を弾ませてもう一度キスをする ---------------------------- [自由詩]創書日和「縁」/虹村 凌[2007年4月19日14時33分] あぁ 看護婦さん 今日は縁日ですね 僕に五円玉を下さい 今日も神社に行くんです 今夜もまたベッドの下から 僕が引っ越した部屋に最初からいた彼女と 今日も一緒に夜中の神社に行ってお参りするんです 五円玉を投げないと また次の縁日まで一緒にいなけりゃならない あぁ 看護婦さん 何でドアに鍵をかけるんですか 神社に行けなくなってしまう ---------------------------- [自由詩]へそ/虹村 凌[2007年4月27日7時55分] 「タキシード仮面が来ないの」 と電話がかかってきた うるせぇよ とだけ言って電話を叩きつける 眠りかけた脳味噌を無理に起こされて 不機嫌な目の中に飛び込んでくる いつかどこかで聞いた言葉 お前の匂いだけは他と違う わかるんだぜ と言って他の女と間違えて 出刃包丁で刺された脇腹が痛む 片腹痛い と女は言ったのだった しらねぇよ 俺は眠る 起きればどうせまた勃っている ふざけんな 愛なんざ無くたってなぁ 何を信じてやがんだ いい事ばかりじゃねぇけど 悪い事ばかりでもねぇな 大あくび 臍を焼いてしまった ---------------------------- [自由詩]創書日和「縁」/虹村 凌[2007年4月30日12時19分] 背中を向けて寝転ぶ姿をしばらくの間眺めて 静かな寝息が聞こえた頃にそっと布団を抜け出す しっかりした鼻緒の下駄をひっかけて ヴェランダで煙草に火をつけると よく知らない街の風が煙を遠くまでさらっていった ポケットの中の鍵を探り当てる 飾りも何も無い質素なキーホルダーを 煙の輪に通して遊ぼうとしたけど 何度やっても輪が作れないので諦めた 地上を走る霊柩車を見て反射的に親指を隠す あんたに教わった事 もう夜中に爪を切る事も無くなって久しい 黒猫も烏もすっかり嫌いになっちゃった もう まっぴら わざわざ切れ味の悪い包丁を買って それで作った見た目の悪い料理を 心から「おいしいよ」と言う口から 今は 机の上には777円と印刷されたレシートと 223円分の小銭が散らばってる そこから一円だけつまんで 代わりにそっと鍵を置く もう まっぴら 朝陽が上る前に この部屋を出なきゃ もう朝の私を愛でる事も無いでしょう ---------------------------- [自由詩]螺旋階段はもう夏なのさ/虹村 凌[2007年4月30日13時22分] 何回叩いても反応が無いドアの前で 一本だけ煙草吸う 全部が灰になる前に出てこなかったら 帰ろうと思う 疲れちまった そんなに多くの季節を越えた訳でも無いけど この階段も幾度となく昇り降りして 四階のこの部屋の前で何度もさようならをして いつも吹き抜けの下を眺めて 煙草を吸っていたけれど もう疲れちまったよ 放り出したままの4×4ルービックキューブ 一面だけ完成した3×3ルービックキューブ 山積みにされた漫画も読みきって無いのが大半 もう長い事古本屋にも行ってない 何処にも帰りたくない そんな戯言を真面目な顔をして聞いて 朝まで吉祥天の前でおしゃべり どっちが吉祥天だかわかりゃしねぇ 真夜中のブックオフでついていけない二人の会話に 取り残されたように世界文学を手に取って 存在の不安なんぞを考えてみたけど どうも今一しっくり来ないんだ お前なんか 自転車の後ろの子供席に載せられて 遠くに行ってしまえばよかったんだ 嘘ばっかりだ 誰も嘘なんかついてないし 嘘かどうかを知る必要が無いから 嘘ばっかりになって 何だか疲れてしまったよ 二本目の煙草に火を付けてしまった どうせ出てきやしない 一段目を昇る緊張感も 今じゃちっとも思い出せない 何時しか合鍵も回らなくなって どうしちまったんだろう 何で俺はここにいるんだろう こんなに疲れてるのに 珈琲も要らないし甘いお菓子も要らない シャワーもベッドも暖かい抱擁も要らない もうまっぴらだ 疲れてしゃがみこんで 何してるんだろう 一番下で誰かの足音がする 重い腰を上げてポケットを探る もうとっくの昔に使えなくなってた合鍵 新聞受けに入れて やっとさようならだ ドアの前の二本の吸殻を 吹き抜けに蹴り入れて 新しい煙草に火を付ける それなのにこの階段は 何だか夏の匂いがするんだ 一段づつ降りていく 夏の匂いが濃くなっていく どこかで嗅いだ夏の匂い もう忘れたと思っていたのに 情けないったら無いぜ 三階ですれ違った白長い影に 思わず振り向いて笑う 疲れちまったよ本当に さっき落とした煙草が俺を追い抜いて 何処にも帰りたくないって呟いた 呟いてから秋の匂いに気づいた あぁ もうイカれちまったんだな 疲れたんじゃないんだ 笑っちまうぜ 白長い影は四階に付くと 鍵の音をジャラジャラさせてドアを開けて入っていった 音だけ聞こえて 壁によりかかる 風の強い日だったのか弱い日だったのか もう何も覚えちゃいねぇ もう何も覚えちゃいねぇ 二階 ドアの向こうは どうなってるんだろう 外に出なきゃ 息が 詰 まる まぶしい こんなにまぶしいのに さむいんだ 疲れてんだな きっと ---------------------------- [自由詩]雑誌/虹村 凌[2007年5月2日14時49分] お前を見た時から目玉の奥が痛ぇんだ ズキズキと きっとお前の睫毛が入り込んだから 取ってくれねぇもんかな ぬるりと春の生暖かい風が絡みつく 重い足をひきずって進む帰路の真ん中に うずくまる 蛙の轢死体が干からびて転がっている 粉々に砕いて煎じて飲んでしまった どうしたものか雨が降り出したのだ 何かを考えようとする度に吐きそうになる 気分が悪い 何も考えなければ随分と楽になるが 今は目の奥が痛い方が重要だ 舐めて取ってくれねぇもんかな もうお前の責任だ ---------------------------- [未詩・独白]memo/虹村 凌[2007年5月8日21時34分] ナショナリスト、キャピタリスト、ビートニク。 何も知らない国民、アメリカが潰れて得する上層部。 国を潰す為の戦争、国民に気付かせる為にやったテロ、 アメリカの為のゼロ金利政策、気付かない事、 報道されない事、中国が行った衛生破壊の真相、 ヴァージニアでの乱射事件、 映画みたいに二丁拳銃で、素人が人を殺せるのか、 空白の時間、洗脳、白人至上主義、 追い出したい奴ら、追い出されたくない奴ら、 知りすぎた奴は殺される世界、 ブログが原因で逮捕された中国のジャーナリスト、 調べられないホロコースト、何処かにあるウソ、 グリーンデイ、チャールズマンソン、 クソったれ、どうにかしなきゃいけないんだ。 サイボーグ、ターミネーター。 http://www.kevinwarwick.com/ICyborg.htm 言論の自由なんて何処にも無い。 http://en.wikipedia.org/wiki/ECHELON AIの向こうに何があると言うんだ。 http://books.google.com/googleprint/library.html AirForceUniv, 宇宙の支配、宇宙の所有権、 L5ソサイエティ http://en.wikipedia.org/wiki/L5_Society 元CIAの軍人、CIAの研究機関、 アングロサクソン、白人至上主義、 http://en.wikipedia.org/wiki/Duquesne_University アーティストやスポーツ選手を多数送り出す理由、陰謀。 これだけじゃないけど、少しだけ。 もう俺だってとっくに引っかかって、 ブラックリストに載ってるのかも知れない。 大変だ。真実がイカサマと手を組んで、 ウソか本当かもわからなくなってる。 そして誰も調べない、誰も報道しない。 もう何がなんだかわからねぇ。 だったら、誰かやるだろう。 俺じゃない、誰かがやるだろう。 そんな事をしている内に、 地球の周りを衛星が取り囲んで、僕等は奴隷になっちまう。 冗談じゃない。 変えなきゃいけない。教えなきゃいけない。 伝えなきゃいけない。 止めなきゃいけない。 もう、大変な事になっているのだ。 ---------------------------- [自由詩]創書日和「風」/虹村 凌[2007年5月10日17時49分] 重い体をずるずる引きずる 生ぬるい風がどろりと吹き抜けて 自分の中の何かがさらわれた気がした もう疲れたよ 寂しいんだ どこかに寄りかかりたい もう埋もれてしまいたいよ 山積みになったやるべき事が 目の前で崩壊しそうな素振りも見せずに 上から嘲るように覗き込む どろりと風が足を撫でる またひとつ何かを無くした気がする やわらかい匂いに包まれたいよ ずっと横になったまま 何も考えないで凍り付いて いたいっその事太陽さえ凍りついて砕け散って その五分の間に眠りにつきたい 風が雲を飲み込む あぁ もうずいぶんと長い事こんな戯言繰り返してきたんだった 疲れたとかもうだめだとか どうでもいいんだったそんな事 どろりとした風が太陽をさらけ出す 空に太陽がある限り愛しちゃっていいんだろうか あっちにいったりこっちにいったり 風になれりゃ会いにいけんのにな だりぃぜ ---------------------------- [自由詩]ドレミファソ羅死怒/虹村 凌[2007年5月10日23時50分] ド は ドカンのド 今日も元気にドカンを決めるぜ 昨日は電車の窓ガラスを突き破っちまった ありゃー事故なんだ レ は レッテルのレ 所謂「不良」のレッテルを貼られてる まぁ勝手にしやがれ 先公上等くれてやんぜ でも卒業近いから喧嘩はしない事にした ミ は ミンチのミ 大体の喧嘩相手はミンチみたいな顔になる 御陰で最近はハンバーガーとかが喰えない もしくは喧嘩後にハンバーグを食いたくなる ファ は ファックのファ どうした事か痒いのだ しかし長ラン着てあの薬を買う訳にも行くまい 水虫の薬を買うのだって恥ずかしい 気合いで我慢してるがその所為で苛々する ソ は ソリコミのソ 最近はドカンが派手過ぎて全然目立たない ラ は ラリアートのラ 先制攻撃先手必勝バイクの上からラリアート シ は 新幹線防風のシ わかる人しかわかんねぇよなぁこのセンス ロケットカウルじゃないんだよ ド は qあwせdrftgyふじこのド てめっ 何俺の手紙勝手に読んでんだっ! ぶっ殺す!むしろ破壊(ぶっこ)わす! てめぇなんか踊って(ダンス)事故って死んでしまえ! …な、なんだオメーかよ か、関係ねーだろ! シャラララなレターなんだよ! ---------------------------- [自由詩]創書日和「風」/虹村 凌[2007年5月12日20時38分] 単純にやってこうとすればするほどに 鏡に映る己の姿は醜く歪んでいく 「お前は誰だ?どういう事だ?」 ホロホロホォロロ 砕け散る鏡の中で 億千万のけものが嗤う 行ってきたよ好きな所へ 全部思い通りになんてなりゃしなかった 啼けど呼べど向こうから 声が帰ってきた事なんて無い 疲れて家に帰ってきたって 黄色いハンカチ何て見た事が無い くわえた煙草の先から 揺れる真っ赤な蜃気楼 金曜の夜に遠くへ消えた 流れ流れて 故郷の岸から遠く彼方へ 風のまにまに光の射す方へ 洗面器に沈んだけものの笑い声が 遠く聞こえなくなるまで 何度でも行くよ ---------------------------- [自由詩]腹上死/虹村 凌[2007年5月12日20時56分] おしずかに!おしずかに! きぇ〜い! 勘定奉行におまかせあぁ〜れぇ〜いぃぃぃっ! んんっ 失礼 んほんっ ビニール製のナース服を着た女が スポットの落ちた舞台の上で立っている 大きく息を吸い込んで 煙を吐き出しながら続ける 海の向こうにある大きな島の 山の向こうの泉を越えて 暗いトンネルのその向こう メガロポリスの端っこの 空の停車場のその先の 此の世と彼の世の狭間で揺れる それがこの店「沈黙クラブ」 お客様 そこのお客様で御座います ようこそいらっしゃいました 居眠りですか? 居眠りはおやめなさい 戻ってしまいますよ お客様 聞いていらっしゃいますか? お客様 居眠りはお止め下さい ふと目覚めると 病院のベッドの上にいた 母が脇で泣いている あぁ 危うく腹上死するところだったんだ いや 腹下死させてしまったんだ どうしたものか まぁ母さん泣かないで 娘さんの事はごめんけど 折角だから どうですお母さん ---------------------------- [自由詩]2252/虹村 凌[2007年5月14日22時52分] 可愛い声で啼いたかと思えば 急にそっぽ向いて遠くに消える 嘘なのか冗談なのか本気なのか何なのか ちっともわからない声で笑う 流し込むショットガン 君を好きな13の下らない理由全てを 数え上げる前には既に夢の中 まるでサブマリン 心許されないままあちこちをウロウロ 舵の取れないサブマリン 左右に振られてザブザブ進む もうワンショット 何回やっても数え切れない13の下らない理由 撃っても響くまでに時間がかかる 更にワンショット もう浮き上がれない 言っておくれよ好きな事を 全部思い通りには出来ないけれど 呼んでおくれよ好きな呼び名で 何処にでも行くから がん 机にぶつかるショットグラス 流し込むショットガン ひとつ ふたつ 君を好きな13の下らない理由を みっつ よっつ 少しづつ数えて いつつ むっつ 何時になればたどり着けるのか ななつ やっつ 君の手で足で ここのつ … 黄色いサブマリン もう手遅れ エンヂンは 少しずつ ---------------------------- [自由詩]じゃじゃんがら/虹村 凌[2007年5月18日19時24分] ロテイトザロリィタガァル 特に意味は無いメスドアップマイブレイン むしゃくしゃしてやったら 無茶苦茶に殴られて滅茶苦茶痛かった だからキスしてくれ激しく 優しさのあるキスなんて要らない フレンチなじゃない僕等のジャパニィズキス 恥じらいながら舌を絡める セックスの無いまま湿った添い寝を しようと思う満員電車の中で 降りたら忘れる 狭いロータリー 幾千の人々 知らない女 その中でエピタフみたいな顔をした女の脇を キングクリムゾンみたいな顔をして走り抜ける 誰もその滑稽さに気付かない 気付かない奴等を滑稽だと笑う俺もまた滑稽な烏骨鶏 つまりチキンであり即ち臆病者 都市伝説に埋もれる ダイナモで事足りる生活なんぞを謳歌するか若者よ 全く薄いったら無い 目が段々と閉じていく 寸止め 薄く開けた目の向こうで 俺の財布を盗んだ奴がうつむいて手を挙げている 教師は頷き微笑む 俺はお前も教師も許さない ケツの毛一本すら許さない残さない 己の陰毛とケツ毛を全て自分で喰らえ 肋骨を取り除いてやろう だから己を慰めるが良い 己を慰める女を見ていた デパートの個室便所の中で けたたましく鳴り響く 電話の着信音を聞いて まるで昨日の様に思い出した うずくまって泣いた喚いた咽せた眠った 誰もこの涙を拭う指を持たない ましてや君が 君が 君が何だと言うのだろう 手を繋いで橋を渡る男女を眺めて 口から吐き出す煙の行方を知る物は無く ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」 まとめ/虹村 凌[2007年5月31日11時25分] もうそろそろ時効かな。全部書いてしまおうか。 まとめて書いてしまえ。 既に小説らしき記録を書いたのだ。もう問題は無かろう。 *** これから、また、とりとめのない事を書くよ。 高校二年生の頃に始まった、僕とY村君の友人関係。 そして、僕ら共通の友達。 僕はY村君の彼女に惚れてしまったので、 その事を素直に伝えた。 それで、スッキリと終わればよかったのだけれど、 事はそう簡単に終わらず。 僕とY村君は、お互いを利用する形で裏切り、 僕たちは、異常なまでに非現実的な修羅場に突入した。 Y村君の言動には一貫性が無く、 同じ日本語を操る同一民族でありながら、 会話が成立しないと言う状況に陥った。 その彼女のAは、Y村の言動に振り回され、 俺はそれに引きずられた。 3人の間に割って入ったK氏は混乱し、 整理するどころか、話の共通点すら見えなかっただろう。 I氏は一歩退いて見守ると言う、動物的に正しい位置にいた。 YとAの関係は、混乱を極め、俺は感情的に喚き続けた。 俺は誰の話も、忠告も聞いちゃいなかった。 アトピーが一番酷かった頃に、 俺が世界が裏返った瞬間をみた時に、 全ての綺麗事が否定された瞬間を見た時に、 死こそが輝きで、甘美な誘惑で、美しい終焉だと信じてた時、 その全ての瞬間に一緒にいてくれた女を、 どうして愛せずにいられよう。 どうして狂信せずにいられよう。 正当化じゃあるまい。 仕方ないとも言わない。 動物的本能の本に、彼女を。 だって、惚れた女が全てで、それが正しかったんだもの。 それ以外の全てを否定し、拒絶し、 聞き入れず、受け容れず、見向きもしなかった。 そして死ぬ気でいたし、死んでいたっておかしくなかった。 若さ故か、死ぬ事に対して恐怖は無いと思ってた。 俺はY村、もしくは彼の母親を殺す気でいた。 又は、彼らに殺されてしまう覚悟でもいた。 矢張り、死ぬ事に対して、今ほど恐怖はしてなかった。 YはY自身が人間であるとは思っていなかった。 彼は彼自身を神だと思っていた。 今は、Aの4年間に渡る交際の結果、 彼は彼自身を「人間である」と認めたらしい。 ただ、それはつい最近の事であって、 4年前は確実にそう思っていなかった。 つまり、4年前の彼は神であった。 彼はAを抱き、「己の身体が汚れた」と言って吐いたらしい。 今でも、殴ってやりてぇと思うさ(笑 彼は彼自身を、「人間」だとは思っていなかった。 だからこそ、話が通じなかったし、話はこじれた。 また、俺が適当な人間であるが故に、 メール友達、と言う関係でありながらも愛を囁き、 4歳年下の少女を裏切り、傷つけた。 K氏は鬱病持ちの彼女と交際を始め、 我々3人の話を聞くどころではなくなった。 K氏がとった行動は、間違いである。 経験値も、裁ける技量も無いままに、 話の噛み合わない3人の真ん中に飛び込むなんてのは、 グローブすらつけた事の無い書道部員か何かが、 プロボクサー大会優勝者に試合を挑むようなものだ。 ただ、その彼の行動があったからこそ、 衝撃吸収剤的な役割を果たしてくれたからこそ、 死者が出なかったと言えよう。 また、一歩引いた立場から見守る姿勢を維持したI氏にも、 同様の事が言えよう。 Y氏。 君には、異様なカリスマ性があるね。 そして、そのチカラを行使して、性欲を満たすのだね。 ねぇ、それは良くない事だよ。気付いているでしょう。 ねぇ、それはしちゃいけない事なんだよ。 もう君自身の思考回路を解明しようなんて思わない。 だって、君自身にも理解出来ていないのだもの。 ただ、その行為だけは止めなきゃいけないよ。 さもなくば、通報しなきゃいけなくなる。 ねぇ、わかっておくれ。出来る事なら、したくないのだ。 わかるかい? 来月でも、一年後でも、十年後でもいい。 あの事件、事変の真ん中にいたみんなで集まって、 笑って話す事が出来ればいいのに、と思うんだ。 みんなで、何か作る事が出来ればいいのに、と思うんだ。 エッセイ、漫画、映画、舞台、全てが出来るんだ。 テーマは一つしか無い。 みんなクリエイターなんだ。 ねぇ、きっと楽しいから、やろうよ。 俺は待っているよ、どんなに確立が低い事であっても。 俺は老けてしまったね。 完全にロマンチシズムに染まってしまったよ。 これは悪い事じゃないでしょ?(笑 俺は俺の考えを他人に押しつける気は無い。 だけど、他人の考えを押しつけられるのは嫌いだよ。 性欲も、昔みたいにギラギラしてないし。 (セックスの必要性を感じないのだ。 自分で処理出来るし、惚れた女の子と一緒に眠るだけで、 幸せになれるのだから。セックスが嫌いなのかも知れない) それに、ちょっとした事じゃ、動揺しなくなった。 泣き笑い以外の感動が薄れたみたいだ。 俺が醸し出す妙な落ち着きは、その所為だろうと思う。 老けちまつたカナシミに? 悲しくなんか無いさ。 今年も、まるで作り物みたいに雨が降ったね。 会う日は何時も雨だった。 何時もは持たない傘を、昨日は偶然持って出たんだ。 笑っちまうよなァ!ドラマだね。 昼の祖師谷を歩く、ラバーソールスーツ君とロリータちゃん。 再び男女の友情を、信じてみようと思うよ。 セックスの向こうにしか存在しえないその友情を、ね。 危ういバランスの上にいられるのは、既にセックスしたから。 「セックスしたいけどしたくない」なんて思ってると、 男女の友情なんて成立しないんだぜ! 色々と諦めて、色々と見えてしまったから。 達観してしまったから。 俺は凄い奴だぜ。ありがとう。 感謝してる。 ---------------------------- [自由詩]酸欠クリスタル純情乙女/虹村 凌[2007年6月2日11時14分] 酸欠気味だから 口から泡が立ち上らない 痛みは初めの内だけで 慣れてしまえば 麻痺してしまえば大丈夫だと思っていたけれど 何時まで経っても苦しい事に変わりは無い 過去にあった恥の分だけ呼吸が難しくなる ヒットラーに何かなれやしない 麻痺したフリしたヒットラーは メセドンの中で窒息死 だからハニー 超級クリスタル純情乙女の中から溢れ出す 天鵞絨のフリルとリボンに包まれて朝を迎えよう 帰るべき夜を抜けて 息が出来る内に息継ぎさせて下さい ---------------------------- [自由詩]佐藤(仮)/虹村 凌[2007年6月3日0時45分] 俺はずっとひとりだった 佐藤(仮)とサッカーをやるまで 俺は佐藤(仮)とサッカーをした事が無い そもそも佐藤(仮)がサッカーをしているのを見た事が無い だから佐藤(仮)がサッカー出来るのかすら知らない けれど俺は一人だった ゴルゴ13みたいに一人だった ジョジョを読む時のように一人だった ジョジョリアスレヴォリューション 六甲の美味しい水は何故なぜ美味しい? 佐藤(仮)が愛飲する水は何故なぜ美味しい? 助けてくれなんて言うもんか と思っていたけど忘れてしまった つまり言ってしまった 勘弁してくれ18の時の俺よ 白馬の王子様になれなかったら あンたが気付く頃にゃ 白馬の御爺様かもな まぁお前がイイ女だって事は俺が一番よく知ってるぜ そんな事を考えていたら 佐藤(仮)の蹴ったボールが空を舞った それが詩だと思った三日前の夕暮れでした ---------------------------- [自由詩]SU・RU・RI/虹村 凌[2007年6月6日21時59分] 毎日誰かの命日で 毎日誰かの誕生日 毎日誰かが人を殺し 毎日誰かが射精(受精)する 誰かが誰かの処女幕を破り 誰かが誰かの童貞を奪う 繰り返し繰り返し 男は目の合った女を瞬時に脳内で脱がす 微笑みを投げかけるのは、脱がした後だから 女が安っぽく笑わないのは、既に脱がされているから 視姦の先の強姦、繁殖の為じゃない性交 無責任に繰り返される妊娠と堕胎 流産は悪夢 悪夢を悪夢とも思わない無味乾燥な出産 俺がラバーソールを履くのは 高みから見下して笑いたいからじゃない 繰り返す繰り返す独り言 大好きだ と言う為だけに電話をしていいかい? あんたの声なんて聞きたくない、と言う為だけに電話に出てくれよ そしたら君 ちょっとだけ咳をしてくれないか 病気になってくれないか そしたら伝染されに飛んで行くよ このどうでもいい世界で生き延びよう 何処にも逃げられないし逃げたって意味なんか無い 俺がラバーソールを履くのは 少しでも君の身長に近づきたいからじゃない 誰かより高い目線を手に入れたいからじゃない 何かに届かないからじゃない 五臓六腑と五線六空譜 旋毛とト音記号 ただの煙草の煙に するりと指から離れる感覚が繰り返す 笑え ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月9日2時34分] おろしたてのラバーソールで闊歩してみたい おろしたてのスーツでダンスしてみたい 誰かに陰口叩かれ後ろ指まで差されて 煙草を吸えば職務質問 パスポートなんて持ってねぇよ だから君 ちょっとおっぱいを貸してくれないか 一夜でいいから貸してくれ 切なさをこの口に含ませてくれないか ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月9日22時58分] さーせん さぁせんっ 頼むから静かにしてくれファッキン高校生達よ ケンタッキーはファミリーレストランじゃない お前たちのパラダイスでもない 水の為に叫ばないでくれ お前たちの所為で昼休みのAMPMにおっぱいを忘れてきたよ それはそれは輝くような一瞬のひらめき 瞬きする程の間に波の間に沈んでいく様な そんな幸せはおっぱいだったのに 空回るブリバリの気合 名誉返上 汚名挽回 奇妙な形と質感のおっぱい ありえないんだ 奇妙とは大きな可能性と女っ気の少なさで構成されている だからありえないんだそんな事は なのに空回る空回る空回るおっぱい さーせん さぁせんっ おっぱいを 水の代わりにおっぱいを下さい 尻もパンツもロマンである事は認めるけれど おっぱいは憧れであり希望であり救いなんだ だから さーせん さぁせんっ おっぱいを下さい 君のおっぱいを 昼休みに忘れてきたそのおっぱいを 夕暮れには既に手遅れ 海綿体は少しずつ緊張をほぐしていく ---------------------------- [自由詩]創書日和「窓」/虹村 凌[2007年6月10日0時49分] お母さん お父さん 僕はもうハイライトを吸っても咽なくなりました きっと僕の肺は真っ黒でしょう それでもお母さん お父さん 僕は乳癌になったりしないんだ だから僕が好きになる女の子は乳癌にならないんだ さぁ彼女の部屋まで煙草を吸いに行こう きっと狭い部屋だから僕が寝られる隙間なんて無い 部屋干し下着の暖簾をくぐって さぁ彼女の部屋まで お母さん お父さん 僕は900円を稼ぐ為に高校生に水を汲みます 彼らが一食で使う金額であり 彼らが15分もかからずに食べ終わる食費を 彼らの4倍5倍の時間をかけて稼ぎます それでもお母さん お父さん 僕は彼らと代わりが無いんだ だからもう何も言わない事にしたよ 遊ぶ金欲しさに100ドルも水増し請求するのと 大して差は無いのだから さぁもう眠ろう フローリングの床で 窓から投げ捨てる煙草が明日の運命を行く先を告げるのだ 幾千億年前の光が告げる明日よりも幾分現実味があるよ なのに僕の仲間達は今夜誰も家出の計画を建てたりしない 支配者達が眠った後に窓を抜け出して危ない橋を渡ったりしない 車輪の下で長靴下のピッピが通り過ぎるのを眺める ユニオンジャックを切り裂いて日章旗を飾った窓辺で 僕は煙草を吸っては投げる ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月12日22時19分] 100億のおっぱいを揉んだら今すぐに 立派になれるかな今までよりずっと 微乳が巨乳になる 貧乳が品乳になる おっぱいの裏側で本当が言えるかな 下手な手術はすぐバレて 後ろ指さされちゃうよ せめて死ぬまではバレない シリコンつめようぜ おっぱいは許さない おっぱいは許してる おっぱいに泣かされて おっぱいで笑ってる おっぱいは許さない おっぱいで許してる おっぱいに傷ついて おっぱいでホッとしてる おっぱい ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月13日10時25分] 今すぐ君のおっぱいに抱かれて眠りたい けど家に来る気が無いなら 俺ん家にチーズトースト喰いに来いよ パンにマーガリンを塗って 君はトマトソース?それともアンチョビソース? 海苔の佃煮だってあるよ ガーリックペッパーも使うかい? スライスチーズを乗せてマヨネーズで落書き 君のトーストには僕が僕のトーストには君が落書き マヨネーズ色のおっぱいとちんちん オーブンで焼き上げるまで僕は君のおっぱいを 見る見る硬くなるトースト 四角い箱の中でまるで真っ赤に充血するように 無我夢中で求める チンッ ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月13日23時34分] あれは伝説のおっぱい この俺もそろそろ危ないぜ 誰かに相談しちゃおうか いや誰にも指一本触れさせやしない おっきくなくてもいい 寄せて上げなくてもいい ピンクじゃなくてもいい 凹んでたっていい このホシの野郎共を静まり返らせる 手がかりになるのは 薄いブラウスだけ 手がかりになるのは 汗ばんだシャツだけ おっぱいに取り付かれて ロクデナシが笑い出す おっぱい抜きで生きるのは 生き苦しくてしょうがない おっぱい無しが怖いから 変体宣言して眠った 21世紀の終わり頃に僕たちは出会ったばっかり ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月13日23時43分] 禮禍おっぱい皆殺賛歌 おっぱいを侮るヤツはおっぱいの上まで全員でぶっ飛ばす おっぱいを馬鹿にするヤツはおっぱいの下まで全員で突き落とす おっぱいをコケにするヤツはおっぱいの味を全員で思い出させる 全員って何だよって思ったヤツもおっぱい好きと見なされないので やっぱり全員で二の腕をしゃぶりつくす痣になるまで 何で二の腕なんだよって思ったヤツも同じく反おっぱい勢力と見なされるので 全員でぬらりひょんコスをさせる 冗談じゃねぇ おっぱいじゃなくて尻だろ などと言う輩にはおもちゃ屋で買ったプラスチックのおっぱいを装着し その格好でティファニーで朝食を取らせる ざまぁみやがれ おっぱい万歳 おっぱい万歳 そしておっぱい大統領が誕生し おっぱいの女神が光臨するのです おっぱい万歳 おっぱい万歳 てめぇ色んな所からネタをパクりやがって などと言った君のおっぱいは 既に俺に揉まれている事に気付かない ほら背後から俺の腕が おっぱい万歳 ---------------------------- [自由詩]少年とナイフ/虹村 凌[2007年6月16日13時56分] 闘争本能が叫びだす夜 僕達は道端に捨てられた大きなタンスに逃げ込んだ しばしの雨宿り 落とした鍵が車に轢かれて潰れている 仲間達は今夜家出の計画を立てないままに 今にも遠くに行ってしまいそうでした 手がかりになるのは街頭と電話ボックスの明かりだけ 川面に浮かぶ桜はただ流れていくだけでした 戦いたい少年は 自らを戦闘に追い込む為にナイフを持つ 武器を持ったら戦わなくちゃいけない 赤テープも白テープも要らない こっちの仁の為にあっちの義にナイフを突き立てる 値段も知らないナイフは使い方もわからなくて 何時までも手に馴染まない 誰かの手垢 こびり付いた血 こぼれた刃 緩んだネジの所為でもう畳めないナイフは ポケットにも収まらない ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月17日12時23分] 一番星が輝く空の下に 君のおっぱいがちょっとだけあったりして あの日あの時の君のおっぱいが 風にゆれるカーテンみたいに 揺れたりしない事は君自身が一番わかってる筈だ だけど可愛いそのおっぱいの為に 必死で稼いだ65ドルのブラを買ってあげるのさ カレーや焼けた醤油の匂いが立ち込めて 煙草の匂いがどんどん薄れてゆく 影が長く坂の上まで伸びて 一番星が輝き始める その一番星が輝く空の下に 君の小さくて可愛いおっぱいがちょっとあったりして 君の小さくて可愛いおっぱいがちょっとあったりして ---------------------------- [自由詩]おっぱい/虹村 凌[2007年6月17日12時28分] 連続でおっぱい詩を投稿すればどうなるものか 一覧の表示に〃と表示される事を恐れる事なかれ 懼れればおっぱいは無し おっぱい界に踏み込めば その一探りがおっぱいとなり その一探りがおっぱいとなる 迷わず書けよ 書けばわかるさ おっぱい! 誰もいない後楽園ホールのリングの上で叫ぶ 電源の入らないマイク片手に 声の限り叫びだすおっぱい まぶしいくらいに輝くピンスポット ビーム ビーム ビーム 真上から 照明は落ちて 僕は息絶える ---------------------------- [自由詩]昇竜拳/虹村 凌[2007年6月23日23時19分] 昇竜拳が上手く出せなかった ヴェガのスライディングキックは卑怯だと思ってた スクリューパイルドライバーなんて夢のまた夢だった 波動拳を喰らえば小声で 「イテッ」 友達にタイガーショットを喰らえば 「痛ぇなコノヤロウ!」 昇竜拳を出せるようになった ヴェガのスライディングキックが怖くなくなった スクリューパイルドライバーの法則も見えた それなのに痛いのは何なんだ これだけ痛みに鈍感になるように仕向けられた中で 晩飯に喰った豚の痛みが夢に出てきて泣き崩れた ---------------------------- [自由詩]ブルーバス/虹村 凌[2007年6月24日1時23分] もう百円玉じゃ温もりは買えなくなった 冷たい缶コーヒーを握り締めて さめざめと泣いたり出来れば 明日の朝は幸せなんだろうか どうせなら何処か遠くで目覚めたくなって 小さい窓から這い出して 薄明るい夜のとばりの中へと踏み出した 行き先がわからない青いバスが止まったから 運転手さんに頼み込んで乗せてもらった 賄賂を贈って見返りに貰った旅券で乗った 赤いスタンプが滲んで弾けて バスはドアを閉めて走り出した 夢見が悪くて何度も目覚めた 硬いシートなのにまるで包まれるように うずくまって眠っていた事にしばらく気付かなかった 涎かと思っていたら涙だった事にも気付かなかった 禁煙マークを焦がしたのがこの煙草だった事にも気付かなかった バスはとっくに止まって運転手さんも降りていた事にも気付かなかった 百円玉でぬくもりが買える自動販売機があった 何時も飲んでいる珈琲は置いてなかった 壊そうとしたら既に壊れていた 百円玉を置いて錆びた缶コーヒーをひとつ これからどれくらいかかるかわからないけれど いろいろなことをおもいだしながら いえにかえろうとおもいます バスは妊娠した少女を轢き殺して ---------------------------- (ファイルの終わり)