石川和広 2004年11月5日0時48分から2004年12月3日0時52分まで ---------------------------- [自由詩]たずねて/石川和広[2004年11月5日0時48分] きずつく きずつく ぼくがとびだす陽光 駅からふみだす 雨はやんでる ---------------------------- [自由詩]春めいた日ではない/石川和広[2004年11月5日1時04分] 少なくある 真剣なまなざしに ゆるやかに 目を向けたい 何か距離をとって ぼくらのやさしさが いかに否定的なものであるか 何か距離をとって 夜の光をみる 堤の上で風をうけ それでも距離をとれずに 大きな声でうたう あなたも悲しいか うめきながら隠してるうめきながら黙ってる そんな世の中は厭だ ぼくが思っている事どもは本当にぼくの思ってることなのか そんな問いを投げうつ みんなの海に踊り出す言葉たちに目背けられない 少し寒い風が吹く曇り空の火 ---------------------------- [自由詩]ささげるの、つつつち/石川和広[2004年11月10日0時38分] あなたが 云うが 僕が何をいうても 変わらない星が 地下ショッピング街 過ぎる あまねく吹き抜ける 構内の作動する溜め息 何のためでない 毎日 はらばら視野 汚いけど馴染む側溝 かたわらで輝く すれちがい繋がる 暖かく離れる声 不思議な安堵 繋がれない当たり前の離れ方胸にポケットから 環、私は撒く 土撒く 土撒く 私からの激しい ぬくもりの 何もない ふわふわのそーそー 私います 哭きません そこなしに何も堪らないので 歌う地上へ救 ---------------------------- [未詩・独白]ひかる、ともに/石川和広[2004年11月10日20時37分] 河原で 堤防のコンクリート、の染み 見ている、あおいジャンパーの抜け殻が光のなかで かんじられる ふにゃりと 弱い地を 弱い膝にて踏みかたむく 影 すぐに通り抜けられるこの道なら 息をすう 意味不明に数える 向こうギシから こちらまでの 歩幅 濁ったスライム状の ウルトラマンなら さんぽ もうすぐ かえる かえられる 熟した柿を私に 熟れる 石も 身も この胸の 冷たきガラスの胚種も あなた ---------------------------- [自由詩]今は昔/石川和広[2004年11月14日17時17分] 日差し 二月 それは それは 大きな人でした すごくキャップが似合っていて つばの角度が、あの人の顔を すこし横切るけれども なにも なにも その表情を隠し立てしなかったから 濃い目の鉛筆で、薄く塗りつぶしたようなコメカミの ほくろもやわらかいから あの人のことがかえって きらいになったのかも しれない もう むずかしいのです あの人が食堂を向かう廊下に 無表情に近い、あらわさで 足をすすめる瞬間が わたしには 嘔吐してしまうような 本当に 虫が 蟻みたいな 小さい虫が わたしの 目を覆う 恐ろしい こんなことって 笑われるんだけど ---------------------------- [未詩・独白]因果日乗ドラえもん/石川和広[2004年11月15日0時34分] 死んだのび太が すぐ夢に出てくる 恥ずかしいで こんなこといーな できるといーな て、何だかなあ 早く寝ろよ ドラえもん! おい のび太は侍であり ひかえるは家臣の あいつである 夢がいっぱい明暗 あんあんあん のところで興奮 するのは 控えおろう、ガキの俺 例え藤子がロリータだとしても 禁欲のキリシタン ドラえもん片仮名ではないか それに、ドラえもんは運命を変えてはいかんので永遠リバース・エッジ 懐深い因果の 海が割れるのよー ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]僕とロボット/石川和広[2004年11月15日12時57分] 子供の頃、日航機が山に激突した後、のび太が植物状態だという流言がさ迷い僕は自分が死ぬのではという妄想にさいなまれていた 同じ頃、ソ連のSF作家レム氏は米攻撃衛星開発計画の記事を読むのを止め溜息をつき、アシモフのロボットに思いをはせた。極東の漫画家が描く汎用の愛玩猫型ロボ。彼は思う。ロボの使命は日本帝国の滅私奉仕?に近いと。22世紀、産官軍のコンプレックスによるロボット開発の背景に未だ東洋的神話的模倣思考が働いていたのか?彼は極東漫画家の絶望を思った。アシモフ先生よ…だが歴史は後戻りを止められないかと ---------------------------- [未詩・独白]因果日乗ドラえもん2/石川和広[2004年11月15日15時12分] あの 青い 大きなアタマの 残影は 未来の 希望という謎の 言葉を 響かせたまま どら焼きを食べた時もお好み焼きを食べた時も 日本 古きか新しきか 帝国の 少年少女の もぐりこむ夢の 幻語の海と 呼ばれ ぼくの父の企業年金 四次元ポケット ぼくは いろんな人と 腹の 四次元ポケット を探り合いたくなるが そのたび 訪れるのは ことばが出てこない 沈黙の えあぽけっと かろうじて 気を取り直して しばし 泣こうか ---------------------------- [未詩・独白]因果日乗ドラえもん3/石川和広[2004年11月16日14時38分] のび太の意識は、深い昏眠の中を、ほつれていく、かなり遠くから力強い声が、赤色のガラス瓶の中を、散らばっていく。 僕は、命令者だと叫んでいるオトコがバルコニーに立っている。 彼は消えてしまいそうだ。僕は彼なのかな。 強い地鳴り、僕の力では……どう、ら、りる れ、む、り…さむ ベッドの横で、白衣を着た壮年の医師が、カルテに眼を通していた 意識が戻っても彼は、幻から戻れるだろうかと時計を見る 経過時間3時間28分。 昼飯か かなり暴れたな のび太の掌に赤い丸の刺青がある ---------------------------- [未詩・独白]発音/石川和広[2004年11月18日20時17分] 頭かゆい、みそがかゆい 黙っているとしんどいが 声に出るのはうめき声いいたいことは あぇお ひとを呼ぶ? 救急講習みたいに ヘルパー講座で習った でも、始めてなんだ 毎日 いつでもここだ 始められたはずだと あそこから あの樹の横を通ったはずだと おもいだすが 暮れかけ空に おなじよう 異なる樹のかげが 無数に並んで せわしなく 風を鳴らしてるみたい 詩らしく書くな ちゃんとはたらけ さわがしい さわがしい から屈伸して ゼロ地点 ぽん ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]鼻クソ\もろもろ、高見順詩集(三木卓選、弥生書房)より、一粒だけ/石川和広[2004年11月19日14時09分] レコポエにジンライム氏の詩を推薦した後またも鼻クソのある詩に出会った。読書会で読む高見順の詩集を予習中だった。「空を見ていると」の3 空を見ていると もう一度小学一年生に戻って 先生 先生と 手を挙げたくなる 鼻クソは もう丸めている 幸福をそうして指の先で可愛がっている 二連目の「もう丸めている」で、グッときた。『死の淵より拾遺』という癌闘病詩だが生への想いが可愛く切なくショボく…彼は小説家で詩文体との調和が苦しかったよう でも詩ならではの一語だ。濃密新鮮な鼻クソだよ ---------------------------- [未詩・独白]ある発見者/石川和広[2004年11月20日8時48分] ある小学生の話を 聞いた 彼は机から、何でも落としてしまう。 えんぴつじょうぎけしごむのーとすぷーんきょうかしょちりがみおやにわたすぷりんと 彼の回りの床には 何でもいつのまにか おちている ガリレオみたいに引力を、ガリレオの発見を確かめているのかも とは僕の浅知恵? 同級生がどの角度から見たら男前にみえるかも発見する そしてしばし きれいな机の上で 頬杖ついて 窓の外 ぼんやり見てる 彼の命は簡単には落ちない 他の子は たぶん知ってると思う ---------------------------- [自由詩]因果日乗ドラえもん5/石川和広[2004年11月20日22時35分] 僕は悲しい あいつの泣く声 強がり 強いのかもしれない 弱い そして厄介だ 僕は 好きだ あいつ だが、あんな野球 下手なのに わからない 僕はポジションを いつも あたえてしまう 生意気なあいつ 卑怯なあいつ あいつには わからないだろ だけど ウチは商売やってる から もっと損得を考えろ と云いたい だけど バカなあいつが 好きだ なぜだ なぜだ 歌うんだ 剛田たけしは 日記に書いては 消す ---------------------------- [自由詩]無謀な返歌/石川和広[2004年11月21日11時58分] しゃべってもいいのよ もし言葉が 無限の小石のしゃべりを忘れてないなら そのしゃべりの マジな感じ優し感じ 凍えた舌が なめてみるのが怖いなら しゃべってもいいのよ 山盛りの静けさに 微かなざわめきを聞く聞かぬは自由だし 祭りのあとの 産声もいいもんだし 寝てたらうるさいけどね しゃべらなくても黙っても、そんなの義務でなく 必然かな もし、も、たらもないのよ こういう言い方悪いかなって迷うけどね 言葉になる前にもう アホなこと歌うんだ 死ねないし 死ぬし ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ぼやけ、ぼやけ、ぼやけ。。。。。僕の今の批評観/石川和広[2004年11月21日17時48分] ぼやき。 ぼやき。 みんなで復唱しましょう。 なぜか? 要は、というか要することはできないがとりあえず ぼやきを「批評」という言葉に置きかえると、批評の楽しさとつまらなさの判定は かなり可能である。 日常、ぼくは、例えば、ぼやいている。 介護保険料が20歳から支払いになりそうだ。 いやだなあ、で、終わる人は終わる。 新聞に投稿して、制度的な正論の中に意見として収める人もいる 飲み屋で愚痴る。 もう60になる親父に、うらやましいなあというと喧嘩になる ここまでは、かつて床屋政談と呼ばれていた。 ここまでは、日常文脈に回収される、ここから、議論を始めれば もしかしたら、立派な政治批評になる可能性もある。 詩のことじゃないのか?と問われそうだが、日常会話の変な そして、テキト−な、そして以外に独断と偏見を引きずりながらも 妙なフレーズが気になるときがある。 例えば うちの親父が「投票は義務だ」 と言った瞬間 とりたてて無党派ではないが、様々な政党に幻滅している僕は 「しかし待てよ」と思うときもある。 気分のむらもあるけどね、流石に 「投票は義務よりも先に権利だよなあ」 なーんて思ったら、なんかむらむらするのだが、 なんか、そこで、現代思想や、情況みたいな論文をみることはあれ 書くと違うことになる気がする 親父のフレーズへの違和感をひつこく大事にするには 街頭演説みたいなうざい景物になるのは、言葉を使うのにむなしーのよ では、どーするか? 言葉への感覚の原風景は、この場合親父との会話だ。 もう、なんか感情的な、論証を欠いた、珍問答である。 しかし、珍問答しか、多分ひとは、できにくい。 そこにも、その人の本質は露出するので、むしろ、そこを 借りてきた猫みたいな正義より大切にしたいところだ。 すると、プラトンのソクラテス対話さえ、哲学めいたしつこい男同士の 珍問答である。 あつまって、なんか、善とか魂なんて、ありがたい論文では到達しにくいから また、かしこい演説では、波紋を投げられないから、 しつこく自分のひっかかりを精密化させるのだ。 うーん、うざい、ソクラテスは処刑された 彼は確かに、自分のひっかかりの中に、やばい直感を秘めていたし それが、法や現実に触れることばに、当時の行政当局に感じられたからだ この際、こんな凄いお方を引っ込めるとしても 作品もまた、はっきりゆうて、どうとでも読めるが、場、時代の制約の中で しかし ことばが気になって気になって、なんかそういう病気としか言いようがない ものが増殖して、こんなのゆってもなあと力がどんどん抜ける どうせ、オレは言葉の病気だ!と開き直る気力も無くなる さて そっから、ぐにゃぐにゃにふやけた日々を通り抜け 空を見て どんづまり 役に立たなくても金が欲しくても、 もーこれは、ゆうとくしかないだろ、おい! と、今まで風雪に絶えたり、死にかけたり、腐ったゾンビみたいな 「この言葉いいのはさあ」 「ここのところがまずいねえ」 はい はい もう浦島太郎なぼやき これを、とりあえずというのも、なんだが いまこのしゅんかんの ぼくの「批評」というものだ 形は、もう色々ある、しかし、言葉が連なり やっぱこの作品にはいいたいことがあるぜ! というか作品いや詩て何? わからーーん、でもそれは それが書くことの形だとかんじる そこから始まるひょこひょこ 批評は、野生のぼやきかもしれない ---------------------------- [自由詩]半身/石川和広[2004年11月22日15時23分] 僕の魂は 半分焼け焦げている 弟は半分でも大丈夫 と云った なつかしい声がした 腎臓だって、ひとつだけでもいけるし、片まひの人の介護したけど街までいけたしね 僕は少し冗談を混ぜた ふたりで笑った ---------------------------- [自由詩]怪鳥哲学ならず割れ/石川和広[2004年11月23日12時10分] 精神病院と刑務所 どっちが住みやすいか どっかの哲学者は考えどちらも似たような もんだ と 考えたらしいが 精神病院にはなぜか 卓球台がある 将棋を首吊りかけたおじさんがやってる 監獄に何回も入る人がいる えるびす・ぷれすりーが歌う 小説家や新聞を読む人や、やっぱりここでも将棋してる 将棋はすげえ お薬や男同士でお尻を触りあうよりも イイ 濁った眼も光る 僕は入院ができなかった。先生は入院をすると僕は更に悪くなると云った デイケア 行き 家で叫ぶ 鳥だ ---------------------------- [未詩・独白]そのまま/石川和広[2004年11月23日22時02分] なんだか 今日は素敵な日 おちゃわんに少しの ご飯 退屈だって思ってたのは イライライライラ 上せるからで 家にいても 光があり影ありて 庭の自転車をみて むかし 誰かが何度も 自転車にのりたい 自転車にのりたい 歌った その人も死んだらしい 悲しい出来事だが 耳でラジオから 流れてて 自転車にのりたい のに乗らないのだ 疲れやすいからだと 理由つけたりして さらに余計な考え 夕暮れ 僕はオシッコした それをした そこにひとがいた そのまま ---------------------------- [自由詩]つぶてんなか/石川和広[2004年11月25日16時54分] 今日は今日とて そそぞろと 集まり来る言葉は私を「ガイジン」 と感じさせるのよーん 「ガイジン」ってなんだろう 差別語なのかな、そうゆってても あらら、うちのお父さん使ってるからなあ って言語に向かって何か 語り掛けてるように見えるけど 痛いのよ 怒ってるよ ミサイル撃とうかな あるところには たくさん あるのにな 買うのは難しそうだ 冗句 うがー したになげるしたになげるつぶてつぶてつぶて 地球の丸みのありがたみは、 何故か日々実感 ゆがんでまーす 国語にやられてゆがんでまーす 目が しかし   痛覚を失ったらもう戻れない      そのあたりフリーパスで穴落ちて スガシカお聞きます お聞きまーす しまってまーす 覚えても忘れたくないものが消え 忘れても付いてくる影は つぶての中に混じる スーパーボール きいろだ! ---------------------------- [自由詩]天候/石川和広[2004年11月26日15時33分] 悟りきったように 雨だった 鉄錆のトタン屋根血のように 濁った生を洗い流した素直に生きることを 問う あなたには力なく頭を下げた ぼくは限りなく人を差別する よく見ると晴れていたあまたの神が口の端に笑みを残し 空にたくさん浮いていた ---------------------------- [未詩・独白]刑の執行/石川和広[2004年11月27日15時29分] 判決から刑が 執行される 間の 魔の 空白のイライラの 満喫の禁煙の 毎日が人のかたちを して 日の光の下歩く 判決が何やかやは 鞄の中のメモにも ないが 罪といわば全て罪 世に曰く 「人に迷惑かけねば自由にやっていいよ」 何をしても人の僕の 仕事は増えるから 自由に罪らいふ おぶ びゅーてぃふる ひのもと にほん ごほん どぼん いつでも いつまでも死んでいられる ひのもとのくに 定食屋の扉をガラガラウドン屋は油まみれて誰かが眼を刺すよ ---------------------------- [自由詩]母へ/石川和広[2004年11月27日18時25分] たしか夜 洗面台下にて ここにあるハエは腹を見せる ナイフより、見守る光を 黒い塊に ささぐる ---------------------------- [未詩・独白]はじらい/石川和広[2004年11月28日15時11分] 狂ってしまうと、あなたを 愛する草、風、鉄橋が散らばる中で わたしは何もない なにもない なにもない ためらいも勇気も 恥も 釣りをしている人がいて。 何もないことをくぐる 冷たいへびの抜け殻がひやりと暗くさわる あなたを こもる口笛で あなたを 遠く馳せて はげしく欲情して わたしの頬がこわばる 河に水柱が天に向かい わたしは、あなたを助けたいと そして冷たいあなたの肌に触れたいと 雨粒、あいまい流れる堤防へ走って人へ ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]陽気な死人---ボードレールのいい加減拾い読み/石川和広[2004年11月28日17時26分] 僕は、時々、ボードレールをぱらぱら読みます。 なんだか、とても気が楽になります。気が楽になるというのも変だろうけど、あんまり、考えなくていいなあ、流し読みするのに気楽だと感じます。 ところで、この文章には、タイトルこそあれ、ただ、目で追って良いくらいのノリでしか、書く力を入れてないので、どんどん 詮索して頂いて結構です。 僕はフランス語は読めません。ベンヤミンという哲学者がボードレールについて、書いているのは、読んだことがあるようなのですが、あまり記憶がありません。ベンヤミンの文章も深く探求すると、意味が拡散して、読解が困難になるようなきがしますが、カフカについて、かかれたものは、カフカ研究書の中では、いちばん?というても世界中に、たくさん研究者がいすぎて、適当に言ってしまいますが、さらりと読めますなあ。 陽気な死人という詩を「悪の華」からみつけたけど、なんだかあまり面白くないような気もしてきましたが一節だけ引きます。   さあ くよくよせずにおれの残骸を通りぬけて、   言ってくれ まだ何か苦しめる手段が残っているか   魂もなく 死者のうちでもとりわけ死んでいる この肉体を! 「通りぬけて」や「とりわけ死んでいる」というところに、ボードレールの素敵さがあるなあと思い、しかし、だからなんなんだと言う感じもいたします。 要は僕は、この人の詩は、どういう意味で書いてるかオレにもわからんと投げ出された、果敢な詩だとおもったりするわけです。とりわけ死んでいる、なんてもう遺体も、その名残もないというてるに等しいきがします。 むかし、ヘンリーミラーが、ヒトラーに勝つ方法は、みんなヒトラーに降参することだ、そうすると敵が欲しい彼は狂い死に、するだろうといったことを思い出しました。 これは、読みを殺すひとつの手だと思います。あとで、みんな真似し出したので、このタイプの詩は古典の中に入ってますが、批評殺しは、批評は解剖にやっぱり似てる気もするので、そういう手さばきを示したい方々は、こういう元祖!批評殺しの詩を読んで、研究により、みがきをかけるというか、あほらしさを頓服として飲んでみるのも、逆に元気が出るような 気がして、よいかなと。 単純に死にきるって難しいですね。ナチスだって遺体を再利用したわけですから、再利用できない。つまり循環を拒むとか、安直なリサイクルにはのらない。 ただ単に何も考えず書いたら、こうなったというには、割にふか読みで来てしまうのが怖いです!この人何者? 落ち着きますか点点と 他に「あほうどり」という詩人をあほうどりに、なぞらえて、水夫に捕まえられるという詩も書いています。 彼の妄想も、入ってるのだろうけど、読まれたくない詩を書いた。逃げるが勝ちと考えた。この浅はかかつ、懸命な読みとの戦いに真剣にダラダラ取り組んだ詩人をも歓待する人はいるのでしょうが、たぶん、こんな「あほうどり」をつかまえるのも、鳥になるのも馬鹿馬鹿しいながら、こう、風に乗るのが、ボードレールの僕の拾い読みの仕方だったりします。 #引用文献「悪の華」ボードレール著 安藤元雄訳 集英社文庫1991 ---------------------------- [自由詩]誘拐ハーメルンの夕べ/石川和広[2004年11月29日0時19分] 楽し歌に狂いラッパをそえる 公園で あなたわたし、 すれちがい、 やあひさしぶりと 云うには、北風に追われてわたしの信 折れようとする もろい もろい ハーメルンの笛吹 わたしあなたの前より突然消え のりこえられぬ時間 ただ 音色にごまかし 公園の外に出たい 今 わたしさみしき 訳だけで あなた過ごせし わたし異鳴る時差 無視し のに わたし 幽閉あなた 勝手な物語を 脱出させたし妄欲 音色に託し 胸がねじれたの 灯りの夕で ---------------------------- [自由詩]いくさナラヤマ考争/石川和広[2004年11月29日15時32分] 自分が死ぬの怖いからって 人の尻を何か書類で叩いて、殺させてもな そんなの相手にしてられないが、だからといって俺だって 毎日何かを殺しじかけ だからな、だのにね、殺したくて、生かしておく、これがまま 家康キライ 生かさず殺さず バカにすな そんなんせんでも 半死半生 楢山節考読みなさい 老人ホームで働きなさい 姥捨てばあさんじじいも お母さんといっしょの兄ちゃんみたいなひとに、ありがとう情けないて泣いてるで 兄ちゃんだって泣き稼ぐ ちゃ ちゃら ぽん ---------------------------- [自由詩]むてきの音影/石川和広[2004年11月30日23時49分] わたしに 大切なものが ひろがって あまりにも ひろがって 霧みたいに素敵に 人々がとおくなる わたしは あなたをおもうほど 麻酔していく 打たれるのだ 構内放送に 笑い声に すべてに 塵に まかれながら あなたを抱き締めたいからみついていく ここで 街で 宇宙から おりてくる毎日だから だけど あなたの壊れた声 つつむには そう聞こえるわたしの 耳がくるってる 微音冴え、それ 沈黙のそら耳 あなたの胸に 夢闇に尋ねたいよ でも、ね ---------------------------- [自由詩]いにしえの笑み/石川和広[2004年12月1日0時01分] 世界を 世界がひとの 近所に評判の ボランティアの父 殺害の想いが わたし あふれながら 愛してるって 闇の山でうめき 大切な感じの 冬に凍えたうわ言を 父に ぶつけるだけで 真の沈黙の 悲しみが わからないけど 父の謎めいた笑み たぶん 生きるところが ちがい彼の孤独 詫びても 気持ち 父は 古代人のように 妙な笑いを 口のはしに ばかにするな ふるえながら 父の沈黙の深さ まだ深読み あさはかに 愛してるか ---------------------------- [自由詩]勝手にねがいで/石川和広[2004年12月1日0時44分] 苦い ひかりがやわらかに そのまま ゆれるカラダの中 あなたに ねぼけて 述べるまちがいさえ ただしさを からみほどく そんなことが あなたのいびき 鼻くすぐる ささやかに あたたかく 僕らが汚れたままの あやしさに 鉢植えの花が 冬にわらう朝が 複雑だ かんたんなふふふ 花さえも確かに 朝 朝 闇溶ける朝 切り立つ けど あなた目覚めるまでの朝 迎えたい まだ 時が わたしが 熟さぬまま 夢みし ---------------------------- [自由詩]ぜんぶ途中/石川和広[2004年12月3日0時52分] あんまり理屈はいわん 僕は病院にいく 形のない検査 それ 精神科 すべてやない 苦しみを見るには こんな手もあるや 先はわからん 筋は通したい 要は ぼくのストーリーへ 一個ずつやねん マンガはちょっと読むし メールもして なんか親の痛いとこもつくで 高校の隣やねん あんときは逆立をしても難しい私服自由のとこ その横で煙草吸うて待ち時間過ごすよ おやじわからんヤツ そしてな付き合ってるよ まとまらんねん しゃあない やっと現実やねん な ---------------------------- (ファイルの終わり)