石川和広 2004年9月29日22時16分から2004年11月4日16時04分まで ---------------------------- [自由詩]ミズコに捧げ/石川和広[2004年9月29日22時16分] 数々の試練と黙殺の流体とドシャ崩れの中をミズコはただ直線に歩いてきた。歩いてきた。眼をしかと開けと父のどこか暗い部屋からの通信を傍受しながら。直線とは全く架空の任意の点を結んだものだから、彼女は生きているのですらなかった。しかし架空の様々な点と線の崩壊を見ることだけが彼女の喜びであり、彼女にとって喜びだけが存在であり、彼女は、斜線を見るとその角度を図りながら微かにあえぎながら背中の汗の線を伝う静かな薫りをかぐ事はできず 父は一心に拝む。彼はネクタイを緩めミズコの快楽を仏壇の彼方の空に微かにかぎ口笛で泣いた ---------------------------- [自由詩]つあー/石川和広[2004年10月1日1時27分] ねころがる わらう しぬ またはしる ふとんをまたぐ すてきな ひとに ぼくできる 繰り返すことだって ころころ かわる のだって らくなんだって ほんとだよ さばくだよ さむいよ くちぶえをふくの じょうずよ やわらかてのひら つつめるよ おこるね あきれるんだって なのにね かんぜんにね たったひとりでもな なんだかつあー なんだ あさだよ ひるむなよ けっこう すごく いい いいから ぼくのくちびるは はだかは あたらしくなるよ ---------------------------- [自由詩]/石川和広[2004年10月1日20時46分] 少ししんちょうに 歩いている あまりちゅういしすぎると 信号につかまって私 からだこなごなの 散弾になるよう だからもうすこし つまさきをあまり 感じすぎては行けないわたしの通りに もどれないから 町を町を もう少し早く しんたいぜんたいが そらへ そらに ふりかえって 雲に泣かれる前に わたしは わたしは 電線だらけの町の ああ ぬかづけ大地へ 足のうら ふかいふかい嵐の うえの深呼吸 たのしく深淵 感じすぎては わたれ わたれ ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ことばの自転車が通り過ぎていく…麦朝夫さんの詩を紹介します/石川和広[2004年10月3日16時43分] 麦朝夫さんという詩人のひとを ぼくは知らなくて 知り合いのうちで読んで見つけて なんだか 寂しく静かな思いがした。 それは、平日の昼間 なにもすることがなくて 近所の図書館に走り 空を見上げると冬の青が 光っていたというような、 そんななんでもなく とおりすぎていく孤絶の感覚だ。 そうそれは、何度も通り過ぎていく ひとりの瞬間 まさに、生の通行人を覚悟した瞬間が謳われている。 そして確かに彼の人肌、眼のぬくもりを感じさせるのだ。 しかしヤフーで検索したが、読者がとても少ないようだ。 とても残念なので、一篇だけでも、取り急ぎ よんでみて!という感じで紹介します。 大阪の南の人。彼は御年70歳だ。作品は「道で」…   道で  やせたおばあさんと  すれ違ってふと見たら  かすれた口笛を吹いている  胸もとへ隠すみたいに  のぞきこむな のこしたうたを                                *麦朝夫「数行詩集」詩学社 1999 57頁 ---------------------------- [未詩・独白]朝の体操/石川和広[2004年10月4日23時37分] からり 首をまわして なる骨に苛立ちながら 結局空間 存在しな がらわたしの固まった 想いを伸ばしても 頑につらぬく わたし想い錐のように朝靄の完璧な町 はっきり はっきりしてよ 台所の水滴 苦しい息のシャワー わたしの大切な 無謀な想い 朝の体操をすれど 気休も彼方の涙だ 心配する私の守り神の わたしは大切な 適温を破壊し モノウゲな犬の 意味の悲しみ とまらない わたし わたし 生まれた町よりあなたこがれて荒れ あなた 求め ---------------------------- [未詩・独白]牛乳の不眠/石川和広[2004年10月6日11時51分] 冷蔵庫の中で牛乳が横になってると父は云うので 冷蔵庫から牛乳を取り出した僕は封を開けながら オハヨー牛乳は寝てないよと軽い口を叩いた が受けなかった 当たり前だ 僕の小学校給食に配達されたカスタム仕様のオハヨー牛乳が実在した歴史を彼は知らなかった。 次に僕は彼と訳の分からない言い合いを遅くまでしていた。まるで睡眠薬が効かず、頭ギンギンで足元はふらふらだった。 そういう時は何でも気が立つし、父も真剣な男なので僕の泣き言に付き合い険悪ムードは倍加された。 翌朝は牛乳も寝る 冗談も効かぬ オハヨーもダメや ---------------------------- [未詩・独白]心音と/石川和広[2004年10月6日12時12分] お父さん死なんといてな と私の耳がなっている 別に、早く死なないかなと思った日々がなかった訳でない、夜中セキの音が聞こえると私の闇は凍りつく 何だか、目の前のほとんど病気をしたことのない父がコワレモノみたいに見えて 自分でも謎だ 一秒後父の心臓が止まったら、そんな想像が襲う間、父はチャーハンを炒めている ぼくも子曰くところの30なんだが、どんどん焦るのだ 僕と父の間をわかつ死の使者の足音が ぼく 父 の心音と共に革靴で歩んでくるから? とても怖い 怖い 存在して ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]我信ずる…ニュースに振り回されるの虚しき/石川和広[2004年10月6日13時15分] 日本人選手が年間最多安打世界記録を達成する頃私は病院に行って、とても疲れ、ぼんやりした頭で速報を見た。弟はすげぇと言う。なるほど彼はプレーに集中する仕事人。見事な仕事は美だ。あの仕事も命がけ。頭当たったら死にかねない。 その頃どこかでメスを握る脳外科医がいる。彼に命が託されている。イチローとは違うが瞬間と持続が要なのは、あまり変わらない。彼は称賛されないが治癒できれば家族は礼を言うだろう。皆、生半場で死ぬが何かあらがう物がある。生命。爆撃をする人の家族。殺される人々。日々の暮らしはいずことて戦い。わが国では、人はぬくぬくと戦うが平和ボケ批判をしてる様々なかたがたは、この国で未来が見えない中戦う様々な人たちを励ましているのだろうか?老人、リストラされた人の群れ群れ群れ。平時と戦時は、オウム以来不透明な境しか持たない、電車の中で突然泣き出す人。 反米の気持ちを募らせても、イラクの苦しむ方々は救えるのか?対米従属から脱するのは、このわけのわからない平和な内戦の、大切な心や、愛する人を守るため、そのためにアメリカに駄々をこねず、本当に困っている人のことをかんがえる、たくさんの人の総意からはじまるかと思う。まず、自由のために。つくられた報道を見ずとも、周囲を見ると同胞には悲惨なことに対し心傷める者有と我信ず ---------------------------- [自由詩]ミサイル/石川和広[2004年10月7日10時37分] とっくに別れた女と まだ電波の手紙で やりとりしてたが やっと僕の根本が 伝わって あきらめて 関係ぜんめつみさいる そんな朝だ ノーコメント 言葉は今ぼくに 強すぎて だから だから 今日 空 から からから トイレ行こうっと ---------------------------- [自由詩]ばったり、焼け跡で/石川和広[2004年10月7日13時36分] わたしの彼方への文体は うにゃうにゃした粘りを まだ失ってなくて 少しだけ 安心する 生きていく 蛇足の波長で くずれた思い その燃えくすぶれる 硝煙を つかまえている すがりつく感情を 喰らえ なんぼの もんだ また お会いしましたね 愛の名前 はすかいにアイサツ できた か な ---------------------------- [自由詩]焦土を過ぎ越す/石川和広[2004年10月7日15時43分] まいあさ 僕が この僕であることに目覚める はてなダイアリー 燃えくすぶる焦土が続く 誰もいない台所 立てたコーヒーの 苦い香りは 抽象 起き上がる重力加圧の具体性 多分コーヒーの抽象にみんな溶けて ちちははも 近所の人も出勤していくゴースト 常世への整列 年寄りが空缶を拾っている これは夢ですか?と 彼に震えてかたりかける 静かに! もうすぐ違う夢がやってくるでな 年寄りは左肩を回しながら呟いた 光がチリになり遠い山へ降り注ぐのがみえる ---------------------------- [未詩・独白]風旅の支度/石川和広[2004年10月7日23時58分] わたしは今よりもっと風の通りのいい部屋 をのぞむ 望むに踏み出すに 用意はいらない アイスランド 固有名でなくても はせる はせる美しきか 風の糸のもつれが ふきさらわれる ぎざぎざでこぼこ 地平 そこで異邦な感覚 冷たい胸の針か わたしを苦しめるものか 物憂げな雲がとぶ 眠りの展望の中へ わたし走る たいまつたいまつ 焚かれる火の中の 旅人のわたしが わたすもの 受け取る異邦野郷里 抱き締めてくれ 放たれた鼻水さえ 去る過去を流すように ---------------------------- [未詩・独白]ふわん/石川和広[2004年10月8日13時02分] こういうことをいうと詩論といわれたり… どりや ここぞここぞ、気にするなと 云われることを気にしたい こんにちは、現代詩 と 呼んでいいものなのか僕の知り合いなのか 困ったな 見覚えのあるよな ないような ここで立ち止まってるのもマズイような。 かといって、あそこの方は何者ですかと 周りの人に聞いたら わかんないとか 長話とか わかんなくてもいい とか自分で考えて等 余計ややこし きっと現代、の詩、なんですよね。言葉遊びと怒られそ。 だが問題は詩でも何でもなく 現代って何? まさか?日刊ゲンダイ? なんだろう その頃合いに 僕は いないかも ふわん ---------------------------- [自由詩]夜のill/石川和広[2004年10月13日19時00分] 運命なんて しゃららるん うたっても 尽きない夜の火柱 近付く あつい火の粉 かなりかなり なんだ ミナミのビル街の 揺れる月の海 こんなところで こんなはずじゃない はいく でなくて 徘徊したい 火傷の火ぶくれの ふくらみから染み出す存在の汗をたどり ながら 夜を追う みんなのケワイを ひきむしりながら 夜走る わかってるよ 皆人生辿るよ 一緒だ あなたを追う 誤解でも 運命 あなたを はげしくちぎれ 行くギターの弦 咲く ---------------------------- [未詩・独白]レーン暮らし/石川和広[2004年10月15日13時16分] 抱き締められたいと ずっと いえないで 暮らしの青や黄は過ぎ行き いまここに ことば ぐりぐり むねにボーリング玉 泣いている声 も 凍るほどに レーンを見つめる ピンが織りなす管弦楽 なかなかでてこない 詰まった玉 待てない 泣いて係の人呼んで ひどいスコア みんな励ますように 軽口 軽く返せない吸い込まれる言葉 父よ抱き締めたまえ 祈るように 今日もまた空語 激しく鳴る ガーターがたがた この玉抱えて毎日 朝 コーヒ牛乳すう ---------------------------- [自由詩]夢/石川和広[2004年10月15日14時44分] しまったな、と まぶたがつぶやいたら乳白色から とうめいへと移行するビルを つきやぶって 完全な朝が歩いてきてわたしのからだに おおいかぶさった さああ ---------------------------- [未詩・独白]踏み出す/石川和広[2004年10月16日14時05分] 周りでみてるなんて残酷だけど 男が泣いてるんだベンチで 紺のスーツを着た なぞ 日を浴びて うららかな公園で ずっとずっと 僕はためらいがちに 声をかけようと するが 森の木木がなぎたおされていくとてつもない轟音はもうかなしみをすぎている だれか 僕は彼の泣き声の、伐採の、避ける音がけして泣くことすらない僕の過去を揺らすのを感じて 僕は通行人 僕は彼の生を彼からは僕の生がすれちがうその時。放たれた微かな燐光。何もできないこと足掛かりに 激しい音の木の中に踏み入る ---------------------------- [自由詩]帰り道/石川和広[2004年10月20日8時45分] なんでかな 夜の匂い ひとが生きてて 家の明かりの中で しゃべったり だまったりしてる 感じが小さい頃 匂ってて 帰ったら僕は ぼーっとしてた こうもりもたくさん 飛んでたなあ みんな どこいったんかなあ 最近そんな匂いせえへんなあ ぼく、家でぐったりしてるからかなあ 年とったから、そんなん匂わないニンゲンになったんかなあ。 みんなどこいったんかなあ。 みんなどこいったんかなあ。こうもりさん ぼく、あんな匂い出てたらいいな ぼく、遠くにきたんだろか ---------------------------- [未詩・独白]ハネ/石川和広[2004年10月21日20時53分] 自分で あるみたいに あなたを 愛そうと するが どんどんずきずき 自分から離れて さらに自分の本物の わからないの何のって年中 自分を取り締まる網の中で 自分の愛は 跳ねて あばれて 苦しなって 死んでこうとする 見過ごしには できないで 見過ごしには なあ あんた 僕はあんたに 自分の影を写してるだけだろか ぱくぱく ブザマに 大切かどうかなんか どうでもいい また苦しめようと してる はねて 僕の中で あんたの中で はねて ---------------------------- [自由詩]歴史的ひび/石川和広[2004年10月25日11時19分] ボタンを押す瞬間 産業革命は 再生される 今日夕メールを打つ 産業革命 とはいえ、そーいうのをシステムに巻き込まれてるてな説教はうんざりで、今日もまた頭くるくる産業革命 日々実感すら すら透き通る 改札を抜ける前に 切符買って産業革命 皆さん歴史の教科書 イングランドの羊飼いのぴーたーさん?牧場を追われてロンドン地ベタでほおむれす。 そうレス。働けよ。 居場所なくなる これ革命。 じっとしてたら ひきこもり 居場所もなかった僕の家 産業革命レスは無 多数転移 ---------------------------- [自由詩]フレル/石川和広[2004年10月26日20時08分] 男には オレ 僕 わしとか色々な呼び名で文字地平を歩けるのに 女の子は私とかしかなくて、あえて僕と書いたりすると女の人が言ってたので うむむ、わからん でも男も辛いのよ なんて これはある種の言い訳かもしれんが わしの眼遠くが見えないで、今 遠い眼になるけどな なので なかなか女の子の 苦しみや不自由を 考えるまで 万里を馬で駆け付ける次第なばったり感 なんだけど あー そんな重く雲が垂れこめる地まで 血まで 曖昧にしないで わしは ふところを暖め合いたい ---------------------------- [自由詩]祝いことば/石川和広[2004年10月27日19時39分] わたしは いつも受け身だと思っていたし それを、ある漫画をコンビニで読んだとき いつも殺され続けてきたということばに出くわしたこともあった わたしは祝福の嵐の中殺されふみにじられてきた としても その下にわたしを受けとめる奈落のアスファルトがあったことを わたしは幸いとした 猫やネズミやミミズが平面になるまで通過する巨大魚の跳ねる音を聞きながら 悼む 地平すら持たなかった者達 空に深さがあり地に深さがあり戦慄するほど巨大な眺望の中 草揺れる音の中 わたしは不服の風を手に慈しむ ---------------------------- [未詩・独白]もう一度の時に浮かんだこと/石川和広[2004年10月30日0時58分] 立たれへん そうだ 息止まる寸前まで 腹殴られて 大事なものだけ まるく抱えて うずくまった みょーに深い空の 寒い夕方想う 虫の死骸とか 小さい河の流れる音 なかで 昨日あめ降って 草湿った河原 帰ろうぜて あいつら云う ここで倒れてる 自分が土に溶けて 草でも生えたらなー じんじん するなググーてなる このままでいてられるか! 体うごかん ランドセル汚い それから雲を見て 帰る時 たぶん神様みたいな 赤い雲 風呂はいりと 黙った 母 ---------------------------- [自由詩]騙しだまり/石川和広[2004年10月30日1時45分] 悲劇 ちいさいころ とくと 味わう 繰り返しめぐり 冬が耳たぶに 増水し コーヒ色になった 濁流 きらいでもすき すきだけどしんどい いじめてくる奴と 小四の時眺めた 濁流 もうことば なまえはっきり流れて雨 今も わたしにふりそそぎ ああ 自由 不自由 等号 闇雲に ミミズは這わない 水を求め わたし 目 ふしあな? いいや うそつくなわたし 今 流れる夜気 天井は見え 暗闇は さわがしい夜の明かりの中 ---------------------------- [自由詩]ピノコ/石川和広[2004年11月1日11時11分] 許されてない となにゆえか ふと はと へと思った 誰がと想う前に なぜか 夜から朝にかけ は行な感じ 窒息まではいかない 息がしにくい かな とよそ事みたいに 自身をくるめる ひとりの 息 息 を 吸う前かなりふきこまれてる慌て過ぎの 蘇生術 死に ゆき たいという吐息めいたものをお節介に 閉じさせる 実際胸苦し 息できんやん 自由にいき したい したい には、いつかなる のぞみと ノタレ死には 等分 何とかいけるはずわのよ 果てへ? はて ---------------------------- [未詩・独白]空と犬と/石川和広[2004年11月1日18時33分] 悲しみは すーっと空に昇る僕の目から からだを失って 見た 点の犬 犬の悲しみ。僕の 悲しみは、毛波の温もりに触れながら滑りおつ 君はどこの犬? 汚れてる ざらざらきれい 一人で考えるのは やさしいことじゃない この悲しみを 明日というポケットに詰めてゴマカシてるの嫌だ 例え僕という人間が ゴマカシ続けなければ生きられないとしても ああダメかもしれない 夕に独り幸い 呟ける、まだ 生きている空 宇宙もまた 大きな生き物かと 思う ---------------------------- [未詩・独白]ミゾオチ/石川和広[2004年11月2日12時38分] 黒服の列から ぼくは はなれていく ひとりになりたいんじゃないで 力一杯空き缶踏み潰す 泣いている人が 追い掛けてくる もう少し一緒に いてあげて、と 公園からのガキの泣き声が不意に新しく感じたし それ以外は、ごめん、何だか ミゾオチのざわめきが勝つから みんなと一緒にいるのキツイ 笑い合える相手がもしいて 泣き合える人がいる より はげしいざわめきは 赤 僕のなかで祭られ崩れる顔顔 大丈夫じゃない自分 に気付く自身は大丈夫 飛行機の音 ---------------------------- [自由詩]日々日々/石川和広[2004年11月2日14時44分] こまったことばかり おこる 自分の身の丈がわからなくなってしまった それで窓を空けて 手帳ももたずに スキ間があき加減の スケジュールやりくりする 東の空に火の手があがる 海岸線にアワビがとびだしてくる そんな くだらないことしかおこらない のにたのしい 秘めくりカレンダー もうぺらぺらでございます ---------------------------- [自由詩]瞬/石川和広[2004年11月2日15時07分] こうして らーめん食べてると あったかいなあ と 白い女がカウンターに汁を激しくこぼしている あきらかに絡み付く独り言を言う人だ やばい 僕もかなりヤバイ さっきから肩が回ると変な音がして 頭に響く 箸をおとす 届かぬ床 白い女が拾ってくれるヨダレで下あごが光る何だか抱きたいが 生憎派手な転倒で 抱き締める腕の条件が悪い テレビついてない 鎖をはめられた人が シックする府道脇に出る 朝がくるよ 知ってる? 保険証あったかな 知らぬ女別れですらなかった ---------------------------- [自由詩]滑空/石川和広[2004年11月4日16時04分] あせるなよ ッテッタッテ あせるよな こんな穴に 大事な財布落としたんやから あんたどこの人? 青空?墓? びーだま? 冗談。ニンゲン。 たぶんやけど 穴や ちょいと静かにしてくれるか。奥の方で穴がまがってるわ。 そこをカワシテ こう グット 行くと ほら取れそうやで あ あ、あれ 取れた なんや ウ゛ィトンの偽者か 本物っていうても まあ、区別の問題違うか。 ほれ さっきの人いずこえ? 高高と挙げた右手が ビル越え スケート! ---------------------------- (ファイルの終わり)