梅昆布茶 2020年4月3日10時16分から2020年11月16日19時55分まで ---------------------------- [自由詩]E.クラプトンの休暇/梅昆布茶[2020年4月3日10時16分] トルコとギリシャでの休暇って 僕にはありえない夢なのかもね ささくれていきているのかもしれない やさぐれていきていないとはおもうけど 裏切ったものはかずしれず 愛したものも多少はあるが 顔のみえない接触不良のなかで 誰かを信じようと思ってよいのです その力を蓄えれば大丈夫なんです たぶん僕にとって トルコとギリシャへの 心の旅は大切なんです でもね 僕には必要な大事はなにもなくて 妻と猫とを可愛がってそれでも 愛の遺伝子があるとしたら 頑なな自我を放棄して 僕は「ぼく」に戻るだけなんです トルコとギリシャでの休暇って 僕にはありえない夢なのかもね 顔のみえない接触不良のなかで 誰かを信じようと思ってよいのです たぶん僕にとって トルコとギリシャへの 心の旅は大切なんです トルコとギリシャでの休暇って 僕にはありえない夢なのかもね ささくれていきているのかもしれない やさぐれていきていないとはおもうけど 裏切ったものはかずしれず 愛したものも多少はあるが 顔のみえない接触不良のなかで 誰かを信じようと思ってよいのです その力を蓄えれば大丈夫なんです たぶん僕にとって トルコとギリシャへの 心の旅は大切なんです でもね 僕には必要な大事はなにもなくて 妻と猫とを可愛がってそれでも 愛の遺伝子があるとしたら 頑なな自我を放棄して 僕は「ぼく」に戻るだけなんですt ---------------------------- [自由詩]なにもなかった昭和に寄せて/梅昆布茶[2020年4月21日3時25分] 夜更けに僕の勤務は始まる 夜明けに僕の勤務は終わらない それとはあまり関係ないが 夜桜ばかりが散りかかる明治通り では大正通りはないのかと考えたりするが 昭和通りはたぶん各地に点在するのだろう 上野から新橋まで昭和通りの下をよく走る 貫通するトンネルはとても大好きなドライバーの穴場 僕にとってのツールドTOKIOなのは内緒でもないのだが 誰も関心をもってくれそうもないので それならば築地場外で海鮮丼を食したのち 晴海通りをお台場に抜けて海に逢おうか そうなんだ みんないっぱい自分のことを好きで そのうえで いつも通ってる〇〇通りを しっかりさっぱり好きになってもらいたいんだ アニミズムみたいに いまある呪詛を滞りなく空に放って いつかプラトンの国家論みたいに あるいはマルクスの理想のように 紅い花よりも波長の長い色は不可視なんだね 紫が尊い色だとしてもそれより波長の短い色も視えないし 鳥は人間よりも紫外線領域の世界を感知して はなむぐり風の糸をつたわって 春の歌くぐもってうたう機関車に ここだけの話を紡ぐ翻訳機 窒息しそうに大好きな人がいたあの日 失速する日々を整理しようと思ってたんだけど ぼくはうまれた時はちいさな塊だった こころを吹き込まれいのちの融和をおしえられ でも誰も愛せない時はなかったとおもうんだ 今も大好きなひとを いつも好きなひとと I’m going back home And You can just come over here ---------------------------- [自由詩]五月の歌/梅昆布茶[2020年5月5日7時15分] ちいさくてとってもちいさな貝殻があった 優しくてとってもやさしい友達がいた時もあった 幼いころ姉がひらがなの練習をしていた たぶん卓袱台で宿題でもしていたのでしょうか 対面でそれをみていたらしい僕は しばらくは ひらがなを逆さまに書いていたそうです いまは同じ社内のひとの名前さえ出てこないときがあって それは脳の鮮度のせいにするしかないのです 個人の記憶は個人のものである反面 ちょっぴり 社会の財産でもあるのかもしれません 紅い花よりも波長の長い色は不可視なんだね 紫が尊い色だとしてもそれより波長の短い色も視えないし 鳥は人間よりも紫外線領域の世界を感知して 四月になれば彼女は 優しい髪をなびかせ ちっちゃな牙をかくして 居留地からにげだすんだ 約束なんてなかったとおもいながら 約束がほしかったのかもしれない 五月なんていらないと思いながらも カレンダーをかってにかきかえて ---------------------------- [自由詩]海にたどりつく/梅昆布茶[2020年5月11日19時14分] いい加減に書き散らした日記を死ぬまでつけようか 時間と空間が混乱しては想いは惑い腹も減るだろう 冷たい朝の空気が夜に萎えた神経に障るあさは 棄てられた男は塵箱のように 女を浄化できるのだという くだらないジョークをひとりごとのように唱えて だれかが誰かのこどもである事はあたりまえなのだろう 生物学的にそういうことになっているらしいのです 孤独は免疫力を低下させると 予防医学的に言われているが 孤独の自画像は哲学を超えて 社会学を迂回してまでも海にたどり着く ---------------------------- [自由詩]遺伝子のうた/梅昆布茶[2020年5月18日18時13分] 遺伝子というつづれ織り きみとぼくを区別できなくったって たいした支障はないのにね ぼくの遺伝子はときどきエピタフを聴きたくなる 螺旋状の階段をのぼりおりするうちに 階数がわからなくなった訪問者のように 成分表示によると エネルギー 残り少ないが大切に使いましょう たんぱく質 33.195kg 脂質 15.195kg 炭水化物 17.195kg 食塩 0.195g 違反点数 ? 清浄な魂 僅か アルコール 過剰 Delete はできません 進化にエラーはつきものです ---------------------------- [自由詩]マルコポーロの旅/梅昆布茶[2020年5月25日13時09分] 抒情という故郷にはもうかえれない 父母を墓苑に棄てた罪状は計り知れない 閉ざされた街に住むと 誰ともつながれないようになる パッケージされた夕食が配信で済んでしまうのなら 目玉焼きとか魚の焼けた匂いは 何処へ行ってしまうのだろうか グレゴリオ聖歌が多声の合唱に変貌してゆくように ヨーロッパも細長い国の日本も変わってゆく 自分だけが変わらないつもりでは生きられない だれかの返事を待つ必要はないのだとおもいながらも 体をかわすズルさだけは残っている 叙事しかつづれないおとこ 叙情に溶け込んでゆくおんな 聖マルコ寺院 マルコ・ポーロの旅 ベネチアンマスク 寛いだ部屋 いつも一次試験で落ちた自分を想い出す ---------------------------- [自由詩]間伐/梅昆布茶[2020年6月2日7時27分] まいにち鉛筆を削る 一本でいいんだ無心に削る まいにち本を読む 一頁でもよくてジャンルも問わない カレンダーがひとつづつ塗りつぶされてゆく でも鉛筆を削らないと本を読まないと墜ちてゆく この重力社会を変えようと思うのです ぼくたちは時間軸と空間軸におきかえられる数式ではなく 米がちょっと足りなかったら 従妹んちに借りに走るって素敵じゃないかと 119回目の神経衰弱は欲しくないかい ひょっとして僕もAI用のデーター中毒ににかかって 共産主義のゆめをいだきながらのイデアリストみたいに 間男 間引 間借り こころのなかで間伐している ---------------------------- [自由詩]彼女の方程式/梅昆布茶[2020年6月9日2時07分] 婉曲な月が浮かんでいる 高橋留美子とつげよしはるが好きで 藤原新也と東京漂流する夢をみる 彼女の方程式は誰も試さないほうがよい ゆれうごく等記号の ちっちゃな解決なんてほっとけばよいのだ 方舟の未来は視えないが ひとと較べない樹木希林さんは そういう人だったらしい 東方見聞録 青函連絡船 遠く触れない肌の人間どうしでも あざやかなコラージュに なりうるかもしれない世界を やさしい気持ちで迎えるためにも 彼女の方程式を 冷たい方程式を ---------------------------- [自由詩]The golden door/梅昆布茶[2020年6月23日10時53分] The golden door うちの猫はキーボードを踏んで歩き スリープ状態のパソコンを呼び覚ます名人である ぼくの彼女は何時も地雷を踏んで歩き その意味ではとても有能な詩人でもある 謎って解けないままに 人生終わってしまうのかな むしろその方が良いのかもしれなくて ぼくたちはかがやいているはずのいちにちを ルーティーンにおとしこんで初めて安息する ちょっとつかれた革命家にすぎないのかもしれない いつも単純な夢をみて チーズの王国に住み 生物分解されるまえに スティーヴィー・ワンダーの Stay Goldを聴いてみる ---------------------------- [自由詩]鳥葬/梅昆布茶[2020年7月16日12時15分] ひとつの言葉がつぎの言葉をはこんで来る 言葉にならないものまでをも 静謐と恍惚 チベットの鳥葬の風 蛇行する浮沈子 海底を淵源とする生命の螺旋 古楽の調和的なパッセージ アルバート・アイラーの破壊 迎撃ミサイルで撃ち落とされた言葉は 空中分解しながら 堕天使のように翅をもがれ 絶対安静の真昼に空へと還る あんがいエスケープした嫁も 帰ってくるかもしれないなんてね ---------------------------- [自由詩]カート・コバーンに捧ぐ/梅昆布茶[2020年7月18日11時59分] 人にかける言葉の 優しいひとを選びたい 選んでどうするのかと 問われても明快な答えもないが そうなんだ僕たちはそんなには曲がってはいないはず 規定するあなたがたの定規はどこまでも国家にすぎない 自分の足で測定かつ測量しようではないか ぼくたちの尺度で重量であたらしい君の単位で ---------------------------- [自由詩]君の宇宙/梅昆布茶[2020年7月22日11時43分] 君の吐息はちいさな部屋の空気を揺らし 君の想念はだれかのベッドにしのびこみ 不思議な夢を紡ぐだろうか ヴィトゲンシュタインにも小さな教え子に 猫の骸骨を組み立てさせたり 社会実習を経験させたり という授業をするような 革新的な教師の時代があったこと 論理哲学論考は僕には詩としてしか読めなくて だったら記号の多い難解で数学的な詩人としてなら 理解できるかもしれないと思う ちいさな日常のことばを紡ぐ詩が いつか宇宙の涯までとどくのは確実なのだと 世界が成立していることがらの総体だとしたら 宇宙はきみの吐息を誰かが何処かで観測しているのかも 君の吐息が宇宙を変えるんだろうな 君が機嫌よければ宇宙もいつか機嫌をなおして だってすべてこれは 君の宇宙なんだものね ---------------------------- [自由詩]表?/梅昆布茶[2020年7月25日18時08分] 夢の中の家から 神田神保町への通路があったなら もちろんあるわけもないけれど 毎日サブカル系の書店にゆくだろうな 1970年代のSFマガジンが1冊200円だった 渋谷道玄坂百軒店のSAVという 道頓堀劇場の隣だったような・・・ jazz&rock喫茶の素敵な店ももう無くて どちらかというとヨーロピアン・プログレだったかな 御茶ノ水あたりの小洒落た喫茶店で彼女と待ち合わせ 聖橋やdisk union それもカフェレーサー風の単気筒のバイクが似合うかなぁ 友達がアテネ・フランセに通ってた ---------------------------- [自由詩]レインダンスのまち/梅昆布茶[2020年7月25日21時04分] 水たまりだらけのいちにちを 病院のベッドから眺めている 何冊めかの本をてにとり 2日めも暮れなずんでゆく 痙攣していたてあしが痛みから解放され 滞っていたからだの中の運河がながれて 点滴の歌が聞こえる夜には ぼくの内臓のハミングが響く 一本の木あるいは一本の糸でも良いのだ 君にゆかりのあるものがあるとしたらそれは コケティッシュな落雷と 尻尾のきれた蜥蜴 とても辛いみちを歩き続けたとして それが自分の人生だったりもしたら 精神はいつか反逆するのかもしれない ---------------------------- [自由詩]ロバの話/梅昆布茶[2020年8月2日6時19分] 痩せっぽっちのロバと ながらく友達だった僕は マッチョなイギリスの 粋なボーカリストが好きで ついにはオペラ座の怪人の 私生活を知ってしまうのだろうか 拘束されない言葉ほど 大切でいたましいものはないのだけれど つぎはぎだらけの ブルージーンズと ちっぽけな美学 そう明日はまたやってきて 僕はいつまでも それに対峙するんだな ---------------------------- [自由詩]8月の不思議/梅昆布茶[2020年8月6日19時21分] 幼い頃から不思議でない ものには 興味がなかった そのものが不思議を 孕んでいるときには ときめいたものだ 大洋や星 深海生物や ジュラ紀の森 型紙のないものが 不思議だとしたら それはいまの手のひらから いちばん漏れおちてゆくものに ちがいない ぼくは次の駅でおりようと思う プラットホームのないその駅は いきなり不思議へと 通じているかもしれないから ---------------------------- [自由詩]仮説/梅昆布茶[2020年8月10日14時58分] ぼくたちはいつも何処かに落ち着こうと ぼくたちはいつも誰かに愛される為に 莫大なエネルギーをつかいながらも それでも せめて自分だけでも保持しようとしている 腸内フローラと循環器と脳に管轄されながらも ふわふわした個体を必死で管理している 神のつくりものにすぎないかあるいは アミーバの感覚器官の進化論的敷延にすぎなくて 希望への仮説はたくさんのこされている それは個人と希望の連携あるいは 一本のギター あるいはきみの一編の詩 ---------------------------- [自由詩]歴史/梅昆布茶[2020年8月18日3時35分] すべてのものに歴史が有り 呼応しあって一編の詩を編む すべてのひとに歴史と生命誌がありときには 愛情の経歴書を携えて空に放たれる すべての空虚に名前はない 風や雲や雨のようにあかるい すべての銀河に名前をつけるとしたら それは地球のすべての言語を動員しても 足りないかもしれない だから名前さえもなくても あるがままに生成し消滅し 個々のレクイエムはいらない 沈黙の海底からうまれて 損益分岐点を無視しては姉にどやされて いつしか生まれた時の自由になれるのかもしれない ---------------------------- [自由詩]むき甘栗食べながら書いているのでごめんなさい/梅昆布茶[2020年9月6日10時09分] とても間違った言いまわしが ひとに伝わってしまったとしても とてもお気に入りの財布が 型崩れしていくように しょうがないことだ 人はエンジンのまわる間は やすみなく動き廻って 1970年の僕は世間が安保で揺れるように 恋に揺れていたのかもしれない ぼくが幼い頃 常に音楽がながれていた 貧しくても間借り生活でも 母はピアノが弾けるひとだった 石坂洋次郎の若い人のモデルの 函館のミッションスクールでフィギュアスケート の選手だったらしいが 1970年の僕はラリー・コリエルの はじめてのアルバムを手にした 大学受験で浪人し 中央大学を中退して 3浪で早稲田に進学した意味があったとしたならば 寺山修司に或いは太宰治に津軽や賑やかななかで 革マルの高原女史に民青の歯の綺麗なお姉様 革マルの大好きな娘と 私服を逃れて 日比谷公園のデモのあとを 逃亡計画をうちあわせて 僕たちはいつも逃げているか 調子に乗って踊っていたりも どの方向かはわからないが 僕たちは一瞬一瞬をスパークさせて生き延びてゆく 栄養学は 生命には大した足しにもならなくて 牧畜のように無駄な延命をしいられてゆくのだろうか 春色からコロナ色した夏模様 コロナ後の秋の風はどんな音色 ---------------------------- [自由詩]豊饒の海に浮かぶ僕の不毛/梅昆布茶[2020年9月6日22時04分] 豊饒の海に浮かぶ僕の不毛 回想の店が改装するので 僕は暫く不漁だった 恋の意味がわからなくて むりやり女史に懇願して いまはとりあえず一緒だ すぐに飛び去りそうな 小鳥に なんの 担保もない僕はちょっと萎縮してしまう お金が あっても買うものがわからんし お金がなくても必要なものはよくわかる 自由という夢想には 常に不自由の定義がついてまわる 鉄道のダイアグラムのようには 僕らの日常は組まれてはいない ロープと砂 珊瑚とみなみじゅうじ座のアルファ星 いつかハッブルの銀河の何処かで 僕は暮らしたいと思っているのです ---------------------------- [自由詩]トリフィドの日/梅昆布茶[2020年9月11日11時33分] どうせ狂ってるなら詩人ぐらいが適当だ アメリカは暫くは大変な様子だろうけど 妻は何時も歳時記をかたてに句をひねり 僕は使いっぱで夜金を稼ぎ汗をかくんだ でも良いこともいっぱいあって内緒です ちいさな苦しみはいつも数倍の恩返しを 多少ふられても気にせずに恋しましょう だって僕だけはきみがだいすきなんだね いつか詩人になれるなら一緒になろうね この柔らかな地球の薄皮いちまいの生命 僕はときどき品川駅前で夜中に荷降ろし しているからよろしくおねがいしますが コロナ禍でみんな夢を再考しているんだ この価値観は一瞬のもの僕と君もちがう 柳田邦夫さんの母の言葉でしようがないっしょ 現実を肯定してそしてなんとかなるっしょこの 岩手と青森の境ぐらいの温もりのあるひびきが ぼくをちょっと元気にしてくれたのはほんとで 曲った根をたしなめてくれるあたたかい言葉で 僕はダンボールの人生をダンボールのことばで 大好きなたむらしげるのファンタスマゴリアは 絵本も3000円なのででもいつか再びてにしよう 人間関係も愛も地層の表面にはりついた地衣類 トリフィドの日は近いかもしれないのですねえ ---------------------------- [自由詩]Stormy Monday /梅昆布茶[2020年9月13日17時35分] 遠くまで行く事にどんな意味があるのかは知らない 知る必要もないことがたぶん僕の人生を埋めていたって 愛の不毛に踏みだす為の飛翔でさえ 保障の無い冒険のはじまりだったり 誰もぼくのじゆうを阻止 できない いつ死ぬかは大概じぶんで決めるものだ だれを愛するかとおなじように命題なのだ ぼくのいる地層はよくはしらないが ぼくの地層は魂が磨り減るほどに知ってはいるのだが 馬鹿は死んでも治らないものなのだろうね ぼくのちいさな世界にも季節があり恋人もいて てにおえない猫と共存して生きてゆく オールマンブラザーズのstormy monday を聴きながらゆっくりと生きてゆくのが好きです ---------------------------- [自由詩]てのひらの宇宙/梅昆布茶[2020年9月20日11時35分] ぼくは時間と空間を手のひらで表現できる詩人か 舞踏家か器楽奏者になりたいと思っているのです ぼくは愛の不毛を説く説教師には決してなりません どんな世界もちいさな愛の集積でできているんだもの ぼくたちは生きる哲学の創始者となって生き延びてゆく その総資産は地表を離れてきらめいて星屑になるだけなのです でもね生きている間にやりたい事は山積です きみを愛することや誰かの為にちいさな努力をすること だってその為に生まれた天使の子孫 なんだろうからね でもねクレパスでそらを描くと妙に濁っていたりすることもあるんだ ぼくたちの 空はたぶん違った色で憂鬱と希望とを気まぐれに表現してゆく ぼくたちの 獲得した言葉は僅かにじぶんを表明するだけで ぼくたちは自然界のシフトのなかで僅かに自由を得て終止する命なのかと あらかじめ用意された恋人同士の会話をできないぼく はふいに呼吸をわすれてしまうのだが ---------------------------- [自由詩]きみのスカートの裾について/梅昆布茶[2020年9月23日6時15分] この瞬間にこの音楽を聴けるのは生きている証なんです ちょっとだけ仙境を垣間見てそれでもやっぱり現実を改革する生命なんです 誰かを愛する合間に沢山仕事をしたいのですね 余計なことばっかして罵倒 されても平気なのでしょうね 彼女がスカートの裾を気にして大切なものを見失わないように 僕がきちん とパンツ をはいているかなんて たいした ことじゃあなくて そう なんだ人生 はねっとりしすぎているから 最後にまとめてきみのことを愛撫しようかと思って 歌舞伎町warpは 朝4時に解放されてナンパされた女たちが媚を売る あの夜は瞬きするあいだに消えさってしまうんだろうなぁ ---------------------------- [自由詩]ハッブルの宇宙論に添えて/梅昆布茶[2020年10月5日13時42分] 暁の空中戦では紅の豚がヒーローなんだが 真夜中の山手通りには椎名林檎しかいない 僕の雑草図鑑できみの名前はハルジョオン ユーミンの派手なステージとは違う質素な 神々の復活レオナルドダヴィンチはメモ魔 ぼくは頭の中のノートが整理できず昼休み 首都高5号線で22キロオーバー1万5000円 僕の窓辺あたり3連符でブラッドメルドー 妻と猫は一緒に股をひろげて寝ているし 僕は逢えなかった恋人をなつかしんでいる 天国の王国はすぐ目の前にあるというのに とうもろこしは甘くて切ない絶望の味わい きみといつか同じ言語を喋りたいんだ ネパールの彼女ともマレーシアのリムさんとも エルマタドール猛牛に刃を突き立て 恋する女にも誘惑の刃をやさしく 仏教経典は生命という詩篇を綴る スートラという糸なのだろう 文明のスパークを印す刻印 宇宙から見たらカーマスートラなんて 遊戯の絵本たむらしげるのファンタスマゴリア ---------------------------- [自由詩]秋の詩片/梅昆布茶[2020年10月5日23時32分] 音楽を聴く分析学的な時間が好き きみと過ごす解析学的な時間 深く沈潜してゆく愛情にも似た雪のよう 罵られる騾馬のように時間が過ぎていっても 愛撫する隙もないきみと暮らしているぼくは 無聊をかこちそれでもはてしない時間を夢見る かつて遠い戦さがあって詩人が沢山死んだ時から 詩はみずから立ち上がって歩きはじめたのかもしれない 12月の曲がり角はちょっと先にあって詩人をいざない 今月の支払いに困窮しているぼくは詩人に似ていると 10月の詩人はいつも寂しい 11月には借りを返そうかと思っても すぐに新年が来てしまうので ちょっとした賀詞を用意していても 友人は遠のき妻は咳き僕は曲がった臍の 隣で詩でも描いていようかと思うのです ---------------------------- [自由詩]スパーク/梅昆布茶[2020年10月18日22時15分] 互いにスパークする宇宙で起きた出来事があり 誰も入り込めない花園の君がいていつか僕は叙情になる 面倒くさい真実ばかりがまかり通って 優しい嘘はにぎりつぶされて疑問ばかりが生き残る レノンの夢は皆に引き継がれてパンキッシュな歌が 普通に流れている街が嫌いではないが棲めないでしょう 僕は彼女の言うように毛布を下にして寝ているが 渋谷のように再開発されすぎた夢のような未来が待っているとは ちっとも思ってはいない 死にかけた道玄坂にバイクをとめて 今はない伝説のロック喫茶にウヰスキーのこびんを 忍ばせて通うのが大好きだった時代 僕の妻がいいお尻だなんて ついつい言ってしまうお世辞だが 真夜中をぶっとばしてしまうほど 僕は真剣に生きてきただろうか 誰からも愛されないほどに 真実を語ってきたのだろうか ---------------------------- [自由詩]秋詩譜/梅昆布茶[2020年10月25日10時11分] 酔生夢死 僕はちいさな日常を積み重ね 彼女の愛を貯金して 彼女はこがねを貯金している ぼくは 字が下手で絵も下手で おまけにろくな詩もかけないのんだくれ ほぼ一直線でレールもルールも知らない 何もわからないままでも生きていく 知的生産の技術って僕にとっては重要な本で ぼくたちはいつもなにかを理解しようと でも理解をいつでもどこでも放棄して ときどきちゃらちゃらして我に帰る 普遍性は優しい いつも普遍性の子供でありたいとおもう 僕は自己責任の名の下に弱者を切り捨てる 国と政権を革命したいといつも思っているのだが 死ぬときはひとりで死のうとおもっています 彼女は一緒に死のうと言うが心中じゃああるまいし 人生って頭韻も脚韻も無くて只々フェイドアウトなんだろうな 詩人ってけっこう自分の工房を持ってる優しい人が多いなと想う 興味のあることは無限にある 死ぬまでそうありたいのだが 三国志からラップまで繋げてもしょうがないので 説明もなく好きか好きかもの範囲で 僕は詩人ではないので詩の終わり方がわからないのです あえてい言えば秋詩符なのかなぁなんてね ---------------------------- [自由詩]ひとつの約束/梅昆布茶[2020年11月3日1時46分] いつかどこかで彼女に許されたことがあったのだろうか 約束された自由から疎外されたまま生き続けることが 人生という名に値しないとしても 未完成が日々の完成である人生なんてね 小学生の頃から疎外はきみとぼくとの友達だったね 経験は未知を 未知は経験を求めて互いに補完できない 内緒の関係者なんだから 普遍性は優しい いつも普遍性の子供でありたいとおもう 僕は自己責任の名の下に弱者を切り捨てる 国と政権を革命したいといつも思っているのだが 死ぬときはひとりで死のうとおもっています 彼女は一緒に死のうと言うが心中じゃああるまいし 人生って頭韻も脚韻も無くて只々フェイドアウトなんだろうな 詩人ってけっこう自分の工房を持ってる優しい人が多いなと想う 興味のあることは無限にある 死ぬまでそうありたいのだが 三国志からラップまで繋げてもしょうがないので 説明もなく好きか好きかもの範囲で ---------------------------- [自由詩]20%値引きのポトフ/梅昆布茶[2020年11月16日19時55分] 下高井戸の狭い駅前商店街は なんだか昭和の生き残りみたいで 美しく整理された学園都市よりも ジャニスジョプリンみたいな親しみやすさ スポティファイみたいな狡猾と先見性 いまだに覚えている未来のわすれもの そこに到達するまでの時空間をいま生きている 表現の自由が保証されているかぎり 詩を描いてみようとも思っているのです みちばたの幼な子がせかいを理解しても それは僕の理解と同列と猫は言うがそうなのだろうか? 神田神保町の成城石井で20%値引きのポトフ 60分300円のパーキングスペースに15年物のラパンを停める すぐそこに僕の1970年があるのだろう 時間軸に沿って生きているつもりがいつのまにか マルクスの貧しいロンドン時代など思いながら なぜ一部の人って権力を志向するのかと考えたり マーラーの交響曲のふたつめを想ったりあるいは いつか鴨長明みたいなミニマリストになりたくて 空想は4次元に属するもので僕の棲家なのだろう 組んず解れつの愛なんてとっても大好きなんだが 詩も人生もいつかは整理されなければならない それは生命も同じでそういう圧力のもとに生きてゆく ---------------------------- (ファイルの終わり)