梅昆布茶 2018年10月29日17時32分から2019年11月26日5時22分まで ---------------------------- [自由詩]きみと/梅昆布茶[2018年10月29日17時32分] きみとなにかを分け合う様に生きていたいとおもう からっぽのカゴの自転車のままで自由を走ろう 所有することなしに生きてゆくことも良いのかもしれない 手にするものすべてはさよならをはらんでいるから 仕事と些事ときみのご機嫌がぼくの世界を動かしてるし それに異論をはさむ余地もないがそれでも きみとなにかを分け合う様に生きていられたらうれしい ぼくのきょうのカレーは口にあうだろうか たまってゆく空き缶と食品トレー それがぼくらの日記なのかもしれないが そんな痕跡を積み重ねて生きてゆきたいともおもっています ---------------------------- [自由詩]優しい歌/梅昆布茶[2018年11月5日20時03分] 優しいケーブルがあって ぼくに電気愛を教えてくれて コネクターを集めるようになったんだ 優しい先生と不躾な仲間がいて 痛みと妬みと苦しみを中和するてだてを 覚えさせてくれたし いつだって人生は素敵な旅だと思いたいものだ 優しいベクトルをコントロールできなくて イカロスのように燃え尽きないで太陽に軟着陸したら 表面を歩測してきみににその熱量と哀しみを ファックスするから宜しく処理して欲しいんだ 単純だけど優しいことの難しさを解析できるかもしれないから いつも単純でも優しくもない自分は でもあくまでも優しい太陽と ときどきでも優しい君がいれば 大丈夫なんだ ---------------------------- [自由詩]インスタントコーヒー/梅昆布茶[2018年12月3日23時44分] 疲れた心のためにインスタントコーヒーを一杯いれる 僕は悲鳴こそあげないが なんだかいつもテンパっている 60〜70年代に掲げた自由ってなんだったのだろう 敵はいないし仲間もいない でも誰かのために一編の詩をまた書こうとも思う レクイエムでもあり子守唄でもあるような そんな言葉をさがしにゆこう またあの外套のための冬がやってくる 僕はひましにひとりになってゆくが 誰かを何処かへつれてゆくドライブぐらいは平気さ 飛び去ってしまった旧友へたむける言葉さえ無く 理由もなく生きている僕は恥ずかしげもなく 負い目をまた背負ってゆくしかないのだろう 粘着質のいきかたしかできなくて 白さをわすれたままで凍えてゆくしかないのかもしれないが きみがいない世界はとても凍っていてー44度の指定席があるのさ きみがいる世界はとても喧しくて耳栓が必須なんだがそれでも きみが華やいだ夜はとてもやさしくて素敵な歌が響いてたりもするんだ ---------------------------- [自由詩]コラージュ2018/梅昆布茶[2019年1月2日7時41分] さびしい道化師は 観客のいないサーカス小屋にひとり 空中ブランコや象の玉乗りの夢を見る もう雇い主なんていやしないが 故郷にかえるまえに思い出にあいにゆく もう料金箱にはどんな人生も詰まってはいない 手を振って子供達が去ってゆく そうみんな大人になってゆくんだ 空につながる道にはコスモスが咲き 園丁のいない庭園は荒れ果ててゆく お手紙ありがとうございます 大好きな哲学者が別な世界へたびだってしまいました だいたい愚昧な輩は命を惜しむあまりあとに残ります 僕の最大の畏友であり内省と奔放が持ち味で きれあじ良く生きていたかとも想うのです いまでもある意味つながっています 僕は相変わらずだらしなく生きていますが でももう20年生きてもそれは変わらないのかもしれません 遅かれ早かれ僕も空に還るいのちです ---------------------------- [自由詩]うた2019/梅昆布茶[2019年1月8日8時36分] 人生はネバーエンディングストーリー 地球は公転と自転を永遠に繰り返すわけじゃないのに 誰も知らない哲学がどこかの惑星で 発掘されるわけでもないのだけれど 僕たちは問い続ける自分に問いかけている 歌わない歌はどこにも届かない 愛されない不毛は自分しか知らない 僕たちの燃焼は自然発火的に燃え尽きるのかもしれない 僕の時間は研ぎ澄まされていつか誰かを突き刺すだろう ---------------------------- [自由詩]ぼくはもっと無知になって/梅昆布茶[2019年1月21日10時56分] 空にはやさしい雲がかかり ぼくはストックをつかいはたして ためいきをついたりしています ぼくのなかに刃がないか検証してそれでも 缶チューハイを飲んだりしています ぼくの知り得ない事ったらいっぱいありすぎて スルーもできなくてとまどったりしています グランドピアノもアップライトもいりません 正確にぼくたちははずれてゆくし 修正を好まない性分なのかもしれません でもたぶん幸せなんです 永遠のいちぶんが この幸せの主成分なのですから ー ---------------------------- [自由詩]逃亡者/梅昆布茶[2019年1月22日20時16分] マルクスはロンドンで トヨタのこうきゅうしゃの夢なんてみやしなかっただろう 意味なく渋谷に異星人がいるわけでもないのだが ぼくたちは余裕なく金をつかいつづけ愛をつかいはたし それは誰かのせいにしてはいけないことだとおもうのだ ラッセルの幸福論もヒルティの恋愛論も ニールヤングのシュガーマウンテンも 夭逝した詩人も理由があったりなかったりするのだから 人間はそれぞれ精緻なシステムを抱えて生きている それぞれ神が宿ってるとしか思えないんだが ぼくたちの脳科学はしあわせの為にあるのだろう 外科手術も彼女の助言もあまり役に立たないとおもったら ぼくは逃亡する先をさがしはじめる それが永遠と言う名の不毛だとしても ---------------------------- [自由詩]音楽/梅昆布茶[2019年1月29日9時05分] いつも僕らは 誰も知らない街で わずかなエアスポットで 歌をつむぐのかもしれない 僕たちの存在を証明するてがかりさえもなく ましてやお気に入りの音楽なんてながれてやしないけれど 監獄にいるよりはもましなのかもね 膝を抱え込んでコンクリートの駐輪場で考えたりしてね 僕たちは何の力を信じているんだろうね 人生を散財するまえに考えたほうが良いんだろうな 同時多発的に現在は勃発してゆきます 誰も知らない明日は生命の総和として どう地球を廻すんだろうか またあたらしい宇宙人がやってきて 地球人に同化して観察はつづくのだろうか ---------------------------- [自由詩]FreeBird/梅昆布茶[2019年3月4日19時50分] 僕がサラリーマンだった頃 自称自由人らしき若者に侮蔑されて 僕が学生だった頃 就職組から学生なんて甘いよと言われて 結構傷ついて考えたあげく 僕は鳥になって いつか誰も知らない国まで飛んで行く事に したんだ 人生の栄養学も知らず さしたる美学もなくて それでも鳥になりたかった 僕はいまなにを基準に誰を愛しているんだろう 確かなものってひと握りもないのにね 満たされた心がひとつあればよかったのだけれど 鳥になって羽ばたきながら啼いている ---------------------------- [自由詩]自由の歌/梅昆布茶[2019年3月12日6時47分] だれも自由をうばえない 君の自由は君だけのもので でもね 僕の自由は遁走することだけなのだろうか 君の自由は時に逆走して過去や未来を変えようするけど それを拒むものは自分自身なのかもしれないのだけれど 拘束の安寧に慣れましょうかそれとも 自由を崇めて更なる闘いを始めましょうか 自由を束縛するものは自由なんだって 変な理屈で僕はつい生きてしまうのだが 歴史は緻密に積み重ねられてこぼれおちてゆく 手のひらに残るものは些細な残滓の数々で 悲しい自分の自由はおいてけぼりで僕は 何処にも遊びにゆけない蝶々なんだってね 誰も自由をうばえない 僕の自由は咲かない花のように自由だ でもいつかブラックジャックを持った屠殺人と 闘わなければならないのだけれど ---------------------------- [自由詩]整理/梅昆布茶[2019年3月25日20時11分] 水餃子入りの中華スープをレンジでチンして朝御飯 夜勤帰りは酎ハイがメインディッシュ 僕のくるまのドリームキャッチャーはまんなかが空洞で 大切な夢は素通りしてしまうのかもしれない 僕の借金はすこしづつ軽くなってゆく なんだか僕の夢も痩せ細ってゆく様で悲しいのだが 修理に出さなければならないPCが2台 たぶん読まないだろう読みたい本が本棚ひとつ分 オフハウスの出張買い取りで整理したいものだ ---------------------------- [自由詩]夢路/梅昆布茶[2019年4月5日13時09分] ぼくの朝は完結しないつめたい夜を引きずってはいない ぼくの大腸は閉塞して夜をためこんでいたけれどもね カーテンを引くと天使はねぼけまなこで羽ばたいている 窓からのぞくと景色のはじに満開の桜の樹があって いくつかの峠道をへて空にのみこまれてゆく路がある それはだれでもがたどれる路なのだろうか それともときどきしか垣間見れない夢路なのだろうか ぼくの夜は道玄坂か代々木公園のあたりに紛れ込んで ちょっと休息をとっているだけかもしれないのだ ---------------------------- [自由詩]優しい気持ち/梅昆布茶[2019年6月1日10時00分] ぼくときみの邂逅が46億年の証明ならそれでよいのだろう だけど君の背中に羽がついていないのはぼくのせいではない そういった羽を供給する会社の社員ではないのだから ぼくは優しい気持を維持できない時代がずっと続いている 雨あがりの森のなかの木漏れ日みたいなのがほしいんだが無理なんだ おどけてみても採用されない道化師がせいぜいかもしれない ---------------------------- [自由詩]ロッカー/梅昆布茶[2019年7月1日22時39分] とてもシュガーレスで甘い日々に乾杯 いつかか叶うかもしれない幸福論にさよなら すといっくなクラプトンが好きだったな ちょっぴりうち間違えをしたタイピスト シドビシャスみたいな素直な凶暴 訂正のきかない刻印をぼくたちは残してゆくのかもしれない たぶん誰も間違ってる人なんていないんだ 僕はロッカーになれたかもしれないし 命のあるうちはロッカーをめざしているのかもね 誰でも自伝を持っているものだ とりあえず僕はぼくの終焉に責任を持たなければ ロッカーになれなかったけれど ---------------------------- [自由詩]いい加減な/梅昆布茶[2019年7月22日19時59分] 新鮮をたもつことはむずかしい いつもそれはてもとから去ってゆく この瞬間の永遠を画布に塗り込めて とっても地球が重い日にぼくは だれかの友達 になることを決めたんだ 彼もしくは彼女はすくなくとも心の糧を奪うことはない 新鮮をたもつことはやさしい 軽薄と紙一重の現在をやすやすと 真実と入れ替えて 素知らぬふりをしていればいいだけなんだから くらげみたいな 新鮮とはなんだろう 夕方のスーパーの値引 した お弁当が大好きで僕はけっこうそれで生きてきた いつもあたらしい友達ができるわけでもない でも素敵なふるい友達もいくらかはいるんだ ほんとうのことをいっしょに歌いましょうね やすやすと閉ざされないように 自滅的少女愛で自分なりに 健康的に生きたいものです 壊滅的な選挙が終わってまた ルシフェルにたずなをわたさないように またあなたに逢いたいと おもっているのですから ---------------------------- [自由詩]8月のうた/梅昆布茶[2019年8月4日11時51分] 空があり風があり 時は世界樹をかけのぼって あしたへとながれてゆく だれかが小ちゃなブルースを 奏でているような気がしてでもそれは ぼくの知らない紫の小花の群れだった 月への梯子をたどってゆこう なにも奪わないでは生きていけないのだけれど 痛みをわかりあえる自分になりたいと想う せつなさを語り合いたくて夜を待つ あしたという頁にはあたらしい言葉が待っているのだろうか それともあしたがぼくのあたらしい言葉を待っているのだろうか 蔓草が 絡みつくように 8月の自分が どこかに行こうとしている きがするんだ ---------------------------- [自由詩]新宿2丁目のうた/梅昆布茶[2019年8月31日12時59分] ぼくのてのひらには何ものこってはいない かどわかした王女を高い塔の小部屋に幽閉している以外は 王女の手のひらには小ちゃな貝殻と等分の人生の重み 新宿2丁目で飲み潰れている僕はいつか夢の中で ジムモリソンみたいに歌っていたのかもしれない 毎日がstrangedaysで だれも立派な楽器は持ってはいないが すべての音楽を聴きたいとおもう 半世紀前に世界が変わったのは ジミ・ヘンドリックスのせいだった そしていちばんせつない歌姫は ジャニスなのかもしれないのだけれど 哲学という重機ではほりおこせない 曖昧な岩盤が埋蔵された心で ぼくのてのひらにはなにも残ってはいないさ かどわかした王女以外にはたぶんね だれも震えないで欲しい ときどきは優しい雨にうたれてもいいじゃない ときどき君のうたを盗みにゆくからさ ビリージーンみたいに あるいはマイケルみたいに ---------------------------- [自由詩]反照/梅昆布茶[2019年9月1日13時05分] 人間の3つの美徳を挙げるならば 柔和 誠実 ほほえみ 人間に3つの悪徳があるとしたら 傲慢 打算 ぼくみたいな飲兵衛 偶数が好き 奇数は不安定だから きみもぼくも奇数月生まれだから サイコロみたいに転がる 神様が調整してくれてなんとか やっていけるようだ だれも明日を知らない 誰も死を知らないし ただその反照を ときどきおもいながら 生きてゆけたら 良いとおもうのだが ---------------------------- [自由詩]シュペルヴィエルに捧ぐ/梅昆布茶[2019年9月7日9時24分] 海に住む少女に会いにゆこう 大西洋の沖合いはるか めったに船もとおらない まぼろしの町へゆこう アイルランド訛りがとびかうはずのタバーンには 看板娘のひとりもひつようだし だれもいない町にガス燈がともってゆく夕暮に だれかが着るかもしれないバスローブや だれかがたべるかもしれないクロワッサン そうすべての女性が彼女にとじこめられている そんな孤独な少女に会いにゆこう ---------------------------- [自由詩]オニヤンマ/梅昆布茶[2019年9月12日22時09分] 季節は流れ詩は座礁して はるか太平洋の真ん中の島に流れ着くだろう いきることが何かの証明ならば 返す言葉がつまづいたままでいきてゆこう あるいは人生に返す言葉を紡ぎながら 座興だなんて 生きることを踏みにじりたくもないので ぼくときみの邂逅が46億年の証明ならそれでよい だけど君の背中に羽がついていないのはぼくのせいではない そういった羽を供給する会社の社員ではないのだから ぼくは優しい気持を維持できない時代がずっと続いている 雨あがりの森のなかの木漏れ日みたいなのがほしいんだが無理なんだ おどけてみても採用されない道化師がせいぜいかもしれない この詩がどこかにとどくのならば きみのもとにそっと送ろう ぼくは寝たふりをしてそれでも 十数年ぶりにみたオニヤンマがおしえてくれた空気の重さみたいな きみの静かな振動に触れてみたかったのかもしれない ---------------------------- [自由詩]月夜には/梅昆布茶[2019年9月24日0時42分] 月の夜にはからすが舞う かけたままの心には蟋蟀が鳴いている 無垢な地図帳には地番がない 条件は いつだって みたされないものだ 要件は大概なおざりにされ 描き続けること 想い続けること 求め続けることの幸福論 奪い続ける生き方 調性のない無伴奏の楽譜 シューマンの浪漫 クララの構成主義 取り纏めることのできない イデアが羽搏き続けること 誰かと断片的に出会い 素敵なダンスを踊る 冷たいスープは部屋の隅に置かれて あたらしい主人を待っている g ---------------------------- [自由詩]楽園への手引き/梅昆布茶[2019年9月30日19時35分] 楽園への切符をかった でも誰も待っていないだろうとおもった 楽園への切符を売って 一冊の本を手にいれた 普遍性への手引きという ちょっと手擦れのある素敵な本だ ぼくたちのちいさな歴史は 増幅のない淡々とした それでもやっぱりきちんとした 足音なんだと思う 人間は単純なものではないのにね カウントされて鍋に放り込まれて ぐつぐつ煮えるだけなのかもしれない ---------------------------- [自由詩]すずなり横丁の夜 に捧ぐ/梅昆布茶[2019年10月8日0時16分] ぶらっと寄らないかあの店へ 忘れられないひとが待っているかもしれないから すずなり横町とライブハウス 本多劇場と誰も歌わないあのうた ロングバケイションとお気にいりのロケーション 計器飛行を続けるこのよるの 懐かしいざわめきを 未来都市では生活できないだろう僕はそれでも未来がすきだ 僕たちの生活は些細なことで分解され 分析されて成長歴とか成人後の履歴とか 巨大なサーバーで管理されるのかもしれないが 未来都市では生活できないだろう僕はそれでも未来がすきだ アドラー心理学の明解と美しすぎるウイーンと ヨハンシュトラウスのワルツを踊るフロイト テクノロジーと柔らかなお月様と どこにも深くかかわれない自分があって ぼくたちの夜が形成されてゆく あるいは ぼくたちのよるはどこにもとどかないかもしれないのだが g ---------------------------- [自由詩]アラート/梅昆布茶[2019年10月13日11時25分] 軋む夜に宇宙は静謐を装って 僕のアラートは適切には鳴らないようだ 優しい朝のひかりを浴びて 入浴したての君がいてくれればよい 絶対零度の幸福論と 肩のこらないレトリック アルマ望遠鏡の電波の眼が夜を探索する 君との密会も宇宙にばれてしまうのかもしれない もっと見ようとすると いつか なにかを曝け出さなければ ならないのかもしれない いつも星々は生まれ いつもまでも子供たちは 面倒臭いけれど愛しくて 今日のぼくは なるべく いらいらしないつもりなんだから 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[自由詩]秋/梅昆布茶[2019年11月18日14時50分] はてしない海原をほんとうにボートで横切ってきたのだろうか 詰まらないことで 凹みはしないがだれも助けのない雑踏のなかを 天気予報のない生活の中で 気象予報士になれたら素敵だったかもしれない あるいは露出した地層の中から 古代生物の痕跡を発掘することが 無上の喜びみたいな人生もとっても有りだし ぼくが透明になるまえに きみが透明になってしまうのだろうか きのう島の南で揉め事があったらしい きのうのきのう島の東では部落の独立運動が勃発したらしい この島では壁新聞ではまにあわないほどに ちいさなできごとが頻繁に出来してゆくのだが 天国もちかいと猫に自慢する さびしさと勘違いした金の無さ 北京語の秋のはつおんさがす夜 ---------------------------- [自由詩]ふたつめの秋/梅昆布茶[2019年11月24日11時44分] 雲梯にぶらさがっていた君たちは いつか僕の子供でも仲間でも家族でさえも無くなって 風はきっと順番にあらたな名前を生み出してゆくのだろう 忘れ去られる恋人達にもせめて懐かしい墓碑銘を その墓地の片隅に僕の現世のハンドルネームがあったなら 礼のひとことも申し上げたい いつも原因を考える習慣がついてそれでも こころの一部がさからって波打つのが枕元の時計に表示されて秋 ---------------------------- [自由詩]谺/梅昆布茶[2019年11月26日5時22分] 問い返すたびに僕が増えてゆく ジミヘンのファズノイズでもあるまいに あるいはピンクフロイドのエコーズ 探す程に海は深く遠く風ばかりが吹いている 僕のこころの荒涼が優しく増殖してゆく やわらかな定形が好きなのかもしれない 人間ってそんな感じかなあと思ったりもする 骨格にささえられふわふわと生きている僕たちの領土は何処にあるのかと考えると 領土が逆にに借りを かえせと要求してくるような きがするのです 何もかもかなぐり捨ててなんてできなっかったのかもしれない ---------------------------- (ファイルの終わり)