梅昆布茶 2017年8月9日19時15分から2018年10月15日21時27分まで ---------------------------- [自由詩]趣味で生きているんです/梅昆布茶[2017年8月9日19時15分] 趣味で生きているんです 死ぬこともできるかもしれないが くだらなくとも 生きてゆくことが せいいっぱいの趣味なんです まだまだ生命活動を続けたいと こころが言っているようなので 誰もにぎれない操縦桿で自らバランスをとる 生命体でありたいのかもしれません それもときどき半音フラットするぶるーすのような 上昇や拡大を志向しないくぐもった自由みたいに 価値観のちがうだろうひとにも出会いますが なぜ違うのかとか考えるのが好きです できない 何もできないわけでは無いのでしょう あなたはいうんだけどもう限界 助けてって 僕だってときどき 辛うじていきているとおもうのです いつも限界のあたりをうろうろしている 徘徊者も世の中にはいるものです 僕はその類いですから ---------------------------- [自由詩]不完全な朝に/梅昆布茶[2017年8月25日5時33分] とても個人的なことが平準化された朝 すごく躾の良い彼女が眠っているので ぼくも寝たふりをする 不完全だからきみがすきだ ぼくは地球の微細なトッピングのひとりにすぎなくて 音楽や詩やきみにオタクな古いおやじなのだろう そして真夜中の都道311号線をこよなく愛しているのかもしれない あきばにでかでかとかかげてある艦コレの看板の意味がわからなくて アマゾンプライムビデオで検索してみて理解したが 最近のアニメはブリューゲルなみに不可解だがけっこうおもしろくもある やはり俺はオタクなのだろうと再認識する 彼女は哀しみが言葉にならないといって泣く でもいびきをかいて寝ているきみが好きだ どうしようもなく腹黒くなってるぼくは そんなきみに癒されたりもするんだ 三度の飯より親父ギャグ いつか頂上にでものぼれたら ほんとうの詩の一編でも みつかるとよいのだけれども ---------------------------- [自由詩]猫に戻る日/梅昆布茶[2017年10月4日9時31分] ちいさく頷きながら君が去ってゆく夢を見た 現実はそう変わらなくてなにもたくらみは仕掛けられてはいない 年老いた少女はいつも夢の花をアレンジメントしているのだろう 丘の上の孤独な愚か者はさらに愚かになってゆくのかも知れないが それでもラズベリーパイで世界をエミュレートする てのひらサイズの愛の物語を 久遠のむかしに仏陀の弟子だったのかもしれない 優しい時代は終わり世界の酷さが露呈してゆく事 それが歴史 最近は詩も描けなくなって僕はいつか猫に戻るのだろう 優しい気紛れな爪をもつ彼女の世界へ それでもきみは僕を憶えていてくれるかい? 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v ---------------------------- [自由詩]ねむり姫のうた/梅昆布茶[2018年5月20日9時26分] かろやかに壊れゆく春の記憶は 描かれた風景に変換されて 消えてゆく ひそやかな時はうつりゆき しろい指のかたちだけがのこる 春が終わってまた誰かの消息をたずねる 夏が終わるまでに ねむり姫に伝えよう ---------------------------- [自由詩]湿度計のうた/梅昆布茶[2018年5月26日10時37分] ぼくの家には湿度計が必要なんだ ウエットなときには彼女とけんかするから ぼくはすべてを知る職人になりたかった ぼくはすべてのものを所有したくなくて 変化するものが大嫌いで でも固定されることを憎んでいるんだ ぼくの整合性にしたがって 乱雑につみあげられた日常が充満した部屋で ぼくはひとり革命をゆめみて ふるい武器を磨いているのだが ぼくの別名を前期高齢者というのを妻からきかされた そういえばぼくの喪失と失踪をまた詩にでもしたてあげ 素知らぬ顔でいきてゆく いつまでも そんなおやじでありたいものだ ---------------------------- [自由詩]ミネストローネのうた/梅昆布茶[2018年6月4日9時20分] 解放の日の記念にミネストローネをつくりたかったんだ なにからの解放だってきかれても 僕にもよくわからないんだが とにかく野菜は自然主義者で そのおだやかな主張を胃袋におさめたならば 貪欲な物質文明からときはなたれるような気がして かってにミネストローネをつくる日を記念日にして 僕の中の収容所を閉鎖してゆくことにしたんだ 収監されていたのはたったひとりだったのだけれどね ---------------------------- [自由詩]大切なことをわすれて/梅昆布茶[2018年6月11日21時19分] とても大切なことをわすれて とても大好きなひとをわすれて それでも生きている あたえられた課題を こなせない生徒のように やっぱり不器用でふまじめで 廊下のすみにたたされているんだ 生産性という名の人生を 整合性という倫理を 愛という不都合を 克服することが課題ではなくて 窓辺の教室で 無視された花をつみとるように 割愛されたい人生をえらぶように もうそうながくは生きられないから ---------------------------- [自由詩]へそまがり/梅昆布茶[2018年6月24日9時57分] つむじまがりのへそまがり ろくろっくびのしんせきか すっぴんびじんはどこにいる 夜盗のはびこるこのまちで つけまとフェイクでまどわして やっぱりあなたはいいおんな ついでといってひと踊り 世界のすべてを灰にまく くずれゆくバベルの塔から遠望する この世界のよすがをたずねゆくならば いつか岬にたどりつき 彎曲したそのさきに灯台があるなら きっとそれはぼくの故郷にちがいないから ---------------------------- [自由詩]気流/梅昆布茶[2018年6月26日0時07分] ただしい農場では ただしい青果が生産され 世界をよりただしくしてゆくのだろう おびただしいひとの群れは おびただしい愛の定義をつむぎだし 世界をより美しいものにしてゆくのだろうか 救援を待つ宇宙船のなかでぼくは たぶん1冊の本とたったひとつの 自分のなかの音楽をもとめるのかもしれない うつくしい職場では産業能率的に環境音楽がながれ ロボット化されたラインは飽和を生産し続けるのだろう はずみでこの世に出来した僕ではあるが 誰にも親近感を見出せなくてとまどっていた頃は 孤独と一緒にいる春がすきだった マルクスの春はロンドンの貧民街にあるのかもしれない 散らばっている骨はすべて拾ってあげるんだが きょうもいちにちが 過ぎる ブレイクもしないしスルーする知恵もなくて 時代と普遍という高原をゆめみている じぶんの気流をさがして ---------------------------- [自由詩]アップデート/梅昆布茶[2018年7月17日9時26分] アップデートに本体が耐えるかどうかが心配なんだが そんなに最新のVer.でいきてゆける訳ではないんだ 情報格差とは素敵すぎる造語で仕掛けられた欺瞞なんだろう いつも調整しながら生きている老体にはさらにロボット化されるようで 僕は嘘をつき生きてきた ときにはそのせいで哀しみをおぼえるのだ ときどきためいきをつき誤魔化して歩いてきた ためいきをつかない他人に非難されつつ もう濃縮するものもないのなら 濃縮された夏を外気循環で過ごしたいものだ しかばねになる前だって歌をうたえるはず 歌手になるにはおそすぎることはないんだ 今の僕のベクトルが夏に溶ける きみとシンクロできない夏はとっても素敵だ もうぼくはあまりアップデートはしないだろうけど 世界はバグに満ちたままアップデートし続けるんだ 誰にもあえなくて でもなつかしくて この夏は手紙を書こうとおもっています ---------------------------- [自由詩]インディアンサマー/梅昆布茶[2018年7月23日21時29分] 同心円をえがいて僕らはまわる 軌道上の夏はいつもただしく狂ってゆく 微調整のきかないままに歴史は確定してゆき 人生は大概は傾斜しているものなんだって気づく 僕らはいつも延着して船荷は概ね腐ってはいるんだが 市場では普通のように売り買いされて消費者に届く 誰も嘘をつかないがだれもうそに気づいていない ニコライ堂の連?曲はいつか僕たちの歌になるのかもしれない 僕らのいちばん良い時の発端を僕らは発見していないんだ インディアンの哲学はいつだっていちばんの言葉だって思う 人にあうこともたいせつだが 自分にあうこともたいせつなのかもしれない ---------------------------- [自由詩]僕たちの日常/梅昆布茶[2018年8月6日21時11分] 創造の小箱がきみの中にあるんだ しこたまきらめきをため込んだ素敵なやつだ 誰にもさわれない特別な意匠がたくさん隠されている 想像の炎はときにきみを炙りあげるかもしれない それでもそれを消さないで欲しいんだわがままだけど 僕たちはつねに何かに拘束されてしまって あるいはいつも自分に必要なものを忘れて ふりまわされているけれど でもきみが良いといつもおもっているんだ 僕たちの限界は何? 年齢。性別。収入。美醜。感性。 それとも? ただ言えることは ほかの誰でもないあなたを とっても素敵におもっていること ---------------------------- [自由詩]ちいさな時間/梅昆布茶[2018年8月20日12時06分] 僕のちいさな時間をかえしてほしいんだ 双眼望遠鏡に閉じ込められたほんの僅かな視差を 星雲の光年には追いつけやしないけれど 僕たちは自分のひかりの速度をもっている パラダイスには遠いが自分のパラダイム ハーフタイムにはレモンスカッシュときみがいて でも僕のちいさな時間をかえしてほしいんだ 全部じゃあなくてもいいんだけれどね ---------------------------- [自由詩]居場所/梅昆布茶[2018年9月4日1時53分] 労働が好きなわけでもないが 拘束服よりは一生作業服でいたいとおもうのだ 新橋の夜にあふれるビジネススーツの残り香もきらいではない 酔っ払って誰かを吊るし上げるのも素敵なレジャーにはちがいないから 沢山のちいさな宇宙がぶつかり合って 夜を飾ってゆく電飾になってそれでも 彼らのかなしみが好きなんだろうとおもう 詩が好きなわけでもないのに あまり居場所もないので ここにいるのかもしれません ---------------------------- [自由詩]麦/梅昆布茶[2018年9月11日8時00分] やさしいかぜがふいている たのしいおんがくもながれている ぼくはどこへゆくのだろう せいしんろんがきらいで むぎのほのようにじゅうじつして ---------------------------- [自由詩]蝶/梅昆布茶[2018年10月1日21時50分] 何処にも届かなくていい 誰にも関わらなくて 何の問いもないが ただ在ることを想う ダーウィニズムがもたらした 革命にしたがおうとおもう 忙しい自分は本当なのだろうか ぼくはいつも空のワイン瓶をもって ふらついている迂闊ものなんだろうけれども どこまでも自分を定義しない潔さがほしいとおもう ただ在ることに憧れる 疲れた街に住み それでもつかれた自分しかなくて ダーウィンに逆らって ぼくは蝶になりたかった ---------------------------- [自由詩]ショッピングセンターにて/梅昆布茶[2018年10月8日10時42分] 月曜日は買い物日和だ 砂漠の中のショッピングセンターへゆこう 遠くの部族が集まる日曜日よりはましだから きみの前髪を上手にきってくれる人をさがそう くだらない思想でこころを壊さないように ついでの買い物が時系列を並べ替えてしまわないように たいせつな宝物をさがそう 自動販売機で缶入りのおでんとオイルサーディンを買おう そしてゲームセンターでちょっぴり魂を売ろう 好きだと言う前にたいてい想い人はいなくなってしまうから きみといっしょにフードコートで銀だこをたべようとおもう 夕方になったら帰りの靴をさがそう 闇にのみこまれないようなかるい靴を そしてどこからもダウンロードできない夜想曲を ふたたびさがしに行こうかともおもっているのだ ---------------------------- [自由詩]プチ 極道日記/梅昆布茶[2018年10月15日21時27分] 極道にも夢があり 極道だってポテトチップスをたべる 極道だって恋を恋して 鉛筆を舐めて可愛い日記をつけたりもする 極道だからといって 必ずしも横道に逸れるわけでもないのだけれどね ---------------------------- (ファイルの終わり)