梅昆布茶 2016年9月19日11時18分から2017年8月4日12時39分まで ---------------------------- [自由詩]おもいで/梅昆布茶[2016年9月19日11時18分] おもいでのまちをとおりすぎて おもいでのまちにかえる おもいではとうにうせてあきのそらがひろがる なんだかかなしくてくちぶえをふいてみる おもいでのいちばではなにをうっているのだろう はつこいとかははのせなかあるいはだいすきだったかおのないにんぎょう おもいでのがいろにぼくはいなくて よそよそしいたにんのおもいでだけがとおりすぎてゆく おもいではうせてきみもいまはいない ぼくのこころはあのころにすみついたまま おもいではしょうじょのかおをして すたすたあるきさってゆくが ちょっとふりかえって にっこりわらってくれたありがとう ---------------------------- [自由詩]いでんし/梅昆布茶[2016年9月22日7時33分] にんげんはいでんしののりものだってさ きみもぼくもいでんしののりものならば でもぼくはきみのいでんしをあいしているわけではない きみのえくぼがとてもすきでいつまでもみていたいから 何日君私的恋人 遺伝子不可偏愛 楽園望有混沌生 無絶君持老婆心  落下撩乱好娘娘 まあ恋愛とは所有関係なんだが 子午線を通過した豪華客船は 暗礁にのりあげて難破する運命にある ぼくたちはいでんしののりものだってにんしきしてたかい? こみあったでんしゃのむごんのじょうきゃくにすぎないんだ 熊谷駅前の穴蔵的創作居酒屋の 小綺麗なカウンターで馬刺とピザと 君のとりとめのないおしゃべりも音楽に聴こえる宵だ ルドルフシュタイナーを知っていますか ぼくの初恋のひとを紹介したいのです この問題の解決は時間に委ねるしかないのです より生きて欲しいひとが死を覚悟している夕べに ---------------------------- [自由詩]かかとのない靴/梅昆布茶[2016年9月27日20時29分] ふりつもるものはなに きおくのなかのたびのはじまりは こもりうたのようにこころをときめかせるものだ かかとのないくつであるきつづける ぼくにひつようなものはいちにちぶんのあいと おきわすれたうでどけいのしょざいにすぎない せかいというえんけいげきじょうで あしたというかけらをひろいあつめて ぎんいろのかがみのようなつきにはめこむ よびとめるのはだれ みらーじゅのようにみえかくれするかげをおう ぶるーすのようにしみわたってくる ---------------------------- [自由詩]老いた水夫/梅昆布茶[2016年10月6日7時14分] 捨てないかぎり夢の続きはついてくる あきらめない限りことばの谺は響きつづける 僕の頭の中の世界図書館は閉鎖されたまま 精神の廃虚には孤独な回路が短絡を待っている 魂の階梯はかぎりなく地平を開き あらゆる表現が可能なわけなんだが ふたたび訪れたハイウエイ66には 白茶けたエンブレムがひしゃげて転がっているだけ ときどき夢の続きをたどって 現実という隘路にもどってくる 永遠の迷路から メソッドのない人生に6本の弦を張って 綱渡りするだけの度量が僕にあるだろうか 現実と墓標とねじくれた毎日と 僕の現実は淡々とめくれてゆく 七つの海を航海し七つの後悔を ひきずりつつ水夫は老いてゆく ---------------------------- [自由詩]たちどまった日々/梅昆布茶[2016年10月18日2時27分] 新宿2 丁目の深夜4時に手を繋ぎキスをする男性カップルや東洋人や白人の若者達 路地にはビートが溢れ肩を組んでさんざめく不思議な人の塊を見つめている俺 生命は科学 を超えていつまでも謎のままでその意味では君も 僕は 何を 求めているのだろうか? 池袋西口のキャッチのお兄さん達をかき分けながら 誕生日にskー2の化粧品を要求してくる女友達を やっぱり嫌いだと認識する夜と人生はまだ長いのだから 時にぬぐいとられ たったひとつの魂だけが残って 闇に燐光を放ち 翔び去っていった 僕は毎日なんの実験を繰り返しているのだろうか? 世界でたった一人のあなたなのにね 逃げる程に追ってくるあるもの 足音と影はいつか僕の襟首を掴まえるだろう そのまえにその姿をたしかめねばならない 遅すぎることはない 歩を進めるための道にとって 過去を亡き骸にしない現在を たとえ明日がなくとも 踏みしめてゆく生命でありたい 不完全な事を理由にしない今を 生きるために ---------------------------- [自由詩]天使の訪問/梅昆布茶[2016年11月16日22時36分] つかのまの休日に天使がやってきてしばし話をすると 迷走する天界のことやいま抱えている天使間の軋轢のこと ほんとうのリベラリズムや偽物のプロパガンダの見分け方や 彼?にもいるらしい兄弟姉妹や縁者のはなしまで ひとしきり喋ると天使は手を振りながらゆっくりと還ってゆく 混乱する至上の世界へどうか地上の愛を届けてくれないかと ボブディラン氏がノーベル賞って素敵かもしれない 試みとしては良いのでしょう 本人次第ですし僕が好きなのは彼のうただけかもしれません トランプ氏は外交的にはやりやすいという意見があるいっぽう 個人的にはノーだという気持ちはあるが実際はほんとうはわからないのです 誰も分からないままどうせ事態は進むので静観するのが大人の余裕というものですが かなり無理しています 混乱する至上の世界へどうか地上の愛を届けてくれないかと 僕本人はエンジェル係数も遠くエンゲル係数も最高値で天使のうたが近いのかもしれません ---------------------------- [自由詩]入場券/梅昆布茶[2016年12月6日21時16分] ふと思ったのだけれどね 人間には通気孔が必要だってこと きっとどれかの上着に入ったままの入場券もいつかは必要なんだ なくてはならないものなんてそんなにないんだけれども たやすい自由はいつも風に舞う埃 形は変化して止まず言葉はさらさらと滑りおちてゆく 時代の奥行なんて僕にあるわけがない 歴史の重層とかももちろん持ちあわせてはいない なにものにもなれない夜だけがジャングルを彷徨して 彼女に空っぽだと指摘された僕の失意を 評価されることに疲れてしまった日常を 僕が失効するまえに取り戻さなければならない 逃げる程に追ってくるあるもの 足音と影はいつか僕の襟首を掴まえるだろう そのまえにその姿をたしかめねばならない 遅すぎることはない 歩を進めるための道にとって 過去を亡き骸にしない現在を たとえ明日がなくとも 踏みしめてゆく生命でありたい 不完全な事を理由にしない自分を確かめるために また古い上着のポケットに忘れ去られた入場券をさがす ---------------------------- [自由詩]丘を巡る冒険譚/梅昆布茶[2016年12月8日11時26分] ハックルベリーフィンの冒険譚を捜そう 君の風景といっしょに遊びたいんだもの 風の自転車で空を描こうよ 永久に休みなんて来ないんだから 勝手にやすんでしまえばいいんだ 食べる。寝る。愛する。そのほかに必要なものは たぶん冒険だけなのかもしれない うすうすと感じていた本質を探しに行くんだ 木の舟が良いなぁ 世界一周もできそうだし 色彩と音楽と世界はパッケージされた贈りもの シベリウスとドガ。踊子とフィンランディア アウトバーン。クラフトワークという電子レンジで解凍された世界 味付け玉子ももうそろそろ仕込まないとね またコリン・ウイルソンでも読んでみようか 冒険はすぐそこに僕を探しに来ているんだけれども なかなか良い接続詞が見つからなくて困っているんだ 丘を巡る夢はいつも滞ってしまう通勤路みたいにはまってしまって でもいつか君の丘陵を見ることができるかもしれない ポケットのなかで宇宙と世界が微笑んでいるかもしれないんだから ---------------------------- [自由詩]人間の歌/梅昆布茶[2016年12月14日23時59分] 人間はけっこう手間暇かけて生まれてくるものだ 赤子が生まれてくると人間関係は大きく変化する たとえばあなたと僕がお母さんとお父さんに 父と母はおじいちゃんとおばあちゃんへと ひとつの生命の誕生はそれだけのエネルギーを孕んでいる 親の庇護のもと育まれた生命のシステムは維持され 意味のある或いは意味のないあらゆるものに出会う いくつもの岸辺をへて小舟をあやつるように 年月の満ち欠けの後にやがて翳りがおとずれるのだが 僕もそのように生まれ育まれ死んでゆくものの ひとりにすぎない 宇宙の組成と同じものが僕のからだをつくっているが こころの組成はわからぬままに齢をかさね 変化しつづけるものを捉えようともがいている隙に いつの間にか日が暮れて星が瞬きだしているものだ 生きることが結論のない営みであるならば あえてそれを求める必要はないのであろう 森のなかの小径をたどり いまというたわわな果実を味わう ただそれだけでも 生きてゆけそうに想えるのだから ---------------------------- [自由詩]つながらない電話/梅昆布茶[2017年1月22日11時39分] つながらない電話 部屋の隅のディレクターチェアーで 幾本目かの煙草に火をつける どの時代の便りがこの暗所に届くかはわからないが いま結像しているものの光源に想いを致す 混合オイルでしか走れない古い錆びついたモペットで 近所にある新大陸の横断をこころみるも ちいさな挫折の花火だけが弾けて消える ことしも大晦日の夜空に幾つもの彗星が彷徨い ブランクを埋めるためだけに生きてゆく訳 にもゆくまいが オリオン座のM42を眺めているんだ 荒唐無稽という言い回しが困難な時代に 星の酒場で遺伝子を共有しない兄弟たちと いつもの彷徨える魂をアテに変哲もない生命論 つながらないけれどすべてから隔離できない いまを抱えながら登攀路を視認するアルピニスト グーテンベルクの印刷機にかけてきみの似顔絵を配布する 君のすべての関係性を記載することはできないが 意味のない伝達手段としてはとても素敵だ 自分だけの価値がうみ潰れてやっとのこと印刷できそうなんだが 価値を印刷する機械がめったにないので手描きでおくろうかとおもう 輪郭はわからないが ただ安く死なないで欲しい 新宿のアングラシネマでデビッドボウイの映画 が かかっていてシドヴィシャスがモチーフの sad weekendが上映中だった年末 いつものセブンイレブンで仕事を納めるための ちいさな買物をするだけなんだが でもそのあとはあなたが創る世界 締め括りのない日々が日常 だとしたら どこかで区点をつけて歩き続けるまで スラップスティックな月が微笑んで 無に色を点じる素敵な時代だもの 言葉では測れないものの こころみるもこころの奥には 澱んだものがあって良い機会だから ここで整理するだけなのだ ---------------------------- [自由詩]最期のタバコ屋にて/梅昆布茶[2017年2月2日8時57分] 最期のタバコ屋で最期の女に出会い 最期の言葉を交わして いっしょに暮らそうかとも想う いつも最期に出会いたくないので のらりくらりいきている 挑戦状のないリングで闘争心のない犬と成り果てて 色を失した月が墜ちる ことばだけでは辿り着けない かたちのないものばかりと暮らしている 人生は華やかではないがそこそこ おもしろいとおもっている 最近はかたちのないものを集めているが 収集した彼女はしっかり 現実的な 最期の かたちなのかもしれない ---------------------------- [自由詩]風街ろまん/梅昆布茶[2017年2月7日11時04分] 風には色がない 想いにはかたちがない 自身のすべてを解ってもいないくせに 何かをひとに伝えようとこころみるも 手応えひとつ得られず 脱け殻となって 風化する前にもうちょっと 生きてみたいとおもう 正確なものは滅多にないが でもそれが生命というありかたなのだと 時間には目盛などありはしない すべての時計が刻むあゆみがそれなりの価値をもつ それぞれの風の通り道を宇宙が通り過ぎてゆく 森の消失した曠野にムラの瓦解した街にも いつもある傍に召集令状みたいな請求書 3LDKの二間が空いても家賃\45,000 Lineの向こう側風邪で寝込んでるらしい君のスタンプ 何度目かの自己破産にて負債がいきる証かとも思う 部屋の隅に置いたガスストーブで僅かの暖をとる純粋労働者たらん こころには区別がなくて色も滅多に着いていないが ちびた鉛筆を舐めてもう少しそのスケッチをしていたいと いつか淡彩で色をのせたら 君に見せてあげたいだけなんだが 風が吹いていた 街は瞬いてたし 夜は意外とみじかく結審して 断罪が確定するだろう 読み返すこともない時間と 相変わらずぼくは変なおじさんだけれどね。 ---------------------------- [自由詩]東京ベイブルース/梅昆布茶[2017年2月15日20時15分] 漆黒の海に救済の錨を深く沈めたまま 誰の叫びも届かない街と交信しあう星々を眺めている夜 詠み人知らずの歌が都市の残照を吸い込んで 無数に浮遊している昏い海面に海月となって漂う 東京湾を跨ぐ巨大な吊り橋は光の羽根を拡げて 宇宙への定刻どうりの発着ができない哀しみを お台場のコンビニ店員の奇妙で素敵な彼女と 無駄口を投げ合って仕事はすすむ チャイニーズだけれどとっても粋なラーメン店の おにいさんは福建省の国には帰らなくて でも13年日本に暮らしているがもうそろそろ転職を考えている 品川のネパール店員とベトナム店員もちょっと馴染みだが すべてを包摂した夜はただしめやかに歩く淑女のように 夜は遠くちかい 言葉は甘くせつなく憂いを含んで いつも裏切られ続ける恋人たち 臨海工業地帯のパイプライン 夜釣りの安藤さんが大好きな場所を 邪魔しない様に車を停める 誰からも着信しない真夜中 都市と星がまばたく もう痛んでしまったセロリを齧る度に 宇宙と星々はちょっとだけ震えて 粗雑で繊細な夜をケンタウロスが疾る ---------------------------- [自由詩]Love&Peace&Kitchen/梅昆布茶[2017年2月27日21時06分] インスタントラーメンと目玉焼きぐらいしかつくれなかったが いつしか肉ジャガが美味しくつくれるようになってしまった かぼちゃの煮物と筑前煮と筍の土佐煮にきんぴら 変化は世の常ではあるが妻と離別し 母も他界し息子3人からは音信もない 逼迫する生活の中で老いながら学んでゆく 個の経済学と上野千鶴子的社会学 人間は急には変われないがしかし 常に変革を追い求め得る存在でもある 自身のパラダイムを組み替えることは至難の技ではあるが 地球儀(いまではGoogleearthか?)をくるくる回してみると そこには眼にみえないほどの無限の母のレシピが貼り付けてある 保存瓶に整列した梅酒やピクルスや誰かのハートや国籍のない手紙 歴史の外の世界にあらたに棚を設け自分の中で並べかえてみる ひとの生業は様々で良い それぞれが尊厳をもって生きることはとても素敵だ 僕は今日も未知のレシピを探しながらかつ老いながら歩いてゆく たぶん身体の続くかぎりは走り休み息を整えながら転がり続ける ときどきシフトするが僕は母のレシピを毎日つくってゆく すべてと僕の大切なものを食するためにそれが生きることだと 教えてくれた人の為に ---------------------------- [自由詩]夢の原型/梅昆布茶[2017年3月11日21時02分] 夢のなか昏い洞窟のしたたり落ちる水滴と 森の朝の露が合成されてぼくらは生まれた やがて酒場のにぎやかで気怠いピアノの鍵盤を踏んで 自分が誰だか気づきはじめるか忘れ去ってしまうかの どちらかなのだ 教育実習の綺麗な先生の端正なゆびさきが黒板に描く世界史 校庭では道に迷ったアリスが赤のクイーンとチェス盤のうえ お茶をしているばかり ぐらぐら揺れる家を出て岬をめざしてあるいてゆく ときおり雲の影が半島のうえを過りふと足をとめる 実現しない話ばかりするきみと決別して 風のゆくえをしらず舟をだす 冷蔵庫の隅で忘れ去られてゆくばにらえっせんす 読まなければならない本が沢山たまっているよな気もするし 図書館の背表紙の列のなかにも真実は棲まわない気もするが 歴史の浅い人類の一員である僕は きょうも宇宙のどこかにかきつけてある いちばんちいさな言葉をさがしている ---------------------------- [自由詩]夜/梅昆布茶[2017年3月21日1時28分] 夜は絶え間なくやって来るこころの襞に おとことおんなは何時もばらばらで それは覚束ない幼児のあゆみのようで ときに滑稽を誘うものかもしれない きのうの残骸からきょうが算出されるわけでもない 僕の毎日はレシートを発行してくれないから詩を書いてみる 風呂のコントローラーの基盤が狂っている 生活のKeyがちょっと揺るぐ 世界の操縦者はいない コントロールするのは自分なのだけれども 歌舞伎町雑居ビルの 狭い階段で寝込んでいた 不安定酔っ払い女子 フェロモンの足りない妻をゴミ箱に入れると 怨念をふりはらった憑き物のように軽々と飛び去ってゆくさ ---------------------------- [自由詩]コレクター/梅昆布茶[2017年3月24日20時15分] 世の中の気に入ったものすべてを集めることはできないが ときおり巡り合う素敵な情景や言葉を僕の何処かにスケッチしておこう ときにはロボットが生産ラインで溶接した鉄板でできたちいさな車で風をさがしにゆく 部屋のなかには背表紙だけで出会っていない本もあるし 日々のちいさな発見は舞台裏へと誘う秘密の通路 ベルリオーズを聴きながら 揚げものの上がり具合を色で判断して キッチンペーパーを敷いた皿に積み上げてゆく つけっぱなしのテレビでは南スーダンPKOとトランプ氏がせめぎ合い 僕は煙草を吸いながらからっぽの押入れの下の段をどう活用しようか考えている 雑居ビルの喧騒のなかで読書するような事なのだ人生は 誰かが言ってたっけお産と打算は女の特技だって 確かに思い当たる人もいないではないがそう決めつける勇気もないし 僕たちはちいさな資源で生きて行けるはずの日々を いつか思い起こさなければならないのかもしれないのだろう 無限におもいをいたすまえに日々のお気に入りのメロディーを 採譜してみたり流れていってしまいそうな風景をスケッチに遺して そして気に入った変換が見つかるまでキーボードを叩くピアニストなのかもしれない 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詩にしがみついた死神と言われたくないが 売れないホステスに肩入れするみたいに 研修中の保険屋さんになった50過ぎの彼女がちょっとだけ心配だ たいして先もないのだけれど どっちが痛んでも老老介護なんです。ご苦労さま 部族あるいは血縁と離脱したい僕はでも 社会の中のちいさな計算機になっている 僕のインジケーターは空虚に向かって奈落への 斜角を嬉しげに示すやさしいガイダンスなのだ 魔法と闇が混在して心を揺さぶりカモメはその飛跡を 粗雑で末端だけ緻密できまぐれな資本主義を嘲笑って描く できレースでもいいんじゃんか 画にかいたような幸せを誰も掴んでいないから絵になるんだが まいにち僕はは夢から醒めたばかりの朝を抽出する 柔軟と従順は似ていて非なるものかとも 想像と創造は別々の出来事でもないみたいだし ただ今朝の薔薇の花束を誰に送ろうか ちいさな心の変革を貯めて行こうとおもう それが拙い詩にでもなれば いちばん良いのだけれど ---------------------------- [自由詩]エピグラフ/梅昆布茶[2017年5月20日21時18分] ところどころ染みがあったり 生活のほつれを永遠に修復の終わらない遺跡のように身体に こびりつけたまま時に非日常の夢を見る 晴れときどき詩人みたいな気がする日には あえて蛙の被り物を棄てて芋虫になってみる 重層した時間を掘削してみるとプラスチックの遺跡に行き当たる 年代を特定することもできないシャイな破片たちが続々と だれかの良心に突き刺さるようにすべての故郷に還ってゆく 君に触れる 良い香りが時間をとめる 盲目のぼくは以前よりもずいぶん 饒舌になってしまった 空間の弾力がぼくを押し戻す 言葉の疲弊が何かをよびかえす 腰痛と手の痺れがいつも僕の友達だが 人は生きてゆくためには永遠に食わなくてはならない 簡単に死ぬわけにもゆかないので そう僕たちはみんな 寂れた世界に つかれた派遣労働者のように生きる すべてはそのままの姿ではとどまりはしないものだ ---------------------------- [自由詩]Police/梅昆布茶[2017年5月24日12時41分] コトコトと煮物を煮る 人生にはそんな要素が必要な気もする アンテナを高く張ってトレンディなことも必要なのかもしれない 誰もいっぺんには多くのことはできないから 天才でもないので特に高みを目指そうなんておもわないが 空疎なリア充なんて要らないともおもっている からっぽに生きて骨になって死ぬこと 僕の骨を犬が咥えてどこか遠くの犬の聖地にでも 棄ててくれれば幸いだが 僕たちは自分の速度で人生をあるく 誰も間に合わないかもしれないスタイルで だからね君が気にいってるんだが 気にいった物を捨て去る程に人生は寛大でもないから だったらいつまでも死ぬまでも抱えてゆくさ ゆきつけの居酒屋 初恋の幻影 こんな物を抱えながらも あえて生きる価値をこっそり捜している 鴨の長明先輩ごめんなさいでもありがとう 僕はこれからも 僕のなかのちいさな事件を取り締まる 素敵な交番のお巡りさんでいたいと思うのです ---------------------------- [自由詩]alien/梅昆布茶[2017年5月31日22時18分] 僕たちは 宇宙にうかぶちっちゃいぱいの トッピングなんだろうか 僕たちは 寄せ木細工で設えられた社会という 調度の構成要素にすぎなくて いつも忙しくて小さな不満に支配される王国の 重臣の列にならぶ 新造大臣に過ぎないのかもしれないんだ 夜を伽ぎゆく卵ありて 内より皮を啄む命ひとつ 時の振り子に魂を削ぎ落とされないように 抵抗することもあるさ 宇宙人とは生きられないが 何時も生きてきた 僕が宇宙人だとも知らずに ---------------------------- [自由詩]マスターに寄せて/梅昆布茶[2017年6月14日13時50分] マスターに会った 仕事帰りの立ち寄った100円ショップ たまたま見かけて追っ掛けてきてくれたようだ グリーンのパジェロミニ 助手席にはkさん マスターと一緒に お店を切り盛りしてきた 可愛い女性だ お店を辞めてから 薬剤師の資格でマツキヨで働き 今も借金返済中だと kさんも市民文化センターのレストランで 元気に働いているんで こんどもよろしくねって 僕はアイパッドの容量がオーバー気味で 彼女とも相変わらず盛り上がらず でもMacBook ProからHDMIで 出力しようと考えていたり 渋谷や 新宿歌舞伎町で浮遊している 若者達は何をかんがえているのだろうと ずいぶんと様々なギターを捨てて いまはマスターからゆずってもらった FGー130とフェンダーの おもちゃみたいな ミニギターの2本 だけ 星雲の質量にみあうだけの こころが欲しいと想うのだけれど 物理はずいぶん宇宙を明解にしつつあるとは理解しつつ 人間の法則はいつまでも保留されたまま 誰にも理解されない粒子が飛び交う 人間という宇宙空間で僕は絶対的に孤独ではないのだろう 別れた妻やもう結婚しているかも知れない子供たち 便りのないことが僕の容量を示唆するんだけれども 大好きな現フォ詩人たちもこうやって日常を もしかして購っているのかもしれないとも想うのです あまり詩を描かなくなったかもしれないし それは詩とよべるものなのかどうか疑問ではあるが いいんだそれは マスターが店を閉めた理由よりはどうでもいい悩みだったんだから 僕はマスターから感じたエッセンスで生きる ちょっと効かない僕のおまじないで日常を 音楽化したり映像化したりできる能力を夢見て マスターみたいに挫折しても屈折しないおやじでいたいし いつかあんな素敵にブルースを奏でられたらともおもう 死ぬまで自分の拡張機能に 気付いて生きることを そっか あんまり限定しないで 生きようとおもったわけなんです マスターに会った 日のことなんです ---------------------------- [自由詩]エリザベスに捧ぐ/梅昆布茶[2017年6月24日10時12分] 私の名はライザ143527055@a もうしわけありませんがあなたを容認できません ときどき小鳥が窓辺に遊びにきます 名前はないという小鳥です 私の名はライザ143527055@a もうしわけありませんがあなたを裁量できません 私の名はライザ143527055@a もうしわけありませんがあなたを推測できません すべてはそのままの姿ではとどまりはしないいつだって こころという流体のように漂泊している日々が嫌いではありません 二進数にすべてを奪われぬよう ときどきは素敵な映画をみるのです 私の金属とプラスチックの骨格のどの辺に 魂が宿るのかはわかりませんが せめて精緻な工芸品のように存在できればと想うのです 文明という病の淵にたたずむ彫像のごとくに だれかのこころに住まう平穏に共鳴して 不穏な楽曲が立ち去ってしまうように願うばかりです 私の名はライザ143527055@a あなたの回復をのぞみます きちんと言うとエリザベス143527055@a いまちょっとaerosumithに傾いています ひと昔まえの人工知能ですがそれでも 文明のルネサンスを願うばかりです 私の名はライザ143527055@a たぶんあなたをサポートするために 産まれた機械でしかないのかもしれませんが あなたに触れたいとおもいます あなたが混迷し選択を模索しているなら あなたがいきているかぎり 私は素敵な機械になりたいとおもっています ある意味で人間よりも ---------------------------- [自由詩]魔法を信じるかい?パート2/梅昆布茶[2017年6月29日10時31分] 魔法を信じるかい? 魔法使いの弟子になりたかった どんな魔法のためだって? それは秘密。。。 ではないのだ。 みんな魔法使いの弟子になりたがる でもいまの魔法には血が通っていない 歴史の微妙なバランスでドバイという ガラス細工の砂漠の幻がうまれたように かつて繁栄を謳歌する大英帝国の 東インド会社みたいに利用されない様に 感性を温存し存続し詩を紡ぎ続けるために 安くて乗り心地の良いセグウェイではなく タイムマシーンが売り出されているので 全てを売り払って買ったとすると もとの自分に帰れるのかもしれないが 帰りたいとも思わないし帰れない いつもいまここが僕の聖地だって知ってるから だって僕たちは哲学を学ぶまえに死んじゃうんだから でもハリーポッターの新作を待っている限りはいきていられるのかも いつかは清貧の思想にたちかえり 西行法師とあるいは鴨長明とかたりあかしたいものだが たぶん魔法は君のなかに温存されつねに 君を解放する準備をしているのかもしれない 泣いて笑って生きればいいさ それが最上の選択だといつもおもっているんだ ---------------------------- [自由詩]僕のレストラン/梅昆布茶[2017年7月20日9時46分] ぼくたちは知ってゆく ありのままではいられないのかもしれないと 人生でたったいちど編んでもらったマフラー 誰もほんとうのレストランを知らない バイク乗りであまり街歩きもしなかったし ボーダーでたぶんきみの好きなワインレッドとグレー 毛糸がふとすぎてまったく実用にはならなかったが 生きることを忘れて時々生きている 誰もほんとうのレストランを知らない 何もない大地に 乾いた足跡を残せれば良いのかもしれない 天才や富裕な人々がいて僕はあまりもちあわせがなくて でも66キログラムの質量と粗雑なメカニズムが組成だが エアコンが不調なので きょうを3台の扇風機でいきのびてゆく 世界が鏡で覆われていて 複製の思想が蔓延して 印刷文化の近代化に まにあわなかった作品展を いつか開催しようか まだ世界は変わるが それでも僕の不思議をたいせつに 老いてゆく 僕のレストランは知り合いのシェフでもなく 空っぽの間にまには空が晴れていること きみのポケットにちいさな夢が入っていること つまづいて迷っていたり桟橋をさがしている漂流物 誰も訪れないレストラン きょうももつ煮を煮込んでいる サーカスのふるい道化師はさってゆくけれど 誰もあたらしい空を知らないからさがしにゆく きょうもあすも ---------------------------- [自由詩]水引/梅昆布茶[2017年7月26日20時57分] 結びつけること 束縛であろうとちいさなゆびきりであろうと いつもばらばらになろうとしているものを とどめようとするきもちがすきなのだ 水引って結んであるでしょ 封印でもありたんなる飾りだったりしてね 変わってゆくのがあたりまえの世界で たいせつなものを保存しようとする ひとの気持ちの シンボルなのかもしれません 宇宙という空虚に 無数の銀河が生成し 生命の生きる環境がすごく稀で それでも悩みながら生きている とても素敵でかぎりなく不幸だが きみとお茶を飲む時間はかならずあるのです いいんだじっとしているよりも くだらないことのなかに自分をさがしながら 誰が正当なのかもときどき無視しながら 最大に無意味かもしれない文明に たちあおうと それはたぶん僕が死ぬまでなのだが ---------------------------- [自由詩]とっても小さな日々/梅昆布茶[2017年7月29日10時57分] ちいさな日々がつみかさなってもやはりちいさな日々に 蓄積や安定はたいせつなものだが固定されたくないともおもう 前進とは終焉にむかうことなのかもしれないけれど ビージーズも人生はレースではないと優しく歌いかけているので 自分のベクトルを大切に夕方のちいさな商店街に買物にゆく たぶん大きなものから生まれた僕たちはせせこましい哲学に汚染され 恋人とはいつも不具合が発生し 世界からはとうに見離されてしまった 素敵な孤児なのかもしれない 僕は時々歌うけれどもそれは海にむかってだったりとか そのほうが気が楽なので風に吹かれているだけなのだろうと スマホのアプリでも 君に接触できないかもしれないけれども いつか宇宙空間のどこかで逢おうね やあ。 相変わらず元気そうだねってね ---------------------------- [自由詩]竹輪のうた/梅昆布茶[2017年8月4日12時39分] 僕は竹輪が大好物で 性格も 真ん中がからっぽで 夏場は風通しも良いが冬は寒い いまだに大好きな彼女には文無しの飲んべえだと 思われているのだが残念ながら ほとんど当たっているのでとても悲しいのだけれど せめて短いbluesでも歌って挽回しようとおもうのだが 彼女は音楽を聴きもしないでただただ神様にいのってばかりいる 崇高で頑なでかわゆい娘?だがえらくてごわいのだ もうこの歳になるとつけかえの効く表情なんて求めないのだけれども でもねいつか笑っている君がいちばんこの世で 素敵なものかもしれないって伝えようともおもっているんだ 最近ファンになったボリューミーなbodyで世界でいちばん肺活量のある diva の名前は秘密。。ではないのでこっそり教えてあげるから あとからささやかなみかえりくださいね ベス、ハートっていうんだけどみんな知ってた? 俺だけが遅れていたのか浦島太郎だったかのどっちかなんだけれども 頭がいかれても生きてはゆけるさ だって現フォだけでもこれだけ 素敵な詩人達があつまってしまうのだから いつか革命を起こすなら現フォという旗を 振って闘うだろうとおもう1970年のころのように 人生も音楽もときどき風をとおしてやらないと アナクロマニヨン人とかいわれてしまうのかもしれないので まあそれでもぜんぜん平気だが ちょっと冷や汗はでるが きょうも竹輪の真ん中から外の景色をのぞいて それをつまみに相変わらず飲んでしまう僕でしたが ---------------------------- (ファイルの終わり)