梅昆布茶 2013年6月27日14時48分から2013年7月30日14時44分まで ---------------------------- [自由詩]その日暮らしの手帳/梅昆布茶[2013年6月27日14時48分] いつもその日一日生きれればいいとおもっている 多くは望まない 望んでも身の丈に沿わないものは無駄になるだけ 誰かに進呈しよう 身の丈に合わない結婚生活のなかで似合わない幸せを願った事もあった まあ それはそれで楽しかったのだけれど 年月は人の輪郭を 内面を変えてゆくものだ 僕はいつか枯れてゆきたいとおもっている 静かに潮の引くように もういまさら大波は来ないだろうさ 僕はサーファーではないし しいて言えば丘の上のお馬鹿さんだろう 多くを失ったがそこから得た教訓は とても貴重なもの 鴨長明が方丈記で述べたことを 確かな命としていま生きている もう自己憐憫の涙で自分を洗う事もなくなったし 静かに人生の次なる階段を実感したい 年老いたナルシスは 次代のナルシスにとってかわられるのだ もう恋も遠い遠い世界だ くるものもさるものも蝿だって追わないものぐさだもの でもときどきこっそりデートの約束やら 取り付けてくる 古強者ではあるが 最期に無常を観じて逝きたいとおもっている 誰にも看取られず 一人で空に還る 生まれた時も一人だったさ ただもう孤独ではない そういう感傷がなくなった そう 立派に親父として大成しているのかもしれない 我が子に言わせたらブーイングの嵐だろうが まあいいや どうせ俺に似てるんだからな 可哀想だけど ただ欲目で言わせてもらえば 俺の子は三人ともに優しい 俺にやっぱ 似ているもんな うちの嫁はかなり鬼嫁だったから それでも一つの救いだが いまだに嫁の心配もしている その日暮らしだから綿々と描いてもいいのだろうが どうせまた 同じような事を書き連ねるので ここでやめておく その日暮らしの手帳は いつも僕のお尻のポケットに 入っているんだもの ---------------------------- [自由詩]ギタリスト/梅昆布茶[2013年6月28日18時12分] ギターは女のよう 心をこめなければ響かない ギタリストはやわではいけないんだ 夜は長い ときにしくじる事もあるさ ときにはね でもねインプロビゼーションは最高 もう漏れそうだぜ 雨上がりの夜には グレープフルーツムーンが もう寝てはいられないさ ムスタングのエンジンをかけて 空を仰ぐのさ 火と風と雲 それが僕の成分だ ジャコパストリアスのように ギターを奏でたい そこの太い足の女の子 よく聞いてくれよ 俺は大根足の味方だ 僕はギタリスト お世辞でもいいからそう言ってくれ 僕らは戦士 音を武器に戦う バンドのメンバーはみんな逝っちまったが 僕らはヒッピーだった そうマリファナを廻して インドを夢見てた バイクを飛ばして ハイになってた なあおまえのブルースを歌えよ 誰も愛せない 僕を愛してくれるかい 一緒に寝ようよ 僕を信じてくれるかい エクスタシーを 僕はただのギタリスト ただ君に想いを伝えるだけ そう 僕はギタリスト ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]人生はスリーコード/梅昆布茶[2013年6月30日8時34分] よく言われるのはスリーコードさえ弾ければ曲はできる。 だからFコードの壁でギターをやめた無限に近いスーパーギタリストに言いたい。 ローコードだって充分なんだ。 DとAとFが弾ければ立派なミュージシャンだってね。 もし君が詩人になりたいなら詞を訴えるためにはしっかりバックのスリーコードをマスターした方が良いかもしれない。 あの70年代のニューヨークのアンダーグラウンドの巨匠ルーリードだってねライブではだいたいスリーコードがほとんどだ。 それでもあれだけの表現ができる。 たとえば高田渡の生活の柄とかだってせいぜいスリーコードぐらいしか使っていない。 ブルースだってしかり。 前衛的なものだって言わば身近なスリーコードでできてしまう。 僕たちは複雑の呪いに取り込まれていないか。 シンプルがいちばんエネルギーを持っていて繊細さや脆さはその基盤のうえに成り立つものだって。 やっと思えるようになってきたさ。 そう人生はテクニックやレースでは無いと思うんだ。 スリーコードをコントロールできればあとは君の詩をのせるだけなんだね。 ただね極端な厳密さはいつも他人を殺す。 それだけは忘れないように生きていたいんだ。 ねえ 先生?! スリーコードは背景であとは君の詩がすべてを綴る。 だからいまのいわゆる目立ってなんぼの潮流に釘を刺す。 詩と音楽は近接している。 あるいは同じスタンスでできるのが嬉しい。 僕も近くのカラオケ大会に誘われて歌うかもしれない。 なんだか最近ミュージシャンっぽくなってきたかもしれない。 ---------------------------- [自由詩]遠く離れて海をゆく/梅昆布茶[2013年6月30日23時20分] 淡い光があたりを満たしている そういつもそうなんだ 違った世界 瞼の裏の光景さ 気にするほどでもない そうさ海をゆく 失速してストンと墜ちる そんなことを繰り返して生きている まあいいさ 光のなかをゆく あとは振り返らないんだ 多くの河をたどってきた 好きな娘はいっぱいいて困るが それでいいかなともおもっている 僕は変われない でもね 次に進めるんだ 新しい地平を求める 丘の上の馬鹿者はそれなりに生きている それでいいさ 今日も一人でご飯を炊いて 缶詰めを空けて 生きてゆく 虚しさなんてないさ 空っぽの世界なんていらないから 光のなかをゆく 僕に伝記はない ただいまがあるだけ 遠く離れて海をゆく 後悔はしないんだ 光を求めて旅をする ただそれだけ ニーチェだってソクラテスだって 僕のようには生きられないんだ 自由な鳥をおもう そう僕の化身 光ある処へ僕はゆく そう 遠く離れて海をゆくんだ ---------------------------- [自由詩]遠い声遠い部屋/梅昆布茶[2013年7月2日1時04分] 不幸な少年はバスに乗る 何処へも着かないバスに 最果ての街に行きたかった 月の無い夜に生まれた いつも夜を宿している 言葉を持たない 銀河の端っこから滑り落ちてきた魂だもの 空を見上げる この世にとってはお荷物な存在だ くるりんと回転して落ちてきた 夕暮れの気配に世界を見渡す 何処へも行かないバスに乗って 何処へ行こうと言うのか バスは夜の高速道路をひた走る 少年は口笛を吹く まったく行き先の違うバスの窓から 君が手を振るのが見えたんだ だから 僕はこの世界をあきらめて 次の扉を探し始める ねえ素敵なことだろう 不幸な少年はバスに乗る いつまでもターミナルに着かないバスに 良い旅だ 銀色の尖がった月は 少年の柔らかなこころを刺す 旅はいまもつづく 痛みの果てまで 存在理由ギリギリまで生きてゆくんだもの 野の花が微笑んでいるさ 春の宵だ 弦の切れたギターをいつも抱えていた まるで赤児をだくように そして歌う 子守唄のように 或いは手の届かない初恋のように まるで夢のように 旅立つ日はいつも雨 もう少年ではいられないが それでも言葉を探しにゆく 粉々になった夢を つなぎ合わせて たった一人で 遠い旅路をぶらぶらと 少年のままに 幼いままに ぶらぶらとね ---------------------------- [自由詩]草原の月/梅昆布茶[2013年7月3日0時43分] 草原を照らす月を眺めていた グレイハウンドバスはバーモントの月に似合っているし 僕に煙草をおくれよ まだポケットに残ってる筈さ ねえ君 僕たちは広いこの世界を放浪してきた 旅の終わりはいまだに見えないが 日々は容赦なくすぎてゆくさ すべてを思い出にしてしまおう 君との事だって たいした物語でもないしね お伽話の続きはもう無いのかもしれないな 月にウサギが棲んでいるなんてね ギターを弾いてくれないか とびきりの曲を聴きたいんだ 多少はずれたってかまわないから 小さな街を出て何に会いにきたんだろうね僕らは 幸せって言うやつかい それとも 人生の意味とか言うやつだろうか なんか違うような気がするがまあいいか 草原を照らす月を眺めていた そこに何を見ていたのだろう ぽっかりと空いた心の穴 彷徨うばかりの自分さえもう飽き飽きしているんだもの 今夜ぐらいはバーモントの月を 眺めていたいんだ 今夜ぐらいはね ---------------------------- [自由詩]ティーバッグの悲劇/梅昆布茶[2013年7月3日15時12分] あたしはしがないティーバッグ だれもあたいなんか見向きはしない 男に飲まれ味あわれて生きてきた 昔は跳ねっ返りなんて呼ばれてたっけ あたいの味は出尽くしてしまったの 悲しいけれど もう恋もできないの まるで足枷のついた自由を生きているみたい もうだれも好きじゃないし 空っぽの瓶は空っぽな音で鳴るの ヒューヒューってね 辛くても溜息も出ないの 壊れたオルガンみたいに 誰も弾かない 不幸の猫があたいに何匹もまとわりついて囁く ニャーニャーってね 哀しい女ってね ちっとも役に立たないんだ ブツブツと独り言ばっかりで 戸をたてったって聞こえちまうんだ 近所のおばさん達は あたいを忌み嫌ってる あたいだってあいつら呪ってやるさ ただうるさいだけのババア達さ 月が傾くころ空に帰るんだ 自由な空へ もう怯えない 最初から何もないんだもの だってあたいはティーバッグ 3分もあれば で尽くしてしまう女 ね〜 それでもよかったら抱いてみて ---------------------------- [自由詩]僕とオートバイと夏/梅昆布茶[2013年7月6日18時22分] 僕とオートバイの夏 焼け付くアスファルト 微かな白煙とオイルの匂い それが僕の青春だった 見上げた空には星が無く ただどんよりと地上の光を映していた アクセルを開けると世界がスリップし始める まるで言い訳がましい友達みたいに おふくろが説教を始める前にとにかく逃げ出したかったんだ 闇を裂いてね 時にはテントとシュラフとオートバイだけが僕の世界だった 夢も見れない街を離れて 高原の風と光に会いにゆく まるで恋人と逢引するかのように 夢のように 高原へ続く道は白樺の林や 名も知らぬ花が散りばめられて おだやかな勾配で 高みへ登ってゆく 空と光と風の神話の世界へ 或いは灯台へ続く道を走る 潮風が胸を満たす まるで故郷へ帰るように 遠く島が見える 彼女の島だ そこには懐かしい風景がある 僕とオートバイの夏の匂いが僕をみたしてゆく そういつもの夏だ 暑くて孤独な夏がまたやってくるのさ 僕は一筋の排煙を残して またあの空に駆け登って行くんだ そんな僕とオートバイの夏なんだ ---------------------------- [自由詩]ただいまカラオケ中/梅昆布茶[2013年7月6日23時22分] ダミ声が響き疎らな拍手が起こる ここはカラオケ酒場 僕の安っぽい人生だ 磨り減った歌詞を磨り減った人間が歌う 僕にはお似合いの場所 ここも例に洩れず高齢化が進んでいるが 今の老人はまあ元気だ ど演歌では無くなかなか洒落た曲も彼らは知っている 彼らなんて言ってしまったが 僕だって同世代 ただ付き合ってる連中がちょっと若いだけだ でも歌の詞のなかには時々ドキッとする言葉を見つけてしまう 俗っぽいと退けてしまうのでもなくなんとなく聴いている でも彼等が盛り上がって楽しければ 歌詞なんてどうでもいいのかもしれない 僕だって2000\で飲み放題の焼酎で良い心持ちになっちまってるし まあ月に一度ぐらいはね 良いのではないだろうか と自分を納得させる どうせ 彼女でない彼女もいるし まあいいか どうせ人生カラオケだ 空っぽの方が 気持ちがいいさ ---------------------------- [自由詩]人生を線に例えると/梅昆布茶[2013年7月8日0時20分] 人生は線分上にあるって誰かが言ってた 僕は線分の上で踊るバレリーナ ちょっとすね毛が醜いが歌だって歌えるさ 発酵した愛なんても〜沢山なんだ 純粋な惑星に住みたいんだ ポパイとオリーブみたいにね 僕って不幸な奴なんだ だから歌うんだ 子犬の歌を 星や銀河に関する歌を 君の歌を 僕は何処へも行かない この線分上でルーリードの詩を読む リルケやボードレールや寺山修司の影響を受けながら生きて行くんだ 浜松町の駅は夜中はとても静かで素敵なところだ 逢引にはちょうど良い も〜僕は恋愛はしないさ 君なんて好きじゃあないさ もちろん大嘘だがね 僕は君のえくぼをこよなく愛している そう自分でも怖いぐらいにね だからあまり笑わないで欲しいんだ 僕のつまらない冗談がどんなに愉快でもね 詩は詩人ばかりがかくものではないさ 日常は詩で埋まっている それを取り出せば良いだけなんだ 即席ラーメンみたいなもんさ お湯を入れて三分 それでこの詩の出来上がりさ ---------------------------- [自由詩]今夜は眠れない/梅昆布茶[2013年7月9日14時58分] 羊をたくさんたくさん数えたさ 本も一部屋分読んだ 煙草も辺りが煙る程吸ったさ だけど今夜は眠れない 君の夢ばっか見るんだもの とても切ない夢さ 地球が凍結する本やメンタリズムの本を君は喜ぶ 人生はセンスofワンダーランドらしい 僕も同意見だ 母から貰った儘の僕でも良いのだが 最近とても冒険したくなっている 喜望峰をまわって何かを探し出したいんだ 洞窟をほのかに照らす髑髏の燭台なんかが出てくるあの冒険小説みたいにね いっそ海賊の一味になって殺戮や暴行を繰り返してお尋ね者になろうか アンニュイなんていらない 明眸だけがものを見れるんだ 時々思うんだけれど 君がルノアールの少女像に似てるってね 勝手な思い込みかもしれないね 一本の木の橋が君とのあいだに渡っているんだが いまにも折れそうなんだ バランスをとっているのが不思議なぐらい 谷底には一輪の花が咲いていて 君はそれをとって欲しいとせがむのだけれど 僕は怖くてすくんでいる いまにも橋が朽ちて 君と僕は関係なくなるような気がして そうとても怖かった 夢のお告げなんて信じないけどさ 一度精神分析にかかろうかとも思うんだ ケネディが撃たれて死んだ日僕はまだ子供だった でも何かが終わったのを感じていた ジョンレノンが撃たれた時は随分悲しかった でもいま思えばそんな痛みなんてどうって事ないさ 君を喪う痛みを知るまではね それは相当の痛手だった 僕の戦闘能力以上の でも誰もが失ってゆくんだ 大切かどうかに拘らず何かを何時も 風が巻いている 君との距離は遠い それで良いんだとおもう それで僕はやっと大人になったんだもの ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]古書店日記/梅昆布茶[2013年7月13日0時29分] 僕は一応古書店主だが店舗はまだない これからできるかどうかも不明だ でもどうせ店舗を構えるのだったら 居酒屋かコーヒーハウス ライブハウスとか併設したいもんだ 古道具屋もいいかな 俺に似合っているし 占いハウスとかもいいかな ちなみに埼玉風鈴堂というのが店の名前 まあ本の在庫はあるけれど売り上げはほとんどないが ヤフオクと楽天に出品してるのでよろしくね できれば詩集は充実させたいと思ってるんだ 同人誌もね まあゆっくりやるさ 焦ったって実はつかないものだ でもその前に僕の天寿が来そうだが いま出品するための本の整理をしている とりあえず題名と出版社だけのデータベースをつくる 仕入れ予算の関係であまり高価本はない ただエロに走りたくはないので 手軽な出口は塞ぐ Officeに打ち込んだ書名は 逆に僕を撃つ 読んだ事もないのに 本を飯の糧とする浅ましさ 俺らしいのかもしれないが ただ恥じるばかりでも 生活は成り立たない 一応運送屋で月々の給料は入るので良いのだが 本に埋れて死にたいと思うんだ そして君の詩で生き返る そんな繰り返しが好きなんだ とってもね 君はピカピカ光っててとっても素敵だ 古書達よ 君は生涯の友だ ---------------------------- [短歌]土曜の午後の歌/梅昆布茶[2013年7月13日15時36分] 陽はまだ高けれど午睡して吟醸酒など涼しげな夢も 女友達数人いても妻も娶れぬまだ木偶の坊 折々の歌などもたぬはぐれものまあいいやでまたやり過ごすくせに 同人の原稿急いででっち上げメールで送れば文字化けしてるし 花の木の彼女の笑顔が大好きで勝手に桜の乙女と名付ける 昔うわばみ今小蛇年相応に枯れてゆきたい おっとっとお菓子じゃないよ僕の口癖からだ動かず口だけ動く ロックンロール頭とがらしポマード塗って顔の乱れをちょい隠す ボブディラン ジョンレノン マイケルジャクソン どれにもなれず我が道をゆく 土曜の午後 暇にしてると 引かれるよって 祖母が言ってた それもいいかな ---------------------------- [自由詩]峠を超える/梅昆布茶[2013年7月14日0時27分] 山の入り口からただ一つの一軒家を過ごして笹の攻める狭い道をゆく 獣でさえ通いそうなこの道で行く末を想う 知り合いはいない ただ一人 風はやや強いがしのげるほどだ もう末もない人間が何を想う必要があるのか いや生きている限り想いはある 石に命を刻む 路傍の石だ 心 とでも刻もうか 峠をめざす 誰もいない 山はいつも立ちはだかっている いつもバイクで山に登っていたが 徒歩で挑む それって本当の人生 廃屋の人生で何を見るのか ゆっくりと死んでゆく 大好きな時間 間の抜けた間投詞 いつも女性特有の美意識にやられているさ それでいい 大好きだもの 今僕にボブディランが歌えるのだろうか 自分の歌さえなくて 山の頂上は見えるが 歌の頂上は見えない 詩の頂上はもっと見えない いつか保護色をはいで 自分をゆっくりさせたい 峠はいつもある それは必然だ 狭い笹道だ でもね 待ってるものが僕を生かしてる それが生命 それが愛 峠は僕のためにあるんだ ---------------------------- [短歌]日曜の朝の歌/梅昆布茶[2013年7月14日9時33分] 朝ぼらけ冴えない頭であくびしてああ今日も生きてる息吸ってるさ あの恋は何処へゆくやら目玉焼き作りながらも考えているボケ ブーゲンビリアの咲くように南の島で暮らしたい朝 魚の眠りの様に深く海の底で優しく愛しくやすみたいなあ 髪染めて若返りたいこの頃は青春の歌の思い出される フルーツのような君を食べたくて朝食につけたサイドのサラダ 朝市で買った枝豆茹でながら参院選の特集を観る ストレイキャッツのロカビリー懐かしみながら発酵してゆく朝 特売の秋刀魚焼いて発泡酒白菜畑のキムチをつまむ 日曜日後にも先にも日曜日グダグダ過ごす日曜日 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でもそれが幸せだと思っているんだ それに最近ギターを覚えたんだ すごいだろー ダミ声だが歌だって歌えるんだぜルンルン 江戸時代のからくり人形は僕の遠い親戚さ 決してアトムのようにかっこよくはないが 僕は人類に愛を教えるために生まれて来たオンボロ天使なんだ でも昔ボロットという漫画があったんだ 実態はそれに近いがまああまり気にしないでくれ 僕は大塚愛ちゃんのサクランボとか聴くと元気になる変なロボットなんだ ただ自覚してるからあえて指摘しないでくれないか そういう君が大好きだ でもね時々思うんだ マルクスレーニンの時代に生まれて 一緒にロシアを そして世界を革命したかったってね ロボットの革命児ってねかっこいいと思うんだ 腐った文明に楔打ち込んで そう人間と共存したかったんだ 共産主義の理念はまさに人間ための理想だったが もちいるものが人間という限界があって かと言って資本主義の末路ももう露呈し始めて 僕はただのロボット 何も人間に対して言える立場にないが せめてひとことふたこと 僕ロボットだけどそのうちロックローラーになりたいと思ってるんだ 内緒だけど 宮沢賢治の詩をロックにのせたいんだけど 最高の童話や詩は 僕にとっては即ROCKなんだにゃー ねっとりとした戦後という時代を(個人的な感慨ですが) ロボットのように昭和にもろばれてきた父と母に代わって まあいいや政治家先生は頑張って 僕もあての無い国の1ロボットとして頑張るから 政治屋達ちゃんと民主主義学んで国つくれよな でもねでもね ロボットには選挙権無いんだよね ありがとね ---------------------------- [自由詩]通りゃんせ/梅昆布茶[2013年7月21日5時29分] 町の外れの思い橋 誰を想って茜色 心を寄せた思い橋 泣くのをやめて通りゃんせ 日暮れのいろのこの身には 微笑みは遠く はれぼったい眼で見る世界は 素知らぬふりしているようで 通り雨の様 あの人はまるで通りゃんせ あたしはまるで抜け殻の様 魂抜かれた人形のよう 歌を忘れて立ち止まる 何をよすがに生きましょう お月様にたずねましょう たとえ心を捨てたとて 誰があたしを抱きましょう 人間らしく成れましょか 町の外れの想い川 暗い流れをみています 今も誰かのぬくもりが さらさら流れる川でした 夏の終わりの風吹いて ひそかにあたしを連れてゆく 何処へゆくのか知らねども 黙ってついて参りましょう もしも想いが届くなら 大事なお方にしんぜましょう もしも逢瀬があるならば 命捨てても叶えましょう もぬけの殻で生きるより 道に迷って通りゃんせ 夏の終わりの風でしょか ---------------------------- [自由詩]堪忍袋/梅昆布茶[2013年7月21日6時05分] 堪忍袋は秘かに膨らんでゆく それはとある場所に隠匿されて 利用者を待ち続けているのだ 堪忍袋はいろいろな人間模様を呑み込んでいる 巨大な袋は今にも破裂しそうだが 秘かにその聲を聞いてみると まあ大変な事になっているようだ 罵詈雑言のオンパレードであります 怨念もたっぷり含んで嫉妬や殺意や泣き落とし 人間どうせ不条理なもんだ サルトルやカミュ以上に実存的な生き物だもの いま堪忍袋はその過剰な負荷に耐え切れず 破裂寸前なのだ 言わば現代のビッグバン だからマクドナルドのクオーターパウンダーでも囓って気を鎮めよう なあブラザー&シスター 堪忍袋のおかげで平穏な日常がある事に感謝しようぜ 堪忍袋堪忍袋は偉大だ まあお袋みたいなもんだが 堪忍袋を忘れるな 堪忍袋は天才だ 堪忍袋は君のもの ビバ 堪忍袋 ---------------------------- [自由詩]赤い靴/梅昆布茶[2013年7月21日6時56分] 忘れてしまった時がゆっくりと蘇る もう鋭い片鱗も無い 優しく語り合ってゆく 巡り会うそして 慰めあって生きようとする者たち そう僕たちは回遊魚なんだ 自由を酸素として 常に泳ぎ続ける 永遠の魚 誰も遮れない心は自由だ それを殺してはいけないのさ 赤い靴は誰が履くのか 君に履かせたいが意に沿わないみたいで 僕はボーっとして それでも君が好き いつか赤い靴を履いた君を見たいと思うんだ 赤い靴 赤い靴 ふたりをつなげてよね 赤い靴 ---------------------------- [自由詩]銀の月夜の浜辺には/梅昆布茶[2013年7月22日23時08分] 銀月夜の人魚 ほろほろとほろほろと波打ち際で泣いていた 人魚は何が哀しくて 月夜の浜でひそやかに 恋の痛みもありましょう 生きる辛さもありましょう こっそり夜風に伝えましょう 誰に涙を伝えましょう 波が返事をするばかり 月がにっこり笑ったような そんな切ない夜でした 銀の光に浮かびます 影が伸びます唄います 波の間に間に想いが揺れて 沖に流してしまいましょう 帰る宿無いやるせなさ きょうも空に飛ばします 銀の月夜の物語 さびしい人魚の夜でした ---------------------------- [自由詩]天空の魚/梅昆布茶[2013年7月23日16時18分] 真夜中に水を打つ音が響く 銀河を泳ぐ魚だ 闇と光のはざまを 滑らかに泳ぐ生き物 それは大宇宙の命の迸り 新しい生命を育む 循環だ オーロラに彩られ 奴らは泳いでゆく 生命の慈しみを 搾り取るように そして何処かにふりまいてゆく 生命は循環して 種をおとし 何処かで再生し続ける それは僕たちの 祖母祖父でもあり 子や孫でもある そう宇宙の系統図は綿々と 宇宙のDNAに刻まれてゆく 枕辺の寝苦しさ それもいいが 宇宙の空気を胸いっぱい 吸ってみたらいかが あなたの心を侵略するにあたって 天空の魚は 常に群れて泳いでいるのだ 空の流れが見えるなら そこに泳ぐ魚も見えるだろう 僕たちは 自分の魚だけを追って 一生を終わる 天空の魚 それは僕たちだ 天空を忘れて 堕ちてゆく天使達なんだ だから魚の声を たまに聴いて見ることを お勧めするんだ そう僕たちは 天空の魚だったんだから ---------------------------- [自由詩]家族の肖像/梅昆布茶[2013年7月24日16時18分] 幼い子供達とはあまり遊んだことがなかった 家のローンがのしかかっていた 人生でもっとも不要なもののために 一番大切なものをないがしろにしていた 時代の風は遥か家族の上空を吹き過ぎて行ったさ もう十年も会わなければ家族と言えるのだろうか 子供達も成人しているとはいえ父親をなんと思っているのか 不甲斐ない親であった 知恵もなく金もなく地位も無い ただむやみに働いて酒を飲む 若き日の文学青年の成れの果て 子供らよ嗤うがいいさ それが真実だから 妻よ世話になった ろくでなしの妻は大変だったろう まあこれからは楽してくれよ 僕は孤独と自由の比率を 僕の命に合わせてブレンドして生きている 愛は欲しいが それだけでは生きられない もうこの歳では恋愛もままならないが いいんだ息子らよ 自由に生きてくれ 何か有ったら助けにゆくから 千葉はちょっと遠いが お前ら死ぬまで俺の息子だ 覚えておけ 父は一生旅を続ける 歌をうたいつづけるさ 愛について哀しみについて お前達について 言い残したい事は 山ほどあるんだ 恥ずかしい親父の話をいつか聴いてくれよな 僕はもう孤独では無い もう死が友の範疇の人間なんだ そう優しい死が僕を待っている 刹那に生きるのももういいのだ インプロビゼーションはうんざりだ たいしたギタリストでもないし 下り坂の人間はどうでもいいんだ 僕は家族を社会的に歴史的に捉える 子供と俺 まあよく十八年も暮らしたな また孤独 そう大好きなんだ いつもの事さ 家族 そうかそれも大好きだ また作る事も考えてみようか みんな輝いて欲しいんだ! ---------------------------- [自由詩]金魚花火/梅昆布茶[2013年7月25日15時50分] きみのゆかた姿が見たくって 誘った夏の金魚花火 まつりの雑踏の中に 大好きなきみのうなじ 手と手をつないでぶらぶら歩く でも知ってるんだ きみが想いをよせてるひとは俺じゃないって いとしのツインテール ふうわりと空にうかんでゆくみたいに よく似合ってるんだな 胸のふくらみがぼくをどきりとさせて ああ夏なんだなっておもう もう来ない夏 きみとつながった夏 たいせつな夏 たぶんこの夏のすべてを抱きしめて ぼくは生きるだろう きみに忘れられても すべての夏がここにあるんだ それが僕の夏 朝顔の模様の浴衣だって きんちょう蚊取り線香の団扇だって とっても似合ってるし 谷川俊太郎がネロのいた夏という詩で描いた 子犬のようにきみは あいくるしくて ダブリンの夏のように 陽炎のように 人生でいちばん輝いた時間なんだ 夏みかん ゴーヤ きんきんに冷やした西瓜 がりがり君なし味 そんなものに混じって僕の夏が終る さよならツインテール また秋だね  今度の夏は ポニーテールかもしれないな ---------------------------- [自由詩]味噌汁/梅昆布茶[2013年7月27日1時05分] ねえ お味噌汁の具って なにがいいと思う 君が尋ねる そうだなあ なめこや納豆汁 かぶなんかもいいね 僕は味噌汁の中に青汁をいれて飲んでいる 青臭さが消えてのみやすいから そんなたわいもない会話がなんだかうれしい 生きるって 喜びを感じるって なんだかシンプルでたわいのないもんなんだなって思う この先 この何気なさで生きてゆけたらよいと思う 複雑さなんていらないさ 手の届くところにあるもので生きてゆく 届かないものは縁がなかったのかもしれない そんな事を考えながら 蜆の味噌汁を飲む ゆっくりと味わって 何事もなく日々を過ごせると言う事は 本当はとても大切なことなのかもしれない 僕はあと何回味噌汁を飲めるのだろうか ---------------------------- [自由詩]はぐくまれしもの/梅昆布茶[2013年7月28日16時17分] ひとはうまれたしゅんかんから 死にむかってはぐくまれる 死ぬための生 それが真実かもしれない いきるよろこびは死と明暗なのかもしれない ものごとにはじめとおわりがあるように 人にもであいとわかれがあって それこそがいきることの根幹なのかもしれない 生は死にはぐくまれるもの その陰影が人生のすべて 肉親や恋人でさえ その理からはまぬがれえない どんなに焦がれても それは死によって分断される こういったうつろいが ぼくらの詩であり歌であるとおもうのだ じんせいは光陰のすきまなのだともおもう そのすきまを 光と風のはざまを生きる ただそれが好きなだけなのだ その陰影を共有する そんなひととであいたいと いつもおもっているんだ そんなひとたちと過ごしたいとおもっているんだ ---------------------------- [俳句]ふんわり/梅昆布茶[2013年7月28日16時39分] マッシュマロの口溶けやさしい君のよう ほっとした君の笑顔にコーヒーが香る 日曜日の軽やかな朝君にメール打つ ふうわりと君の前髪たなびく朝 目玉焼きトーストも焼けて君のキス 卵焼き奪いあいたい朝君と争う ツインテール大好きなのに哀しいのさ ---------------------------- [自由詩]君のブログが好き/梅昆布茶[2013年7月29日17時18分] ぼくはきのうまでのじぶんは嫌いだ だからブログをはじめようとおもった ぼくはあなたのブログがだいすきだ だからブログをはじめようとおもった 金魚のことや植物のこと 夕陽のことや病院のこと あなたのつよさのこと ちいさなぼくのこと ぼくはじぶんのれきしをひもときはじめている サッカーで挫折したこと クラリネットをふいていたひび ピッコロの少女に恋していた ビートルズやローリングストーンズに魅入られていた日々 楽しかった 生きることがかがやいていた ブログでなにをいうのかわからない でもちょっと気になることをめんめんと書き綴る だからぼくのブログをのぞいてくれないか ぼくは彼女のブログがだいすき 僕は彼女が好き ---------------------------- [自由詩]星の牧場 パート2/梅昆布茶[2013年7月30日14時25分] しばらく秩父高原牧場は 訪れていないが 僕の星の故郷である 若かりし頃同好会の仲間と泊りがけで星見に行ったものだ 標高はさして高くない高原であるが まわりが暗いこともあって かなりの星が見えるのだ 星の里と呼ばれているらしい たまにぶらりとバイクで登ったりもする いぜん詩人の土屋伶ちゃんと愛車ラパンで急勾配を登った記憶が懐かしい 息子とも登ったこともある 空がとても近いのだ まるでそこが故郷のようにも思えるほど 山の頂上でほぼ視界が360°開けている ここで獅子座流星群を観たかったな まるで大宇宙の花火大会 またいつか行こうとおもう どうせ空に帰るのだが たまには故郷に会いにゆきたいものだ またひとつ星が堕ちた まるでだれかの命のように ---------------------------- [自由詩]女友達/梅昆布茶[2013年7月30日14時44分] よく異性との友情は有りかという質問がなされる 僕は有りだとおもう 僕の女友達はみんな魅力的で大好きな人達だ いつもカラオケ仲間の昭子姉さんは体格は力士性格もそのまま豪放磊落だ 夏絵嬢は元カノだが尻軽で でもとっても女性的で色っぽい 小百合姉さんはけっこう仕切り屋ででもねジョークの通じる人 としえさんとは結婚するまでにいったんだけど 子供達も懐いてたし でも彼女の闇金の取り立て屋が僕の相棒の店まで来て まあ奴は元警視庁マル暴担当だったから屁でもないけど 結婚は流れたさ 男と女はほぼ同数いるのに なんで結ばれないんだろう このまま結婚年齢があがってゆくなら日本は滅びよう まあいいけどね でもね俺本当は 嫁さんが欲しいんだけど ---------------------------- (ファイルの終わり)