梅昆布茶 2013年5月9日8時38分から2013年5月30日18時19分まで ---------------------------- [自由詩]おとしもの/梅昆布茶[2013年5月9日8時38分] ふかく沈み込んでゆくものひとつ こころにあった 過不足のない生き方がしたかっただけなのだが きもち押さえこまれてしまう 沈殿するものは多々あるがちょっぴり異議をとなえてみる 朝の空気にそぐわないそいつに問いかける 現実は砂糖菓子のようにはできていないのだなんて いまさら言いきかせてるばかりで ねえ前にすすもうや もたもたしてると人生終わっちまうぜ 涙なんてごめんだ似合わないし 勇気もないくせに躊躇なんてしてるんじゃあないよ 時は公平さたぶん僕にだって もういい加減気づくんだね始末におえない人間だってこと 今朝の気持ちがそう言ってたんだ ---------------------------- [自由詩]丘の上のお馬鹿/梅昆布茶[2013年5月9日23時54分] ひがないちにち丘の上で雲をみていた 雲には歴史がないんだただ瞬間だけがあるんだ アンタレスは赤色巨星で太陽は金の林檎なんだな 僕はちょっぴり白色矮性みたいな気分だ 120億光年の彼方の銀河団がハッブル宇宙望遠鏡をとおして なにかを伝えてくるそれに応えたいとおもったんだ 夜はよるで丘の上で流星群をまっていた恋人を待つように ぼくたちの銀河はぼくらをとりまいて帯状にひろがって真ん中に暗黒物質の筋がある ルーシーは星になって輝くんだいつだってそうさ彼女は星だった 連星や二重星や脈動星や準星新星超新星それぞれの生涯を生きる 丘の上で一日過ごすそのうち寝てしまおう 丘の上で過ごすこんな素敵な時間なんてありそうもないな だから丘の上で過ごす ---------------------------- [自由詩]哀しみの法則/梅昆布茶[2013年5月10日1時13分] 恋ってとおいおとぎ話だってずっとおもってた まるで車輪の錆び付いた自転車のように前にすすまないんだ ほかの世界のことさぼくなんてとどかないことさ カモメのジョナサンにでもならなければね ぼくはしがないドライバーにすぎないいつも同じ道をはしるだけ だれもぼくに興味なんてないさただのドライバーだもの オンザロードぼくは孤独だったいつも太陽が眩しくて眼をほそめていた 遠い国からの荷物だって運ぶが自分の荷物なんてなにもなかったんだから 人生はひっそり生きるものだと思っていたでも違うのかも知れない こころのベルがなったみたいだ光が透き通る時はあるんだなっておもう 哀しみの法則はいつか一筋の水脈にたどりつくさそれは輝きや 慈しみやなにげない日常を照らすもの あきらめではないこころの芯を追う哀しみを糧にね そうこれからもオンザロード変わらないさでもね 光を見ることをおぼえたんだきっと いままでちょっと眩しかったひかりをね そうちょっと光がわかったから ---------------------------- [自由詩]リペアー 回復 救済/梅昆布茶[2013年5月10日15時11分] 修復と言う名の慰謝があるんだきっとどこかにね 今ここになくてもきっと何処かで待っているんだそう信じてる それは魔法じゃなくてごくごく普通の平凡な光なんだ 手を伸ばせば届きそうなそれは柔らかく温かくでもね触れられないんだ 勿論ぼくは世界の中心になんていないさそんなのわかってるし 僕が喪ったものの多くはもともと僕のものじゃなかったんだけれど 修復はきっと何処かで僕を待ってる気がするんだ優しく微笑んでね それは透明に輝くあの風かも知れないしそれとも陽射しのなかにあるのかもしれないさ でもねすこし信じることを始めようとも思うんだ救済をね 修復と言う名の赦しを哀しく彷徨うのはもうそろそろやめにしようや 僕はちょっぴり信じるもののために生きようと思ったんだ ちょっぴりね ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]トリビュートペポパンプ氏 我が良き友よ/梅昆布茶[2013年5月11日4時48分] ペポパンプ氏の投稿は12年11月29日で途切れているが僕が仄聞で女流詩人の一人から耳にしたのは僕の尊敬する詩人が追悼の辞を述べていたことがとても気になっていたある日のことだった。 まさかとはおもったのだが彼の詩文には確かにその気配があったかもしれない。 彼は稀に見る不器用で無垢な人間であり続けた。 まるで擦れっからして世渡りばかり上手くなった僕らを置いて別の次元へと旅立ったのだともおもえる。 僕らがかつて葛藤した青春のアンビバレンスを彼は最後まで抱き続けた。 確かにそれを好感するものと不細工さにある種の嫌悪を示した人々もいたことはたしかだ。 勿論僕は前者に属するものだ。 だって彼は唯一無二の盟友だったのだから。 生き延びるという意味では確かに敗北者かもしれないが僕は彼のいちばん最後の詩を胸に刻んでおこうと思っている。 勿論技巧派でも飛び抜けた感性でもないのかもしれないが僕にとっては魂を揺さぶる大切な一編に違いないと思っているのだ。 ちょうど二十歳の原点の高野悦子さんが鉄道自殺する前に残した澄んだ響きの詩のように僕の心の湖底深く沈んでゆく言葉なのだ。 幸いまだ作品は残っているので是非ご一読を乞うものだが。 ---------------------------- [自由詩]ハートブレーカー/梅昆布茶[2013年5月11日11時52分] 僕はスカイパイロット君の空を翔びたいんだだけど悪天候で視界ゼロさ 空の星を取りに来たわけじゃないんだ君の心を探してるだけなんだからね 僕はサン=テグジュペリじゃあないんだ 誰も見えない暗闇のなかで僕は生きていたんだ孤独なんてもんじゃないさ 天蓋さえうかがえない漆黒の世界はとても僕を凍えさせたさ 君はせつないハートブレーカーその蠱惑さえも君の罪なんだ 天国の扉をノックしなよすぐに開くだろうさ君の流し目一つでね 天使だって墜落しちまうさ僕なんかイチコロさ 僕の涙で君の空をみたしてやるんだだからハートブレーカーもう一度振り向いてくれ 愛の階段は崩れちまったのかいねえマイスイートハートベイビー 僕のギターの弦はぶち切れちまってさこれじゃあ音楽にもならないだろうさ ロックンロールは死なないって誰かが歌ってたねそれを忘れないで欲しいんだ スイートハートブレーカー僕の大切な ハートブレーカーもう一度振り向いてくれ だってさまだ愛してるんだもの ---------------------------- [自由詩]蝿の王/梅昆布茶[2013年5月12日13時28分] 解き放たれた不自由を享楽して僕らは生きてゆくまるで蝿のように 開放されたものを知らないまま恋もするさそれでもそんぞくしてゆくのさ 不安に抱きしめられ恐怖に翻弄され喜びに舞いあがるそんな日々をせいぜい楽しもうぜ 蝿の国の王はその国でいちばん卑屈な人間なんだ光なんて有りはしない 知恵も道徳も善意でさえもこの国では最下位に属する概念なんだ そんな国に生きる屍たちは街路を往来し物を生産し消費して塵にもどる素敵なことだろう 日々を不穏に過ごしてやがては黄泉の闇にのまれてゆくだけなのさ終いには老いさらばえ枯れ果ててゆく君も僕もまるで古木のようにね 蝿の王は強大な邪悪を支配するのさ誰に言うともなく正義の闇に讒言する輩なんだ 君の常識なんてね風のなかの塵にすぎないんだ 蝿の国は栄えるのさ蝿の王はさらに崇拝者を集め強大になりつつある とても素敵なことさじつにね ---------------------------- [自由詩]地球の息づかいを/梅昆布茶[2013年5月12日19時46分] 小暗い森の小径には菌類や地衣類が生息している その息づかいを君は感得できるだろうか 存在の密やかさをそれは秘めてあるのだがときにそれを 踏みつけてしまう僕たちは傲慢な生き物なのかもしれない 深い海のほとりには僕たちの命の雫が漂っているだろうそれは地球の揺籃であり この細胞の原点でもあるのだそしてその凝縮が僕ら個々の生命体でもある 認識の淵に僕らは何をみるだろうかそれは無常それとも生命の可能性 時間の不可逆性は僕らをこれからも限定し続けるのだろうか デュオニッソオス的情念はアポロンの理性とあいまって何を目指すのか 僕の課題は何?そんな解答集何処にもないだろうそれを創る為に生きている 生命の螺旋は空に向かって伸びてゆくさ無限のループにむかって それは生命の発露生きる掟すべての原点なのさ 君と僕の愛はこんな根源的なループに繋がっているんだってわかるかな〜 何の為に君に惚れたとおもってるんだい 演歌に情念を込める為ではないんだ すべての摂理を何気ない原理を地球の哲学をカラオケ酒場にて歌っているわけさ だから異性を舐め尽くすのも結構だがたまにはね原点である 地球の哲学をカラオケでもいいから歌ってみたら どんな健康法よりも 心と身体にいいかもなんだな〜 ---------------------------- [川柳]つまづき川柳/梅昆布茶[2013年5月12日20時33分] 大好きな彼女の前張りストリップ 社長を宥めすかして夜も明ける 猫娘艶かしくて数十年 テレビジョン生まれた頃の生まれだが 詩人なのか死人なのか分からない 君もなら僕もするんだ郵便貯金 愛してる死語になりつつ使ってる ランドセル別れた妻の家庭の名残 つまいづてるいつでもでも透き通るそれでいいさ ---------------------------- [自由詩]電波星人の孤独/梅昆布茶[2013年5月13日5時55分] いつもヒーローのかげで彼の役回りは決まっていたんだ邪悪の仮面を纏わされてね 子煩悩な彼の私生活なんて誰も取り沙汰もしないんだね 彼の故郷は地球よりも遥かに道徳的に高次な世界善悪さえもありはしない それを判断する必要もないほどに成熟した社会なのだなのに なにも訴求しない分彼は悪役を押し付けられてしまうのさ 都合よく何かを隠す為に利用され続けても不満も漏らさないし でもね子供達ももう気づいているのさヒーローだってさ日常はただの人 悪役にだって存分に情もあり友好的であること ほんとうの敵は僕や僕らのなかにけっこう潜んでいること 闘う必要性やヒーローの存在意義やらアンパンマンとウルトラマンの差異や序列化の無意味さや 天変地夭には善悪さえもないことを知ってしまっているんだ もう電波星人は孤独ではないのかもしれない 孤独は別なところに張り付いて僕達の依存を待っているのかもしれないのだ 僕たちはこんな罠をすり抜けながら捉えられながら生きてゆくさ 僕達こそヒーローなのかもしれないんだ ---------------------------- [自由詩]クラッシュランディング/梅昆布茶[2013年5月14日17時01分] 生活の棘を確かめながらも飛行経路を探る 君の声も聴こえなくなったんだ 風は凪いでいるがこころはアゲインスト 僕の翼はどれだろう フラッグが高々と上がり アーユーレディ? 準備不足だらけの間のびした生活を身にまとって それでも走り出すのさ先も見えずに なんのプレリュードを奏でる為にゆくのか クラッシュランディングはもうけっこうだそんな歳じゃあないんだ 日常になだらかな稜線を求めるのはいけないのだろうか 解きほぐれてゆく自分ってけっこう素敵なものだなあ 最期は分解され尽くして宇宙の塵になるのが理想なんだが クラッシュランディングはもういらないそんな気持ちにはもうなれないんだ 静謐なものや優しげな仕種を愛でることは許されないのだろうか そこら中でクラッシュランディングした人々が顔から血を流し前歯を折っては呻いているさ 僕にはもうそこまでの執念がないようなんだ そういつか君のこころにも ソフトランディングしたいんだからね ---------------------------- [自由詩]モーニングカップのなかの陽だまり/梅昆布茶[2013年5月15日8時59分] 朝の露を集めて飲み干すと一日の呼吸がはじまる 君の寝癖を愛おしいと想うんだそんな朝のパンとコーンポタージュ なんの変哲もないひとときをゆっくりと味わって幸せと名づける 人生は定義のしかたでどうとでもなることに最近気づいたんだけど だから君が友だちでも恋人でも奥さんでもねどうでもいいんだって 人の定義に従うことはないさきみの言葉で教えて欲しいんだよ 部屋の窓を開け放ってなにかを自由にしてあげようよそれは ほかのなにかかもしれないしきみ自身かもしれないんだそうすべて世界の一部さ 僕の朝の細胞が君の朝の細胞にキスしたがってるなんてね知らないよね モーニングカップのなかに陽だまりがあるなんて君は知らないよね だから教えてあげるもう夜がこないようにね ---------------------------- [短歌]メタセコイアのように/梅昆布茶[2013年5月15日10時38分] 窓際に肩ひじついて聴いている通りのざわめき歌のない調べ 真っ直ぐにとメタセコイアのように生きたいと願った君と僕の五月と 人生は回転木馬巡りゆく季節とともに移ろいゆく風 ひとつづつ噛み砕いては転がして舌の上の結婚記念日 掌空にかざして押し上げる命の強さを誰に語らむ ダンスウィズミー風のステップで空のステージできみと永遠に イカロスの翼が欲しいいつまでも子供の頃の夢を追うため ---------------------------- [自由詩]ふわり/梅昆布茶[2013年5月15日15時59分] ぽっかり浮かんだ波のうえ 海月のように漂っている僕ふわりふわり 昨日のこともわすれてふわりふわふわ ろくでなしでふわふわきみが好き 君なしでもふわふわやっぱり君がいい 金色のお月さまがやはりふわふわふかふか 波打ちぎわで銀の魚が跳ねるぴちぴちぴちぴちぴちぴちぴちぴちぴー ろくでなしやっぱり君しかいないんだ泣き落とし得意技ラリアット 人生は安い試合対戦相手はふるふるがいいな とっても柔いんだけどとっても硬派なんだねバリバリの俺のバイク ギンギラに飾ってトーキョーミッドナイト でもねふわり嗜好者なんてね平和主義者なんだね 愛はふわりふわふわふかふか そっとくるもの 恋はおまけ オーバーチュアーさいいんだそれで 大切なのはふわりふわふわふかふかなんだからね あとは責任持たないよまいつも責任持たないし どうせふわふわふかふかなんだからね ---------------------------- [自由詩]嫌な奴/梅昆布茶[2013年5月16日14時05分] 思わせぶりに哀しみを首から下げて同情を拾い集める卑しい心根 人の好意に素直に応えられずにそっぽを向いている臍曲がり 拗ねて見せれば彼女の気が引けると思っている浅はかさ 自分を顧みずに周りや環境のせいにして自分を宥めてしまうおぞましさ そう俺は最高に嫌な奴さ君が思うほどの人間じゃあない ひとの躓きにほくそ笑む悪魔狡猾さを認めようともしない図々しさ 幸せに石を投げてさらなる追い討ちをかけようと画策する幼稚な精神 だから誰かはやく断罪してくれないか 愚かさに終止符を打ちたいんだ 心のやみを幕引きしたいんだ 誰かはやく この長い夜を終わりにしてくれないか ---------------------------- [自由詩]指/梅昆布茶[2013年5月16日14時34分] 君の白い指が好き手紙を書いたり電話をかけたり ときどきみみたぶを摘まむ癖のある君の指が好き 苛立って乱暴に鍵盤を叩いたり上手に包丁を操ったり 水道の蛇口をひねる君の指が好き ずっと一緒に居たいんだ その長い髪より息づく胸よりいたずらな唇よりも 君の指が好きなんだ ずっと一緒に居たいんだ いつかその指を切り取って 僕のものにしたいんだ ---------------------------- [自由詩]アップルパイを捜して/梅昆布茶[2013年5月16日17時51分] 僕は隣人部の部員 立派に友達がいないんだ 一緒にお茶したり指相撲大会や野球拳や花札などを 誰とも楽しめないんだいっそのこと親兄弟も縁を切って生きようか 残念系の人間としては情けない良果である いつか残念系で大成したいのだが 仲良し部の彼女はアップルパイを捜しているみたいだ ポイント稼ぐにはアップルパイが何なのか 何の為のアップルパイなのか あるいはアップルパイと彼女の関係性を係数的に解明しなければならないのだ 認知論的進化考古学の知見によれば美の形態学的変遷は 食物としての果実を見分ける検出の美 記憶や物事を整理する体制の美 ネフローゼの腺病質の青年が美しい悲観をそしていつもの ヤクルトの腸内の美学を想像するのだと想うんだ 怖くても震えても空は青いさだからアップルパイを投げようぜ 誰がくうのか知らないけれど キーワードはアップルパイあるいはハットかキャップ テンションもなにも有りはしないんだがそれでも アップルパイを捜してうろつきまわっているのさ 素敵だろう ---------------------------- [自由詩]実現されない夢について/梅昆布茶[2013年5月19日0時35分] 僕の人生はなにで満たされているのか 空虚あるいは無意味な時間 それとも成熟した果実の様な退廃なのか すっかり一人に慣れてしまって恋さえもわすれてしまった様だ リュックを背負った男が山に登る様に僕も山に登る 前に進まない自転車はすでに錆び付いて歴史の垢を纏ってしまって 意味を生成しない愚鈍な機械になりつつあるのだろうな もうすぐザリガニに戻るんだもの孤独なザリガニに そして泥のなかを進んでゆくのさ 実現されない夢はいつも一番僕の大切なものだ それがもっとも確かなもの愛着もあるそして自分らしいのさ 実現されない夢についてならいくらでも語れるさ 一生だって語れるさ君が聴きたいならね ---------------------------- [自由詩]充電器が欲しいんだ/梅昆布茶[2013年5月19日0時54分] からからのバッテリー乾涸びた空の青さを思うんだ 幻のアトランティスだってもうちょっとしっかり存在しているはずなんだ 蹴り上げた空き缶が乾いた音で転がってゆくのさ 指の数を数えて確かめる鏡を見る観察する自分を確かめる 今日は存在が薄い日だまあいつもそうなんだが存在感のない奴なんだね 心の充電器が欲しいんだ貯金なら少しあるから干上がってしまう前に 魚のように干物になっちまいそうです 確かなもの愛着もある大切なもの触っても暖かいもの そんな充電器が欲しいと思っているんだ ---------------------------- [自由詩]静謐/梅昆布茶[2013年5月19日1時16分] 黙っている待っている枯れながら百舌のように鳴きながら 歌はない光はないこの世界近似値で君に伝えようと思うんだ 比重を失った世界なんて羽根のようですまるで綿ぼこりみたいに見えます でもね君が好きなうちは世界はあるのだよしっかりと世界の中心は君だから 結局さふわふわしてるのは自分なんだって思ったんだ軽い奴なんだからね ろくでなしは片隅で詩を創るろくでなしは暇を持て余して酔いつぶれるろくでなしでいいさ 光を失わないように僕のように生きないようにろくでなしにならないように 祈っていますよいつもね ---------------------------- [自由詩]草原の輝き/梅昆布茶[2013年5月20日9時10分] 朝露に濡れた草原を君と散策する大好きな時間は 僕の全細胞が君の存在を希求しているって感じるのさ ブナの森は大地にしっかりと根づいて空に伸び上がっていてそして悠久を湛えているんだ 朝靄が僕らの体にしっとりと心地良く絡みついてくるのが嬉しいんだとてもね 僕達はすべてを選択できる気がするんだ選択肢は無限だってねそうだろう 花が花であるように君は君でいいんだそのものでいいんだと思うんだ 草原が輝くように僕等も輝くことさそれが生きるってことだ 約束事なんてねないんだから自由にやるさ君の息の通う所こそが世界なんだからね 君が世界を忘れたって世界は君を忘れはしないさ君が世界の中心なのだもの 搾りたてのオレンジジュースのような世界は僕らのなかで呼吸しているんだもの 太陽十個ぶんの命が燃えさかっているわけさそして恋をするんだまるで 大地と空がひきあうようにね きょうも草原は輝いているんだもの ---------------------------- [自由詩]藪から蛇/梅昆布茶[2013年5月20日10時19分] 藪から棒に破れかぶれ敗れ去り ピンからキリまで品も義理も欠いて生き延びて ふふふと不敵な不満のわらい ままよとマヨネーズおまんまにかけて 大変だあ鯛が怠慢で困るんだが ひひひと狒々が悲観の呟き漏らしても 縷々述べたてる流浪の生涯を 耳そば立てて見ていた午後に きっと気が付けば木の上の生活は こころに刻む心地良くあるように サッサと去ろう猿廻し ---------------------------- [自由詩]ゆで卵ちゃん/梅昆布茶[2013年5月20日14時03分] 君のことをついついゆで卵ちゃんと呼んでしまうのは僕の悪い癖だが 君が僕のことをゴリラちゃんと呼ぶのはとても心外なんだね ああ確かに見た目はその通りなんだがそれにしても僕のデリカシーをボロボロにして 今日も君はケラケラ笑っているなんて奴なんだゆで卵ちゃんでもねそのツルツルが大好きさ いつもタンデムするんだ僕のぼろスクーターでねえ素敵なドライブだろう お祭りでたこ焼き食べたっけそして指切りしたよねいつまでも変わらないってね そして些細なことで笑い転げていたっけあの遠い日にあの思い出のなかに 君が輝いているんだ今もね空に浮かぶ雲みたいにね 思い出を静かに閉じてしまおうたゆとう心のままに生きようか 君のいない世界なんてね想像もしてなかったさ今もそうさ 時間の砂はほらさらさらと流れてゆくさ僕を置き去りにしてね 記憶のなかの今もねキラキラと輝いているさ ねえゆで卵ちゃん僕を忘れた頃に君を思い出しているのさ ---------------------------- [短歌]愛しのツインテール短歌編/梅昆布茶[2013年5月21日3時10分] 口溶けさらさらホワイトチョコみたいにね可愛く溶けてしまいなよ 長い坂道雲ひとつ見上げる空にあの日の君の見えた気がして 繋いだ指離したくないこの夜は僅かな痛み胸にしまおう ろくでなしはいつまでたってもろくでなしこんな俺でもきみのそばがいい 雨と哀しみとツインテールが揺れるままに僕のこころに零れるものは ねえねえって不満ありげに問いただす君の尖った唇が好き スカートの裾がふんわり風に舞うそんな春の君がとても好き かき氷きんきんしながら食べていた僕と君と夏の夕立ち 金魚鉢越し見える君の鼻摘めそうです暑中見舞いに 永遠の僕のツインテールあの夏の終わりに揺れていたまま ---------------------------- [自由詩]沈没船の独り言/梅昆布茶[2013年5月23日11時05分] かつて僕は七つの海を知っていた もちろんエーゲ海や神々でさえ 風は僕の味方僕は自由に世界中の港に停泊したものだ もちろん君たちのジパングも遠い昔訪れたさ 僕にはエンジンというものはないんだ ただ風と帆と宇宙だけが推進力 君は一角獣を知ってるかい とてもね賢い奴なんだがいまは幻想の生物さ 言葉は世界を規定するが僕はソシュールなんて知らない 僕は世界をそのままで認識しているから言語はわかるが要らないんだ 僕がわかるのは君のこころ とってもなナイーブさ持ち歩くのは大変なんだよな 君は詩人とか呼ばれてるらしいが だったら僕の響がわかるだろう けっこう沈没船は賢いんだな アトランティスの栄華と空飛ぶ船 黄金の飛行船車は程よい調和を奏でてそれはそれは 美しい国だったんだ 君たちは理想を追いすぎて失速しているイカロスみたいに ゆっくり僕のように行こうや 僕は海底に沈んでいるがずっと見ている 君たちの行方を それが使命だからね ---------------------------- [自由詩]僕をいかしてきたものたちへ/梅昆布茶[2013年5月25日11時16分] 僕はたぶん君の代わりに生きているんだ 体や心が多少違ったってかつて君は僕で僕は君だったんだもの 僕は君のすべては知らなかった君も僕のすべては知らないだろう でもいいんだそういう緩い連関でみんな生きている 僕の感謝はもともと君から教わったもの 君の笑顔が語ってくれたものだ それは大地と空が教えてくれたもの 大地は感謝でできているなんて知らなかったんだ 時間論は様々にあるが僕は君との時間は今もね続いていると思っているんだ 時間は線分上の単位で客観表現されるが僕と君の時間は僕の内的宝なのだよ 物事は変化する誰も止められないできる事はそれを スナップ写真でもいい自分のこころにピンナップする 生と死その境界は薄い遠い声遠い部屋でもね君はすぐ近くにいつもいるさ 僕達の記憶の涙腺は緩いがそれでいいと思うんだ 生と死は薄紙もうじきそちらにゆくさ待っててくれ 失う事は辛いがもともとないよりはよっぽど幸福なんだなって いろいろ思ったんだが最終的には言葉を信じています だからねだらだらでも書いている ---------------------------- [自由詩]風に乗る/梅昆布茶[2013年5月26日0時45分] 僕は軽くなりたいんだこれまでより軽くね 重すぎる心と身体はもう要らないさ小鳥になって遊ぶ 僕は何者だったというのだろうかそんなのかんけーねーってか 乗り過ぎはいけないがぶっとしていてもダメだ 僕はただの親父で詩人でもアイドルでもないのが ただ小心なわりに目立ちたがりなのかもしれない まあ小細工な詩ぐらいはつくれるみたいだが 人生は小細工ではいかない事をわかってないみたいだ もう友達は定年僕だけが凧みたいにねフーテンなんだが 風に乗ること僕は好きだったアドバルーンみたいにね かっこ閉じるでいいさそのうち勝手に終わるさ でもね大好きなあの娘と暮らしたいとか思っているおばかなんだが 風に乗る軽々と愛をはぐくむ傷ついて落下してもいい 愛ばかり追ってきたさこの魂でこの容姿でね もういいかもしれないこの年でそう やっとゆっくりできるかな でもいつもね風に乗る ---------------------------- [自由詩]嫁取り/梅昆布茶[2013年5月27日11時12分] なんだか知らないけど子供四人と嫁さんがくるみたいだ 自分の子供ほどの歳だがまあいいか なんとなくずるずると付き合っていた あんまり恋愛感情も無かったしただ子供達が懐いてくれただけさ まあいいやなるようになるさ この歳で嫁取りなんてなんてこったい かったるいけどもうひと頑張り 僕が死ぬ頃に子供達が成人するんだ ねえ人生って長いような短いような 面白いようなつまらないような この僕が嫁取りなんて笑っちゃうね ---------------------------- [自由詩]微熱の季節に/梅昆布茶[2013年5月28日6時41分] 身体のなかにわだかまっているものたちが心を刺す なんだかチクチクして気色悪いのだが我慢する もういいさ年貢の納め時だと何かが言ういや違うと別な声もする 人間はこうやってせめぎ合いながら生きてゆくものか 今朝も陽が昇って一日が起動するただし心はあんがいブスッとしている 何が不満なんだろうなんとなしの不安これは病気だろうか ときどきこういう心理状態に陥るのだがいつかそれも晴れるさ そういまは僕の微熱の季節なんだ きっとそうさ ---------------------------- [自由詩]風のエトランジェ/梅昆布茶[2013年5月30日18時19分] 遠くやって来た風が吹いていた涙が流れた 言葉を失ってさまよっていた時は流れて君に会えない 僕は風の中の塵涙が流れる君は遠い思い出 世界は今日も廻ってゆく音もなくね 時間はなんのためにあるの君と僕を隔てるため すべては流転してゆく君も僕もあの日の記憶がよぎる 僕はエトランジェ孤独と哀しみだけを友に生きる 遠くやって来た風が吹いていた涙が流れた 愛を失ってさまよっていた過ぎ去った時を思う 君の香りを覚えている僕はエトランジェ 風のエトランジェさ ---------------------------- (ファイルの終わり)