ドクダミ五十号 2014年12月28日2時50分から2016年3月8日10時44分まで ---------------------------- [自由詩]おともだち/ドクダミ五十号[2014年12月28日2時50分] せまい巣に閉じ込めて御免なさい 今日は罪滅ぼしの為にかわいい君を 「鼠袋」と私が呼んでいる スライドジッパー式のポーチ 袋の鼠なのだけれど 上着のポケットに収まれば 温かいのでじたばたしない 杖を突きつつ最寄りの公園 寒い中でも子供は元気だ おじちゃんに少しその元気を分けて 鬱憤を孕んだ鼠にも分けて おねがいだよ 幸い 私も 鼠も きらきらと美しい瞳の子供には 邪気あるとは思われず 子供が無邪気とは周囲も含めてなのだなあ 「またね」とさようなら出来た おともだちが出来ました とても嬉しい日でした ---------------------------- [自由詩]ブリ大根/ドクダミ五十号[2014年12月28日15時04分] ブリのアラあら安いじゃないか ずっと南の鹿児島の海で泳いでいたらしい 立派な大根白々の太くて素敵 もしも女性の御御足ならば 私は抱きしめたい 米を研ぐ すなわち白い研ぎ汁得たり 厚く皮をむき 面取りをして 十字に浅く包丁を入れて 下茹でするのさ 大根のジャスターゼが 米ぬかの澱粉と反応 甘みが増すのですよ 正月が近いので ニンジンも足しましょう 梅に似せて切ります 味醂と砂糖と出汁と少しの塩 予め煮ておきます ブリは良い大きさに 血合いはきれいに洗って流し 水気を拭いて皮目を炙ります さてと、昆布でとった出汁 砂糖と味醂 そして醤油 全て合わせて煮るのです アクは丁寧に除き 弱火でじっくり ブリ大根 冬のごちそうなのです ---------------------------- [自由詩]街頭にて/ドクダミ五十号[2014年12月28日20時40分] 寒いのにご苦労様 「神の国は近づいた」らしい 罪も咎もあっさり流されて 永遠の幸せが来ると言う 盲信とは言いたくないが 実質的な行いをする方を信じます 救いの御手は神とは無縁 神を崇めてするのではありません 主よ希望と言う名の救いがあるなら 希求する人間にお与え下さい 全能ならば 未だ救いはおろか 逼迫する生命存在の危機にある人々 信じる対象が異なるだけで 時は一瞬も待たない 神への祈りは遅々として 募金箱にいくら貯まっても 遅いのだ 虚しいと嘆きつつ 街頭を行く 誰も救えないのではないかと 疑いながら 今日の命を繋ぐお金を 募金箱に落として つくづく偽善と神の関係を考える 罪人の浅はかな脳で ---------------------------- [自由詩]後4日/ドクダミ五十号[2014年12月29日15時23分] 一つ歳を重ねる 一つおかずを作る 一膳のメシを喰う 一筆を絵に加える 一つしか出来ません 一つで良いのです 私は不器用ですし 多くを望んでいませんし 重ね重ね生きて来ました 結果として今日も生きています いつまで生きられるかを知りませんが 確実に死に向かう生なのが嬉しいです たった一つの悟りさえ得られなくても 元気ではありませんが 多くの読者の皆様には 感謝しています 皆様の新たな年が幸多い事を 心からお祈り致します ---------------------------- [自由詩]さてと/ドクダミ五十号[2015年1月1日11時02分] 皆様に「あけましておめでとうございます」と 新たな年でございますから私も進歩せねばと だけれどもそうなのだけれど少しも変わらないと 明日には変われるかもしれないとの希望を抱き ギラギラとめんたまを光らせつつ 「どうだ?色が違うだろう」と筆を走らせる 狂人に見えるだろうさ 事実狂っている 精神科を訪ねるのは恐ろしい 誰も傷つけない症状だとしても 私をこの世に産んだ二人は 共に精神に異常を来たし 私もその因子を受け継いだとすると 発病はするかもしれない 可能性と確率の問題だろう だけれども皆さんの新たな年を お祝いするのに支障はありません どうか今年も皆様にとって 幸多い事を心から祈ります 謹賀新年 ---------------------------- [自由詩]また/ドクダミ五十号[2015年1月2日21時03分] 春は再び訪れる 寂しい貴方の窓辺にも 信じてね 冷たい北風をやっつけて お花の香りと一緒に来るよ 僕と君とは其の時に 季節のめぐりを共にして ほっぺをくすぐりあうでしょう ---------------------------- [自由詩]「とまれ」を理解する人に/ドクダミ五十号[2015年1月3日15時44分] 「ともあれ」の短縮形 「なにはともあれ」の 「つつがない」恐ろしい病気。 それに罹患せずに今日も 「ふるさと」で歌われる状況は 実は深刻だ。 「とまれ」良く聞き給え。 残酷な世界が貴方の目前に有る。 皆殺し理論。 アングロサクソン・アメリカ。 基地を内包した市町村。 都までも。 平和? 誰の? 「とまれ」 ともあれと理解して 人殺しを許す。 私はしない。 ---------------------------- [自由詩]にょろにょろ/ドクダミ五十号[2015年1月3日16時08分] 蛇は 足も 手も 肉体がそのもの 彼等は自己防衛の為に 牙を発達させた 噛まれた人間は 一方的に忌まわしいと なんと言う身勝手だろう そっとしておいてください アリゾナの石の下 にょろちゃんが恐ろしい人間に囁いています うろこを持って 肉体を保護する生き物は少ない 美しい虹色のうろこ 滑らかな肢体 早春のいちごを 美味しそうに ねずちゅを食われてはたまりませんから ほうっておきます ---------------------------- [自由詩]宇宙人/ドクダミ五十号[2015年1月4日12時51分] 居ると思うよ だけれど 地球人に会いに来るとは思えない 光速を超える速度は出せない 色々なアイデアはあるけれど 進化の極みに達した生物が わざわざ殺戮と破壊を好む人類(一部だけれど)を 訪れる理由は無い 観察対象としての価値が人類に 毛の無いエテ公にあるだろうか? 宇宙は膨張してしている インフレーションだよ 等方向に加速している 相対的に光速を越えているのに どうやって地球に来れるだろうか 時空を利用しても未来にしか行けない 我々の過去 時空連続体は崩せない 科学者とあろう者が 仮説による 「光りあれ」を実証する滑稽 何か因子を無視している 質量はどこから ビックバン? 宇宙背景放射? どんどん加速している事実 収束すると言う科学者も居る ビッグクランチ あくまでも計算上 事実は事実 宇宙人は地球人を救いに来れません 作用と反作用 ロシア人が「ボルガの舟歌」 アメリ人が「星条旗よ永遠なれ」 それぞれ矢を放つなり 銃をぶっ放すなり しても光速を越えられない 研究費獲得の為に犯罪は成された 常に確証が薄い嘘が承認される背景にあるのは何だ ---------------------------- [自由詩]アンチ/ドクダミ五十号[2015年2月9日5時13分] 対、資本主義と宣言すると 攻撃されるのは必須 されども私は資本主義を 出来る範囲で攻撃 物理主義と伴う 実存 私は眠る事も許されず 深夜に思い出を探るのだ 抱きたい夢を捨て 更に 嗚呼 愛しき人よ 汝の行いは 対ブルジョア そう信じたい ---------------------------- [自由詩]イスラエル/ドクダミ五十号[2015年2月9日15時46分] そこに住む人々の総称 それがパレスチナ。 米国がさまえよる 人々を 閉じ込める為に パレスチナは血に染まった イスラエルのと言う偽りの国家 パレスチナに特定の民族は居ない 「そこに住む人々」 パレスチナとは そういう人々の寄り集まり イスラエルよ 撤収せよ 返せ ---------------------------- [自由詩]ふしぎなねずみ/ドクダミ五十号[2015年2月15日12時09分] 私の可愛いがって居るねずみに とても不思議な雌が居る 色が変わるのだ 本当だ 変化は徐々だが 気がつくと 「たぬぽん」と呼んでいたが 別の色 ううむ 私が狂ったのだろうか 「違うわ、アタシよ。アタシ」 「ほら、素敵でしょう?白地に灰色」 すぐに彼女だと解った 「あまがみするけど許してね」 昨日より色が濃くなっている 明日 見分ける自信が無い ふしぎなねずみ ---------------------------- [自由詩]やぎさん/ドクダミ五十号[2015年3月13日11時38分] やぎさんの くさのにおいの するおちち ぎゅうにゅうより こい ちーずにすれば おいしい やぎさんをころして くう かっておちちを のんだりすれば とてもへいわなのに きょうもころされて いるのかな かなしくて めえ ともなけず ---------------------------- [自由詩]いのちはおもい/ドクダミ五十号[2015年3月15日16時59分] いのちはね とてもおもいの でもね とてもはかないの だからね あいしちゃうと やさしいひとは いいました わざわざはかないいのちを どうしてうばうの おもうとなみだがとまりません とおいおくにで ころされた たくさんの つみなきひとに あいとうのいをとなえます きょうもさつりくがおこなわれていますが せいぎとはなんでしょう 正義とはいったい何ですか 問は救いようも無く 風に紛れても 価値はあるのです 答えが無くても ---------------------------- [自由詩]あまざけを/ドクダミ五十号[2015年3月16日19時19分] あまざけをあげようか ひさめふるよるだから こごえてつらいだろうから うっすらあまいだけだけれども えいようはありますよ そう言って五平は すり鉢でつぶして作った餅と とっておきの甘酒を 行き倒れ寸前の旅人に 五つの平でありなさい 鴨居にかかる額入りの写真 おばあちゃんは言っていた 五平はその夜 夢を観た 梅も桜も桃も 一度きに咲いて 水田には満々と水があり 稲の葉は緑濃く 遠くから死んでしまったおかあさんが 日傘を捨てて五平に大声では叫ばず おいでなさいと 抱く仕草 夢から覚めた五平は 悲しんだでしょうか いいえ おかあさんのぬくもりが こころのおくそこに きちんとありましたから 五平は家も田畑も売り払い お店を出しました 何のお店でしょうは野暮です 勿論 甘酒と焼き餅の 味噌の香りと 麹の香り とても繁盛したそうです ---------------------------- [自由詩]愛していたのに/ドクダミ五十号[2015年3月19日12時01分] 裏切りの夜に 怒りより 落胆 子らも同意 お父さんの味方 快楽の甘美さを 知らぬ俺ではないが あまりにもひどい せめてもの救いは 子供を連れ 逃げた事だ そうでなければ 間男共々 殺していただろう 愛は不確か故に 確定を模索される 嗚呼 悲しみと 等価なのである ---------------------------- [自由詩]わたしたち/ドクダミ五十号[2015年3月22日11時36分] わたしたち どうぶつの さいぼう しょくぶつとちがい よわいまく さいぼうへきをうらやむ みとこんどりあさんと きょうせいしたけれど かたくはなれませんでした たいようと みずと だいち ようりょくそがすごく うらやましい さいしょうのようそ それだけでいきる だからなでる かわいい かわいいと ---------------------------- [自由詩]ゲバラ/ドクダミ五十号[2015年3月24日2時42分] 革命なのだ 武器を捨てろ 旅に出て よく見ろ 旗印は平和 広島の悲惨 再度せざるべき 革命は君の心で起きるのだ さあ たて 君は男だろう ---------------------------- [自由詩]美しい/ドクダミ五十号[2015年5月6日6時40分] 愛は儚い 愛は尊い 愛は 愛は 美しい 真昼に見る夢の様だ 一輪の野の花を 撫でる少女の指先に似ている どんなに形容出来るだろう 愛を 愛は貴方の心に 密やかに眠っていると 私は信じています ---------------------------- [自由詩]犬が嫌い/ドクダミ五十号[2015年5月7日9時33分] キリスト教では 全ての植物 全ての動物 を 統べる権利を 神が 人間に 与えたとある とんでもない間違いである 犬と人 従属するから 犬は好ましい ハイソサエティ的な認識 欧米の暴力的な支配と 隷属の歴史 私はそれらを逃れる 私は米帝の犬じゃない ---------------------------- [自由詩]テープ・ドライブ/ドクダミ五十号[2015年5月8日8時19分] 欲しい 記憶媒体として テープと言っても 樹脂に鉄粉を仕込んだ アレじゃない 金属のリボンと言えば 正しいであろう とても高価 磁気記録装置の 最高峰である シーケンシャルにしか ロード出来ないが 信頼度は光学式に優る 貴女への愛を そう題して 記録するなら シーケンシャル 当たり前だ 途切れる事無く 愛していたのだから 意味が解るかい 愛は途切れなく 降り注ぐ そうだろう 記録したい ---------------------------- [自由詩]寿/ドクダミ五十号[2015年5月9日13時25分] ドヤと言う言葉を 君はご存知だろうか 横浜と言う 首都の隣の 港町 もうドヤドヤと 酒場を賑やかする 声は無い 季節労働者は 簡易宿で 死ぬを待つ 南区役所に行けない パン券と呼ばれる 最後の砦も もはや意味はありません 簡易宿泊所の一室 わずか三畳で 死んで発見されるまで 腐臭を放つ なんと残酷か 誰もが冷酷になれるだろうか 君も私も ドヤと季節労働者 さまざまな方言が飛び交う それぞれの出自 それが飛び交う最低な店 日本の首都は 彼らが作った 君は想像出来ますか 故郷を捨て 貧しい両親の為 夜汽車に揺られ 二度と戻れない旅路を 何の寿だろう ドヤ街は静か過ぎる 今日も死んでゆく 誰もその人を救わない ---------------------------- [自由詩]絶対/ドクダミ五十号[2015年5月10日12時52分] 絶対的と言う言葉は無いと あろうことか 児童を守るはずの職員が 暴力と共に吐いた 考えて欲しい 板張りの床に算盤 そこに正座させたり ケツバットを教育だとする たちが悪いのだが 夫婦なのだ 妻は保母 夫は指導員 歪んだキリスト教信者 今でも生きているなら 深く反省しながら死に向かって欲しい 絶対はありません 絶対と似ていると言う意味で 「的」を付け足す それのどこが間違いで 虐待につながるのか 教えてくれ 痛みしか与えなかった教師よ ---------------------------- [自由詩]命ってなんだろう/ドクダミ五十号[2015年5月11日21時49分] すぐに殺せる 誰もその死を顧みない 命は命によって認識される これを事実としない人は不幸だ 命には必ず終わりがある 認識は提示された ---------------------------- [自由詩]赦される/ドクダミ五十号[2016年2月5日7時00分] ごはんがおいしくたけたら もういちにちいきても と おもう にわのくさきにつぼみをみつけたら もういちねんいきてもゆるされた と かってにおもう ひからびたくものおかあさんが やぶれたすにいました かわいいこぐもをみたら やさしくはなしかけます そうするとしぬまでいきる という みょうなひょうげんも あたりまえになります わたしはわたしをゆるしていないのに いかされているということは きっとゆるしてくれるなにかが ゆるしてくれるひそんざいが くうきのようにあるのだろう とりあえずじさつはやめた ---------------------------- [自由詩]遠い/ドクダミ五十号[2016年2月29日1時56分] 海の背中にゆらゆらと 揺られた事も ありました 砂浜で 長い睫毛の瞬きに よく似た波の 崩れ落ち 退き波を眺めて私 遠ざかる 感じは孤独の唄に似て 悲しい事もありました それさえも 遠い昔のいつの日か 思い出せない切なさと 胸の奥底 ざんざざん さんざめきのみ 生々し ただ 遠い 忘却を思わせる ---------------------------- [自由詩]さま/ドクダミ五十号[2016年3月5日2時52分] 絵を描くように詩を 詩を書くように絵を およそ生活に於ける 生産活動が 生きるに直結している ならば 全ては絵だ 全ては詩だ 冷たい手を温める 息さえ 人が残せるものは少ない だから だから 作るのだよ ---------------------------- [自由詩]こんぶ/ドクダミ五十号[2016年3月7日20時29分] くろいかしらね みどりいろ こなふくほどに さいわいに いろこくあれば そのつらに あつめたうまみを ほこるのだ ああほそきりの ねつとうの ねばりよ いろよ たくましさ ---------------------------- [自由詩]あした/ドクダミ五十号[2016年3月7日20時37分] 足。た? 明く。た? 悪。た? ---------------------------- [自由詩]憧れ/ドクダミ五十号[2016年3月8日10時44分] そのやわらき てをにぎり あいしていますと つげるとき くろうして そだてたはなの いちりんの かべんなんぞに なみだする きのうは いきていたはずの つめたくなった なきがらの ようやくだねと だきしめる あらゆるは すべておのれの いのそとだ だからこそだよ あ これ な しじんは ちょっかんで しぬ ---------------------------- (ファイルの終わり)